停導士の引き籠もり譚

山田 武

増えたスキルを視てみよう



 翌日目を覚ますと、今まで以上に体が軽く感じられる。

「……す、ステータス」

 音声認識でステータスを表示させ、その原因を探ってみる……すると答えは、直ぐに見つかった――


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ステータス
名前:イム・トショク (男) 
種族:異世界人Lv3 職業:【停導士】Lv2

状態異常:催眠

 HP:230/130 
 MP:230/130 
 AP:230/130 

 ATK:60 
 DEF:61 
 AGI:60 
 DEX:60 
 INT:62 
 MIN:61 
 LUC:0

通常スキル
(言語理解)(鑑定)

New
(精神魔法)(儀式魔法)(魔法知識:制限)(回眠)
(限界突破)

唯一スキル
【停導士】
\(催眠魔法)(過剰睡眠)(意識遮断)(解析夢)〔+(龍躯強化)(付与魔法)(神聖武具術)〕

祝福
(地球神の加護)

New
(睡眠神の加護)

称号
『召喚されし異界の魂』『限界を超えし者』
『【■■】に選ばれし候補者』『眠り王子』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 気絶した結果……俺は、幾つかのスキルを手に入れた。

 (精神魔法)はあの儀式魔法を個人で行えるようにアレンジしたもの。

 (儀式魔法)は自分の持つ魔法全てを強化する為の魔法だった。
 色々と準備が必要そうだが、それでも強化にそそられる……。

 (魔法知識:制限)は魔法に関する色々な知識がダウンロードできるスキルだった。
 制限があるので見れない部分もあるが、今までに存在した魔法の名前ぐらいなら、その状態でも判明した。
 習得方法も分かったのだが、面倒な方法ばかりだった……どうしよっかな~。

 (限界突破)も使ったからか習得できたな。
 (解析夢)でコピーしたスキルは、自分で習得することができる。
 称号も同時に使ったから、取り易かったのかな?

 (龍躯強化)――それが体が軽い正体だ。
 限界を超えた(解析夢)の効果でコピーしたこのスキルは、龍が持っていたスキルだ。

 APを消費すると3倍、しなくても1.2倍能力値が強化されるとのことだ……破格だろ?

 あと(付与魔法)、これはクラスメイトの誰かが持っていたスキルである。
 リストを確認する中で、今の俺が欲しいと思ったスキルだ。 
 ……エンチャント武具、カッコよくね?

 ついでに(神聖武具術)もコピーしたぞ。
 別に勇者を目指しているワケじゃ無いが、武器に神聖属性を与える効果付きだったからついやってしまった。
 神聖属性は魔物への特攻効果があるとのことなので、取って困ることは無いだろう。

 それと何故か、眠りの神様から加護を貰えましたよ。
 それによって、(回眠)を入手できた。
 (回眠)は眠っている間のHP/MP/APの回復速度を向上させるスキルのようだ。
 『眠り王子』の効果もあるし、かなり効果は良いものになるだろうな。

「……そろそろ動くか」

 軽くなってもそれでも、動くことが面倒なことは変わらない。
 グダグダと悩みながら、着替えや仕度をして、部屋から出る。

「……楽しいこと、なんか無いかな~」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


訓練場


「いいか、お前達は魔物の恐ろしさを知った筈だ。異世界人は確かに私達より強くなれる可能性を秘めている。だがそれでも、敵わない敵も沢山いる。
 ――強くなれ! それが、お前達の意志を貫く唯一の手段だ!!」

『はいっ!!』

 ……全然意味が分からない。
 何を言ってるのだろうか。
 あれか、飴と鞭か?
 ヒ……ヒルオが死んだ(笑)ことが鞭で、強くなって生き残ることが飴?
 どっちにしても鞭じゃねぇか。

 それにしてもクラスメイト、全員精神誘導されているんだな。
 全員が今のセリフでやる気になるなんて、普通ありえないだろう。

「――では、ここにある武器の中から自分に合うものを選んでくれ。全部殺傷力を無くす魔法を付与してあるから、危険は無いぞ」

 (鑑定)――ふむ、確かに(殺傷不可)という効果が付与されているな。
 ……おまけに(耐性弱体化)も。
 一度鑑定したもの、または手に触れたものは、メニューからアクセスできるアイテムカタログから閲覧することができる。

 そこに記された武具には、必ずと言って良い程に(耐性弱体化)の効果が付与されていると書かれてた(普通の(鑑定)では視ることができなかった。メニューを開ける奴か、俺以上の(鑑定)の持ち主が気付けるんだろうな)。

 ……でも、どうするかな~。
 このままだと弱体化されちまうし、それは嫌だな~。
 便利な魔法でもあれば……あっ。

「そういや、あったな。……(魔法知識)」

 発動させると、頭の中で"ヤッホー"の検索画面的なものが浮かぶ。
 ……俺のイメージの所為なのか?
 前に使った時もそう思ったが。

「えっと~、何か無いかな~……おっ、あったあった」

 とりあえず対策は見つけた。

◆◇◆◇◆

 俺が対策を練っている間に、俺以外の奴は武器を選んでいた。剣や槍、鞭や棍棒……やる気満々だなー。

「どうしたんだ、イム。お前も早く武器を選びたまえ」

「あ、はーい」

 ……対策は浮かんだし、真面目に武器を選ぶかな?
 前は全員剣を使わされたけど、まだまだ沢山の武器が揃っている。

 う~ん………………。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品