【書籍化作品】無名の最強魔法師
旅立ちの日
さてと……間違いなくウカル司祭様が探しているのは俺だろうな。
だが、アース神教の司教クラスが来たと言う事は、この人だかりがある中で俺が出ていくわけにはいかない。
ウカル司祭様には悪いことをしてしまった。
ただ、遅かれ早かれ、俺が村から出ていくのは確定事項だった。
何らかのアクションを起こして村から出て行く予定であったが、丁度いいかもしれない。
アリアが魔王の可能性が高いと思った日、俺とウカル様で決めたのだ。
俺には常人を遥かに超える魔法師としての力ある。
もし俺がウラヌス十字軍が撤退した後、村から突然いなくなったら?
ウラヌス十字軍を一人で撤退させる程の力を持つ俺が村からいなくなる事で、やつらの目は全て俺に向いてくるだろう。
逃亡したことでウラヌス十字軍は、俺を魔王として追ってくるだろう。
そうすれば、妹のアリアへ向けられる目を俺に惹きつける事が出来る。
なにせ、自分を狙ってきた人間が逃げるのだ。
同じ場所にいる方がおかしい。
だからこそ、囮の意味がある。
そして極め付けはこれだけの巨大大聖堂を一人で作れるのなら、俺が魔王たる存在であと内外に説明しやすくなるではないか。
さて、そろそろ潮時かもしれないな。
――と、自分の失態をうまくごまかすために自分の中で体裁を取り繕う事を考えながら村から出て行く事を決めた。
俺は教会屋根上から静かに下りると自宅に走って向かった。
戸口をそっと空けて家の中を見る。
物音一つしない所を見る限り家には誰もいないようだ。
俺は家の中に入り戸口を閉めて自分の部屋と言っても妹と兼用の部屋に入る。
そして床下を空けていくつも壷を取り出して中から金貨を20枚ほど取り出すと布に包んだ。
壷の中には俺がハンター時代に肉以外の素材を行商人に売って貯めた金貨、銀貨、銅貨が詰まっている。
この世界の貨幣通過価値としては金貨1枚で1万円、銀貨1枚で1000円、銅貨1枚で100円であとは銭貨と呼ばれるものが存在している。
たぶん壷の中には1億円近いお金があると思うが、硬貨は嵩張るので置いていくことにする。
そして手紙をササッと認める。
アリアには、自立したきちんとした女性になるようにと。
リリナには、暴力ばかり振らずに落ち着けと。
ウカル様には、迷惑をかけてすいませんと。
ヤンクルさんにはお世話になりましたと。
そして両親には捜さないでくださいと。
大体の内容は纏めて最後の一通を含めた6通の手紙を作成するといつも家族で食事をしていたテーブルの上に硬貨の詰まった壷と手紙を6通置いた。
最後の一通には村長代理は村で決めてくださいと書き、村の発展のために壷のお金を使ってくださいと書き加えた。
その後、誰にも見つからないように村の北側の森に入ると俺は一息ついた。
「さて、あとは……」
俺は村長の家で以前に見つけた近隣諸国の地図を見る。
今まで俺が暮らしていた村はアルネ王国の北東のイルスーカ侯爵領の最北部に位置する。
そしてここから北に移動すると正者の森と呼ばれるフィールドダンジョンがあり、その東側にウラヌス教国がある。
そうすると、正者の森の西側に位置するユゼウ公国に向かったほうがいいかもしれない。
誰もが森の中に逃げるとは予想しないだろう。
それに自国内を逃げ回るより他国に逃げれば教会も追ってはこないだろう。
まあ追ってきても守るものがないから逃げられるけど……。
少しだけイルスーカ侯爵家のエメラダ様の事が気がかりだが、彼女は才媛だし村にいる間に穏やかになって笑うようになった。
だからもう大丈夫だろう。
俺は地図を閉じると森に脚を踏み入れた。
まずは、ウラヌス教国の目をアルネ王国から遠ざける為にユゼウ公国に向けて出発だな。
だが、アース神教の司教クラスが来たと言う事は、この人だかりがある中で俺が出ていくわけにはいかない。
ウカル司祭様には悪いことをしてしまった。
ただ、遅かれ早かれ、俺が村から出ていくのは確定事項だった。
何らかのアクションを起こして村から出て行く予定であったが、丁度いいかもしれない。
アリアが魔王の可能性が高いと思った日、俺とウカル様で決めたのだ。
俺には常人を遥かに超える魔法師としての力ある。
もし俺がウラヌス十字軍が撤退した後、村から突然いなくなったら?
ウラヌス十字軍を一人で撤退させる程の力を持つ俺が村からいなくなる事で、やつらの目は全て俺に向いてくるだろう。
逃亡したことでウラヌス十字軍は、俺を魔王として追ってくるだろう。
そうすれば、妹のアリアへ向けられる目を俺に惹きつける事が出来る。
なにせ、自分を狙ってきた人間が逃げるのだ。
同じ場所にいる方がおかしい。
だからこそ、囮の意味がある。
そして極め付けはこれだけの巨大大聖堂を一人で作れるのなら、俺が魔王たる存在であと内外に説明しやすくなるではないか。
さて、そろそろ潮時かもしれないな。
――と、自分の失態をうまくごまかすために自分の中で体裁を取り繕う事を考えながら村から出て行く事を決めた。
俺は教会屋根上から静かに下りると自宅に走って向かった。
戸口をそっと空けて家の中を見る。
物音一つしない所を見る限り家には誰もいないようだ。
俺は家の中に入り戸口を閉めて自分の部屋と言っても妹と兼用の部屋に入る。
そして床下を空けていくつも壷を取り出して中から金貨を20枚ほど取り出すと布に包んだ。
壷の中には俺がハンター時代に肉以外の素材を行商人に売って貯めた金貨、銀貨、銅貨が詰まっている。
この世界の貨幣通過価値としては金貨1枚で1万円、銀貨1枚で1000円、銅貨1枚で100円であとは銭貨と呼ばれるものが存在している。
たぶん壷の中には1億円近いお金があると思うが、硬貨は嵩張るので置いていくことにする。
そして手紙をササッと認める。
アリアには、自立したきちんとした女性になるようにと。
リリナには、暴力ばかり振らずに落ち着けと。
ウカル様には、迷惑をかけてすいませんと。
ヤンクルさんにはお世話になりましたと。
そして両親には捜さないでくださいと。
大体の内容は纏めて最後の一通を含めた6通の手紙を作成するといつも家族で食事をしていたテーブルの上に硬貨の詰まった壷と手紙を6通置いた。
最後の一通には村長代理は村で決めてくださいと書き、村の発展のために壷のお金を使ってくださいと書き加えた。
その後、誰にも見つからないように村の北側の森に入ると俺は一息ついた。
「さて、あとは……」
俺は村長の家で以前に見つけた近隣諸国の地図を見る。
今まで俺が暮らしていた村はアルネ王国の北東のイルスーカ侯爵領の最北部に位置する。
そしてここから北に移動すると正者の森と呼ばれるフィールドダンジョンがあり、その東側にウラヌス教国がある。
そうすると、正者の森の西側に位置するユゼウ公国に向かったほうがいいかもしれない。
誰もが森の中に逃げるとは予想しないだろう。
それに自国内を逃げ回るより他国に逃げれば教会も追ってはこないだろう。
まあ追ってきても守るものがないから逃げられるけど……。
少しだけイルスーカ侯爵家のエメラダ様の事が気がかりだが、彼女は才媛だし村にいる間に穏やかになって笑うようになった。
だからもう大丈夫だろう。
俺は地図を閉じると森に脚を踏み入れた。
まずは、ウラヌス教国の目をアルネ王国から遠ざける為にユゼウ公国に向けて出発だな。
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コメント
ノベルバユーザー250446
今、主人公が村を出るとヤバいよねぇ( ̄▽ ̄)
アース神教が妹の事を魔王と知っている。
魔王が居ると思われている村が無防備になる。
そして何より、妹のヤンデレが…(>人<;)
背中から包丁が芽を出す予感…。
ウォン
主人公面白すぎるんですけど