黒剣の魔王
第27話/暴風吹き荒れる砂漠2
『虚空の砂漠
過去に六皇達が大規模な戦いをした時に、風皇リンテンナー・フナーゴがかけた『分裂』の要素の魔法によって、触れた人間を要素レベルまで分解する砂塵に囲まれ、その砂塵の中は荒れ果てた砂漠へと変わった。
弱点・反転魔法『天変地異』』
おいおい天変地異とか初期中の初期やん。六皇とか大それた名前つけられといてその程度なんか。その程度の強さなんか。
そう言ってやったら
「は!? て、天変地異!? 反転魔法の中でも上位の魔法じゃないか!? よくそんなものを初期中の初期とか言えるね!?」
と、クトゥルフに言われてしまった。
いや、だって一番はじめに覚えたのが天変地異なんだよ……
たまたま一番はじめに覚えちゃったんだよ、初期魔法だと思ってたんだよ……
『ただの天然ごときに扱えるような代物ではないはずだ。つまりこいつはただの天然ではない。天才という奴なのだろう』
クトゥルフさんが褒めてくれてんのはいいんだけど半分馬鹿にされてる気しかしない……
虐められとるんじゃー、泣きたいんじゃー……
さぁ、それはそれとしてさっさとこの砂塵の中の分解魔法の要素を中和して消さなくてはならない。
「……なんだか腑に落ちないけど、仕方ないからさっさと中和するか……」
……はぁ、モチベ下がるわー。
「反転魔法『天変地異』」
俺がそう唱えた瞬間、砂塵の動きが止まり、轟音を放ちながら砂の雨となって降り注いだ。
うわまじかよ、そういうのマジでいらないんだけどなぁ……
「断絶魔法『空間分離』」
「激流魔法『豪雨の滝登り』!」
俺の詠唱に今代クトゥルフが被せてきた。範囲ミスっちゃったから断絶した空間に噴水が噴き上がって空間の天井から滴り落ちるという最悪の状況に陥ってしまった……
……全身水だらけだし、止めてくれないから膝あたりまで水で埋まってんだけど……
しかたない。砂の雨も降り終わったようだし、空間断絶を解除するか。
「クトゥルフさんよぉ、頑張んのはいいけど周囲に影響のない魔法使おうや」
「す、すまない……」
「まぁいいや。陽魔法『日照』」
言わばお洗濯魔法で服を乾かしていく。
持ってきたのが魔法銃で良かったな。火縄銃とかだったら一発アウトだぞおい。
それにしても、さてさてこれはどういう事さね。
「な、なんなんです、これは? 砂漠に埋もれた、廃墟?」
砂塵をどかして目の前に広がっていたのは、かつてかなり栄えた跡を残して砂に埋もれる廃墟の街の姿だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まさか、山越えではなくこちらから来たか。
私としては王国にもう用はない。白爪と黒腕が別のものの手に渡っていた以上、命神の神殿への扉を開く鍵はあと一つ、赤胴のみ。
それがここにあったからわざわざ私が取りに来たというのに、このような所で奴らがやってくるとは。
誰が使ったかはわからないが、砂塵も反転魔法で掻き消されている。
王国に新要素を持っている人間はほとんどいなかったと思ったんだけどな。
「【傲慢】、【暴食】が帝国の首都で赤胴を見つけたそうです。確保し即座にゲートを通して持ち帰るように命令をしました」
「【嫉妬】か。いいか、今からここに王国の連中が来る。私が相手をしておくので貴様は手を出すな」
「何故ですか? あなたほどの力を持っていながら、あのような田舎者共と戦うようなこと、する必要も無いと思われるのですが」
「だからだよ。私は絶対に負けない強さを持っている。ならばどれだけ力を使わずに雑魚共をひねれるか、そんな遊びをするのも一興じゃあないか」
「……老害の私にはわかりかねますが、それでも【傲慢】がそう仰るのなら私は手出しは致しません。ぜひ心ゆくままお遊びくださいませ」
「言われなくともそうするつもりだ。貴様は【色欲】とともに行動しろ。あいつは確か、【強欲】の後を追っていたはずだよな? お前達二人であいつを連れ戻してこい。あいつにはまだ、利用価値がある」
「あのようなものに構うのは私としてはかなりの心労なのですが、まぁ、やつに利用価値があるのは私も重々承知しております故、早急に連れ戻してまいります」
「気をつけろよ。奴の神位は貴様より圧倒的に上だ。場合によっては貴様が死ぬ可能性だってある。貴様には計画の要になってもらわなければ困るのだ。失敗は絶対に許さない」
「感涙でございます! 【傲慢】が私のことを心配してくださるとは! しかし心配には及びません。私の能力は勝てないことはあっても、負けることはありませんから!」
「……そうか。まあいいだろう。では行け」
「はっ」
愛も変わらず扱いにくいやつだ。もう少し反抗的なくらいが人としては扱いやすいのだが。
……この世界に来てから3年。人体実験を繰り返され、迫害された3年。
私達は必ず復讐を遂げ、元の世界に帰るんだ。【暴食】と一緒に。
その為にも、私達の邪魔をするやつらは潰すし、利用を出来るものは全て利用する。
たとえ、その結果がこの世界を滅ぼすことになるのだとしても。
過去に六皇達が大規模な戦いをした時に、風皇リンテンナー・フナーゴがかけた『分裂』の要素の魔法によって、触れた人間を要素レベルまで分解する砂塵に囲まれ、その砂塵の中は荒れ果てた砂漠へと変わった。
弱点・反転魔法『天変地異』』
おいおい天変地異とか初期中の初期やん。六皇とか大それた名前つけられといてその程度なんか。その程度の強さなんか。
そう言ってやったら
「は!? て、天変地異!? 反転魔法の中でも上位の魔法じゃないか!? よくそんなものを初期中の初期とか言えるね!?」
と、クトゥルフに言われてしまった。
いや、だって一番はじめに覚えたのが天変地異なんだよ……
たまたま一番はじめに覚えちゃったんだよ、初期魔法だと思ってたんだよ……
『ただの天然ごときに扱えるような代物ではないはずだ。つまりこいつはただの天然ではない。天才という奴なのだろう』
クトゥルフさんが褒めてくれてんのはいいんだけど半分馬鹿にされてる気しかしない……
虐められとるんじゃー、泣きたいんじゃー……
さぁ、それはそれとしてさっさとこの砂塵の中の分解魔法の要素を中和して消さなくてはならない。
「……なんだか腑に落ちないけど、仕方ないからさっさと中和するか……」
……はぁ、モチベ下がるわー。
「反転魔法『天変地異』」
俺がそう唱えた瞬間、砂塵の動きが止まり、轟音を放ちながら砂の雨となって降り注いだ。
うわまじかよ、そういうのマジでいらないんだけどなぁ……
「断絶魔法『空間分離』」
「激流魔法『豪雨の滝登り』!」
俺の詠唱に今代クトゥルフが被せてきた。範囲ミスっちゃったから断絶した空間に噴水が噴き上がって空間の天井から滴り落ちるという最悪の状況に陥ってしまった……
……全身水だらけだし、止めてくれないから膝あたりまで水で埋まってんだけど……
しかたない。砂の雨も降り終わったようだし、空間断絶を解除するか。
「クトゥルフさんよぉ、頑張んのはいいけど周囲に影響のない魔法使おうや」
「す、すまない……」
「まぁいいや。陽魔法『日照』」
言わばお洗濯魔法で服を乾かしていく。
持ってきたのが魔法銃で良かったな。火縄銃とかだったら一発アウトだぞおい。
それにしても、さてさてこれはどういう事さね。
「な、なんなんです、これは? 砂漠に埋もれた、廃墟?」
砂塵をどかして目の前に広がっていたのは、かつてかなり栄えた跡を残して砂に埋もれる廃墟の街の姿だった。
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まさか、山越えではなくこちらから来たか。
私としては王国にもう用はない。白爪と黒腕が別のものの手に渡っていた以上、命神の神殿への扉を開く鍵はあと一つ、赤胴のみ。
それがここにあったからわざわざ私が取りに来たというのに、このような所で奴らがやってくるとは。
誰が使ったかはわからないが、砂塵も反転魔法で掻き消されている。
王国に新要素を持っている人間はほとんどいなかったと思ったんだけどな。
「【傲慢】、【暴食】が帝国の首都で赤胴を見つけたそうです。確保し即座にゲートを通して持ち帰るように命令をしました」
「【嫉妬】か。いいか、今からここに王国の連中が来る。私が相手をしておくので貴様は手を出すな」
「何故ですか? あなたほどの力を持っていながら、あのような田舎者共と戦うようなこと、する必要も無いと思われるのですが」
「だからだよ。私は絶対に負けない強さを持っている。ならばどれだけ力を使わずに雑魚共をひねれるか、そんな遊びをするのも一興じゃあないか」
「……老害の私にはわかりかねますが、それでも【傲慢】がそう仰るのなら私は手出しは致しません。ぜひ心ゆくままお遊びくださいませ」
「言われなくともそうするつもりだ。貴様は【色欲】とともに行動しろ。あいつは確か、【強欲】の後を追っていたはずだよな? お前達二人であいつを連れ戻してこい。あいつにはまだ、利用価値がある」
「あのようなものに構うのは私としてはかなりの心労なのですが、まぁ、やつに利用価値があるのは私も重々承知しております故、早急に連れ戻してまいります」
「気をつけろよ。奴の神位は貴様より圧倒的に上だ。場合によっては貴様が死ぬ可能性だってある。貴様には計画の要になってもらわなければ困るのだ。失敗は絶対に許さない」
「感涙でございます! 【傲慢】が私のことを心配してくださるとは! しかし心配には及びません。私の能力は勝てないことはあっても、負けることはありませんから!」
「……そうか。まあいいだろう。では行け」
「はっ」
愛も変わらず扱いにくいやつだ。もう少し反抗的なくらいが人としては扱いやすいのだが。
……この世界に来てから3年。人体実験を繰り返され、迫害された3年。
私達は必ず復讐を遂げ、元の世界に帰るんだ。【暴食】と一緒に。
その為にも、私達の邪魔をするやつらは潰すし、利用を出来るものは全て利用する。
たとえ、その結果がこの世界を滅ぼすことになるのだとしても。
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