異世界転移!~俺は金(マネー)で強くなる!~
二十六話:マネー男と迷宮の一週間①
朝、俺はあくびをして伸びをする事で一日を始めた。昨日までは所有マネーが九十五万六千二百だったのだが、中の二百をラフェエニルに譲った。
その日は眠かったので活動はそれだけで終わった。国王と第二王女との面会だけで神経がいくつか抜かれた気分になる。
そのため自分が起きたのが正午であると気付いたのすらも起きてから五分後。
「疲れすぎだろ……おーいルーフェ、レージスト、ラフェニ。ってお前らもう起きてんのかよ。俺だけ恥かいたみたいじゃねえか」
「そうじゃないのよ。相談をしてたの。ほら、禁書庫の使用権を貰ったでしょ? そこで組織とか歴史とか、そう言うのを調べるか、っていう」
「それやっぱ俺が恥ずかしい奴じゃん。絶対このパターンは俺を起こそうとしたけど起きなかったから先に進めた、っていうテンプレートだろ?」
「うん……起きなかった……だから……先に進めた……次はちゃんと起きる……」
「はいっ、すみませんでしたっ!?」
ルーフェの無言の圧力が俺の豆腐なハートに突き刺さる。最も、痛いのは突き刺さった瞬間でありダメージはさほどないのだが。
それにしても、禁書庫の使用権か。あの魔王の娘の子が迷宮の使用権を貰ったが、先に魔界に帰ってしまったため、俺としてはせっかくなのでそちらで力を磨きたかったのだが。
まあ、組織の方も本気で俺達を狙っているのは間違いないだろう。安全を取るか、戦力の向上を取るか。
はっきり言って、どちらも捨てがたい。しかし禁書庫なんて一日しか使用時間がないのだ。使用許可券に現在使用時間を表示されるシステムがあるため、アラームが鳴れば例え良いところを見ていたとしても強制送還である。
今日はもう正午だ。二十四時間丁度図書館にこもらないと、半分に分ければいい所が来た時に強制送還される可能性が高まるからだ。
「俺としてはやっぱ迷宮に行きたいな。報酬も貰えるし、何よりギルドには多額の報酬が貰える迷宮探索依頼がごろごろ転がってる。迷宮は攻略率が低いけどアイテムは高級だからな。一攫千金が出来そうで楽しみだったんだ」
「はいはい。相変わらず長々と金に対する愛を述べないで。確かにそれはそうかもしれないけれど……」
「女神殿、第二のマイマスターの話を聞いた方が宜しいかと思います。今の時間は確かに微妙だと思いますからね……」
「っていうかそれも俺のせいかよちくしょーっ!!」
俺の叫びが木霊する家の中だが、女神は相手にしてくれないし、騎士は黙って考え込むし、魔女は呆れた視線しか向けてくれないし……。
ラフェエニルがちょろいいじられキャラになるとか昔は言っていたが、このままだと俺がそうなるんじゃないかと不安である。
それにしても、迷宮行きが決定したとなれば、今日一日は籠ろうではないか。
「よし……ワタシも強くなる……迷宮に行こう……ケンキの決断に従う」
「よっしゃ行くぞ。この前メリアから聞いた話だと迷宮にはガンガン良いアイテムがあるしそれを求める貴族も多いらしい。魔物が強い代わりに一度にがっぽり稼げちまうからな、ステータス増強手段が半端ない俺にとっては最弱な魔物を倒してその十倍の金が貰える形だぜ!」
「だから、金について熱く語らなくていいのよ。でも迷宮の魔物のレベルって、私に追いつくくらいなんでしょ? ボスともなれば互角じゃない」
「大丈夫大丈夫。互角でやり合う事こそロマンじゃね?」
「自分じゃないからそうでしょうねっ! まあ、私は女神よ、問題は無いわ!」
そう強がっているが、危なくなったらもちろん助けるつもりだ。ラフェエニルと迷宮の実力差だが、十層までは瞬殺のペースだ。
ニ十層からはやや手こずり、ラフェエニルと互角の魔物が出てくるのは三十層以降だろう。そう考えると、俺の実力があり得ないと思えて来る。
……あれ、となると、八十層以降に至った第二王女アーシアのステータスは少なくとも一万は超えているという事になるのか。
それはやばい。戦争で勝てるわけだ。
俺達は考えを振り払うかのようにそそくさと家を出て、ギルドへ向かう。相変わらず受付嬢サテラが笑顔で受付をしていた。
丁度受付が開いたばかりだったので、迷宮に関する依頼の羊皮紙を両手いっぱいに持った俺は仲間と共に受付に向かう。
「よう。こいつら全部受けるわ。一週間迷宮貸し切りに出来るらしいからな、一週間でこいつ全部集めてきてやる。安心しろ、失敗はしない」
「こ、これだけですか。分かりました。そう言えばケンキさん達のチーム、Bランクになったんですよ。ですからその中の全ての依頼が受けられます。Aランクも混ざってますが、ひとつ上の依頼でしたら……担当の受付嬢の目によって遠征が定められますので」
サテラがふんわりとした微笑みを浮かべてくる。ひとつ上の依頼を受けるとき、その冒険者がその依頼にふさわしいかどうかは、担当する受付嬢によって決まる。
その冒険者が死亡すればその受付嬢は即座にそのギルドから追放になるだろう。何故なら受付嬢になるためのラインはとても厳しいからだ。
それにしても、彼女の目を通り過ぎたのは有難い。彼女はマドンナだ。数々の有力な、劣等な冒険者を見てきたはずである。
俺は普通に彼女に感謝しながら、まだ見ぬ迷宮へと思いをはせた―――。
その日は眠かったので活動はそれだけで終わった。国王と第二王女との面会だけで神経がいくつか抜かれた気分になる。
そのため自分が起きたのが正午であると気付いたのすらも起きてから五分後。
「疲れすぎだろ……おーいルーフェ、レージスト、ラフェニ。ってお前らもう起きてんのかよ。俺だけ恥かいたみたいじゃねえか」
「そうじゃないのよ。相談をしてたの。ほら、禁書庫の使用権を貰ったでしょ? そこで組織とか歴史とか、そう言うのを調べるか、っていう」
「それやっぱ俺が恥ずかしい奴じゃん。絶対このパターンは俺を起こそうとしたけど起きなかったから先に進めた、っていうテンプレートだろ?」
「うん……起きなかった……だから……先に進めた……次はちゃんと起きる……」
「はいっ、すみませんでしたっ!?」
ルーフェの無言の圧力が俺の豆腐なハートに突き刺さる。最も、痛いのは突き刺さった瞬間でありダメージはさほどないのだが。
それにしても、禁書庫の使用権か。あの魔王の娘の子が迷宮の使用権を貰ったが、先に魔界に帰ってしまったため、俺としてはせっかくなのでそちらで力を磨きたかったのだが。
まあ、組織の方も本気で俺達を狙っているのは間違いないだろう。安全を取るか、戦力の向上を取るか。
はっきり言って、どちらも捨てがたい。しかし禁書庫なんて一日しか使用時間がないのだ。使用許可券に現在使用時間を表示されるシステムがあるため、アラームが鳴れば例え良いところを見ていたとしても強制送還である。
今日はもう正午だ。二十四時間丁度図書館にこもらないと、半分に分ければいい所が来た時に強制送還される可能性が高まるからだ。
「俺としてはやっぱ迷宮に行きたいな。報酬も貰えるし、何よりギルドには多額の報酬が貰える迷宮探索依頼がごろごろ転がってる。迷宮は攻略率が低いけどアイテムは高級だからな。一攫千金が出来そうで楽しみだったんだ」
「はいはい。相変わらず長々と金に対する愛を述べないで。確かにそれはそうかもしれないけれど……」
「女神殿、第二のマイマスターの話を聞いた方が宜しいかと思います。今の時間は確かに微妙だと思いますからね……」
「っていうかそれも俺のせいかよちくしょーっ!!」
俺の叫びが木霊する家の中だが、女神は相手にしてくれないし、騎士は黙って考え込むし、魔女は呆れた視線しか向けてくれないし……。
ラフェエニルがちょろいいじられキャラになるとか昔は言っていたが、このままだと俺がそうなるんじゃないかと不安である。
それにしても、迷宮行きが決定したとなれば、今日一日は籠ろうではないか。
「よし……ワタシも強くなる……迷宮に行こう……ケンキの決断に従う」
「よっしゃ行くぞ。この前メリアから聞いた話だと迷宮にはガンガン良いアイテムがあるしそれを求める貴族も多いらしい。魔物が強い代わりに一度にがっぽり稼げちまうからな、ステータス増強手段が半端ない俺にとっては最弱な魔物を倒してその十倍の金が貰える形だぜ!」
「だから、金について熱く語らなくていいのよ。でも迷宮の魔物のレベルって、私に追いつくくらいなんでしょ? ボスともなれば互角じゃない」
「大丈夫大丈夫。互角でやり合う事こそロマンじゃね?」
「自分じゃないからそうでしょうねっ! まあ、私は女神よ、問題は無いわ!」
そう強がっているが、危なくなったらもちろん助けるつもりだ。ラフェエニルと迷宮の実力差だが、十層までは瞬殺のペースだ。
ニ十層からはやや手こずり、ラフェエニルと互角の魔物が出てくるのは三十層以降だろう。そう考えると、俺の実力があり得ないと思えて来る。
……あれ、となると、八十層以降に至った第二王女アーシアのステータスは少なくとも一万は超えているという事になるのか。
それはやばい。戦争で勝てるわけだ。
俺達は考えを振り払うかのようにそそくさと家を出て、ギルドへ向かう。相変わらず受付嬢サテラが笑顔で受付をしていた。
丁度受付が開いたばかりだったので、迷宮に関する依頼の羊皮紙を両手いっぱいに持った俺は仲間と共に受付に向かう。
「よう。こいつら全部受けるわ。一週間迷宮貸し切りに出来るらしいからな、一週間でこいつ全部集めてきてやる。安心しろ、失敗はしない」
「こ、これだけですか。分かりました。そう言えばケンキさん達のチーム、Bランクになったんですよ。ですからその中の全ての依頼が受けられます。Aランクも混ざってますが、ひとつ上の依頼でしたら……担当の受付嬢の目によって遠征が定められますので」
サテラがふんわりとした微笑みを浮かべてくる。ひとつ上の依頼を受けるとき、その冒険者がその依頼にふさわしいかどうかは、担当する受付嬢によって決まる。
その冒険者が死亡すればその受付嬢は即座にそのギルドから追放になるだろう。何故なら受付嬢になるためのラインはとても厳しいからだ。
それにしても、彼女の目を通り過ぎたのは有難い。彼女はマドンナだ。数々の有力な、劣等な冒険者を見てきたはずである。
俺は普通に彼女に感謝しながら、まだ見ぬ迷宮へと思いをはせた―――。
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