最強転生者の異世界無双
休養日6
俺の目の前でアリーシャとギルドマスターがにらみ合っている。
俺は今、以前旅団の馬鹿と戦った決闘場の舞台の上にいる。え?何で観客席じゃなくて舞台の上にいるかって?簡単な話だ。旅団を超える実力を持つ2人の戦いにおいて、いざという時に止めに入ることができるのが旅団メンバーを圧倒した俺しかいない、とギルドマスターが懇願してきたからだ。
師弟の喧嘩に俺を巻き込みやがって!この借りはいつか必ず返してもらわなくては!
まあ、両親以外で見る実力者だ。というかそこそこの実力者同士の戦いを見るのはこれが初めてかもしれない。
アリーシャは剣を抜いているのに対して、ギルドマスターは素手だ。相手を侮るようなやつではないから、アレがギルドマスターのスタイルなのだろう。
そんなことを考えていると、2人が話し出した。
「師匠、ついに弟子が師匠を超えるときが来た。覚悟して」
「アリーシャ、確かに強くなったみたいだが、まだ負けるわけにはいかんな」
『うおおおおお!アリーシャちゃんがんばれ!』
『アリーシャ!そんなゴリラぶっ飛ばしちまえ』
野次馬が叫び2人に声援を送る。…アリーシャにしか送ってなかった。
さてと、
「2人とも準備はいいか?」
「大丈夫」
「おう」
2人も準備できたみたいだし、そろそろ始めるか。
「それでは『閃光』アリーシャ対『豪鬼』モルドの対決を執り行う。両者が懸けるものは互いの誇り、両者依存はないか?」
「「ない」」
「それでは、はじめ!」
始まると同時にスピードに自信のあるアリーシャが一直線に駆け抜ける。だが、ギルドマスターも衰えたとはいえそれでも尚Sランクの最高峰。一般人には消えたようにしか見えないだろうスピードをしっかりと認識している。ギルドマスターはそのままアリーシャに向けて拳を放った。だが、アリーシャは姿勢を前に倒してそれを避ける。が、ギルドマスターはそれを読んでいたのか放った拳の勢いを緩めることなく増したにたたきつけた。
ドオオォオオン!
決闘場全体がゆれたような衝撃が広がり、煙が立ち込めた。
「さすがSランクといったところか。ギルドマスター、そしてアリーシャも」
煙が晴れた先では最初のような距離感を保った2人の姿があった。
「アレを避けるだけでなく反撃をするとはとはやはり成長しているな、アリーシャ」
そういうギルドマスターの足は浅く切れている。そうあの瞬間回避が間に合わないと思ったアリーシャは、さらに前に飛び出してギルドマスターの足を斬りにいった。だが、不意をついたとはいえギルドマスターも魔力を足に流し強化した。だがそれがアリーシャの狙いだった。剣を添えたギルドマスターの足を軸にして跳び、回避速度を上げて回避したのだ。
「当然」
ギルドマスターの賞賛に対して余裕の雰囲気を醸し出すアリーシャ。だが、その頬には冷や汗が流れている。両者の実力は拮抗しているが、お互い防御よりも攻撃に重きを置くタイプなのですぐに決着がつくだろう。
「次は倒す」
「やってみろ」
アリーシャが再び飛び出す。ギルドマスターは今度は蹴りを放った。その蹴りを後ろに飛ぶことでかわし、一瞬アリーシャはとてつもない魔力を放出した。次の瞬間ギルドマスターは後ろに飛んでいった。
俺はギルドマスターに近づき、気絶を確認すると叫んだ。
「そこまで!モルドの気絶によりこの決闘はアリーシャの勝利とする」
その宣言を聞いたアリーシャは嬉しさによる笑みを我慢しようとしているができなかったような顔で微笑んでいた。
******
数時間後、ギルマスターも目が覚め、俺とアリーシャ、ギルドマスターはギルドマスターの部屋に来ていた。
そこでギルドマスターがアリーシャに話しかけた。
「お前とんでもなく強くなったな」
「がんばった。でも師匠は昔より弱くなってた」
どことなく不満そうなアリーシャの言葉にギルドマスターは苦笑いしながら言い返した。
「しょうがねえだろ。俺も今はギルドマスターなんかやっているもんで事務仕事もあるんだよ」
「でも鍛えることをサボったのも事実」
「ウッ、ま、まあそんな考え方もできないことはないな」
そんなギルドマスターの言い訳を聞いて俺とアリーシャは笑った。
ギルドマスターはしばらく恥ずかしそうにしていたが、落ち着くとアリーシャに問いかけた。
「アリーシャ、お前が最後に見せたあの技はなんだ。今までのお前スピードと段違いだったぞ」
「師匠でも私の秘剣『紅月』は教えられない」
「何じゃそりゃ。ユーマはわかるか?」
「ある程度想像できているが言っていいのか?」
アリーシャの秘剣なので、一応聞いておく。
するとアリーシャは頷いた。
「わかるなら言ってもいいよ」
そういいながらアリーシャはいたずらっぽく微笑んだ。
それに苦笑しながら俺は自分の考えを話し始めた。
「たぶん、アリーシャのスピード自体は大して変わっていない」
「馬鹿な。俺にはまったく見えなかったぞ」
「それについては恐らく…誘導、だろうな」
「誘導?」
「ああ、攻撃の前にアリーシャがとてつもない魔力を放出していただろう?あれによって自分はここにいる、と自身の存在感を高めたんだ。その後、瞬間的に魔力の放出を完全に絶ったんだ。普段自然に流れ出る魔力も含めて」
「それで?」
「すると今まで圧倒的な存在感を持っていたものが突然消えたから一瞬認識できなくなった。作り出された意識の死角であるその一瞬にアリーシャは距離を詰め、ギルドマスターを攻撃した。だが、ギルドマスターは意識の外側でも感じ取っていたんだろう。無意識に全力で体を強化した。結果防げはしなかったが、重傷にはならなかったんだと思う。どうだ、アリーシャ?」
アリーシャに尋ねると不満そうにつぶやいた。
「むぅ、正解。まさか当てられるとは思わなかった」
そんな様子に今度は俺とギルドマスターが笑った。
その後しばらく談笑をしていると、外は日が沈みそうになっていたので俺は二人に告げた。
「じゃあ、俺はそろそろ帰るよ」
「ん、そうか。じゃあ、またな」
「ばいばい」
「おう、じゃあな2人とも」
そう言うと俺はギルドマスターの部屋を出て、下にいたミリーナさんにも挨拶をして帰路に着いた。
俺は今、以前旅団の馬鹿と戦った決闘場の舞台の上にいる。え?何で観客席じゃなくて舞台の上にいるかって?簡単な話だ。旅団を超える実力を持つ2人の戦いにおいて、いざという時に止めに入ることができるのが旅団メンバーを圧倒した俺しかいない、とギルドマスターが懇願してきたからだ。
師弟の喧嘩に俺を巻き込みやがって!この借りはいつか必ず返してもらわなくては!
まあ、両親以外で見る実力者だ。というかそこそこの実力者同士の戦いを見るのはこれが初めてかもしれない。
アリーシャは剣を抜いているのに対して、ギルドマスターは素手だ。相手を侮るようなやつではないから、アレがギルドマスターのスタイルなのだろう。
そんなことを考えていると、2人が話し出した。
「師匠、ついに弟子が師匠を超えるときが来た。覚悟して」
「アリーシャ、確かに強くなったみたいだが、まだ負けるわけにはいかんな」
『うおおおおお!アリーシャちゃんがんばれ!』
『アリーシャ!そんなゴリラぶっ飛ばしちまえ』
野次馬が叫び2人に声援を送る。…アリーシャにしか送ってなかった。
さてと、
「2人とも準備はいいか?」
「大丈夫」
「おう」
2人も準備できたみたいだし、そろそろ始めるか。
「それでは『閃光』アリーシャ対『豪鬼』モルドの対決を執り行う。両者が懸けるものは互いの誇り、両者依存はないか?」
「「ない」」
「それでは、はじめ!」
始まると同時にスピードに自信のあるアリーシャが一直線に駆け抜ける。だが、ギルドマスターも衰えたとはいえそれでも尚Sランクの最高峰。一般人には消えたようにしか見えないだろうスピードをしっかりと認識している。ギルドマスターはそのままアリーシャに向けて拳を放った。だが、アリーシャは姿勢を前に倒してそれを避ける。が、ギルドマスターはそれを読んでいたのか放った拳の勢いを緩めることなく増したにたたきつけた。
ドオオォオオン!
決闘場全体がゆれたような衝撃が広がり、煙が立ち込めた。
「さすがSランクといったところか。ギルドマスター、そしてアリーシャも」
煙が晴れた先では最初のような距離感を保った2人の姿があった。
「アレを避けるだけでなく反撃をするとはとはやはり成長しているな、アリーシャ」
そういうギルドマスターの足は浅く切れている。そうあの瞬間回避が間に合わないと思ったアリーシャは、さらに前に飛び出してギルドマスターの足を斬りにいった。だが、不意をついたとはいえギルドマスターも魔力を足に流し強化した。だがそれがアリーシャの狙いだった。剣を添えたギルドマスターの足を軸にして跳び、回避速度を上げて回避したのだ。
「当然」
ギルドマスターの賞賛に対して余裕の雰囲気を醸し出すアリーシャ。だが、その頬には冷や汗が流れている。両者の実力は拮抗しているが、お互い防御よりも攻撃に重きを置くタイプなのですぐに決着がつくだろう。
「次は倒す」
「やってみろ」
アリーシャが再び飛び出す。ギルドマスターは今度は蹴りを放った。その蹴りを後ろに飛ぶことでかわし、一瞬アリーシャはとてつもない魔力を放出した。次の瞬間ギルドマスターは後ろに飛んでいった。
俺はギルドマスターに近づき、気絶を確認すると叫んだ。
「そこまで!モルドの気絶によりこの決闘はアリーシャの勝利とする」
その宣言を聞いたアリーシャは嬉しさによる笑みを我慢しようとしているができなかったような顔で微笑んでいた。
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数時間後、ギルマスターも目が覚め、俺とアリーシャ、ギルドマスターはギルドマスターの部屋に来ていた。
そこでギルドマスターがアリーシャに話しかけた。
「お前とんでもなく強くなったな」
「がんばった。でも師匠は昔より弱くなってた」
どことなく不満そうなアリーシャの言葉にギルドマスターは苦笑いしながら言い返した。
「しょうがねえだろ。俺も今はギルドマスターなんかやっているもんで事務仕事もあるんだよ」
「でも鍛えることをサボったのも事実」
「ウッ、ま、まあそんな考え方もできないことはないな」
そんなギルドマスターの言い訳を聞いて俺とアリーシャは笑った。
ギルドマスターはしばらく恥ずかしそうにしていたが、落ち着くとアリーシャに問いかけた。
「アリーシャ、お前が最後に見せたあの技はなんだ。今までのお前スピードと段違いだったぞ」
「師匠でも私の秘剣『紅月』は教えられない」
「何じゃそりゃ。ユーマはわかるか?」
「ある程度想像できているが言っていいのか?」
アリーシャの秘剣なので、一応聞いておく。
するとアリーシャは頷いた。
「わかるなら言ってもいいよ」
そういいながらアリーシャはいたずらっぽく微笑んだ。
それに苦笑しながら俺は自分の考えを話し始めた。
「たぶん、アリーシャのスピード自体は大して変わっていない」
「馬鹿な。俺にはまったく見えなかったぞ」
「それについては恐らく…誘導、だろうな」
「誘導?」
「ああ、攻撃の前にアリーシャがとてつもない魔力を放出していただろう?あれによって自分はここにいる、と自身の存在感を高めたんだ。その後、瞬間的に魔力の放出を完全に絶ったんだ。普段自然に流れ出る魔力も含めて」
「それで?」
「すると今まで圧倒的な存在感を持っていたものが突然消えたから一瞬認識できなくなった。作り出された意識の死角であるその一瞬にアリーシャは距離を詰め、ギルドマスターを攻撃した。だが、ギルドマスターは意識の外側でも感じ取っていたんだろう。無意識に全力で体を強化した。結果防げはしなかったが、重傷にはならなかったんだと思う。どうだ、アリーシャ?」
アリーシャに尋ねると不満そうにつぶやいた。
「むぅ、正解。まさか当てられるとは思わなかった」
そんな様子に今度は俺とギルドマスターが笑った。
その後しばらく談笑をしていると、外は日が沈みそうになっていたので俺は二人に告げた。
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「ん、そうか。じゃあ、またな」
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