こんなふざけた裁判に弁護士なんていらない!

Len Hat

第一章 第4.5話【訃報が齎したもの】

椿が治安維持局に拘束されてすぐに記者たちによってローネリアン中にサンディー・リグイース氏の訃報を伝えられた.人々が彼の死に悲しんでいる中で様々な場所で行動に移そうとするものたちがいた.

事件発生から裁判開廷までの間,とある一室にて
「待たせたね,エディ」と女性がキャスケットを被った少女に声を掛けた
「随分かかったわね.いいカモでもみつかったの?ジェッキー」と二人のやりとりが始まった.
「パブで一人見つけたわ.傲慢そうな富豪よ」
「へぇ,パブっていつものところ?」
「えぇ,そうよ」
「じゃあ,この新聞は見た?」と新聞を見せた.
「そういえば新聞配りの子共たちが号外だと騒いでいたわね」
「もしかして,傲慢な富豪って彼のこと?」と新聞に掲載された写真を指さした.
「その通り,なら私たちがすることは?」と問いかけた.
「彼の死で彼の家族や会社は大混乱の内に済ませる」と端的に言った.
「さすがエディね,それじゃあ,後はよろしく」とウィンクした.
「相変わらず人使いが荒いわね.わかったわ.急いでみんなに伝えるわ.場所は?」とため息をついた
「今から30分後リグイース邸にて」と残し,その場を去った.

また,テラスカフェでは
「思ったより早かったね.マキ」
「で,私に何か用?ラメリア」と小声で言った.
「ここではラミってよんで」と小声で返した.
「ラミ,依頼って何?」と本題に入った.
「号外は見たかしら,あのリグイースが死んだわ」と新聞を見せながら言った.
「そう,依頼はその件と関係あるの?」と質問すると
「もちろん関係ある.だから,今すぐリグイース邸に向かって書類を拝借してきて」と内容を話した.
「書類って?」と疑問を口にすると
「彼の会社に関する記録よ.あるだけ全部」と簡潔に答えた.
「手段は?」と説明を要求した.
「カフェの裏にロアの馬車が控えているわ.中に必要なものは全て揃えてある.」と親指でカフェの裏側を指しながら,説明した.
「了解」と残すと席を立ち,そのまま裏の方に行ってしまった.
立ち去る彼女に「ご武運を」と残した.

一方,屋敷では二人の紳士の間で話し合いが行われた.
「何!?サンディーが死んだだと」
「はい,そのようです。閣下どうされますか?」
「...」と沈黙した.
「閣下!」と
「彼らに今すぐサンディー邸に行くよう伝えろ」
「今すぐですか?」
「内容は彼らに伝えてある.早く行け.」
「屋敷のものに連絡はどうされますか?」と
「これから連絡する.いいから彼らに早く伝えろ」と急がせた
「はい...かしこまりました。」とすぐさま立ち去った.
その後,
「一体,だれがサンディーを...」と窓から見える空を見つめていた

もう一方の広場では,二人のやりとりが始まっていた.
「シャーロットさん見ました.新聞」とに話しかけた.
「あぁ,号外のことだね」と軽く返した.
「えぇそうです.東洋人によって殺害されたらしいようですが,どう思いますか?」と答ええを求めた.
「殺人者によりも被害者のサンディー氏の方が気になるな」と写真を見つめた
「どうしてですか?」と首をかしげた.
「金融機関のトップと同時に裏で貧しいものから財産を巻き上げる高利貸しという黒い疑惑にまみれた男.普通気にならないかい?」と少しほくそ笑んだ
「まぁそれは,確かに気になりますけど」とまた首をかしげた.
「それでは向かうとしようか」と話を切り上げた.
「えっ,どこにですか?」と彼女に聞くと
「彼の会社だよ.サンディー氏が亡くなった今,容易に入れるだろう」と簡潔に答えた.
「なるほど,そこで真意を確かめるのですね.」とようやく話の内容を理解した.
「あぁ,さっそく馬車を呼んでくれ」と相手を駒のように扱った.
「了解です.シャーロットさん」と急いで馬車を捕まえに向かった.
二人が立ち去った後,ハンチングを被った女性が
「ほほぅ,これは特ダネになるぞ」と手帳にペンを走らせながら,言った.
「明日の一面を飾るにはあの二人より早く行かないと」とその場を立ち去った.

こうして,一つの訃報によって酒場で起きた単純な殺人事件に徐々に黒い影が差し込んでいた.

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