れいぶる~自宅警備隊~

望月まーゆノベルバ引退

☆失踪事件②

カイトと連絡が取れない事を不審に思い、エリカに位置情報を調べてもらった。 
エリカは、空間座標能力に長けていて彼女は一定範囲内であれば誰がどこにいても分かるのだ。

調べてもらった結果、第十二支部コミュニケーションセンターにいると分かった。

僕たちにとってそこはあまり良い思い出はない。
僕たちは、カイト捜索に乗り出したのだ。




「それにしても可笑しいっすよね? カイトが自分からコミュニケーションセンターに行くとか考えられないっすよ」

僕らはチェンジして第十二支部を疾走している。チェンジ中は、通常の三倍の運動能力が備わるのだ。

「確かに、カイトがコミュニケーションセンターに用があるとは考えにくい。 失踪事件に巻き込まれてる可能性があることと鏡を出入り出来る人物・・・」

「お嬢、カイトはまだコミュニケーションセンターから移動はしてないの?」
「ええ、ずっと止まったままよ」

市街地を抜け拓けて来た先にある三階建ての目立つ建物が第十二支部コミュニケーションセンターだ。
会議や集会、福祉施設やトレーニングルーム、屋内プール、外には噴水のある公園なども完備されている複合施設だ。

「こっからは慎重に行動しよう」
コミュニケーションセンターの真横まで来た僕たちに陣形を組んで慎重に入り口に向かう。

その時ーー

無機質な機械音が音を立てた。

「こちらコード3712、第三支部小部隊。敵襲、敵襲。術式を使う何者かと応戦中。繰り返す敵襲、敵襲。すぐに援軍をーー」

僕らは全員顔を見合わせた。

「カケちゃん、今の敵襲ってーー」
エリカは、顔を青くし僕を見た。
「ああ、奴かも知れない。こっちも気を引き締めてカイトを捜索しよう」


ゆっくりと壁伝いに進む。
目の前にはあのカーブミラー(道路反射鏡)が見えた。

また、あの中から奴が出てくるんじゃないかと警戒する。

「この入り口を入って正面の建物の右側にある公園に向かう途中にカイトがいるわ」
「神崎さん、カイトが心配ッス。行きましょう」
「ああ」

僕が先頭をきって正面ゲートから敷地内に入る。
次にエリカ、千夏、最後に柊がみんなに背中を向けながらカーブミラーを警戒しながら陣形を組んで進む。

昼間のコミュニケーションセンターには似つかない迷彩服の四人が銃を構えてゆっくりと歩いてる。

コミュニケーションセンターの中からは普通に人々の楽しそうな声が聞こえてくる。
この中で戦闘になったらどうするんだ?

「ーー何も起こりませんね? 早とちりですかね」
「いや、無警戒はダメだ。カイトを見つけるまでは安心できない」

先ほどよりは足早に正面の建物を横切りカイトのいると思われる場所に向かうーー

またしても通信の電子音が聞こえてくる。

「第三支部小隊ーー壊滅。隊員が拉致された。うわあああ来た、助けてくれえ、誰か誰かああ、俺も鏡の中にーー」

通信デバイスを壊されるような鈍い音がして通信が途絶えた。

「・・・・・・」

言葉を失う僕らーー

それとは無関係に公園からは子供たちのはしゃぐ声などが聞こえてくる。

「カケちゃん今のってーー鏡って」
脅えたように声を絞り出した。
「・・・この件は中央に相談しよう。先にカイトだ、近くにいるかも知れない」




カイトの姿はどこにもなかったーー

「カイトの位置情報は確かに・・・待って。私の感知させたのはカイトのスマホの位置情報、本人自身を空間座標で調べてみるわ」
エリカは、目を閉じ集中させる。
両手を前に出しこのコミュニケーションセンター周辺を立体的想像させる。

「ーーカイトはここにはいないわ。いえ、正確に言うとこの空間には存在してないわ」

「どう言うこと?カイトは一体どこに?」

「ーー鏡の世界」
千夏が小声で呟いた。

「千夏の言うとおりかも。ここではない空間にいる可能性があるわ。カイトのスマホの位置情報は確かにここあるもの」

「僕たちだけではこの問題は解決出来そうにないな。やはり中央に相談してみるか」

「カイト・・・」

柊は、位置情報に確認されたいるはずのない場所をいつまでも見つめていた。


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160/? ( 19 )

茶髪のセミロング
前髪を流してピン留めで止めてる。

適性ランクB 
能力( 空間座標能力 ロケーション)

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