異世界転移!~俺は金(マネー)で強くなる!~

なぁ~やん♡

二十一話:マネー男と行動開始

「まず」

 と言ってベレッタは真ん中にドン、と効果音が付きそうなほど大きな机に地図を広げる。ミエがその上に羊皮紙を何枚も重ねて切った磁石の、磁力ないバージョンのようなものを地図の中の場所を表すところにいくつか置いた。

 ラフェエニルはそれを見ながら置かれたところの地名と詳しい情報を教えてくれる。

「実はだが、メイシリンドの国王は異世界から転生してきた者らしいのだよ……そのためなのか野心が大きいのだが、しっかり国を治めれているというのが玉に瑕だ」

「マジかよ!? ってか、異世界ならあり得るな、まあ、うん」

 ベレッタは考え込むようにして腕を組み、発した言葉は俺を驚かせた。ラフェエニルは「エイスシストね」とあまり意味が解らない言葉を言っていた。
 国を治められているのは、恐らく地球での知識だろう。また、地球よりも発達した国から転生してきたのもあり得るのだ。
 なんにせよ、考えつくことはたくさんだ。

「そしてもうひとつ実はだが、その国王テーシル・メイシリンドも戦争に参加する、という情報が昨日手に入ったのだ。怖いぞ。これは」

「そのテーシルってのはどんなスキル持ってんだ?」

「実は……絶対能力複製スキルコピーというスキルなのだ。スキルを発動したら人のスキルを覚えられるのだよ。もはや手も付けられん」

「そう、か」

「(健樹君。それなら能力返却スキルリターンを使えば簡単に返却できるわよ。でも1000マネーを使うからそう簡単じゃないわ)」

 いわゆる俺と同じような最強のスキルということなのだろう。しかし1000マネーは金が惜しい。金を無駄遣いできるかよ、この俺が。
 まあ無駄遣いではないが。
 終わった暁には1000なんぞ雑魚に思えるほど金がもらえるのは知っている。

 ……しかし、俺には欲しいスキルがある。
 小さい声で話しかけてきたラフェエニルに頷いて一歩前へ出る。

「俺も、異世界出身だが?」

「健樹君!?」

「で、此処に居るのが俺を導いてくれた女神ラフェエニル」

「ほお」

 意外にも目の前のベレッタとミエよりもラフェエニルの方が驚いている。それがなんだかおもしろく感じて俺はくすりと笑った。
 おっさんには似合わない動作だが、そうしてしまうのだ。

「驚かねえのか?」

「いえ、驚きませんよ。最初は驚きましたけど。実は此処に居るレイタさんは二ホンという国から来た異世界人なのです」

「多いなぁとは思ったんだけどな、三人目にもなると珍しいのかよくわかんねえよ。神は何を予言してんだかなあ」

 何かが起こるから異世界に大量召喚している可能性というのはよくあるテンプレート。もしもそうだとしたら、と思いラフェエニルの方を向く。
 彼女は淋しそうに笑うが、俺の問いに答えてくれることは無かった。

 ルーフェとレージストは目を丸くしてそれを聞いている。

「俺の能力は金でスキルやステータスを増強できる、素晴らしいスキルだろ!? 金の風味がめちゃくちゃ出てる! 前から言いたかったんだ、金に埋め尽くされたい! 金で進化できるスキルなんて最高じゃないか!! うおおおっ」

「健樹君……大事な相手の前で本性を出さないでくれるかしら?」

「……勝てるスキル、ある?」

「ぜぇ、はぁ、勿論あるぜ、勿論な。でも1000マネーが必要なんだよ」

「あ、それなら大丈夫です、今からでも私が出しますね。騎士を舐めないでください、はいどうぞ。どうかこの戦いを止めてくださいね」

 話をさっさと終わらせたミエに俺はちょっと憧れたのを、覚えている。さらりと1000マネーを差し出した彼女はにこりと微笑んでいた。
 騎士が憧れられる職業なだけある理由を、俺はまたひとつ知った。

 そして興奮してしまったのは頭を下げて謝った。
 勝てるスキルがあるかと聞いたレイタの表情が苦かったのは見ていないふりをした。
 何か聞いても意味がないと思ったから。

 本心から彼らがこの国を愛しているのも分かったし、頑張れる。

 脳内で久しぶりにステータスを操作する。腕は鈍っていない。素早くモニターを操作しマネーとスキルを交換する。
 試しにラフェエニルに軽く魔術を撃ってもらってスキルを発動すると撃たれた魔術が押し返された。それからも実験すると五分に一度使えることが分かった。
 もっとレベルが上がるとこれ以上になるが、今はやめておく。

「それで、作戦会議だ。どう無力化する?」

「ひとつ考えているんですよ。今皆が持っている魔術で動作不可能ってできないか」

「重力魔術なら多少扱えるものがいますね」

「雷魔術出来る奴多い」

「土魔術で穴をあけるならみんなお得意様だぜ!」

「ちなみにユニークスキルで絶対気絶スキルを持っている者がいるのですが、それは対象を気絶させられる能力です。レベルも高くて範囲も広いですよ」

 そうか。
 さすが王国、才能がある者達が多い。それに気絶ユニークスキルも凄い物であるのは俺でもわかる。しばし考え込む。
 ラフェエニルとルーフェ、レージストとリエイスは俺を見守っている。

 リエイスは透明化魔術を使っていてミエ達には見えていない。

「前半は俺に任せろ。後半から雷でしびれさせ穴をあけ、重力で動作不能にして気絶させてほしい。みんながやりやすいように俺達が立ち回る」

「国王も私達に任せなさい。捉える必要はあるかしら?」

「相手国王様は動作不能にして貴方達が見張っていてください。私達が駆けつけるので、その時にみんなで運びます。スメン様の前に―――」

「おうめっちゃ重要な役目じゃねえか」

 現実を前にして俺は身震いした。できるかなぁ、と思ってしまう。

「失礼します! 相手軍が動き始めました―――」

「もう、ですか?」

「はい!」

 できるか、と思っていてもできるしかない。
 もう全てが動き始めていて、計画の変えようがないのだから―――。

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