異世界転移!~俺は金(マネー)で強くなる!~

なぁ~やん♡

十四話:マネー男と勝利の秘訣

 呼吸が乱れている。
 心臓の鼓動がいうことを聞かずに大きく脈打っている。
 チートが欲しい。何にも負けないチートが欲しい、金が欲しい、金が欲しい、体を埋め尽くすほどの金が欲しい――――――――――!!


 まあ、何故か狂ってしまったわけだけども……レージストもルーフェも俺からは何も感じないようだ。俺は3000マネーでちょーっとばかり強いスキルを買っていたわけで。

 すまんラフェエニル。分けれるのは2000マネーだけになるようだ。

「……インフェルノ」

 漢字で表すなら極熱地獄、といった表現が正しいだろう。火属性を使う魔術師なら誰もが憧れる上級魔術インフェルノ。
 長距離でも短距離でも遠隔でも関係なしに放つことができる。

 レージストは暑さに耐えながらもうずくまるが、ルーフェは大してダメージを受けていないようだ。ラフェエニルを人質に取ろうと歩き出そうとしている。

 なぜ俺がここまで使えたのか。俺は火属性を持ち始めてからそう経っておらず、本当は下級魔術、精々中級魔術くらいまでしか使えないはずだった。
 そこで500マネーを使って「火₊5」と進化させた。まあ属性にもランクがあって10が一番上だ。スキルの場合はAとかBで表記されるためその違いは一目瞭然。

 で、あとの2500マネーはどうしたか。鑑定スキルを300で手に入れ、1000マネーでマックスのSランクまでにカンストさせ、更に慧眼という鑑定のスキル自体の進化版を取り、200マネーでそれもCランクまで上げた。

「急に強くなった……何故?」

 ラフェエニルに手を伸ばそうをした手を引っ込めてルーフェが問う。

「俺の能力だよ。ってわけで、……行動封印」

「っ!?」

「これもだよ。―――金パワーって、すげえよな!?」

 で、残った1000マネーはこの「行動封印」に使った。上級スキルのようで獲得に500マネーも使ってしまった。文字通り指定した相手を動けなくする能力だ。
 それで500マネーつぎ込んでランクを「E」にした。上がりにくい。

 しかしもっと遠距離まで通用するようになったのでそれはまあいいだろう。

 ルーフェが怯んだ隙にマネーを手に持って風を切って刃のように切り裂く。

「ふう。やっぱ金って尊敬すべきだな」

「ルーフェ様。ルーフェ様。……マイマスター!!」

「え」

 マイマスター? 騎士って主人のことをマイマスターって呼ぶのか? 血を吹き出して倒れたルーフェに向かって駆けより、治癒魔法ヒールをかけるレージスト。
 俺はその間にラフェエニルを起こすために彼女の肩を揺すった。

「おい、ラフェニ、ラフェニ。起きろ」

「んぁ……? お、終わったの!? 健樹君が倒したの!? やったのね……って本人がいるじゃない。ってかルーフェが重症じゃない!?」

「まあやっちまったってわけでさ。新しく獲得したスキルとかマネーとかあんま慣れてなくてさ、うまく扱えなかったんだよ」

 別に肩から腹まで大きく切り裂くつもりはなかった。というか傷をつけるつもりもなかった。ただ思ったよりマネーの殺生力が高かった。
 まあさすが金ってことでいいのか? いいのか?

 起きたラフェエニルは辺りを見回してあり得ないとでもいうかのように俺を見つめた。

「……なんで勝つ?」

「いやぁそんなこと言われてもなぁ、勝とうと思ったから勝った! 金が俺を呼んでいた、だからその通りに勝ってやった! 金に愛され金を愛したこの俺は、そう簡単に死ねねえんだよ」

「ぶれないわね。そんなものを長々と述べたりして」

「っ……マイマスター……」

 長々とぶれずに金への愛を示す俺にラフェエニルが呆れる。「何で勝つ?」そうルーフェに問われたが、特に理由はなかった。
 あるとすれば友人……ラフェエニルが危険な目に遭うかもしれないから助けた。それ以外俺は何も執着していない。

「今まで。ワタシを殺そうとした人……いっぱいいた……みんな功績欲しい……貴方、違う……?」

「ああ違うぜ。つーかお前ってもしかしてさ、強い奴ってのを片っ端から倒していく理由って殺されないうちに、そしてその才能があるやつが成長しないうちにぶっ殺す的な奴?」

「そうですよ……マイマスターは……怖がっていたのです……」

 震える声で話すルーフェ。顔は見えないがきっと涙を流し層にはなっているだろう。俺の説明にレージストが加えて説明する。
 俺はその行動すべてを納得することはできなかったがひとつ言いたいことがある。

「知ってるか? 勝利の秘訣っていうのは、逃げず諦めず、無謀でも突っ込んでいくんだよ。そうすればいつか勝つ。ルーフェ、あんたがやってることが合ってるとは言わねえ、でもその考えはあってるって俺は知ってるぜ」

「ワタシ……あってる……もっといい方法……ある……?」

「方法はいくらだってある、自分の道を探せよ、ルーフェ」

「貴方に……付いて行きたい……行くところ……ない……」

 マジか。
 自分で言ってしまったことだとはいえこんな回答が来るとは思わなかった。後ろではラフェエニルが「モテるわねー」と茶化してきた。
 まあ俺は童貞ではないのでいちいち驚いたりはしないのだが。

 そこんとこテンプレじゃねえしテンプレをなぞるつもりもねえけどな。

「ラフェエニル……稼ぐぞ。さすがに四人分の生活用のものは出せねえだろ?」

「そうね。今からでも冒険者登録をしましょう。まあ最初はFランクからだけど次の昇格は私たちと同じDランクになるのよ」

「ああ、パーティ特典ね。さすがに元のパーティがCランク以上だとそれは無理だが俺達はDランクだからまだ許容範囲内だな」

「マイマスターをよろしくお願いいたしますね」

 ラフェエニルと俺で説明をすると、レージストとルーフェは嬉しそうにうなずいて俺の手を引いて家に向かうのだった。
 というか今の会話冒険者達に聞こえてただろ……仲間にしちゃっていいのか……?

 手なずけたっていっとけばいいか、まあいいや。

 とりあえず今日は帰って寝て明日稼ぐことを考えていればいい。

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