記憶共有的異世界物語

さも_samo

プロローグ


空が緑色のようで、雲が赤色。
どう考えても地球じゃないその世界は、僕の恐怖心を引き立てるのに十分すぎるものだった。

自分の服が変わっている。
鏡のようなものがあれば自分の姿が認識できるのだが。

体がものすごく軽くなっている感覚はある....。

しかし自分の身に何が起こっているのかは一切分からない。

「おいポカンとしてどうしたよ、行くぞ」

眼鏡、華奢、右手に握られている魔導書の様なもの。
彼の特徴は?と聞かれればこう答えるしかない。

怖い。滅茶苦茶怖い。

気付くと匂いさえ知らない場所に居た。

これが夢なのかすらも分からない。

夢だとしたら背景描写がリアルすぎる。

地面を踏む感覚。
裸足にくい込む石の痛み。

「ところでシュンヤ、お前....いつまでこんな事続ける気だ?」

よく聞き取れなかった。

シュンヤ?

誰の事だ?

「僕は俊介だ。シュンヤじゃない。」

鼓動が上がっているのを感じる。

脚が震え、完全に【恐怖】している。

これほどまでの恐怖を味わったのはこれが初めてだ。

完全に恐怖しているのは目に見えてしまっているだろうが、上っ面だけでも威勢を張れたことに感謝しよう。

「何をそんなに錯乱しているんだよ....なぁシュンヤ、もしかしてお前【地球】って知ってるか?」

「あ....煽ってるのか?」

その男は何かを察した様で、ニヤリと笑っていた。

「まぁいつかこんな日が来ると思ってたよ、まぁ何だ。説明してあげるからちょっとついて来るといいさ....」


「俊介君」

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