記憶共有的異世界物語
第75話:禁忌の書の所有者
重役な神々が揃うこの場所で、僕は何とも言えないアウェイ感を感じていた。
そりゃそうだろう。
そもそもヴァレン家の卓の時点で相当アウェイだと言うに....。
まぁしかし僕が望んだことだ。
あれやこれや文句を言っていても始まらない。
ファティマス。インティート。ネッティブ。そしてパッセ。
4人の重役についている神を見て、僕は無性に【ワクワク】していた。
ミレイ・ノルヴァやマヨイ・ヴァレンには劣るものの、皆凄まじい【オーラ】のようなモノを放っている。
「わかってるよ」
僕がそう言うと、パッセは少し下に俯いて、数秒考える動作を取った。
「貴方のその人間離れした能力はその傲慢さから来てるのかしら?」
突然の大人びた話し方にうろたえた。
さっきまでのあのキャラクターは演技だったのだろうか?
「僕が傲慢?」
「そりゃそうでしょ!誰がどう見たって貴方のそれは傲慢よ」
あ、良かった。さっきのキャラに戻った。
どうやら演技でやっていた訳ではないらしい。
この理論立てもクソもない話し方は子供のそれだった。
「あ~それは私も思ってたわ」
ミレイ・ノルヴァが付け足すように口を入れた。
「そんなに?」
「「「そんなに」」」
マヨイ・ヴァレンまでもが口を揃えて言った。
かなり前から和解しているんじゃないかと思える程に息ピッタリな清々しいまでの否定だった。
「大体アンタ人間でしょ?もうちょっと謙遜した態度取りなさいよ!」
あぁ、傲慢ってそう言う。
「じゃぁ何だ?僕は『あぁ神よ!』とかやるべきなのか?」
「やめて気持ち悪い」
「えー」
そんな不毛で理不尽なやり取りが繰り返される中。
話においてけぼりにされているインティートがどこか不服そうな顔をしている。
「あ、そうだ。キミって確か【エルフの禁忌の書】探してるんだったよね?」
インティートが話を逸らすかの様に新たな話題を振ってきた。
「お、おう....」
「その事なんだけど。エルフの禁忌の書今どこにあるか知ってる?」
「知らないから探してるんだけどな」
「だろうね。僕でよければ教えようか?」
インティートはマヨイとアイコンタクトを取って発言の許可をもらっていた。
エルフの禁忌の書さえ見つかれば僕等は大きく進展できる。
僕はただ静かにコクリと頷いた。
「シュンだよ」
インティートのその発言は至って普通だった。
これ以上ないほどに、ただ当たり前の話をするかのように、至って普通にそう言った。
しかし僕の耳はそうは捉えてくれなかった。
シュン....この単語の冷たさと重みと言ったらもうない。
体中が一瞬で凍らされる。
名前だけでここまでなるものかと思うレベルで背筋が凍った。
「エルフの禁忌の書は今現在彼が保有してる。なんの意図があってそうしてるのかはサッパリだけどね」
「じ、じゃぁ僕等が禁忌の書を手に入れるとすると....」
「シュンと戦う事になるだろうね」
凍った背筋にひびが入る気分だ。
もうたまったものじゃない。
シュン....一体何者何だ。
僕がシュンの存在を認識してからと言うもの、僕は彼に振り回されっぱなしだ。
神でさえ振り回されているんだ。
僕ごとき人間に何ができる....。
「そうやって分家から攻めようとするのやめてもらえるかしら?」
ミレイ・ノルヴァが腕を組んでそう言った。
ヴァレン家の神々はニヤニヤと笑っていた。
どうやら僕は弄ばれた様だ。
マヨイ・ヴァレンのニヤケ面がミレイ・ノルヴァをじっと見つめる
「まぁでも貴方も乗り気ではあるんでしょう?」
「当然。一体貴方達にどれほど振り回されたと思って」
「それがイマイチ分かんないんだよなぁ....ノルヴァ家ってヴァレン家に何されたの?」
前々から気になってはいたのだ。
護衛の神々が大量に殺されたとかなんとか....。
「え~別にコレと言って目立ったことはなんにも~☆」
マヨイ・ヴァレンがとぼけたように言う。
「はい~?うちの護衛殺しまくった挙句勝手に俊介達の憑依現象ストップさせたのはどこのどなたでしたっけ~?」
ミレイ・ノルヴァの引きつった笑顔と共に、今の発言に僕が理解できてない項目が混ざっていた事に困惑する。
「待って、今なんて?僕たちの憑依をストップさせた?」
「えぇ。本来憑依現象はもう少し続くはずだったの。じゃないとバランスが取れなくて死亡率が上がるからね....。なのにこの人たちがそれを無理やり止めたもんだから俊介達の死亡率がグーンと上がっちゃったって訳」
「それに馬場さんだっけ?を殺したのもヴァレン家な訳で....」
そういえばそうだ。
「殺した繋がりで行けばミレイだってナエラ見殺しにしてたじゃないか」
僕がそう言うと、物凄い殺意のこもった眼差しでマヨイ・ノルヴァが睨んできた。
「あの時はもう憑依が止められてたから、あそこで私が何したところで彼女は死んでたわ。それこそ阻止しようとすればするほどに彼女の死に方は酷になっていったのよ?」
この話は前に奈恵から聞いた。
やはりそうなのだろう。
彼女の言ってた事は正しいし、ミレイ・ノルヴァの見殺しは不本意だったと言う話だ。
「今更感半端ないけど、よくこれ程色々されて和解に応じられるね。ノルヴァ家の懐の深さに感謝なさい」
パッセがそう言うのだが、その見た目のせいでどうも貫禄に欠ける。
━…━…━…━…
この後も取り留めのない雑談が数分ほど続き、ノルヴァ家とヴァレン家は無事和解した。
ヴァレン家はノルヴァ家を守り、ノルヴァ家はヴァレン家の目的の【手助け】をする事になった。
【シュン】を消す。
【殺す】のではなく【消す】のだ。
僕等もシュンを探さないと行けない。
だからこそこの和解は僕達にとっても有意義な話った。
あぁ....【卓】に来て良かった。
そりゃそうだろう。
そもそもヴァレン家の卓の時点で相当アウェイだと言うに....。
まぁしかし僕が望んだことだ。
あれやこれや文句を言っていても始まらない。
ファティマス。インティート。ネッティブ。そしてパッセ。
4人の重役についている神を見て、僕は無性に【ワクワク】していた。
ミレイ・ノルヴァやマヨイ・ヴァレンには劣るものの、皆凄まじい【オーラ】のようなモノを放っている。
「わかってるよ」
僕がそう言うと、パッセは少し下に俯いて、数秒考える動作を取った。
「貴方のその人間離れした能力はその傲慢さから来てるのかしら?」
突然の大人びた話し方にうろたえた。
さっきまでのあのキャラクターは演技だったのだろうか?
「僕が傲慢?」
「そりゃそうでしょ!誰がどう見たって貴方のそれは傲慢よ」
あ、良かった。さっきのキャラに戻った。
どうやら演技でやっていた訳ではないらしい。
この理論立てもクソもない話し方は子供のそれだった。
「あ~それは私も思ってたわ」
ミレイ・ノルヴァが付け足すように口を入れた。
「そんなに?」
「「「そんなに」」」
マヨイ・ヴァレンまでもが口を揃えて言った。
かなり前から和解しているんじゃないかと思える程に息ピッタリな清々しいまでの否定だった。
「大体アンタ人間でしょ?もうちょっと謙遜した態度取りなさいよ!」
あぁ、傲慢ってそう言う。
「じゃぁ何だ?僕は『あぁ神よ!』とかやるべきなのか?」
「やめて気持ち悪い」
「えー」
そんな不毛で理不尽なやり取りが繰り返される中。
話においてけぼりにされているインティートがどこか不服そうな顔をしている。
「あ、そうだ。キミって確か【エルフの禁忌の書】探してるんだったよね?」
インティートが話を逸らすかの様に新たな話題を振ってきた。
「お、おう....」
「その事なんだけど。エルフの禁忌の書今どこにあるか知ってる?」
「知らないから探してるんだけどな」
「だろうね。僕でよければ教えようか?」
インティートはマヨイとアイコンタクトを取って発言の許可をもらっていた。
エルフの禁忌の書さえ見つかれば僕等は大きく進展できる。
僕はただ静かにコクリと頷いた。
「シュンだよ」
インティートのその発言は至って普通だった。
これ以上ないほどに、ただ当たり前の話をするかのように、至って普通にそう言った。
しかし僕の耳はそうは捉えてくれなかった。
シュン....この単語の冷たさと重みと言ったらもうない。
体中が一瞬で凍らされる。
名前だけでここまでなるものかと思うレベルで背筋が凍った。
「エルフの禁忌の書は今現在彼が保有してる。なんの意図があってそうしてるのかはサッパリだけどね」
「じ、じゃぁ僕等が禁忌の書を手に入れるとすると....」
「シュンと戦う事になるだろうね」
凍った背筋にひびが入る気分だ。
もうたまったものじゃない。
シュン....一体何者何だ。
僕がシュンの存在を認識してからと言うもの、僕は彼に振り回されっぱなしだ。
神でさえ振り回されているんだ。
僕ごとき人間に何ができる....。
「そうやって分家から攻めようとするのやめてもらえるかしら?」
ミレイ・ノルヴァが腕を組んでそう言った。
ヴァレン家の神々はニヤニヤと笑っていた。
どうやら僕は弄ばれた様だ。
マヨイ・ヴァレンのニヤケ面がミレイ・ノルヴァをじっと見つめる
「まぁでも貴方も乗り気ではあるんでしょう?」
「当然。一体貴方達にどれほど振り回されたと思って」
「それがイマイチ分かんないんだよなぁ....ノルヴァ家ってヴァレン家に何されたの?」
前々から気になってはいたのだ。
護衛の神々が大量に殺されたとかなんとか....。
「え~別にコレと言って目立ったことはなんにも~☆」
マヨイ・ヴァレンがとぼけたように言う。
「はい~?うちの護衛殺しまくった挙句勝手に俊介達の憑依現象ストップさせたのはどこのどなたでしたっけ~?」
ミレイ・ノルヴァの引きつった笑顔と共に、今の発言に僕が理解できてない項目が混ざっていた事に困惑する。
「待って、今なんて?僕たちの憑依をストップさせた?」
「えぇ。本来憑依現象はもう少し続くはずだったの。じゃないとバランスが取れなくて死亡率が上がるからね....。なのにこの人たちがそれを無理やり止めたもんだから俊介達の死亡率がグーンと上がっちゃったって訳」
「それに馬場さんだっけ?を殺したのもヴァレン家な訳で....」
そういえばそうだ。
「殺した繋がりで行けばミレイだってナエラ見殺しにしてたじゃないか」
僕がそう言うと、物凄い殺意のこもった眼差しでマヨイ・ノルヴァが睨んできた。
「あの時はもう憑依が止められてたから、あそこで私が何したところで彼女は死んでたわ。それこそ阻止しようとすればするほどに彼女の死に方は酷になっていったのよ?」
この話は前に奈恵から聞いた。
やはりそうなのだろう。
彼女の言ってた事は正しいし、ミレイ・ノルヴァの見殺しは不本意だったと言う話だ。
「今更感半端ないけど、よくこれ程色々されて和解に応じられるね。ノルヴァ家の懐の深さに感謝なさい」
パッセがそう言うのだが、その見た目のせいでどうも貫禄に欠ける。
━…━…━…━…
この後も取り留めのない雑談が数分ほど続き、ノルヴァ家とヴァレン家は無事和解した。
ヴァレン家はノルヴァ家を守り、ノルヴァ家はヴァレン家の目的の【手助け】をする事になった。
【シュン】を消す。
【殺す】のではなく【消す】のだ。
僕等もシュンを探さないと行けない。
だからこそこの和解は僕達にとっても有意義な話った。
あぁ....【卓】に来て良かった。
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