記憶共有的異世界物語
第56話:グリシア・ヴァレンの再来
コーヒーに手を伸ばしそれを一口含んだ瞬間、そこには別世界が存在していた。
美味しいの次元を超えている。
コーヒー特有の苦味こそあるが、酸味と苦味が合わさった【甘味】がカップ内に溶け込んでおり、液体なのに【絡めつく】なめらかな感覚があった。
僕が目を丸くしていると奈恵がうざったい眼差しを送ってきた。
なる程。これを淹れたのは奈恵か。
しかし美味しかったのは確かなものだから、なんというか悔しい。
「...旨いな」
「でしょぉ~?それ私が注いでみたの」
知ってる。
ウザったい眼差しがコーヒーカップを貫通してこちらにグサグサ刺さってくる。
「まぁ、淹れ方教えたのは俺なんだけどな」
馬場さんの横槍に、奈恵がムッとした。
そのハムスター顔にちょっと笑いがこみ上げそうになったがなんとか堪えた。
馬場さんに教えてもらって淹れたコーヒーか....。
まぁそんなところだろうとは思っていた。
しかしまぁよく馬場さんから教えてもらっただけでここまで美味しく淹れられるモノだ。
単に馬場さんの教え方が上手いのだろうか?
それとも奈恵の飲み込みが早いのか...。
戸にもかくにも、これほど美味しいなら馬場さんの店でコーヒーを頼んでみてもよかったかもしれない。
冒険しない性格が裏目に出たものだがらなんだか不服だ。
「んで、今日なんだがな」
話を切り替えてエルフ捜査の続きを話し合うことにした。
昨日情報収集しろとは言ったものの、目標を提示する事をすっかり忘れていた。
目的も無しに情報を探ったところで統一性のないチグハグな情報が集まるだけだ。
……━━……━━……━━
ガシャン....と皿が割れる音が教会内に響いた。
バキッ...と机が大破する音が教会内に響いた。
音の方向をハッと向くと、そこにはグリシアが立っていた。
「アタイ...執行!」
突然訳の分からない決め台詞を吐かれ、辺りが揺れだした。
揺れは物凄い勢いで強くなっていき、もはや立っているのも辛くなってきた。
「貴方なんにも変わってないのね、グリシア!」
ライリーだった。
ライリーの顔はいつにもなく激昂しており、その表情からは純粋な恐怖しか感じなかった。
殺意むき出しの顔をしていたが、それでいて尚グリシアは怯む様子を見せなかった。
ライリーが激昂している理由が分からない...。
地震が強くなるのと同時に体が地面に食い込んでいった。
「この教会が壊されるのはちょっと困るなぁ...」
【ステンエギジス】
とりあえずグリシアの後ろに穴を開けて....。
?
ステンエギジスが使えない。
いつもなら純也との繋がりとか一切意識せずにそのまま使えるのに、今はどう頑張っても使えない。
強く念じても、消したい対象をハッキリイメージしても使えない。
どういう事だ?
グリシアがニヤリと笑い、こちらにすっ飛んできて僕の顔面に重い一撃を加えた。
重力の能力が加わった極端に重い一撃に、僕の体を押さえつけていた重力の解除が重なり猛スピードで後方にすっ飛んだ。
壁に強く打ち付けられ、意識がクラついた。
激しい頭痛に見舞われ、頭を触ってみると手に血が付着した。
【ウッド..ソ....ド】
朦朧とする意識の中、必死でウッドソードを使って意識を保った。
頭の傷はなんとか治した...が変な打ち方をしたのだろう、ウッドソードが正常に動いてくれない。
「ハハハハ!!これで五分だね!お相子様だよ!ハハ!変な打ち方でもしたの?貴方の能力誤動作してるわよ!!!」
グリシアが僕の右目を指差して、僕は自分の右目が欠けている事に気付いた。
どうして人の命を狙う神々って不意打ちが大好きなのだろうか?
能力が高ければ高いほど慢心して倒し方にこだわる癖に、みな最初は不意打ちだ。
「お前見た目と同じで中身まで小さいんだな、そんなに頭殴られたのが嫌だったのか?」
僕の煽りに、グリシアはヘラヘラ笑っている。
どうやらメンタル面じゃ向こうの方が上手みたいだ。
神相手に頭脳戦に持ち込まれるのは厄介なんだがなぁ...。
机の破片や皿の破片が奈恵の方に飛んでいった。
奈恵は魔法で全て燃やしていたのだが、その燃やした灰が今度は冬弥の方に飛んで行った。
ライリーがその灰を吸い込んだおかげで冬弥に被害は行かなかったのだが、今度はライリーが宙に浮かされ地面に叩きつけられた。
ライリーは地面に叩きつけられるや否や血反吐を吐いた。
憤怒していた。
お前暴食だろってツッコミたくなるぐらいに憤怒していた。
「せっかく美味しい朝ご飯を貰えたのになぁ...」
ライリーの低く殺意のこもったそのセリフに、僕は恐怖を覚えた。
そこにはもはや殺意などこもってなかった。
ただ相手を【消そう】としている...そんな覚悟。
しかしライリーが激昂しても状況は変わらない。
ステンエギジスが使えないだけでここまで不利になるものなのか?
「ヘヘヘヘヘヘ」
グリシアの高笑いが教会内に響く。
美味しいの次元を超えている。
コーヒー特有の苦味こそあるが、酸味と苦味が合わさった【甘味】がカップ内に溶け込んでおり、液体なのに【絡めつく】なめらかな感覚があった。
僕が目を丸くしていると奈恵がうざったい眼差しを送ってきた。
なる程。これを淹れたのは奈恵か。
しかし美味しかったのは確かなものだから、なんというか悔しい。
「...旨いな」
「でしょぉ~?それ私が注いでみたの」
知ってる。
ウザったい眼差しがコーヒーカップを貫通してこちらにグサグサ刺さってくる。
「まぁ、淹れ方教えたのは俺なんだけどな」
馬場さんの横槍に、奈恵がムッとした。
そのハムスター顔にちょっと笑いがこみ上げそうになったがなんとか堪えた。
馬場さんに教えてもらって淹れたコーヒーか....。
まぁそんなところだろうとは思っていた。
しかしまぁよく馬場さんから教えてもらっただけでここまで美味しく淹れられるモノだ。
単に馬場さんの教え方が上手いのだろうか?
それとも奈恵の飲み込みが早いのか...。
戸にもかくにも、これほど美味しいなら馬場さんの店でコーヒーを頼んでみてもよかったかもしれない。
冒険しない性格が裏目に出たものだがらなんだか不服だ。
「んで、今日なんだがな」
話を切り替えてエルフ捜査の続きを話し合うことにした。
昨日情報収集しろとは言ったものの、目標を提示する事をすっかり忘れていた。
目的も無しに情報を探ったところで統一性のないチグハグな情報が集まるだけだ。
……━━……━━……━━
ガシャン....と皿が割れる音が教会内に響いた。
バキッ...と机が大破する音が教会内に響いた。
音の方向をハッと向くと、そこにはグリシアが立っていた。
「アタイ...執行!」
突然訳の分からない決め台詞を吐かれ、辺りが揺れだした。
揺れは物凄い勢いで強くなっていき、もはや立っているのも辛くなってきた。
「貴方なんにも変わってないのね、グリシア!」
ライリーだった。
ライリーの顔はいつにもなく激昂しており、その表情からは純粋な恐怖しか感じなかった。
殺意むき出しの顔をしていたが、それでいて尚グリシアは怯む様子を見せなかった。
ライリーが激昂している理由が分からない...。
地震が強くなるのと同時に体が地面に食い込んでいった。
「この教会が壊されるのはちょっと困るなぁ...」
【ステンエギジス】
とりあえずグリシアの後ろに穴を開けて....。
?
ステンエギジスが使えない。
いつもなら純也との繋がりとか一切意識せずにそのまま使えるのに、今はどう頑張っても使えない。
強く念じても、消したい対象をハッキリイメージしても使えない。
どういう事だ?
グリシアがニヤリと笑い、こちらにすっ飛んできて僕の顔面に重い一撃を加えた。
重力の能力が加わった極端に重い一撃に、僕の体を押さえつけていた重力の解除が重なり猛スピードで後方にすっ飛んだ。
壁に強く打ち付けられ、意識がクラついた。
激しい頭痛に見舞われ、頭を触ってみると手に血が付着した。
【ウッド..ソ....ド】
朦朧とする意識の中、必死でウッドソードを使って意識を保った。
頭の傷はなんとか治した...が変な打ち方をしたのだろう、ウッドソードが正常に動いてくれない。
「ハハハハ!!これで五分だね!お相子様だよ!ハハ!変な打ち方でもしたの?貴方の能力誤動作してるわよ!!!」
グリシアが僕の右目を指差して、僕は自分の右目が欠けている事に気付いた。
どうして人の命を狙う神々って不意打ちが大好きなのだろうか?
能力が高ければ高いほど慢心して倒し方にこだわる癖に、みな最初は不意打ちだ。
「お前見た目と同じで中身まで小さいんだな、そんなに頭殴られたのが嫌だったのか?」
僕の煽りに、グリシアはヘラヘラ笑っている。
どうやらメンタル面じゃ向こうの方が上手みたいだ。
神相手に頭脳戦に持ち込まれるのは厄介なんだがなぁ...。
机の破片や皿の破片が奈恵の方に飛んでいった。
奈恵は魔法で全て燃やしていたのだが、その燃やした灰が今度は冬弥の方に飛んで行った。
ライリーがその灰を吸い込んだおかげで冬弥に被害は行かなかったのだが、今度はライリーが宙に浮かされ地面に叩きつけられた。
ライリーは地面に叩きつけられるや否や血反吐を吐いた。
憤怒していた。
お前暴食だろってツッコミたくなるぐらいに憤怒していた。
「せっかく美味しい朝ご飯を貰えたのになぁ...」
ライリーの低く殺意のこもったそのセリフに、僕は恐怖を覚えた。
そこにはもはや殺意などこもってなかった。
ただ相手を【消そう】としている...そんな覚悟。
しかしライリーが激昂しても状況は変わらない。
ステンエギジスが使えないだけでここまで不利になるものなのか?
「ヘヘヘヘヘヘ」
グリシアの高笑いが教会内に響く。
コメント