ノーリミットアビリティ

ノベルバユーザー202613

第22話 狂信と狂気と忠誠

 汗一つかいていないその顔に、ほんの僅かな笑みを浮かべている。その顔には地面に叩きつけられた痛みなどは微塵も見えない。

「貴様、あれだけの衝撃を受けて何故平然と動ける?」

 シャーリーの空間槍は、空気を圧縮したときと違って、圧縮した大きさと同じ大きさにしか戻らない。
しかし、その代わり元の大きさに戻るまで、ありとあらゆる物体を押し退けるのだ。
シークは、勢いよく元の形に戻る超硬質の物体を背中にぶつけられたのに等しい。更にはその勢いのまま地面に叩きつけられたのだ。
無事であるはずがない。動けるはずがないのだ。
ところが、シークは平然として首を回しながら笑う。

「ああ、俺、骨折位なら一瞬で治せるからな」
「馬鹿な……、あり得ない! お前の能力は神経を硬質の糸に変化させるものだろうが! 折れた骨を、一瞬で、治せる、わけ……」

 シャーリーが最後言いよどんだのは、神経を糸に変える能力など聞いた事がなかったからだ。

「気付いたか。俺はあのクラスで唯一、過去前例のない希種能力者、秘種指定の能力者だ。異種能力者と秘種能力者に今までの常識は通用しない」

 過去に存在しない異種指定の能力者と秘種指定の能力者には、今までの常識をあっさりと覆す可能性を秘めている。
似たような能力があったとしてもそれらは決して同じではない。

「まあとにかく俺の勝ちだ。それだけ雁字搦めにすれば幾ら空間系のお前でも逃げられないだろ。つまり戦闘続行不能、ヒツジ」

 シークは離れた場所で二人を見守るヒツジを見る。ヒツジもシャーリーを見て、審判を下そうとする。
 そんな時だった。

「……れない」

 小さな決意の呟きをシークが聞いたのは。

「……けられない。負けられない。負けられない。負けられない。負けられない」

 呪詛のようなその呟きは段々と大きくなっている。

「負けられない負けられない負けられない負けられない負けられない負けられない負けられない負けられない負けられない……私が、お前みたいな奴に負けるわけにはいかないんだ!」

 怨念のように呟くその声は、暴力と怨嗟が渦巻くスラム街で育ったシークですら聞いた事がないほど憎悪に満ちていた。

「シャーリー、お前……」

 シャーリーは肌を刺すような殺気を放ちながら、狂気に満ちた眼差しでシークを睨みつけると、身体に力を入れて雁字搦めになった糸を力任せに解こうとする。

「止めろ! そんなことをしても俺の糸は絶対に切れない!」

 シークが忠告をするが、シャーリーは止めない。むしろ更に身体に力を入れる。きめ細やかな美しい白い肌に糸が食い込んでいき、肉が切れて血が流れる。

「ぐっ、うぅ……」
「おい、止めろ!」
「がっ、ぐぅ……ぐぁぁぁぁ―――」

 咆える。
 肉の中にまで食い込んだ糸が神経を刺激して、想像を絶する激痛を感じていることだろう。それでもシャーリーは止まらない。

「止めろっつってんだろ! お前のそれは忠誠じゃない! 狂信だ!」

 激痛に呻きながらも止まらないシャーリーを見ていられなくて、シークは叫ぶ。

「お前に……お前に私の一体何が分かる。狂信? 結構だ! 貴様のような人間がジン様の横にいるくらいなら私は幾らでも狂ってやる!」

 彼女を突き動かすものは、ジンへの異常なまでの忠誠心からだった。

「私にはそれしかなかったのだ! 物心がつく前からジン様に仕えるように教育されてきた。そのためだけに生きてきた。なのに、なのに……!」

 それが生まれながらに定められた彼女の運命であり目標だった。

「お前に分かるか? 目標にしていた場所が突然現れた何処の馬の骨とも分からないお前なんかに盗られるこの私の気持ちが!」

 そう叫び、更に腕に力を込めて、糸を解こうとする。シークは彼女のあまりの狂気に、もう何も言うことが出来なかった。

「ぐぅ、ぐうあああ――!」

 痛みで呻きながら、最後には絶叫を上げる。

「馬鹿なっ!」

 糸に伸縮性はなく、また、切ることはできない。だが、その糸を支えているのはシークだ。
シャーリーの咆哮と共にシーク自身が引っ張られていく。そのことにより糸に僅かな緩みが出来る。シャーリーが抜けられるほどの隙間ではない。
しかし、そのことで僅かながらに自由になった右手で、シークに直接繋がっている糸を掴み、自分に引き寄せる。

「なんだとっ!」

 普通の女の子と変わらないその細腕の何処にそんな力があるのか。そう思わずにはいられないほどの腕力でシークは引っ張られる。
シークが近付いたことで、一気に動けるほどの自由になる。
たたらを踏んで前のめりになるシークに、シャーリーは下から自由になった左手で作った空間槍をぶつける。

「がはっ!」

 直撃。時間がなかったが故、それほど大きなものではなかったが、それでも尋常ではない衝撃が走ったはずだ。
通常ならばそれで勝敗を決するほどの。
だがしかし、シャーリーはその光景を見ても止まらない。更に二撃目を加えるべく、空間槍を練り上げる。
シークは空中に飛ばされながら、やはり空間槍は効いていないのか、あっさりと体制を立て直す。
 そしてそのままシャーリーを縛っていた糸を解き、シャーリーが掴んだまま離さない糸を更に射出することによって距離をとる。

(やはりこの程度ではまだまだ限界の長さではなかったか)

まだまだ糸が伸びることを確認したシャーリーは糸から手を離す。
そして、体勢を立て直し、シークに向かって真っ直ぐに駆け出す。
そこに、先ほどまでの油断は一切ない。
今のシャーリーには、シークを徹底的に叩き潰すことしか頭になかった。走るたびに全身から血を流し、怒りと憎しみによって頭に血が上り、理性の吹き飛んだその姿はいっそ鬼のようだった。
 自分に近付いてくるシャーリーを危険だと判断したのか、シークは即座に距離を取ろうとする。
そんなシークに待っていたのはシャーリーの空間槍だった。
空間槍はシークの真上まで飛んでいくと、一気に膨張し、破裂する。
何処まで大きくなるのか分からない空間槍から逃れるため、シークは必要以上に下降した。
シャーリーが近付き、攻撃を直接加えるのには充分なほどに。

 シャーリーが近付いてくることに気付いたシークは、迎え撃つ体勢をとる。
幾ら早いといっても地を全力で駆けてくるシャーリーの足よりは遅く、逃げている背中を討たれる危険があったからだ。

 空間槍を手に纏うように持ったシャーリーはシークに対して接近戦でのジャブを放つ。速くはあるが、奈落山の神速の抜刀術よりは遥かに遅い。
この近距離で、掠りでもすれば致命傷は免れない拳を淡々と避けていく。シャーリーの拳はシークに掠りもしない。

「くっ」

それでも攻め続けていたシャーリーは、その両手をシークに掴まれてしまう。
空間槍を放たれないように、腕の方向を上に効果範囲外に持っていくようにしながら。
シークはこれで空間槍は無効化できた、と思っていた。
だがしかし、両手を封じられたシャーリーは膝蹴りをシークに繰り出す。これを避けるために腕を掴んだまま反射的に飛び上がった瞬間、シークは自分のミスを悟った。

それはくしくも、自分がシャーリーにしたのと同じことだった。
シークが糸の手を二つ以上出せるように、シャーリーが空間槍を出せるのは何も手の平からだけではない。
 空間槍を纏っている膝は、シークの腹に向かっていく。直撃はしない。でもそれでいいのだ。シークの腹の僅か十センチ手前で膝の空間槍が破裂する。
シークの糸の鎧を諸共せず、元の形に戻るために大きくなり続ける空間槍はシークの肋骨を砕き、そのまま内臓を押し潰す。

「かはっ!」

 シークは衝撃を殺すことは出来ず、空中に投げ出される。死んでもおかしくない一撃を食らわせてなお、シャーリーはまだ止まらない。もう何者にもシャーリーは止められない。

「がああああああ!」

 シャーリーは体面を気にせず咆えながら、シークの真上に空間槍を投げつける。シークは宙に投げ出されたまま動かない。
肉体に激しい損傷を受けたため動けないのだ。空間槍はシークの真上で破裂し地面へと叩きつける。地面があまりの衝撃でめくれ上がり、ひび割れを起こす。

「ふう、ふう」

 血走った目で、半分地面に埋まったシークを見下し、彼がまだ生きていることを知ったシャーリーは両手を空に掲げる。
 その瞬間、空が歪んだ。
端から見ればそう思えただろう。
なんとシャーリーは、先ほどまでとは比べ物にならないくらいの広範囲の空間をその両手に圧縮していた。

「ガハッ、ゴホッゴッホ!」

 シャーリーの口から大量の血が流れる。
本来であれば、使えるようになるまで相当な時間を要する技を使用しているのだ。
特殊器官が悲鳴を上げ、心臓が通常の倍以上の速さで脈動する。
全身の関節は折れるのではないかと思うほどの激痛をシャーリーに与え、筋肉が断裂する音が聞こえる。
それでも彼女は止まらない。

「ジン様のために! 貴様を排除しなければならない!」

 狂信が、異常な忠誠心が、目標にし続けた夢が、恨み憎んだ敵を倒す使命心が、彼女を支え、限界を超えさせた。世界が彼女の両手に集まっていく。

「死ねええぇぇぇぇ! フォールオブザワールド!」

 圧縮した空間をシークに向かって放つ。
空間の塊は、シークに当たる寸前、元の形に戻ろうと破裂する。空間の侵攻は、岩をも砕き、地面を押し退け突き進む。
シークを中心に半円状に生じる衝撃波は、轟音と共にまさしくシャーリーの意思を貫くために全てを押し退け、破壊した。
破壊が収まったリング内は地面が深く抉れ、元々その場にあった土や岩が半円状に盛り上がっている。

「ガハァ……フゥフゥ」

 空間で自分を包むことによって衝撃波を防いだシャーリーは、喉からこみ上げてきた血の塊を吐き出す。無理をした代償が身体中の外側にも内側に現れている。

「シ、シークは……」

 未だに治まらない心臓の高鳴りと頭に響く耳鳴りを聞きながら、霞む視線で前方を見る。
 探す。空間槍の破裂した中心地にいるはずのシークの姿を。押し潰された姿を。
 ……いた。地面に全身をのめり込ませ、身体は潰れ、指一本動かさないシークがいた。

「ハアハア……勝ったのか? よし、よし!」

 シャーリーにしては珍しく、両手を握り締め勝利を喜んでいた。それだけの強敵だったのだ。シーク・トトという男は。

「強さは、認めよう。だが、やはりお前に、あの場所は譲れない……」

 シークが自分の道の妨げになっていなければ、あるいはシークの生まれが名のある家の子であったのなら、切磋琢磨しあえる仲になれたであろうと思えるほどに。
 勝利を確信したシャーリーは初めて笑顔になる。
これだけの力を見せればヒツジも気付くであろう。ジンの横にいるべきは、長い歴史と重ねてきた名家の血筋と実力を併せ持つ自分である、と。

「ヒツ、ジ、さ……ま」

 そこで軽い衝撃と共に、シャーリーの視界が暗転する。両足は力を失ったように膝をつき、支えようにも両手が動かない。
一瞬、何が起こったのか判らなかった。だが、なんとか強い意志を持って何とか視界を取り戻す。

「な、に……?」

 そこでやっと今の自分の状態に気付く。

「たお、れている? わた、しが? なぜ?」

 分からない。
だが、シークは自分が倒した。体が潰れたその姿は確認した。ならば立ち上がりさえすれば、まだ戦える意思を見せれば、シャーリーの勝ちが決まる。
腕は痺れ、両足は棒になったように動かない。
それでも立たねばならない。震える手に力を込め何とか立ち上がろうとしたその時……。

「弦曲・マリオネット、解除」

 背後から声が聞こえる。人生で最も憎んだ人間の声が。倒れたまま恐れるようにゆっくりと後ろに視線を持っていく。

「なん、で……」

 あり得ない人物がいた。今しがた自分が圧殺したはずの人物が。

「なん、で、お前がそこにいるんだ!シーク!」

 シャーリーに倒されたはずのシークがそこにいた。

(なんで……あり得ない! 私は確かにあいつを倒したはずだ。いったいいつから……)

 シャーリーがそこまで考えた時、シークが内心を見透かしたかのように答える。

「最初からだ」
「……?」
「最初の土砂崩れの時からずっと、俺はお前の背後にいた」
「ば、かな……あり、得ない! 私がそれに気付かないわけないだろう!」

 シャーリーは叫ぶ。信じたくない目の前の現実を打ち砕くように。
 だが、そんなシャーリーにシークは情け容赦なく事実を突きつける。

「天職・隠形。隠密行動において俺の横に並べる者はこの世に存在しない」
「天、職持ち……だと?」

 天職・隠形。
 能力は、自分の生気を隠し、他者の意識を他に逸らす。そこら辺に落ちている石ころに意識を向けないのと同じように、人はシークに意識を向けなくなる。
だが、逆を言えば落ちている石ころにさえ意識を向けられるならばエイトに気付くことができる。
だから、五年前のあの日、跳んでくる石ころさえ見逃さないジン達はシークの存在に気付くことが出来たのだ。
 シャーリーは背後に気を回していなかった。何故なら、シークが後ろに回ることがなかったから。
そして、何より、シークを侮り、その強さを認めていなかったから。
珍しくシークは感情的に怒りの表情を見せ、怒鳴る。

「油断してんじゃねぇよ! 俺の隠形は完璧じゃない! お前が注意深く周りを観察していれば俺の存在に気付けたはずだ! それにマリオネットだってな」

 人間には不可能な行動。粉々になったはずの肋骨を一瞬で治す。不自然な空中移動。中身のない人間、否、人形だから出来たことだ。
 超能力は決して万能ではないのだから。
浮遊できる能力を持っていなければ空を飛ぶことは出来ないし、回復系の能力を持っていなければ折れた骨を治すのに数ヶ月の時間を要する。

 戦闘中のサインの見落とし。それはあまりにも致命的なミスであり、あってはならないミスだ。シャーリーはそれに気付き、重く呻く。シークへの憎しみが目を眩ませた。油断したのだ。

「お前が……」

 こんな事になった要因を叫ぶ。

「お前が奈落山絶との戦いで今と同じくらい本気で戦ってくれたら! 私は納得できたんだ! お前が、あの時……手を抜いていなければ……」

 奈落山との試合。シークは奈落山との戦いは接戦だった。シークの勝利はギリギリだった。
 だが、今見せたシークの実力は、奈落山に見せた時よりも遥かに強い。
あの時シークが今と同じくらいの実力を見せてくれたら、奈落山を片手で捻れるくらいの実力を見せてくれていたらシャーリーは謝罪した。認めざるを得なかった。シークはジンの横にいるに相応しい強さを持ち合わせている、と。
 そんなシャーリーを見下ろしながらシークは疲れたように伝える。

「お前は一つ勘違いをしている」
「勘、違い……だと?」
「ああ、あのときの奈落山との試合、俺は間違いなく本気だったぜ」
「嘘を吐くな!」
「嘘じゃねぇよ」

 叫ぶシャーリーに、シークは冷静に説明する。

「お前の言う本気と、俺の言う本気は違うんだよ。お前の言う本気とは全力、と言う意味だろ?」
「当たり前だ!誰よりも強ければあのお方を守れるのだからな!」
「お前はそうだろうよ。けど、俺はそれじゃダメなんだよ」

即答するシャーリーに向かってシークは淡々と続ける。

「お前、俺が弱そうに見えただろう? それでいいんだ。何故なら俺がジンの横にいる最大の理由は、天職の副作用でぱっと見で弱そうに見えるからに他ならないんだからな。それで攻めてくるような注意の足らない雑魚ならば、俺らで問題なく対処できる。ヴァリエールの護衛がそんな雑魚であるはずがない、と俺の周りを嗅ぎまわってくれるなら、それはそれでいいんだ。ヴァリエールならそいつが嗅ぎまわっている間に漏らした情報から先制攻撃が出来る。もう分かっただろう?俺は回りに出来る限り力を見せないことが重要なんだよ。戦う際も最低限の力で相手を倒す。それが俺の本気だ」

 最近はそのお役目も御免みたいだがな、とシークは少し笑う。

「奈落山もそれに気付いていた。周りで見ていた舞華や昇華、珊瑚もな」

 彼女達は冷静にシークの実力を見極めようとした。
だから、舞華達はシークが少しも全力を出していないことを、事情を知る奈落山は自分ではシークの能力をほとんど開示させられなかったことに気付いた。
本来ならば、シークは糸しか使わずにシャーリーを倒す予定だった。
今回、シークが隠形を使ったのは、ヒツジに圧勝しろと言われたから。

「わかったか?」
「……」

 シャーリーは何も言わない。その沈黙は、シークの言っていることを認めてしまったと言う証拠でもある。そんな彼女に一人の少女が近付いてくる。

「ヒツジ、様」
「シャーリー」

 ヒツジにその名を呼ばれたシャーリーはビクリ身体を震わせる。
そこには先ほどまでの鬼のような気迫も震えるほどの憎悪も異常なほどの狂信もなかった。
ただ一人、これから言われるであろう言葉を恐れるか弱い少女がいた。

「シャーリー・ホロウ」
「ひ、ヒツジ様……わたしは……」
「無様ね。嫉妬から相手の力量もまともに測れず、油断から相手のサインを見落とし、はたまた最後には自分の愚かさを他人に擦りつけようとまでしている」

 容赦のないヒツジの罵声。彼女が目標としているであろう人物から発せられるその言葉は、何よりも深くシャーリーの心を貫いた。

「あ……わ、わたしは、ただ……」
「貴女のような人間に横にいられると迷惑なの。ジン様の護衛に足手まといは不要。出直してきなさい」
「わた、しは……」

 シャーリーはもう立ち上がろうとしない。肉体の損傷が激しく、その身体を無理に動かす気力ももうないのだろう。俯いたまま動かない。

「行くわよ、シーク」
「だ、だが、シャーリーの傷の手当をしないと」
「闘技場の担当医がもうじき来るわ。貴方が気にすることじゃない」
「……」

 ヒツジは言うべきことは言った、と背中を向けて出口に向かう。ヒツジと入れ替わるように白い服を着た医師がタンカーを持って走ってくる。
シークはそれを追って振り返ろうとして、背中から聞こえてきたすすり泣く声にその動きを止められる。
分からない。なんと言えばいいのかわからない。
だから、無言で立ち去る。
 そして、そのままヒツジの背中を追った。
 通路に入ろうとして、ヒツジが曇天の空を見上げて立ち止まっていることに気付いた。

「今日は中止ね。リングも使えないし」
「……」

 ポツポツと落ちてきた雨はすぐに大雨に変わる。
その雨はまるで、シーク達のやるせない気持ちを表しているかのようだった。

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