記憶共有的異世界物語
第29話:エグイ攻撃
生き延びるにはどうしたらいいか....僕は野生動物かなにかか。
びっくりするほどに本能的に動いている。
もはや僕に人間性が存在するのか疑問になっている中、エルフに憑依されている冬弥は不気味な笑みを見せながら魔法詠唱の様なモノを行っている様だ。
憑依そのものが苦手なのか、それとも距離が離れすぎているのが原因なのか、エルフは冬弥の体を完全にコントロールしきれていないように見えた。
ナエラがやり遂げるまで生き延びる為の道が見えてきた気がしたが、それでも難易度の高さに変わりは無かった。
「なぁシュンヤ、僕の考えてること分かるか?」
「さぁな、逆に聞くが俺の考えてること分かるか?」
「さぁな、つまりはそう言うこった」
『あぁ』
完全に突発的に思いついた作戦だったが、効果的に思えたし、シュンヤも同じ事を考えていた様だった。
【ウッドソード】
シュンヤは机に置いてあった空き缶にウッドソードを使い、そこから鉄格子の牢屋を作った。
【ステンエギジス】
僕の能力で冬弥を消して、カゴの中で復元した。
突然のテレポートに困惑している様子だったが、すぐに状況を理解したらしく、必死にもがいて脱出しようとしていた。
その姿はあまりにも滑稽で、僕はそんな冬弥の姿に怒りしか覚えなかった。
冬弥のキャラが崩れていることに怒りを覚えているのではない。
エルフがやっているという事に怒りを覚えているのだ。
人ではないとは言え、人の体を借りた挙句人の体を滑稽に操る。
こんな馬鹿みたいな話があってたまるか。
アルミが材料とは言え鉄格子は厚く、そう簡単に壊せるものでは無かった。
シュンヤに自分の意図が正確に伝わっていた事に強く感謝したが、呆気なく成功してしまったこの作戦に、ちょっとした恐怖を感じている。
まぁ、とりあえずの時間稼ぎは出来ただろう。
「ナエラがチュラル村に着いたわ」
奈恵の進捗報告に安堵のため息が出たが、ここからが油断できないと考え身が引き締まった。
「禁忌の書はエルフの長が日常的に携帯している。奪い取って今の状況に目を通してくれ」
ガタガタガタ...と耳障りな金属音を立てながら、冬弥は段々疲労していった様に見えた。
「どうだ?檻の中に入れられて見世物にされる気分は?」
「お前は知ってるだろうけど、地球の人間には動物を檻に入れて観察したり育成したりする文化があるんだぜ?まさしくそれだな。陰気なエルフさんよぉ?」
「オマエラ....ハ....カンチガイヲシテル....ジブンノ...ジョウキョウヲ...リカイセヨ」
冬弥は相変わらず不明瞭にブツブツとつぶやき、親指を噛み切った。
親指から血が流れ、冬弥は地面に血文字で魔法陣を書いた。
その魔法陣から血が水圧カッターの様に高速回転しているナイフ型の物体が生まれた。
生産までのその様はウッドソードを連想させるものだったが、僕はそのナイフの使用目的を察し、エルフを捕まえた余裕は一瞬で恐怖に塗り替えられた。
「待て、お前それどう使うつもりだ」
「コウ....ツカウ...」
そう言って冬弥はそのナイフを自分の首に刺し、抜いた。
大量の血が噴き出すのと同時に、物凄い声量の絶叫が聞こえた。
先程までの不明瞭なモノではなく、痛みに苦しみ今起こった状況を理解できない【恐怖】そのものな声だった。
【ウッドソード】
冬弥の首の皮膚を溶かし止血した。
冬弥は意識を失い、檻に横たわった。
檻から流れ落ちた血がポタ...ポタ...と音を立てるのと同時に、僕は自分の置かれている状況を理解した。
さっきまで気を失っていた冬弥がムクリと起き上がり、ニコリと恐怖じみた笑顔を見せた。
「オリカラ...ダセ....」
エルフの要求を飲むしかなかった。
さっきは脅しのつもりでのナイフだったのだろうが、今度は致命傷を入れてくるかもわからない。
僕等は人質を取られている。
【ウッドソード】
檻を溶かし、溶けた檻は再び缶に戻った。
「オマエラ...ザンネン...だったな、チェックメイトだ」
不明瞭でブツブツとしていたエルフの喋り方が急にハッキリしだした。
「大変。ナエラが囲まれてるわ。エルフの集団に囲まれている。ネズミ捕りみたいにがっちり捕まえて離さない気だわ」
クソ。予想はしていたがやはりナエラをただで通すわけが無かった。
恐らく魔法も封じられているだろう。
計画が狂った時のこの感覚は、胃が逆流するあの感覚に似ていたが、胃が痛い事を含めなければ僕は割と冷静だった。
「おう、そうか」
びっくりするほどに本能的に動いている。
もはや僕に人間性が存在するのか疑問になっている中、エルフに憑依されている冬弥は不気味な笑みを見せながら魔法詠唱の様なモノを行っている様だ。
憑依そのものが苦手なのか、それとも距離が離れすぎているのが原因なのか、エルフは冬弥の体を完全にコントロールしきれていないように見えた。
ナエラがやり遂げるまで生き延びる為の道が見えてきた気がしたが、それでも難易度の高さに変わりは無かった。
「なぁシュンヤ、僕の考えてること分かるか?」
「さぁな、逆に聞くが俺の考えてること分かるか?」
「さぁな、つまりはそう言うこった」
『あぁ』
完全に突発的に思いついた作戦だったが、効果的に思えたし、シュンヤも同じ事を考えていた様だった。
【ウッドソード】
シュンヤは机に置いてあった空き缶にウッドソードを使い、そこから鉄格子の牢屋を作った。
【ステンエギジス】
僕の能力で冬弥を消して、カゴの中で復元した。
突然のテレポートに困惑している様子だったが、すぐに状況を理解したらしく、必死にもがいて脱出しようとしていた。
その姿はあまりにも滑稽で、僕はそんな冬弥の姿に怒りしか覚えなかった。
冬弥のキャラが崩れていることに怒りを覚えているのではない。
エルフがやっているという事に怒りを覚えているのだ。
人ではないとは言え、人の体を借りた挙句人の体を滑稽に操る。
こんな馬鹿みたいな話があってたまるか。
アルミが材料とは言え鉄格子は厚く、そう簡単に壊せるものでは無かった。
シュンヤに自分の意図が正確に伝わっていた事に強く感謝したが、呆気なく成功してしまったこの作戦に、ちょっとした恐怖を感じている。
まぁ、とりあえずの時間稼ぎは出来ただろう。
「ナエラがチュラル村に着いたわ」
奈恵の進捗報告に安堵のため息が出たが、ここからが油断できないと考え身が引き締まった。
「禁忌の書はエルフの長が日常的に携帯している。奪い取って今の状況に目を通してくれ」
ガタガタガタ...と耳障りな金属音を立てながら、冬弥は段々疲労していった様に見えた。
「どうだ?檻の中に入れられて見世物にされる気分は?」
「お前は知ってるだろうけど、地球の人間には動物を檻に入れて観察したり育成したりする文化があるんだぜ?まさしくそれだな。陰気なエルフさんよぉ?」
「オマエラ....ハ....カンチガイヲシテル....ジブンノ...ジョウキョウヲ...リカイセヨ」
冬弥は相変わらず不明瞭にブツブツとつぶやき、親指を噛み切った。
親指から血が流れ、冬弥は地面に血文字で魔法陣を書いた。
その魔法陣から血が水圧カッターの様に高速回転しているナイフ型の物体が生まれた。
生産までのその様はウッドソードを連想させるものだったが、僕はそのナイフの使用目的を察し、エルフを捕まえた余裕は一瞬で恐怖に塗り替えられた。
「待て、お前それどう使うつもりだ」
「コウ....ツカウ...」
そう言って冬弥はそのナイフを自分の首に刺し、抜いた。
大量の血が噴き出すのと同時に、物凄い声量の絶叫が聞こえた。
先程までの不明瞭なモノではなく、痛みに苦しみ今起こった状況を理解できない【恐怖】そのものな声だった。
【ウッドソード】
冬弥の首の皮膚を溶かし止血した。
冬弥は意識を失い、檻に横たわった。
檻から流れ落ちた血がポタ...ポタ...と音を立てるのと同時に、僕は自分の置かれている状況を理解した。
さっきまで気を失っていた冬弥がムクリと起き上がり、ニコリと恐怖じみた笑顔を見せた。
「オリカラ...ダセ....」
エルフの要求を飲むしかなかった。
さっきは脅しのつもりでのナイフだったのだろうが、今度は致命傷を入れてくるかもわからない。
僕等は人質を取られている。
【ウッドソード】
檻を溶かし、溶けた檻は再び缶に戻った。
「オマエラ...ザンネン...だったな、チェックメイトだ」
不明瞭でブツブツとしていたエルフの喋り方が急にハッキリしだした。
「大変。ナエラが囲まれてるわ。エルフの集団に囲まれている。ネズミ捕りみたいにがっちり捕まえて離さない気だわ」
クソ。予想はしていたがやはりナエラをただで通すわけが無かった。
恐らく魔法も封じられているだろう。
計画が狂った時のこの感覚は、胃が逆流するあの感覚に似ていたが、胃が痛い事を含めなければ僕は割と冷静だった。
「おう、そうか」
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