記憶共有的異世界物語
第74話:卓の向こう側
アヌィバはこちらを睨むな否や目にも止まらぬ速さで突進してきた。
メグロが彼女の腕を抑えた。
腕を後ろに組ませ地面に叩きつける。
痛そうとしか言いようがなかったが、ここに来て彼女も諦めた様だった。
「やっぱ卓に乗り込むのは無理だったか....」
そう吐き台詞を吐き捨てた彼女の目はどこかで見たような悲しい目で、僕はその目に異常なまでの【既視感】を覚えていた。
これで何度目だ。
悲しい目を見るとどこか既視感を感じるが、それが何だったかはちっとも分からない。
ヴァレン家の神々アヌィバに手をかざすと、アヌィバはその場から消滅した。
メグロはどこか満足げな顔をしていたが、傍から見ると襲ってきた女性を一方的に返り討ちにした挙句抑え付けると言った。軽く事案な空間が生まれていたのだが、まぁ本人が満足そうで何よりだ。
<a href="//19508.mitemin.net/i260517/" target="_blank"><img src="//19508.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i260517/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
僕が口をガッポリ開けていると、ライリーが補足してくれた。
「移動させただけよ」
よかった...ちょっとばかし安心した。
しかし神同士の戦いが、物理攻撃がメインだった事実に驚きを隠せない。
もっとこう....【能力バトル】的なものを期待していた自分にとって、なんと言うか【スカ】に近いものがそこにあった。
━…━…━…━…━…━…
彼女の追放後、卓には再び楽しげな雰囲気が戻った。
ミレイ・ノルヴァ曰くコレが毎回というのだから、もう慣れっこなのだろう。
アヌィバの登場が無かったことにされてるレベルで楽しそうにしている。
ハァ....と溜息を付きながら回転椅子に腰掛けた。
「お、どうした。随分乗らない顔してるじゃないか」
「何か嫌なことでもあった?」
話しかけてきたのはひと組の若い男女だった。
いや、見た目が若く見えるだけで人間基準で行けば【ご年配】に当たるのだろうが....。
まぁ見た目が若い2人の神に声をかけられた。
「私はクライシス・ヴァレン。【遺失物を司る女神】」
「んで隣のコイツが」
「ライド・ヴァレンだ。【掘り出し物を司る神】をやってる」
随分仲の良さそうな神に会ったものだ。
2人の神は司っているものが対極なのにも関わらずとても息が合っている。
ただ司るものを聞いても、イマイチ能力やその仕事がピンと来ないのが難点だが...。
「僕は俊介...自己紹介の必要ってある?」
「ないな」
「ないね」
「なら早くていいや。いや、ヴァレン家の人間と顔を合わせる為にこの卓に来たのは良いけど、なんだかうまいこと話しかけられなくてな」
この2人の神は顔を見合わせて、笑顔で頷きこっちを見た。
「じゃぁアソコに行ってみるといいさ」
「きっとアナタが会いたいと思える神に会えると思うわ」
クライシスとライドはとある部屋を指さした。
その部屋は無駄に高級そうな吸音素材で出来た扉で塞がれており、入るのをどこか躊躇うようなデザインをしていた。
「ありがとう」
そう言って僕はそのドアの前まで来た。
ドアをノックしてもボフッって音しか鳴らなそうだったので、もう思い切って開けることにした。
中にはマヨイ・ノルヴァ、ニーナ。マヨイ・ヴァレンと重要な神々が集まっていたのだが、他にも数人の神がそこに居た。
「あら俊介。顔合わせはもういいの?」
「あ、あぁ」
正直まだ足りてない気もするが、でもこっちの方が圧倒的に有益そうだ。
「なら丁度良かった。貴方が顔合わせを終え次第、この部屋に呼ぼうと思ってたの」
ミレイ・ノルヴァが手を振ると椅子が一人でに動き出した。
あれに座れという事なのだろうか?
僕がその椅子に座ると、その椅子は一人でに引かれ、椅子と腹が絞められ少しばかしキツかった。
「さぁ、話を戻しましょうか。ノルヴァ家との和解の話...」
マヨイ・ヴァレンがいつにもなく真面目そうな顔をしていた。
「待て待て、先に俊介に俺らのこと紹介してやれよ」
「あぁそうだった☆。」
無理やりテンションを上げたような喋り方になったマヨイ・ヴァレンに違和感を感じた。
「はい。ヴァレン家の重役な神々デース♪」
「雑すぎるだろがい!」
一体いつの時代のコメディだよとツッコミたくなるようなコメディが目の前で展開されてる中。
最初この部屋に入った時のクソ重い空気が和んでいる事に気付いた。
「俺はファティマス・ヴァレン。【暴力】を司る神」
随分物騒な名前が出てきたな...と思うのと同時に、あることに気付いた。
「私はインティート・ヴァレン。【知性】を司る女神」
「ぼ、ぼくはネッティブ・ヴァレン。【陰湿】を司る....神.....です」
随分弱気な神が出てきたなと思ったが、やはりそうだ。
ここにいる神々は、司ってるモノがどこか【抽象的】だ。
司っているモノが抽象的という事はより【概念的】で有るという事に繋がる。
とするとやはりここにいる神々は【強者】....なのだろうか?
一人物凄く弱そうな神が居るけど....。
「ちょっと!。周りみんな挨拶しといて自分だけ挨拶ナシな訳ェ?」
どこからか声がした。
その声の方向が最初分からなかったのだが、よく見るとその声のしたであろう方向に頭が見えた。
どうやらまだ一人神が居たようだ。
「い、いや。君もまだ自分の事」
「屁理屈言わない!」
「ご、ごめんなさい」
なんというか頭だけで喋られるから、とても【シュール】だ。
「ねぇミレイ!もうこの椅子ヤダ!もう少し高くしてよ!」
心なしかミレイ・ノルヴァがニヤニヤしている。
なる程。わざとか。
ミレイ・ノルヴァが手をハラリと宙に舞わせると、椅子の高さは見る見るうちに上がっていた。
三つ編みのツインテール。
グリシアもどこか幼児体型だったが、それと同じかそれ以上にこの神も幼児体型だった。
「ゴホン....私はパッセ・ノルヴァ。【経過】を司る女神よ!」
「こ、こう見えてもあんたよりずっと年上なんだからね!」
いや....知ってるよ。
この女神は何と張り合ってるのだろうか...?
メグロが彼女の腕を抑えた。
腕を後ろに組ませ地面に叩きつける。
痛そうとしか言いようがなかったが、ここに来て彼女も諦めた様だった。
「やっぱ卓に乗り込むのは無理だったか....」
そう吐き台詞を吐き捨てた彼女の目はどこかで見たような悲しい目で、僕はその目に異常なまでの【既視感】を覚えていた。
これで何度目だ。
悲しい目を見るとどこか既視感を感じるが、それが何だったかはちっとも分からない。
ヴァレン家の神々アヌィバに手をかざすと、アヌィバはその場から消滅した。
メグロはどこか満足げな顔をしていたが、傍から見ると襲ってきた女性を一方的に返り討ちにした挙句抑え付けると言った。軽く事案な空間が生まれていたのだが、まぁ本人が満足そうで何よりだ。
<a href="//19508.mitemin.net/i260517/" target="_blank"><img src="//19508.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i260517/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
僕が口をガッポリ開けていると、ライリーが補足してくれた。
「移動させただけよ」
よかった...ちょっとばかし安心した。
しかし神同士の戦いが、物理攻撃がメインだった事実に驚きを隠せない。
もっとこう....【能力バトル】的なものを期待していた自分にとって、なんと言うか【スカ】に近いものがそこにあった。
━…━…━…━…━…━…
彼女の追放後、卓には再び楽しげな雰囲気が戻った。
ミレイ・ノルヴァ曰くコレが毎回というのだから、もう慣れっこなのだろう。
アヌィバの登場が無かったことにされてるレベルで楽しそうにしている。
ハァ....と溜息を付きながら回転椅子に腰掛けた。
「お、どうした。随分乗らない顔してるじゃないか」
「何か嫌なことでもあった?」
話しかけてきたのはひと組の若い男女だった。
いや、見た目が若く見えるだけで人間基準で行けば【ご年配】に当たるのだろうが....。
まぁ見た目が若い2人の神に声をかけられた。
「私はクライシス・ヴァレン。【遺失物を司る女神】」
「んで隣のコイツが」
「ライド・ヴァレンだ。【掘り出し物を司る神】をやってる」
随分仲の良さそうな神に会ったものだ。
2人の神は司っているものが対極なのにも関わらずとても息が合っている。
ただ司るものを聞いても、イマイチ能力やその仕事がピンと来ないのが難点だが...。
「僕は俊介...自己紹介の必要ってある?」
「ないな」
「ないね」
「なら早くていいや。いや、ヴァレン家の人間と顔を合わせる為にこの卓に来たのは良いけど、なんだかうまいこと話しかけられなくてな」
この2人の神は顔を見合わせて、笑顔で頷きこっちを見た。
「じゃぁアソコに行ってみるといいさ」
「きっとアナタが会いたいと思える神に会えると思うわ」
クライシスとライドはとある部屋を指さした。
その部屋は無駄に高級そうな吸音素材で出来た扉で塞がれており、入るのをどこか躊躇うようなデザインをしていた。
「ありがとう」
そう言って僕はそのドアの前まで来た。
ドアをノックしてもボフッって音しか鳴らなそうだったので、もう思い切って開けることにした。
中にはマヨイ・ノルヴァ、ニーナ。マヨイ・ヴァレンと重要な神々が集まっていたのだが、他にも数人の神がそこに居た。
「あら俊介。顔合わせはもういいの?」
「あ、あぁ」
正直まだ足りてない気もするが、でもこっちの方が圧倒的に有益そうだ。
「なら丁度良かった。貴方が顔合わせを終え次第、この部屋に呼ぼうと思ってたの」
ミレイ・ノルヴァが手を振ると椅子が一人でに動き出した。
あれに座れという事なのだろうか?
僕がその椅子に座ると、その椅子は一人でに引かれ、椅子と腹が絞められ少しばかしキツかった。
「さぁ、話を戻しましょうか。ノルヴァ家との和解の話...」
マヨイ・ヴァレンがいつにもなく真面目そうな顔をしていた。
「待て待て、先に俊介に俺らのこと紹介してやれよ」
「あぁそうだった☆。」
無理やりテンションを上げたような喋り方になったマヨイ・ヴァレンに違和感を感じた。
「はい。ヴァレン家の重役な神々デース♪」
「雑すぎるだろがい!」
一体いつの時代のコメディだよとツッコミたくなるようなコメディが目の前で展開されてる中。
最初この部屋に入った時のクソ重い空気が和んでいる事に気付いた。
「俺はファティマス・ヴァレン。【暴力】を司る神」
随分物騒な名前が出てきたな...と思うのと同時に、あることに気付いた。
「私はインティート・ヴァレン。【知性】を司る女神」
「ぼ、ぼくはネッティブ・ヴァレン。【陰湿】を司る....神.....です」
随分弱気な神が出てきたなと思ったが、やはりそうだ。
ここにいる神々は、司ってるモノがどこか【抽象的】だ。
司っているモノが抽象的という事はより【概念的】で有るという事に繋がる。
とするとやはりここにいる神々は【強者】....なのだろうか?
一人物凄く弱そうな神が居るけど....。
「ちょっと!。周りみんな挨拶しといて自分だけ挨拶ナシな訳ェ?」
どこからか声がした。
その声の方向が最初分からなかったのだが、よく見るとその声のしたであろう方向に頭が見えた。
どうやらまだ一人神が居たようだ。
「い、いや。君もまだ自分の事」
「屁理屈言わない!」
「ご、ごめんなさい」
なんというか頭だけで喋られるから、とても【シュール】だ。
「ねぇミレイ!もうこの椅子ヤダ!もう少し高くしてよ!」
心なしかミレイ・ノルヴァがニヤニヤしている。
なる程。わざとか。
ミレイ・ノルヴァが手をハラリと宙に舞わせると、椅子の高さは見る見るうちに上がっていた。
三つ編みのツインテール。
グリシアもどこか幼児体型だったが、それと同じかそれ以上にこの神も幼児体型だった。
「ゴホン....私はパッセ・ノルヴァ。【経過】を司る女神よ!」
「こ、こう見えてもあんたよりずっと年上なんだからね!」
いや....知ってるよ。
この女神は何と張り合ってるのだろうか...?
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