お兄ちゃんがお母さんで、妹が甘えん坊なお話

ただのものかき

お嫁さんになった涼羽ちゃんを、みんなに見せてあげて!

「さあ、待たせたわね!!」
「とびっきりのお嫁さん、できたわよ~!!」

志郎がホール側の女性スタッフ達にもみくちゃにされてしまい、周囲の男性スタッフ達がまるで餓えた肉食獣のように志郎に迫ってくる女性スタッフ達をどうにかなだめて、引き剥がして、ようやく事が落ち着いたところ。
そこで、花嫁側のスタッフルームから、勢いよく飛び出してきたのは、これまで最高の素材となるであろう涼羽のことをどうにかしたくてウズウズしていた女性スタイリスト達。
そして、まさにやりきった、と言わんばかりのつやつやとしたドヤ顔を浮かべて、声高らかに、とびっきりの花嫁の完成を、告げてくる。

「!!おおお~~!!待ってました~~!!」
「!!さあ、早く早く!!早く俺にあの子のお嫁さん姿を見せてくれ!!」
「!!うわ~~~早く早く!!もうめっちゃ楽しみにしてたんだ~~!!」

そんな花嫁担当スタッフ達のドヤ顔での完了宣言に、その場にいた男性スタッフ達のテンションが一気に急上昇してしまう。
まるでコンサート会場で、お目当てのアイドルの登場を待ち望んでいたファンのような感じで、ホール全体の熱気まで上がってきているような雰囲気まで、出てきてしまっている。

最初の自己紹介で、涼羽が今年十八歳の高校生男子だということを聞かされているはずなのだが、そんなことまるで関係ないといわんばかりにここまでボルテージが上がっているのは、やはり涼羽のことを見たまんまのとびっきりの美少女としか認識していないからでは、ないだろうか。

「!!わあ~~~早く!早く!」
「!!あんな可愛い子がお嫁さんになっちゃったところ、早く見せて~~!!」
「!!もうね!わたしがあの子のことお嫁さんにしたいくらいなの!早く見せて~~!!」

そして、それは男性スタッフのみならず、女性スタッフも全く同じようなテンションになってしまっている。
女性スタッフ達は、むしろ涼羽が今年十八歳の高校生男子だと聞かされているからこそ、ここまでテンションが上がってしまっているとも言える。
あんなにも可愛らしい美少女な容姿なのに男の子で、しかもとても恥ずかしがりやで清楚な雰囲気に満ち溢れているのが、彼女達の可愛いもの好きの心をくすぐってしまったのだろう。

しかも、人から聞いただけの話であるとはいえ、家事万能で世話好きでおっとりとしていて、さらにはあの高宮 翔羽が頼りにしているとまで言うほどの能力まで兼ね備えているのだから…
仕事中心でプライベートがややおざなりな女性達からすれば、むしろ自分が涼羽のことをお嫁さんにしたい、などという思いを抱いてしまっている。

「はは…涼羽がお嫁さんか。お父さんとしては、ぜえ~~~~ったいに嫁になんか行かせるつもりはないんだけどな」

自分の息子がとびっきりのお嫁さんになっているということに、非常に抵抗感を感じてしまう翔羽。
それがたとえ、モデルとしての話であったとしても。
翔羽からすれば、涼羽は本当に可愛くて可愛くてたまらない、最愛の子供であり、いつまでもどこまでもその天井知らずに膨れ上がっている愛情を向ける先なのだから。
もうすぐ十八歳となり、大人の仲間入りをするのも本当にすぐの話なのだが、翔羽としては今まで父親としてそばにいてあげられなかった分まで、そして親のいない環境で本当に苦労ばかりかけさせてきてしまったことへの罪滅ぼしとして、たとえどれだけ涼羽に素っ気無い態度を取られてしまったとしても、めちゃくちゃに可愛がって、愛してあげたいと思っている。

ましてや、どこの馬の骨とも分からん誰かに嫁に行かせるなど、断固として拒否する所存でいる。

そもそも、涼羽は息子であり男子なのだから、嫁になど行けるはずもないのだが、実の父である翔羽も、涼羽のことはまるでよくできた娘のような感覚で接している節がある。
まあ、その容姿と性格ゆえに、そんな風に認識してしまっても無理もないとは言えるのだが。

「お嫁さんになったお兄ちゃん…わたしが、お兄ちゃんをもらってあげるんだもん…」

そして、実の妹である羽月は、もうただただ、お嫁さんになった兄、涼羽を自分がもらってあげるということしか考えていない様子。
どこまでも、兄としても母としてもとびっきりに優しくて、いつもいつも自分のことを包み込んで幸せにしてくれる涼羽は、羽月にとってはもういなくてはならない存在であり、絶対に離れることなど許さないと言い切ってしまうほどの存在なのである。
ましてや、男嫌いの傾向がある羽月にとっては、この世で唯一と言っていいほどに自分から触れ合うことのできる男の子なのだから。
優しくて、温かくて、可愛くて、大好きで大好きでたまらない兄、涼羽。
そんな涼羽とどこの馬の骨とも分からない誰かにあげるなどということは、天地がひっくり返ってもありえないと断言できてしまう妹、羽月なのである。

「ふふふ…涼羽君の花嫁姿か…私としては、あの子を嫁になど行かせるつもりはないのだがね」
「ははは…それはわしもだよ、幸介。涼羽君はわしの可愛い可愛い孫なのだからな」

幸介と誠一に至っては、もう完全に涼羽のことを本当の孫のように思っているようで、涼羽が嫁になるなどということは、断固として拒否すると言ってしまっている。
そもそも、男である涼羽が嫁になど行けないという考え自体が、この二人の頭の中には存在していない様子。
実の父である翔羽と同じレベルでそんなことを言っているのだから、二人共よほど涼羽のことが気に入ってしまったのだろう。

「ほら!涼羽ちゃん!出ておいで!」
「大丈夫大丈夫!わたし達が腕によりをかけて、涼羽ちゃんのことどこに出しても恥ずかしくないお嫁さんにしてあげたんだから!」
「そうそう!お嫁さんになった涼羽ちゃんを、みんなに見せてあげて!」

女装自体はこれまで何度かさせられてきたことのある涼羽なのだが、いつまで経ってもそれに慣れるということはなく、むしろより抵抗感を感じてしまうように、なってしまっている。
そんな涼羽が、今回に至ってはナチュラルであるとはいえメイクまでさせられ、さらには下着も当然といえば当然だが女性ものを着せられ、しかも女の子なら誰もが憧れるであろう、まさに女の子が一生で一番綺麗になれる衣装である、ウエディングドレスまで着せられてしまっているのだ。

もう顔から火が出るほどに恥ずかしくて、恥ずかしすぎて足が動かない状態となっている今の涼羽。
そんな自分を、ホールにいる大勢の人間に見てもらうなどと言われたら、余計にその足が動かなくなってしまう。

そんな風にひたすらに恥ずかしがってしまっている涼羽のことを眼福と言わんばかりに頬を緩めて見てしまうものの、いつまでもそんな状態では話が進まないのと、もう自分達が作り上げた、まさに理想を具現化したと言っても過言ではない出来栄えの涼羽を早く見てもらいたいというのがあり、花嫁担当のスタイリストのお姉さん達はすごくいい出来栄えなのだから、自信を持ってと、励ますような言葉をかけ、とにかく涼羽にホールの方まで出てもらおうとする。

ただ、そんな風に『女性として』称賛されるような言葉では、根っこは男子である涼羽が余計に恥ずかしがって、その抵抗感を大きくしてしまうということに、残念ながら彼女達は気づくことがなかった。
やはりその容姿が容姿なだけに、彼女達も無意識で涼羽のことを女の子として扱っているというのは、あるのかもしれない。

「ほお~ら!涼羽ちゃん!恥ずかしいのはその真っ赤なお顔見てたら分かるけど、いつまでもこのままじゃ、終わらないからね!」

だが、さすがにこの自分達にとって人生で最高とも言えるほどの作品を、一秒でも早くみんなに見てもらいたい彼女達が、涼羽の手を片方ずつ優しく取って、そのままホールの方に導こうと、引っ張っていく。
いきなり引っ張られてバランスを崩しそうになってしまう涼羽だったが、どうにか盛大に前のめりに転んでしまうことだけは避けることができた。
だが、重心が前に傾いてしまったまま、スタイリストのお姉さん達に引っ張られてしまっていることで、必然的に前へ前へ、ホールへホールへと歩かされることとなってしまっている。

そうして、一歩前に歩くごとに、ホールに近づいていくごとに涼羽の中から泉のごとくに湧き出てくる恥ずかしさが、もうすでに真っ赤である涼羽の顔をさらに真っ赤に染め上げていく。
そして、もう思考も完全にパニック状態になってしまっており、何もまともに考えることすらできないでしまっている。

そうした中、ついにウエディングドレスを身にまとって、完璧なお嫁さんになってしまった涼羽のその姿が、ホールの方に現れ、お披露目となっていく。

「!!マジで!!??マジでこの子が男の子!!??」
「!!嘘だろ!!??」
「!!な、なんだこれ!!??なんだこれ!!??」

ついに露になった涼羽の姿に、ホールにいたスタッフ達はもう、驚愕の渦に巻き込まれている。
それほどに、今年十八歳となる男子高校生の姿とは思えない、と断言できるほどにウエディングドレスが似合っているというのも一つだが…

普段の、幼げで可愛らしさに満ち溢れた、童顔美少女な印象が大きく変わっており、可愛らしさこそ残ってはいるものの、そこに少し大人びた綺麗さが絶妙のバランスで込められているその顔。
髪型まで普段と大きく変わっていて、それが余計に今の涼羽の可愛らしさと美人さをかもし出している。
首から上を飾るようにかぶせられているヴェールが、涼羽の清楚さをより引き出している。

そして、鎖骨のあたりまでが露になっている、オフショルダーのマーメイドラインのドレスが、涼羽のそのほっそりとしてスレンダーなスタイルを見事に際立たせており、非常に儚げで、とにかく護ってあげたくなる雰囲気に満ち溢れている。
普段は自分の身体を覆いつくすかのような、布地の多い衣類しか着ないため、まず見ることの出来ない肩や鎖骨もなめらかで美しく、肌は透明感のある白さでこれまた美しい。
脇の下あたりまであるロンググローブが形作るそのラインも華奢で儚げで、どこからどう見ても現役の男子高校生になど見えるはずもないと、断言できるものとなってしまっている。

それでも、よくて二十台に見えるかどうかといった感じなのだが、最初に懸念されていた、その幼げな印象の可愛らしさに絶妙のバランスで大人びた綺麗さを加えられたおかげで、まだ可愛い盛りの女の子が無理に来ている、といったコスプレ感はなく、本当にいてもおかしくないであろう花嫁として、見られることに成功している。
パットが入れられていて、割と自己主張激しいサイズになっているその胸も、涼羽の持つ母性を強調することとなり、それでいて程よい色香をまとわせることとなっている。

「うう………」

当の本人である涼羽は、ただただ、今の姿を大勢の人間に見られていることが恥ずかしくて恥ずかしくてたまらなくて、本当にその湧き上がる羞恥にその身を溶かされそうな感覚に襲われているのだが。

「わ~~~…すごいわあ~~~~」
「もう…わたしもお嫁さんとして欲しくなっちゃう…あの子…」
「あんな子がお嫁さんになってくれたら…もうほんとに毎日が幸せになれそう…」

涼羽の本来の性別が男であることを知っているにも関わらず、誰もが今の涼羽のことを理想的な花嫁としてしか見ていない状態と、なっている。
それも、当然のように鼻の下を伸ばして、無遠慮にじろじろと見ている男性達はもちろんのこと、女性達も、見た目だけで言えば同性同士であるにも関わらず、涼羽のことをお嫁さんとしてもらってしまいたい、などという思いに、浸ってしまっている。

「み、水月…」

涼羽の実の父である翔羽は、今の涼羽の姿が本当に、かつて自分と結婚式をあげた時の最愛の妻、水月と瓜二つであることに、その姿が見えた瞬間はその当時の光景がフラッシュバックしてしまうほどに驚いてしまう。
まるで今は亡き最愛の妻が、再び自分の前に姿を現してくれたかのような錯覚に陥り、その切れ長の目から、涙がほろりとあふれ出てしまっている。

「お兄ちゃん…すっごく綺麗…それに、すっごく可愛い…」

実の妹である羽月は、実の兄である涼羽の、本当に男の子だとは思えないほどの理想的な花嫁っぷりを見て、思わずといった感じでほうっと溜息が出てしまっている。
花嫁として着飾られたその姿だけで、本当に理想的な花嫁となってしまっている兄、涼羽。
周囲の男性スタッフ達は、もう本当に自分だけのお嫁さんにしたくてたまらない、といった表情になっており、そればかりではなく、女性スタッフ達までそんな表情を見せてしまっている。

あんなにも可愛くて、綺麗で、誰からも愛されるであろう理想的な花嫁にまでなれるのだから、もうどこの誰が涼羽のことをさらってしまっても不思議ではない、と言えてしまう。
だからこそ、最愛の兄である涼羽が、自分のところからいなくなってしまうのではないか、という不安が際限なく膨れ上がってきてしまう。

そんな不安感が、羽月の足を涼羽の元へと近づかせてしまう。
もうただただ、兄のそばに行きたくてたまらなくて、気がつけば、理想的な花嫁となっている涼羽のすぐそばまで来ていたのだ。

そして、それは父、翔羽も同じだったようで、最愛の妻と瓜二つの姿を見せている、最愛の息子、涼羽のそばまで、羽月と同じように来ていた。

「!!お、お父さん!?それに、羽月!?」

幸介のはからいで、父、翔羽と妹、羽月がここに呼ばれたことを知らなかった涼羽が、二人の姿を目の当たりにして、盛大に驚いてしまっている。
そして、それと同時にまたしても、今の自分の姿を見られることに際限のない恥ずかしさがどんどん湧き出てきてしまう。

「ふ…二人とも…なんでここに…」
「涼羽!!」
「お兄ちゃん!!」
「!!は、はい!!??」
「涼羽…こんなにもお母さんに瓜二つと言えるほどにそっくりになって…しかもこんなにも綺麗なお嫁さんになるなんて…」
「!そ、それは言わないで…」
「お兄ちゃん…びっくりするくらい綺麗…もうどこからどう見ても、誰が見ても綺麗って思えるくらい素敵なお嫁さんになっちゃってる…」
「!は、羽月まで…」
「いいか涼羽…お父さんはな、お前を嫁に行かせる気なんかさらさらないからな!お前は、お父さんがずっとそばにいてあげるからな!」
「お兄ちゃん…お兄ちゃんは、わたしがお嫁さんとしてもらっちゃうんだから!お兄ちゃんは、誰にもあげないんだからね!」
「!な、何言ってるの二人共!?俺は男なんだから、嫁になんて行けないし…」

父、翔羽はいつも通りの親馬鹿をこの場で隠す素振りも見せずに盛大に披露してしまい、妹、羽月もそのブラコンっぷりを余すことなく発揮して、もうこの可愛くて綺麗でたまらない涼羽をずっと自分のそばにおいておきたいという、欲望に満ち溢れた発言までしてしまっている。

「うんうん、私も、涼羽君をどこの馬の骨とも分からん誰かにお嫁さんとしてあげるなどということは、絶対にしたくないからね」
「!お、おじいちゃん!?」
「うむうむ、わしも、涼羽君のような可愛い孫をどこぞの誰かにくれてやるような真似など、する気は一切ないからな」
「!せ、誠一おじいちゃんまで!?」

高宮家のいつものやりとりが披露されているその中に、当然とばかりにしれっと参戦してくるのは、つい先程、涼羽のことを実の孫だと言い切ってしまっていた、幸介と誠一の二人。
あまりにも綺麗で可愛い花嫁な姿になっている涼羽を見て、幸介も誠一もその頬を盛大に緩ませており、今すぐにでも可愛がってあげたいところを懸命に堪えている状態だ。

「お兄ちゃん!!」
「!わ!……」

今の涼羽はこれからモデルとしての撮影のために花嫁衣装に身を包んでいるので、抱きしめたりするのもためらわれる状態で、ヴェールをかぶせられていることもあり、その頭をなでて可愛がることもできずにいる。

そんな感じで、翔羽や幸介、誠一がただただ見ているだけの状態になっているところに、そんなの関係ないと言わんばかりに、実の妹である羽月が、実の兄である涼羽の胸に飛び込むように抱きついてしまう。
いきなり抱きつかれた涼羽は、その瞬間は驚きながらも、普段から常にこうして妹に抱きつかれていることもあり、とっさでありながらもしっかりと受け止めることに成功している。

「は、羽月?……」
「お兄ちゃんは、わたしだけのお兄ちゃんなの!だから、わたしがお兄ちゃんをお嫁さんにするの!」

本来の兄にはない、精巧なパットで作られた結構な自己主張の激しさを見せるその胸にいつものように顔を埋める羽月。
よほど精巧に作っているのか、まるで本物のような感触のそれが、いつもの兄、涼羽の温かで慈愛に満ち溢れた母性に加わっているため、いつもよりもお母さんに抱きしめられているような感覚が、羽月の中で芽生えてくる。

まるでお姉ちゃん大好きな、歳の離れた妹が結婚を目前にした姉を嫁になんて行かせたくないと駄々を捏ねるかのようなその光景。

「…羽月、俺はお嫁さんには、ならないからね」

そんな、お姉ちゃんもとい、お兄ちゃんが大好きな妹である羽月のことを優しくあやすかのように抱きしめると、いつものような母性と慈愛に満ち溢れた笑顔を浮かべながら、羽月の頭を優しくなで始める涼羽。
やっぱり、羽月のことはいつでも可愛い妹だと思っているので、こんな風に甘えてこられると、ついつい優しく包み込んで、甘えさせたくなってしまう涼羽なのだ。

「ほんと?」
「うん…ていうか、なれないんだけどね」
「そんなことないもん!お兄ちゃん、こんなにも綺麗で可愛いし、本当にお母さんみたいだから、誰だってお嫁さんにしたくなっちゃうもん!」
「…だから、無理だってば」

妹の主張に苦笑を浮かべながら優しく包み込んでいる涼羽の姿は、まさにこの世に舞い降りてきた天使のような可愛らしさと綺麗さに満ち溢れていて、兄妹でお互いがお互いを想い合っていることが一目で分かるものとなっている。

「も、もお~~~~!!なんて可愛いの~~~!!」
「羽月ちゃん、ほんとにお兄ちゃん大好きなのね~~!!」
「涼羽ちゃん、すっごくお母さんみたいで、ほんとに素敵なお嫁さんみたい!!」
「わ~~…涼羽ちゃんマジでお母さんで、お嫁さんって感じだな~~」
「あ~俺…結婚するんなら絶対涼羽ちゃんみたいなお嫁さんが欲しいな~~」
「あんな風に妹の羽月ちゃんを可愛がる涼羽ちゃん、ほんとに可愛くて綺麗で…マジ理想のお嫁さんだわ~~」

そんな涼羽と羽月のやりとりを見て、周囲は日々の仕事で疲れているのを癒してもらえるかのような、ほっこりとした思いにさせてもらえている。
あまりにも可愛すぎる涼羽と羽月のやりとりもさることながら、本当に理想のお嫁さんと言えるであろう涼羽の姿もまた、周囲のみんなの心をくすぐるものと、なっている。

「ああ……鷺宮さんもそうだけど、やっぱり涼羽さんを選んだ僕は、間違いじゃなかった……早く、早く二人揃っているところを撮りたい!!」

そして、先程までの志郎と同じように、ひたすら涼羽のことを愛機としているカメラで撮り続けている光仁。
もうここに来て、花嫁の装いをさせられてからの涼羽は、光仁にとってはその一コマ一コマが、逃したくない絶好のシャッターチャンスとなっている。
自分の写真家としての意欲を際限なく膨れ上がらせ、その本能が叫び狂うほどに撮りたくなる存在となっている今の涼羽は、実の妹である羽月を甘えさせて幸せに浸っているその瞬間も、全てを光仁の意欲の赴くままに、その本能の叫ぶままに撮り続けられることと、なるのであった。

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