記憶共有的異世界物語
第6話:幼馴染
馬場さんに助言を貰って3日が経った。
これといって特に大した事は起こらなかったのだが、正直それが問題だ。
何故憑依が起こらない?
それどころか最後の憑依以来シュンヤの記憶が届いていない。
まるで神か何かの大きな力が僕の思惑をいち早く察知して邪魔しに来てるんじゃないかと思うほどに...。
「あー、またボーッとしているぅ~?」
あぁ、鬱陶しい声が聞こえた。
「どうした奈恵....別にいつものことだろ」
幼馴染、茶髪の強い長髪。
彼女の紹介はこの程度で十分だろう。
「俊介は目ぇ離すとすぐに何かしでかすからぁ~?ほっとけないというかぁ~?」
いや、十分じゃなかった。
そう、彼女を一言で表すなら【うざい】だ。
これ以上なくうざったい。
「何かしでかすのはお前のほうだろうがよ、ただ単に考え事をしてただけだ。ほっといてくれないか?」
「えー?ほっとけないって言ったばっかりなのにぃ~?釣れないなぁ~」
顔は普通に美人と言えるだろう。
性格も劇的に悪いという訳でもなく、どちらかと言えば善人の部類だ。
人望厚く、学力もそこそこ高い。
人としてのスペックは高く、僕とは一切釣り合わない。
だが、だ。
このキャラクターが嫌いだ。
人としての全てを否定しているわけでは無いが、このキャピキャピした感じが苦手だ。
しかしまぁ幼馴染とは恐ろしいもので、家族に近い【切っても切れない縁】の様な物が無駄に拘束する。
「そうだ、ちょうどいい。人間の物的要求の話だ」
「なにぃ~?私に欲情でもしたぁ~?」
「ちげぇよ、今まで届いていたものがピタリと届かなくなったって話だ」
「送り主不明、中身もそれ程価値のあるものではないが、何故か捨てれなかった、それが何日も何日も連続で続いて、ある日ピタリと止まったとしよう。止められた人間はどう感じると思う?」
「う~ん。気になって夜しか寝られないかなぁ~?」
「ガッツリ寝てんじゃねぇか」
聞く相手を間違えた、こいつに聞いてまともな答えが返ってくるとは思えない。
「うぅ~ん....でもそもそもなんでその受取人は送り主不明の不審物を堂々と何日も受け取り続けたのぉ?不信には思わなかった訳ぇ?」
これまた痛い所を突かれた。
僕とシュンヤの事を例え話で上げたつもりだったが、そら他人の記憶の正体を調べようともせずに堂々と受信だけして放置って話の方がおかしい。
妙な所だけ鋭いからこいつは嫌いだ。
キャピキャピした見た目で堂々と深い思考を持っているから嫌いだ。
「最初は不審に思っただろ、でもそれを【求めるようになった】としたら?」
「それは送られてきたモノにそれだけの【魅力】があったってことぉ?」
「まぁ、そう捉えてもらえるとありがたいな」
「だったらぁ~、麻薬中毒者のぉ~禁断症状みたいにぃ~....苦しむよねぇ~...」
急にえぐい表現が出てきた事に戸惑いを隠せなかったが、それよりもっと大きな戸惑いがあった。
奈恵の目が死んでいる。
あ!これ知ってる!ヤンデレの目だ!
とかふざけたことは抜かしてられない。
完全に殺意のこもった眼差しが僕を貫く。
こんな目を向けられたのはこれが初めてだだだだだ。
落ち着け...落ち着け....。
「ねぇ、俊介。今の話っていつも貴方のそばにいる存在の話?」
キャピキャピした喋り方が死んだ。
そこにあったのは奈恵の冷たい表情とその発言のみで、なんとも言い表すことの出来ない恐ろしさのみが残った。
僕のそばに....もしかしてこいつシュンヤの事を何か知って...?
いや、そんなハズはない。
仮にあったとしても深くは知られていない...よな?
「貴方にとってその人はそんなに大事なの?」
言ったよ、言っちゃったよこの人、ハッキリ【人】って言っちゃったよ。
落ち着け、落ち着け。
「貴方はそんなストーカーみたいな存在がいいの?」
だんだんと顔が近づいてくる。
正直言ってこいつに対してここまで恐怖したのはこれが初めてだ。
やはりこいつシュンヤの事を知って..?
「なぁお前憑依について何か知ってるのか?」
「憑依?なにそれ」
さっきまでの緊迫した空気は一瞬で霧のように消えた。
「え?」
「え?」
空気が静かに静まっていくの同時に、奈恵が勘違いしていた事に気づいた。
「なぁ、何か勘違いしていないか?」
「いや、え?貴方がラブレターの様な物を毎日のように貰っていて、それが急に来なくなったから心配しているって話じゃないの?」
「ちげぇよ、全然違う。僕にそんな相手がいるとでも思っているのか?」
「なぁ~んだ、まぁそれもそうね。完全に私の早とちりだったわぁ~?ごっめーん☆気にしないで」
急にキャラが戻ったが、そこにぎこちなさがあった。
「何?ヤキモチでも焼いた?」
「調子に乗らない」
「はい、すいませんでした」
「ところでぇ~。貴方がさっき言ってた【憑依】ってなんのお話ぃ~?」
しまった。
自分で墓穴を掘ってしまった。
奈恵が憑依のことを知らないと分かった今。下手な事は口走れない。
しまった...。
これといって特に大した事は起こらなかったのだが、正直それが問題だ。
何故憑依が起こらない?
それどころか最後の憑依以来シュンヤの記憶が届いていない。
まるで神か何かの大きな力が僕の思惑をいち早く察知して邪魔しに来てるんじゃないかと思うほどに...。
「あー、またボーッとしているぅ~?」
あぁ、鬱陶しい声が聞こえた。
「どうした奈恵....別にいつものことだろ」
幼馴染、茶髪の強い長髪。
彼女の紹介はこの程度で十分だろう。
「俊介は目ぇ離すとすぐに何かしでかすからぁ~?ほっとけないというかぁ~?」
いや、十分じゃなかった。
そう、彼女を一言で表すなら【うざい】だ。
これ以上なくうざったい。
「何かしでかすのはお前のほうだろうがよ、ただ単に考え事をしてただけだ。ほっといてくれないか?」
「えー?ほっとけないって言ったばっかりなのにぃ~?釣れないなぁ~」
顔は普通に美人と言えるだろう。
性格も劇的に悪いという訳でもなく、どちらかと言えば善人の部類だ。
人望厚く、学力もそこそこ高い。
人としてのスペックは高く、僕とは一切釣り合わない。
だが、だ。
このキャラクターが嫌いだ。
人としての全てを否定しているわけでは無いが、このキャピキャピした感じが苦手だ。
しかしまぁ幼馴染とは恐ろしいもので、家族に近い【切っても切れない縁】の様な物が無駄に拘束する。
「そうだ、ちょうどいい。人間の物的要求の話だ」
「なにぃ~?私に欲情でもしたぁ~?」
「ちげぇよ、今まで届いていたものがピタリと届かなくなったって話だ」
「送り主不明、中身もそれ程価値のあるものではないが、何故か捨てれなかった、それが何日も何日も連続で続いて、ある日ピタリと止まったとしよう。止められた人間はどう感じると思う?」
「う~ん。気になって夜しか寝られないかなぁ~?」
「ガッツリ寝てんじゃねぇか」
聞く相手を間違えた、こいつに聞いてまともな答えが返ってくるとは思えない。
「うぅ~ん....でもそもそもなんでその受取人は送り主不明の不審物を堂々と何日も受け取り続けたのぉ?不信には思わなかった訳ぇ?」
これまた痛い所を突かれた。
僕とシュンヤの事を例え話で上げたつもりだったが、そら他人の記憶の正体を調べようともせずに堂々と受信だけして放置って話の方がおかしい。
妙な所だけ鋭いからこいつは嫌いだ。
キャピキャピした見た目で堂々と深い思考を持っているから嫌いだ。
「最初は不審に思っただろ、でもそれを【求めるようになった】としたら?」
「それは送られてきたモノにそれだけの【魅力】があったってことぉ?」
「まぁ、そう捉えてもらえるとありがたいな」
「だったらぁ~、麻薬中毒者のぉ~禁断症状みたいにぃ~....苦しむよねぇ~...」
急にえぐい表現が出てきた事に戸惑いを隠せなかったが、それよりもっと大きな戸惑いがあった。
奈恵の目が死んでいる。
あ!これ知ってる!ヤンデレの目だ!
とかふざけたことは抜かしてられない。
完全に殺意のこもった眼差しが僕を貫く。
こんな目を向けられたのはこれが初めてだだだだだ。
落ち着け...落ち着け....。
「ねぇ、俊介。今の話っていつも貴方のそばにいる存在の話?」
キャピキャピした喋り方が死んだ。
そこにあったのは奈恵の冷たい表情とその発言のみで、なんとも言い表すことの出来ない恐ろしさのみが残った。
僕のそばに....もしかしてこいつシュンヤの事を何か知って...?
いや、そんなハズはない。
仮にあったとしても深くは知られていない...よな?
「貴方にとってその人はそんなに大事なの?」
言ったよ、言っちゃったよこの人、ハッキリ【人】って言っちゃったよ。
落ち着け、落ち着け。
「貴方はそんなストーカーみたいな存在がいいの?」
だんだんと顔が近づいてくる。
正直言ってこいつに対してここまで恐怖したのはこれが初めてだ。
やはりこいつシュンヤの事を知って..?
「なぁお前憑依について何か知ってるのか?」
「憑依?なにそれ」
さっきまでの緊迫した空気は一瞬で霧のように消えた。
「え?」
「え?」
空気が静かに静まっていくの同時に、奈恵が勘違いしていた事に気づいた。
「なぁ、何か勘違いしていないか?」
「いや、え?貴方がラブレターの様な物を毎日のように貰っていて、それが急に来なくなったから心配しているって話じゃないの?」
「ちげぇよ、全然違う。僕にそんな相手がいるとでも思っているのか?」
「なぁ~んだ、まぁそれもそうね。完全に私の早とちりだったわぁ~?ごっめーん☆気にしないで」
急にキャラが戻ったが、そこにぎこちなさがあった。
「何?ヤキモチでも焼いた?」
「調子に乗らない」
「はい、すいませんでした」
「ところでぇ~。貴方がさっき言ってた【憑依】ってなんのお話ぃ~?」
しまった。
自分で墓穴を掘ってしまった。
奈恵が憑依のことを知らないと分かった今。下手な事は口走れない。
しまった...。
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