異世界転移!~俺は金(マネー)で強くなる!~

なぁ~やん♡

二十話:マネー男と本物の魔術

 宮廷魔術師は国王の側近というべき者達で、戦争が起こった時やS級クエストが発見されたとき幾度も使われるこの厳しい世界ステージで重要な役目。
 国王を守ったりということもするのでその実力は推して知るべし。

 兵士は街の平穏を守るために活躍する役割。裏で活動することも多く職業としては知られにくいのもあるし平凡な仕事しか任せられない。それにほぼ護衛。
 しかし、その平凡な仕事こそ国を支えていて他の役割がスムーズに仕事が出来るようにしている。

 騎士は専門的に国王を守り、人民を守る役目を持つ。物理的戦闘に長け、宮廷魔術師よりも長く戦闘することができるのが長所。
 出歩くことが多く優しい人たちを集めていることから良い印象が高く、あこがれの職業としても人気が高い。

―――そんな絶対的人物の。

 宮廷魔術師長、レイタ。
 兵士団長、ベレッタ。
 騎士団長、ミエ。
 憧れの三職業のそれぞれの長である三人に、俺達は会うことになったのだ!

「私がミエです。騎士団長のミエ。よろしくお願いします」

「レイタ」

「オレはベレッタだ! 少年よ、これからよろしく!」

「へ、へい!」

 如何やら四人は情熱的なキャラクター? のようだ。穏やかそうに大量の黒い髪を腰まで伸ばしているミエ。最初は女性が騎士団長であることに驚いたが、これは珍しいことではあるがないことではないと言われた。
 無口だが金髪を大胆に寝ぐせまでつけているのはレイタだ。宮廷魔術師は強ければいいとも言えるのでそこまでの規則は無いらしい。
 そしてこの豪快に笑ったり人の背中をバンバン叩いてくる情熱的な男性は兵士団長ベレッタ。裏で活動しているからにはレイタくらいの無口冷酷を想像していたのだが、兵士団に限ってこのように情熱的なものが多いのだとミエとレイタは言う。

 突然だが、今俺達がいるのは宮廷魔術師長レイタが別で支給されている彼専用の会議室。レイタによると今は色々な人たちに使わせているらしい。
 そしていつの間にか公共作戦会議部屋へと変わっていったのである。

「此処は特製のミスリルを使ってる」

「レイタさん、説明が不十分です。実は聖銀と言われるミスリルですが、これは仙銀と言ってミスリルの中でも一番質が高いミスリルなんです」

「と、いうことでだが。今からオレたちがここで魔術をぶっ放す。精鋭訓練をしたことのねえ冒険者に本物ってのを見せてやるよ」

「うっす。了解です。やっちまってください!」

「ちょっと健樹君、はしゃぎすぎよ。仙銀なんて私も久しぶりに見たわ……」

 女神のラフェエニルですらめったに見ない仙銀がどれだけ珍しいか。そして宮廷魔術師長の地位がどれほどのものなのか、身をもって知った。
 改めて周りを見回してみる。
 煌めく宝石のような壁は確かに「仙」と呼べるほどのものだった。

「見たことがあるのか。そうか」

 相変わらずレイタは無表情だったが、それでも少し微笑んだ気がした。

「おっしゃレイタ、ミエ、杖持てよ、剣持てよ!!」

「ええ、勿論です」

「オレはどっちかというと魔術重視だ。兵士は両方できるのがいいってのによ」

 そう言ってベレッタは剣を持ち、その剣に風を纏わせていく。彼の話によると魔術を纏わせるのは良いのだが剣の振るい方がどうもいいと言えないらしい。
 ミエは剣を持ち、美しく一度振り回して再度構える。
 部屋は広い、多少剣を振り回したりしたくらいでは俺達まで届きはしない。

「エアシールド」

 先が曲がり、更に曲がった先に美しい紅のダイヤモンドの形をした宝石が埋め込まれている杖を構えたレイタが結界をかけてきた。
 念入りに、ということだろう。

 レイタは俺たちの方向に向けた杖を下げ、ミエに先を譲った。

「では―――私から行きます」

 ミエは構えた剣を振り回し後ろに向かって鮮やかに一回転する。

「はぁっ!」

 魔術は使っていないのに気力で剣をミスリルに刺したように見えた。しかし剣はミスリルに刺さる寸前で止められた。
 グオォ……と気力と威圧の風が沸き上がり、俺達は思わず見入ってしまった。

「はっ!!」

 クルクルと剣を操り、最後に剣を頭上に掲げたところでミエは小さくお辞儀をした。

「す、すげえ」

「ふふ、私なんてまだまだですよ……レイタさんの方が遥かに強いですから」

「行く」

 ミエが下がり、レイタが前に出て杖を構える。

「……全属性衝撃波ファイナルインパクト

「おうあっ!?」

 虹色の光が地面に向けて放たれ、俺達にかけられていた結界が壊れた。全ての攻撃が晴れた時、ミスリルにかすり傷が付いていたことが技の強さの証拠だ。
 しかし、割れてもいないしひびすら入っていない。

「おっとそろそろ時間だ。オレの攻撃は省いてもらうぜ。ただひとつ、見せてえもんがある。フラッシュ!」

「うえっ」

 終わったかと思って気を抜いた俺にベレッタは魔術を放った。フラッシュは敵の目つぶしをする専門の魔術でたった今俺も前が見えなくなった。
 光が晴れると俺に剣を突き付けているベレッタがいた。

「単に戦うんじゃ駄目だぜ? 劣等だって天才を超えるんだからよ。方法なんていくらでもあるさ、これは裏仕事をするオレらには絶好の魔術なんだ」

「そうなんですか。単に強いじゃ、ダメってことですね」

 大して異世界に感情を持っていなくて現実的に考える、に加えて想像力があった俺も俺のように「チート」と持ってこの世界に来る人たちのことを想像したことがある。
 この世界の者達は、どう思うだろうか。
 血反吐を吐くほど努力した人たちは、どう思うだろうか。

 天才だって努力しないわけじゃない。

 なのに、何も知らないのんきな者達が努力もせずに想像を絶する能力を持って現れたら、恨まずにはいられない、妬まずにはいられない。

 感じ悪い、とヒロインと一緒に恨んだものを嘲笑う主人公。
 しかし俺は感じ悪く言葉をぶつけて恨みを正面からぶつける彼らに同情していた。

「そう、ですよね」

 そして、そんな俺も異分子だ。
 自分に向けるようにつぶやいた俺の内心には、ある感情があった。

―――いいものを、見たなあ。

 知らないうちに異分子だと思っていてもこの世界に馴染んでしまっているようだ。
 相変わらず、金は最強だと思っているが。

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