れいぶる~自宅警備隊~

望月まーゆノベルバ引退

仮・第十二支部小部隊

メモ08第十二支部小隊

「ーー集まったのはこれだけか?」

僕の呼びかけで集まってくれた第十二支部の自宅警備員は目の前にいる。

「ーーあなたがあの神崎カケルさん?」

「あっ、どうも本日は僕の呼びかけに応じて集まってくださりありがとうございます。僕が、この第十二支部の一応リーダーという事になりました、神崎カケルです。宜しくお願いします」

僕は、自己紹介し頭を下げた。
人前で話して自己紹介するなんていつ以来だろう。
やはり、緊張する。ーーってより人前で話すのは抵抗がある。


・・・・・・

あれ?

以上みたいな感じの雰囲気が流れている。
僕が、司会進行しなきゃならない感じがめっちゃ流れている。

「ーーせっかくなので一人ずつ順番に自己紹介お願い出来ますか?」

僕の目の前に居た男性から順番に自己紹介をお願いするようにどうぞと手を添えた。

「柊 楓です。宜しくです」

・・・・・一同コクリっと頷いてまわりに聞こえるか聞こえないか位の小声で宜しくと言っていた。

「エリカです。宜しく」

「響 カイトです。宜しお願いします」

「はーーちなーーよろーー」

はちなよろ?
最後の女の子は何と言っていたのか聴き取れねえ。
仕方なく腕時計型のモニターでデータで確認する。
『速水 千夏』さんだ。
今回集まってくれたのは以上のたった四名だった。

それでも集まってくれただけありがい。
もし自分が集まってくれと言われたら素直に従って集まるかと言えばそれは勿論NOだ。
絶対に来ないだろう。
そう考えるとここに来てくれた四人には感謝以外の言葉は思いつかない。

「今日は、本当に集まってくれてありがとうございます。誰も来てくれないんじゃないかと不安でした。あまり時間をとらせても、申し訳ないので今回の緊急ミッションについて説明させていただきます」

僕は、これまでの失踪事件の経緯、自宅警備員中央本部に召集されて行われた会議の内容、個人行動から小隊規模での任務変更など細かに説明した。

四人は、しっかりと話を聞いてくれていた。
エリカと言う女の子は小隊規模での任務と聞いて明らさまに嫌そうな顔をしていた。

「ーー以上になります。何か質問などありますか?」
エリカが真っ先に手を挙げた。
( やっぱりな・・・)

「小隊規模?とか無理なんですけどーー」
( だよね )

「ーーさっきも言ったとおり一人行動だと万が一、事件に巻き込まれた時に」
「私、大丈夫なんで。それに自宅警備員とかもう参加したいんで。 じゃあ」
( 早っ! もう一人離脱・・・)

エリカはこちらに背中を向け去っていた。

・・・本当に?
目を疑いたくなる光景だったーー

直ぐさままわりを見渡すと他のメンバーも気まずい様な雰囲気が流れて今にも僕も、私もと言い出しそうな感じだった。
( マズイな・・・何か言わないと・・・こんな時なんて言えば)

去って行くエリカの後ろ姿に再び目をやった瞬間、僕は息を止めたーー

第十二支部コミュニケーションセンターの入り口前で僕たちは集まって話をしていた。
エリカは、そのまま僕らに背を向け正面の入り口前に向かって歩いている。

その正面はT字路になっている為、正面には車などが左右確認するためのカーブミラー(道路反射鏡)が立っている。
そのカーブミラーから歪みが発生しているーー

歪みーーカーブミラーが液体状のように波紋が広がりそこから何者かの手のような物が出てきていた。

( 何が起きてる? )

余りのショッキングな出来事に声を出すのも忘れている。

他の人は気づいているのか?
エリカは気づいてないのか?

僕は、パニックになりかけていた。

ーーその時、

女性の悲鳴で我に返った。

エリカの悲鳴だったーー

彼女の目の前に今まで見たことのない姿の人間なのか何なのかわからない人物が立っていた。

「エリカ! みんなチェンジだ。急げ!」

僕は、すぐにチェンジしエリカの元に駆けつけた。

しかしーー他のメンバーはその場に呆然と立ち尽くしていた。

「大丈夫か?下がってて」
エリカは頷き僕の背後に隠れた。

目の前にいる人物は、間違いなくカーブミラーから現れた。

ローブを頭からスッポリ被っていて顔は分からない。
明らかに精気を感じられない。
例えるなら幽霊とかそちらに近い感じがする。

僕は、ゆっくりと距離を取るようにエリカと後退りする。

( 隙を伺ってレイブルを発動させる )

ローブを被った人物はその場に立ったまま動かないで直立不動のままだ。

よし! 今だーー

「チルドレンコード零ーー」

一瞬だったーー

直立不動だった人物から発射された一撃は僕のこめかみを掠めてコミュニケーションセンターの壁を破壊した。

ノーモーションの演唱無しで明らかに普通のハンドガンの威力ではなかった。
術式を帯びた銃での一撃だ。

術を練りこんである迷彩服でもコレを喰らえば致命傷は避けられないだろう。

「ーーくっ、エリカチェンジしておけ今の見ただろ?一撃でも喰らえば死ぬぞ」
「わかったわ・・・」

エリカは言われるとすぐチェンジした。

「お前たちもチェンジしておくんだ!誰がターゲットか分からない。防御障壁を使えるなら貼っておくんだ」

他のメンバーも先ほど一撃を見て全員がチェンジしおろおろしている。

「あんた、ランクAなんでしょ。何とかしなさいよお」
背中をポンポン叩きながら騒ぎ出すエリカ。

「ーー分かってるよ。裏コードを使いたいんだけどさっきのノーモーションの一撃を出されると厄介なんだよ」

ローブの人物はその場から動かずじっとこちらの行動を伺っているようだ。

「エリカ、防御障壁は貼れるか?」
「・・・一応、練習はして何回かはやってみたけどまだ実戦は」
少ししょんぼりした表情を見せた。
「頼む。僕にコードを使う時間を作ってほしい。防御障壁を貼ってくれ」
( 僕の読みが正しければヤツは動き、もしくは魔導感知してカウンターを狙っている )
「分かったわ。ぼうぎょーーっわ」

僕はエリカを抱き抱えながら相手の攻撃を回避した。

「エリカ、続けて防御障壁を、早く!」
「うん」

ローブの人物は再び攻撃を仕掛けてきた。

「ーーしまった」
余りの速さに回避しきれず直撃かと思ったが、
「間に合ったわよ。防御障壁」
エリカは得意そうに話す。
「ーー助かったよ」
僕はホッと胸をなでおろした。
「いつまで私を抱いてる気?」
「うわっ、ごめん」
「多分、次で壊れるわよ。私の障壁なんてこんなモノよ」

「十分だ!チルドレンコード零【レイブル】発動」
僕がチルドレンコードを使ってる瞬間にまた一撃が襲った。

予想通り防御障壁はガラスが割れるように砕け散ったーー

「キャッ、やっぱり砕けたわよ」
エリカは、膝を抱えしゃがみ込む。

「エリカ、助かったよ。こっからはこっちの反撃だ」

エリカが見上げたカケルは先ほどとは違い自信に満ち溢れた別人のような姿だった。

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