異世界転移!~俺は金(マネー)で強くなる!~

なぁ~やん♡

二十三話:マネー男と報酬

 本日はよくぞ隣国を……などと国王スメンが言っているが俺は報酬のことで頭がいっぱいだ。謁見の場なのにどうしてこんなことが出来るのか。
 それは俺の隣にラフェエニルやフェルシアがいるからという理由もある。

 いざとなれば相当名高いフェルシアが守ってくれる約束だ。勿論その約束をしたのはリエイスだ。幼女がなければ動かない彼女が何故此処に駆けつけたのか。
 謎は広がるぅ!
 俺の金の力の前にひれ伏せ。訳:いつか理由を聞かせてくれ。

「それで、報酬なんだが……」

「はい」

 ラフェエニルが答える。
 レージストとルーフェが一度跪き、スメンが良い、というとすくっと立つ。

 事前にリハーサルを済ませたもので、報酬もすでに決めてある。金が本命なのはそうだが、皆がまだやりたいこともあるそうで。
 そのおかげで金の報酬を減らした俺はとてもとても優しいのである。

「俺は……金を希望します」

「その功績にあった金銭を貴様にやろう。テーシルが無事に自分の国へ帰っていけたのも、兵士を無力化して返せたのも貴様のおかげだからな」

「ありがたき幸せ……」

 テーシルは次元収納の中から転移することができることを知った俺とスメンは、フェルシアに頼んで転移で戻してもらったのだ。
 主に頼んだのはリエイスだということも付け加えておこう。

 ちなみにあの後テーシルの精神がどうやらおかしくなってしまったようで、優しい優しいスメン様が優秀な医師を送り込んでやっている。

「私からもお願いがあります。禁書庫を見せてもらえませんか? 期限は……そうですね、一日くらいでもいいですから」

「ふむ。一日ならあれほどの冊数は読み切れんだろうな。一日ならば許そう。ただし、禁書庫のさらに奥にある禁断魔術の本は一時間も入ってはいけない」

「それは分かります」

 禁断魔術とは、昔大賢者と大魔王の両方が取得していた最強魔術。しかし、禁断魔術が失われた後その文献は大賢者の頼みで封じられた。
 彼女は恐らく、苦い思い出のあるその魔術を拡散して欲しくは無かったのだろう。

 禁書庫は神界や魔界に住む者達が使う魔術が記されており、人間ではそれを取得するのは困難だ。でもいないわけではないので一安心。

 ラフェエニルの報酬が通って一安心だ。額に青筋を浮かべている貴族がいらっしゃるのだが大丈夫なのかな?

 俺達がしたいことについてはひとまず置いておこう、現在は「誘い出す」ことに専念しなくてはならない。勿論言った報酬は全て払われる。

「わたくしは、迷宮をひとつ貸し切りにしたいの!」

「迷宮、か。今回ケンキ殿と同等に活躍していたリエイス殿ならば……一週間ほどならば貸し切りは許そう。迷宮の壁を破壊する許可も出しておこう」

 にやり、とスメンは笑った。
 何がしたいのかは恐らく此処に居る者の……「あそこにいる」バカ以外はきっと分かっているだろう。
 迷宮とはダンジョンのひとつ上の存在だ。

 神が昔作り出した、絶対的に破壊することができない存在。禁断魔術ならば破壊できるだろうが、それが使える者は今の所大賢者しか存在しない。
 ちなみに大魔王は大賢者に倒されているので存在しない。

「これで報酬についてはいいかね?」

「はい」

 レージストとルーフェが知りたいことは禁書庫にあるという情報は既に学習済み、なので彼らが何か言うことは無い。
 これ以上言うと、さすがに「やりすぎ」に思えるからな。

「ところで、貴族階位の希望はあるかな?」

「今の所ないですね。また功績を残したら、考えてみてもいいかもしれません」

 貴族とは、高貴で人の上に立つべき人物。それを「考えてみてもいいかもしれない」と笑顔で切り捨てる俺は、貴族の威厳を壊したと同罪だ。
 もしもこれがリハーサルで事前に伝わったものでないとしたら。

 それはそれは―――首がはねられるだろう。
 だとしても、俺の場合王宮の金全部盗んで強力なスキル買いまくって抵抗するが。

 うん。金は盗みたいけど天下はいらない。
―――思考だけでよかったものの大変なことを考えてしまった気がする。






「―――いい加減にせんかぁ!!!」





 あの頭に青筋をずっと浮かべていた貴族が、発言した。王の前で、神聖な場で、声を荒げることは本来許されてはいない。
 神聖な場に立つことができる貴族ならば―――分かっているはず。

 俺とスメン―――そしてこの場に居る者達が、皆ニヤリと笑った。

「聞いていれば貴様、それほどの功績を残していないではないか! 今すぐに金銭だけにして、取り消せ! 貴様にその量の報酬は似合わん!」

「……そうですかぁ、似合いませんですかぁ」

「健樹君」

「分かってる」

 小さい声でラフェエニルが話しかけてくる。
 重大な秘密機関に手を突っ込もうとしているのは、俺も承知なことだ。でも興味がわいてきてしまった。金以外のことに、興味を持った。
 だから最後まで続けてみたい、金以外の大切なものが、欲しい。

「じゃあ貴方には似合うというんですかね―――」


―――殺し屋さん。

 神聖な場には遥かに似合わないそんな言葉が、声高らかに俺の声帯から出ていき、鮮明に謁見の場に響き渡った。

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