異世界転移!~俺は金(マネー)で強くなる!~

なぁ~やん♡

五話:マネー男とダンジョン

 傷み慣れ、女神との実戦などをこなしてから俺達はギルドに向かい、サテラが紹介してくれた依頼を受けることにした。
 昨日やられたのが悔しかったのかラフェエニルは今日俺への扱いがちょっとひどかった。
 親切に俺を起こしに来るのがいつもなのに今日は来なかったり。

「おーい、ラフェエニルー?」

「な、なによ。わ、私が悔しいと思ってるとか思わないでよね」

「図星かよ。自分で言っちゃうとかドジ通り越してね?」

 ディスられる女神とはちょっと違うのならわざとディスってみる。
 金パワーがあるため身の危険とかは一ミリたりとも考えていない。金こそ正義。

 そして今、俺達はダンジョンの中に居る。
 周りはごつごつしていて、足元も不安定だ。ギルドのシステムが作り出した綺麗な道が象徴の迷宮とは大違いである。

「おうっ」

 スライムがとびかかってくるか今の俺の敵にはならない。あっさり剣で切り捨てる。

「あ、魔石が落ちたわ」

「拾うのかよ」

「……金になるのよ、これ」

「ド沢山拾おうぜ~」

「安いわね、貴方。とても引っかかりやすいわね、貴方」

 さんざんな言われようだ。金は大事だ。
 魔石というのはいわゆるスライムみたいな魔物の心臓のことを言う。まあ魔物というのはスライムやらゴブリンやらのものを全てまとめた名称的なものだ。

 魔物の強さ(ランク)によって魔石の価値も変わる。
 スライムの魔石ではそこまで価値はないが、金になれればそれでいい。金があればそれでいい。金があれば安心する。金があれば……。

「いっきに突き抜けるわよ!!」

「ひゃぁ!? り、了解……」

 手首をつかまれて俺は不覚にも女のような声を漏らしてしまった。不覚だ。
 前を見ても後ろを見ても何の変哲もない。

 しかしだからこそ早く依頼を終わらせようとラフェエニルは試みているのだろう。

「はぁぁああああっ」

 向かってくるスライムをラフェエニルが切り裂き、魔石を俺が受け取る。
 受け取る際によだれを垂らしてしまったのも不覚のひとつだ。

 二つの動作を走りながらこなすというのは二人にとって困難ではない。
 実力は二人とも同じくらいだ。
 俺の経験不足をラフェエニルが補足し、力を俺が補う、というやり方だ。

「そーらよっ」

 ラフェエニルをすり抜けて俺に向かってきたスライムを片手で吹き飛ばす。
 スライム、弱し。

「待て、次第二層?」

「三層へ続く転移門が出現したわ。先にそこへ行くわよ」

「うわっ、ちょ!」

 ディスられるどころか振り回す系の女神。
 ラフェエニルが俺を引っ張っていった先には男なら誰しも憧れるかっこいい紋章のある扉があった。一言も二ことも言わずに迷わずラフェエニルがそれを破壊する。

 俺がもったいない、と唖然とした時にはすでに三層の中に居た。

「これでダンジョン終わりとかマジ難易度Fだな……」

「現にランクはFじゃない」

「精神的ランクはMなんだよ!!!」

「それは違う意味にしか聞こえないからやめなさい」

 まあ「精神的」と言って「M」というとそっちを想像しかねないだろう。
 俺はドmに興味はない。

 というかラフェエニルはいつまでギルドのランクを気にしているのだろうか。
 今の所俺はラフェエニルとパーティを組んでいる状態だ。もし俺がMランクに上がったらラフェエニルも一緒にMランクになる。
 恐らくそれが気になっているのだろう。

「お、キングじゃね?」

「良く分かったわね。正解よ、あれがスライムキング。剣を構えなさい」

「りょーっす。……こいつの魔石は金になりそうだなぁ」

 奥まで進むと、今までのスライムより何十まわりもデカいスライムが現れた。目と口が付いているのは何故だろうか。無駄に可愛いのは何故だろうか。
 物理的攻撃も魔術攻撃も体で弾き飛ばす厄介な魔物だが、今はどうでもいい。

 スライムキングのステータスはどれだけ強くても90を下回るため楽勝だ。
 だって村人でも勝てるんだもん。

「そーれっ」

 防御されるはずが、力で強引に押し通す。

「聖雷!!」

 魔術は通らないはずが、圧倒的スペックでとどめを刺す。

「ま、しばらくはこの戦い方が一番だなぁ」

「そうね。属性とスキルをたくさん買えたら健樹君を中心にした戦いも考えていくわ」

「俺金があればいい」

「私に任せないで欲しいわね、私のスペックだってそこまで上ではないのよ」

 そう、どれだけ低く見積もってもCランクの実力はあるはずのステータスだが、女神は人間界へ来るとその力がダウンする。
 いくら転移専用でも、その辺りのシステムを完全に破壊することは不可能だ。

 十分の一に減るシステムを十分の五まで残るようにしたのだから、まだいい所だ。

「まあ……仕方ねえよな。俺戦うのはあんま好きじゃねえんだよ。諦めたから」

 だから、金以外の全てを失った――――――――――――。

「そんな話はもういいわよ、健樹君は新しい人生を歩むのよ?」

「あぁ、そうだな。おっしゃ、金パワーで頑張ってやるさ」

「そのパワーはいつどこでどう手に入れたのかしら……」

 昔の話はどうでもいい、それはラフェエニルと約束済みの事だった。
 昔のことは、もう思い出したくもないから今は忘れている。

 そして金パワーについては意識を持った頃からあった。赤ちゃんの時千円札を持って目を輝かせた時からあったのかもしれないが。

「で、健樹君は早く魔石を採りなさいよ。私は武器が破損していないか確認するわ」

「お? 何か虹色だー」

「はああああああ!? そ、それものすごく金になる魔石よ。魔物と魔物が殺し合い、勝った方が強さを吸収できるスキルが魔物にはあるのだけれど、共食いをたくさんした分魔石が進化するの」

「ほぉー。興味ねえけど、金になるんならそれでいいぜ!」

 ラフェエニルの説明を軽く流してガッツポーズをするとまた呆れられた。しばらくしてラフェエニルの武器点検をし終わって俺に渡す。

「ほら、何も問題はないわよ。そうと決まったらギルドに帰りましょう」

「りょーかーいー」

 手を頭の後ろで組んで、俺とラフェエニルはギルドに向かうことにした。

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