異世界召喚された俺は、チャットアプリを求めた

山田 武

スレ02 ステータス(偽)



「こ、ここは……」

 再び意識を取り戻した俺の視界では、地球の服装をした複数の人達が、中世風の偉そうな格好をした男と話し合う光景だった。

 その周りにも、鎧を着こんだ騎士っぽい人達が敷いてある絨毯の線に沿って並んでいたり、杖やローブを装備した怪しそうな格好をした人がいたり……と、ファンタジー感満載な状態がそこにはあった。

「あ、最後の人が目を覚ましたみたいだよ」

 俺が立ち上がると、俺側で会話をして男女中の一人が俺に気付いて周りに知らせた。

「……どうやら全員目が覚めたようだな。それでは、勇者様方にもう一度説明をいたしましょう」

 椅子に座った偉そうな格好をした人(多分王様)が、俺達の方を見ながらそう言ってきた。


説明中
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 大体は女神様に聞いた通りだった。
 初耳だったのは、魔王が送還の魔法を知っているという部分くらいだったな。
 あ、それとこの国の名前がアインだということだ。

「勇者様方の力を視させて貰いたいので、どうかこの水晶に手を乗せてください」

 説明が終わった王様(本当にそうだった)がそう言うと、兵士が大きな水晶を五人掛かりで運んできた。

「この水晶は"開示の水晶"と言って、鑑定をLvMAXで行ってくれる魔道具なのだ」

 便利なものもあるんだな~。
 あとで強奪のスキル持ちが、奪わなければ良いけど。

 スキルにもLvがある……今の説明で良く分かったな。
 LvMAXか~、それなら強奪のスキルも特定できる。

「ではユウト殿から、水晶に手を」

「はい」

 そう言って水晶に手を乗せたのは、高校生ぐらいの少年だ。
 付け加えることがあるとすれば……周りで彼を見ている女の中に、彼に熱い視線を向けている者がいるということぐらいだな。
 ……チッ、リア充が!

「こう……ですか?」

 彼がそうやって掌を水晶に当てると、水晶が光り……文字が水晶に浮かび上がる――。


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ステータス
名前:ユウト・クルス (男) 
種族:異世界人Lv1 職業:【勇者】Lv1

 HP:1000/1000
 MP:1000/1000 
 AP:1000/1000

 ATK:100
 DEF:100
 AGI:100
 DEX:100
 INT:100
 MIN:100
 LUC:100

通常スキル
(言語理解)(鑑定)(解析)(無詠唱)(魔力操作)
(武術適性)(魔法適性)(聖武具術)(神聖魔法)
(属性適性・全)(属性耐性・全)
(魔力回復・極)(限界突破)

固有スキル
【勇者】

祝福
(創造神の祝福)(地球神の祝福)

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『オォー!!』

 ――どうやらいきなり彼らが求めていた人材が見つかったようだ。

 (――・極)だか(無詠唱)だか……チートっぽいヤツばっかりだな。

「さすがは【勇者】だ。創造神様からの祝福も頂いており、能力値も最初からこの数字。素晴らしいですぞ、ユウト殿」

「は、はぁ……ありがとうございます」

「うむ。……では、次の方」

「はーい、次は私がやるよ」


 今度は彼を見ていた女の子が、水晶に手を当てる――


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ステータス
名前:アヤ・ミウラ (女) 
種族:異世界人Lv1 職業:【聖女】Lv1

 HP:500/500
 MP:1000/1000 
 AP:300/300

 ATK:10
 DEF:10
 AGI:10
 DEX:10
 INT:100
 MIN:100
 LUC:90

通常スキル
(言語理解)(鑑定)(魔力操作)(回復魔法)
(魔法適性・神聖)(魔力回復・極)(魔力感知)

固有スキル
【聖女】

祝福
(生命神の祝福)(地球神の加護)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『オォー!!』

 同じ反応しかできないのだろうか。
 さすがに同じ反応は飽きるぞ。


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 それからも、一人一人水晶に掌を押してステータスを開示していった。
 結局、強奪系のスキル持ちはこの場に出てこなかった。
 恐らく、隠蔽スキルも神様に願ったんだろうな……羨ましい。

「では、最後に……」

「は、はい。あ、朝政です」

「……朝政殿、手を」

 何度も見て来たから分かるぞ。
 ヒンヤリとした感触を右手で感じながら、ステータスの表示を待っていると……遂に、俺のステータスが現れた――。


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ステータス
名前:アサマサ・ワタリ (男) 
種族:異世界人Lv1 職業:【■■使い】Lv1

 HP:100/100
 MP:100/100 
 AP:100/100

 ATK:10
 DEF:10
 AGI:10
 DEX:10
 INT:10
 MIN:10
 LUC:0

通常スキル
(言語理解)(鑑定)

固有
【■■使い】

祝福
(地球神の加護)

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『…………』

 あ、あれ~?
 お、俺にも『ウォー!』とか言ってくれないのか?


「……国王様、この者の隠されたスキル、もしやあのスキルでは」

「……まだ決まったワケでは無い」

「し、しかし! 早く決断しなければ!」

「こ、これ! 本人の前でその話をするのではない!」

 ……お、おい。何だよその反応。

「と、とりあえず勇者様方。今日はゆっくりと休んでください」

「え? は、はい」

 最初に鑑定を受けたユウトがそう答えた。
 その場にいたメイドの指示に従い、今日の寝床へと俺達は向かって行った。


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 その頃、あるチャットアプリでは、こんなトークが繰り広げられていた。


ハルカ:朝政さんに掛けておいた保険が働きました
ステータスの偽装はバッチリです

ナツキ:本当に発動したんだか

アキ:賢者様、どんな風に偽装したんだ?
ものによっちゃあ、朝政がいきなり処刑√に逝っちまうんだが

ハルカ:えっと~、確かこんな感じです
後、聖女さんは黙っていてください
(表示される朝政のステータス)

フユツグ:おいおい賢者様。
アイツを傷付けたいのか?
こんな最弱成り上がり主人公のスキルリスト見せたら、苛められちまうだろう

ナツキ:何やってんのよ賢者様
それにこの職業の隠し方、【奴隷使い】みたいに見えちゃうじゃないの

ハルカ:し、仕方が無いじゃないですか
朝政さんの職業、【神器使い】だったんですから

アキ:朝政も朝政で何やってんだよ
いきなりその職業って、勇者でも無理だろう

フユツグ:元勇者がそれを言うと、めっちゃ実感があるよな

ハルカ:それに朝政さん
あのスキル以外は特典スキル以外何も持ってなかったんですよ
能力値もそのままです、変えてませんよ

ナツキ:なら、本当のステータスはどんな感じなのよ

ハルカ:こんな感じですよ


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ステータス
名前:アサマサ・ワタリ (男) 
種族:異世界人Lv1 職業:【神器使い】Lv1

状態異常: :絶対不変:

 HP:100/100
 MP:100/100 
 AP:100/100

 ATK:10
 DEF:10
 AGI:10
 DEX:10
 INT:10
 MIN:10
 LUC:0

通常スキル
(言語理解)(鑑定)

固有
【神器使い】:絶対不変:

祝福
(地球神の加護)
(異世界勇者の慈愛)(覇道魔王の慈愛)

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アキ:聞いてはいたが……やっぱり朝政の親父さんとお袋さんは凄いな
ステータスは異世界に行ってもやっぱり変わらないか……姉妹達が全部盗っちまったから

フユツグ:だけど、絶対不変の階級が変わってるじゃねぇか
それがどんな変化になるんだか

ナツキ:……変わらないスキルが変わる筈ないじゃない
本当だったのね、賢者様

ハルカ:だから言ったじゃないですか

フユツグ:そういや他の奴には連絡したか?

アキ:朝政の家族には伝えた
未来予知のスキルを持って人にわざわざ連絡する必要も無かったが一応な
魔技師や龍王、獣王にも伝えておいた

ナツキ:私は大商人とクソ淫魔ね

ハルカ:私は暗殺者と侍です

フユツグ:そうなると……というか、朝政の交友関係広すぎだろ!

アキ:仕方無いじゃないか、日本人は召喚され易いんだから
ソイツらを覚えていられるのが朝政だけ、ならそいつらが何かを相談する時には、朝政しかいないに決まってんだろ

フユツグ:ハァ、アイツが一番の主人公だろ


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