お兄ちゃんがお母さんで、妹が甘えん坊なお話
お兄ちゃんは、誰にもあげないもん
「んっ!…や…」
「ん~…」
食事も入浴も終え、就寝時間に入った高宮家。
時間帯はまだ二十二時前と、休日の就寝時間としてはかなり早い方だが。
翔羽は、普段やり慣れない洗濯や掃除、そして共同の炊事などに一日を費やし…
さらには前日の仕事が忙しく、無自覚ながらかなりの疲労が残っていたこともあって、思っていたよりも早く睡魔が襲ってきていたのだ。
見た目は二十台後半~三十台と非常に若いが、やはり実年齢は四十三歳。
そんなに無茶が利くほど、肉体そのものは若くはなかった、というのもあったのだろう。
というわけで、三人いる高宮家の住人の中で最も早く就寝についたのは、翔羽だった。
今では、最愛の息子である涼羽の隣の部屋である、自室の布団で…
まるで、死んだように静かに眠っている。
まあ、それまでに思う存分に涼羽や羽月にべったりとすることができたので…
それをそのまま夢の中まで見ているのか、非常に安らかで嬉しそうな寝顔になっている。
父、翔羽がそんな状態な中、涼羽と羽月の兄妹はというと…
もはやせっかくある自室に戻ろうともせず、そこに入るのが当然と言わんばかりに兄、涼羽の部屋に入ってきた妹、羽月。
涼羽自身も、この日いろいろなことがあったため、妙に疲れていたので…
早々に意識を手放して、眠ろうと思い…
いつもの定位置となっている、部屋の中心に敷かれている布団に身を預け…
そのまま静かに眠ろうとしたところに、妹である羽月が乱入。
そして、涼羽の布団の中に、そうするのが当然と言わんばかりに入り込むと…
涼羽の寝巻きであるジャージの前を開き、中に着ているインナーのタンクトップをめくりあげ…
羽月としては、もはやいつもの日課という認識にまでなっているその行為…
要は、兄である涼羽の胸に、吸い付いてきたのだ。
明らかに男であると分かる、まっ平らでぺったんこながら、すべすべで、それでいて柔らかで母性に満ち溢れた兄のその胸に顔を埋め…
この行為を要求される前までと比べると、明らかに分かるほどに大きくなっているそれを口に含むと…
もうまさに、母の母乳を欲しがる赤ん坊のように、一心不乱に、ちゅうちゅうと吸い付いてきたのだ。
それを初めて要求されたあの日から、一日たりとも欠かさずに続けられているこの行為。
それにより、感覚まで非常に鋭敏になってしまっている、涼羽のそれ。
妹である羽月にちゅうちゅうと吸われる度に、その華奢な身体がびくんびくんと、激しく震えてしまう。
首筋から背筋にかけて、そっとなぞられるかのようなその感覚に…
まるでいやいやをするように、その身を捩じらせ、反応してしまう涼羽。
そして、そんな自分を実の妹に見られてしまっている。
そう思うだけで、涼羽の心が激しすぎるほどの羞恥に襲われ…
その顔――――羽月が大好きな、幼げで可愛らしい顔――――を真っ赤に染めて、ふいと羽月から逸らしてしまう。
しかし、それでも、こうして妹が自分にべったりと甘えてきてくれるのが本心では嬉しいのか…
いやいやをするように激しく反応してしまう身体とは…
その恥ずかしさで燃えるように真っ赤にしてしまっている顔をは裏腹に…
小柄である自分よりもさらに小柄な妹の身体を優しく抱きしめ…
その頭を、よしよしと撫でている。
「(お兄ちゃん…お兄ちゃん…)」
恥ずかしがってその顔を逸らしてしまう兄の仕草が…
自分にそれをちゅうちゅうと吸われる度に、その身体をびくんと震わせてしまう兄の反応が…
しかし、それでいて自分をしっかりと抱きしめ、頭を撫でてくれる兄の優しさが…
全てがたまらなく、大好きで大好きでしょうがない。
この行為をしている時が、一番兄の母性を感じることができる。
だから、羽月にとってこの行為はもはやなくてはならない行為となってしまっているのだ。
こんなにも可愛くて優しい兄を見せられて、ついついその吸い付く力が強くなってしまう。
「ひゃ…あっ!…は…はづき…」
「ん…なあに?」
「…も…もっと…やさしく…して…」
少し力を強められただけで、さらに敏感に反応してしまう涼羽の身体。
その台詞を言うこと自体に激しい羞恥を感じてしまうも、言わずにはいられない。
まるで、懇願するように妹に、優しくして欲しい、と。
その恥ずかしさに、もはや耳までをも真っ赤にしている状態の涼羽の顔。
本来なら、こんな風に自分の肌を見られているだけでも恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないのだ。
なのに、男である自分が、こんな風に胸を肌蹴されられて…
その上、まるで女の子みたいに胸にちゅうちゅうと吸い付かれて…
さらには、まるで懇願するようにこんな台詞を言わされて…
もう何度も何度も繰り返されている行為であるにも関わらず…
涼羽本人はまるで慣れる気配がなく…
それどころか、もっともっと恥ずかしさを感じてしまうようになってしまっている。
しかしそれでも、こんな風に自分に甘えてきてくれる妹を無下にできるはずもなく…
自分の胸を肌蹴られた時点で、もう抵抗らしい抵抗もできず…
こうして、なすがままに妹の求める行為を受け入れてしまっているのだ。
「えへへ…お兄ちゃん、可愛い…」
「!!……し、しらない……」
そんな兄の姿、そして仕草の一つ一つが、もうたまらなく愛おしい。
もうたまらなく可愛らしい。
大好きで大好きで、この世で一番愛しているといっても過言ではない、実の兄、涼羽。
そんな愛する兄に、こうして母親の代わりとして、こんなことまでしてもらえているのだから…
羽月が、兄離れをすることなど、できるはずもないのだ。
むしろ、もっともっとそばにいたい。
もっともっとこうしてべったりと甘えたい。
ずっとずっと、一緒にいて欲しい。
兄の胸の中にいるだけで、本当に幸せな気持ちになってくる。
こうして、兄の胸に吸い付いているだけで、まるで赤ん坊の頃にできなかったことを、全部してもらえているような感じになってくる。
本当に、ずるい。
ずるすぎる。
こんなにも可愛くて。
こんなにも愛おしくて。
「お兄ちゃん、愛してる」
「!!わ、分かったから…」
「お兄ちゃんは、ぜ~ったい誰にもあげないんだから」
「!!そ、それは…」
「だから、今日みたいに変な男の人とか、その辺の女の子なんかに、ホイホイついてっちゃ、だめだからね?」
だから、この日、兄が初対面の男の人に言い寄られたなどと聞いて…
本当に危なっかしいと思った。
こんなにも可愛くて、愛らしい容姿、そして性格。
しかも、それがどんどん表に出てきている状態。
だから、本当に危なっかしくて仕方ない、と、思ってしまうのだ。
兄の学校でも、美鈴を始め、今では多くの人間が、この兄に首っ丈になっていっているらしいし…
自分の学校でも、親友である柚宇と柚依の姉妹、そして、いつの間にかできていた兄のファンクラブの女の子達…
気がつけば、あんなにも孤立していた兄が、どんどん周囲の人間を引き寄せていっている。
妹の自分としては、こんなにも大好きな兄が、いつ誰かに奪られてしまってもおかしくない状況なんて…
怖くて怖くて仕方ないのだ。
だから、少しでも一緒にいられる時間を多くしたい。
だから、少しでも兄を自分だけのものとして、縛り付けたい。
日に日に、そんな想いが、膨れ上がっていってしまう。
日に日に、兄を想うこの気持ちが、膨れ上がっていってしまう。
「お兄ちゃんは、わたしだけのお兄ちゃんなんだから…ね?」
その、どうすることもできないほどに膨れ上がっている独占欲が、より兄の胸にキツく吸い付かせてしまう。
そうすることで、兄の身を捩るほどの反応が、もっともっと大きくなってしまう。
「ん!やあ…」
そんな兄が、可愛くて可愛くてたまらない。
こんな、迫られて押し倒されている女の子みたいに、甘く可愛らしい声。
それが耳に入るだけで、もっともっとこんな風にしたくなってしまう。
「お兄ちゃん…お兄ちゃん…」
「も…もう…やめて…」
「や~。もっとい~っぱいお兄ちゃんのおっぱい、ほしいの~」
もうやめてほしいという、兄の儚い懇願も一刀両断。
もっともっと、兄の胸をちゅうちゅうしたくてたまらない、という。
あったかくて、柔らかくて…
まるでお日様に照らされているような心地よさで…
ずっと、こうしていたい。
ずっと、こうしてほしい。
こうして、羽月が心地よいまどろみに意識を奪われるまで…
涼羽は、ひたすら妹にその胸を吸われるという行為に、耐え続けなければならなかった。
――――
「…ん…」
鳥の囀りが耳に入ってくる。
その囀りが、涼羽の意識を覚醒に導いていく。
休日となる日曜の、午前五時。
まだ薄暗い、早朝の時間帯。
涼羽にとっては、普段からの起床時刻となっているこの時刻。
すでに身体が覚えているのもあり、目覚ましもなく、すんなりと目が覚めてしまう。
「…ん~…!!」
まだ覚醒しきっていない、寝ぼけ眼を擦り…
その上半身を起こして身体を伸ばそうとし…
自分の上半身が、露になっているのを見て、一瞬で意識が覚醒してしまう。
「…こ、このまま寝ちゃってたんだ…」
慌ててタンクトップをおろして裾をジャージのズボンの中に入れ…
ジャージの上のジッパーを上げて、開いていたそれを閉じてしまう。
こんな風に肌を晒すことに非常に抵抗を覚える今の涼羽にとって…
こんな格好で寝てしまっていたこと自体が、非常に恥ずかしいことになってしまう。
ゆえに、起床直後なのに、その顔を真っ赤にして、恥らってしまう。
そうして、一旦落ち着くと、視界に、涼羽の胸を肌蹴させた張本人の姿が入ってくる。
「…えへへ…お兄ちゃん…」
嬉しそうな可愛らしい寝顔を惜しげもなく晒し…
兄の胸元で静かに眠り続ける妹、羽月。
大好きで大好きでたまらない兄、涼羽のそばで眠れていることが幸せなのか…
その顔から、その無邪気な笑顔が絶えることはない。
涼羽も、羽月がこんな風に自分と一緒に寝たがることに問題意識を持ってはいるのだが…
いくら言っても羽月が一向にそれを受け入れようとせず…
それどころか、最近は当たり前な顔をして、兄の布団の中にもぐりこんでくるのだから…
もはや、どうしていいのか分からない状態である。
「…ったく、羽月ったら…」
そんな困ったような口調で、目の前ですやすやと眠る妹に吐き捨てるように言葉を紡いでしまうものの…
涼羽の顔には、慈愛の女神のような、母性と慈愛に満ちた、優しい笑顔が浮かんでしまっている。
こんなだから、自分は妹に甘すぎる、という自覚はあるのだが…
どうしても、こんな風に自分を求めてくる妹を邪険にすることなどできず…
なし崩しに、妹を甘やかしてしまうこととなっているのだ。
こんな風に、その母性本能をくすぐらされる存在には非常に弱く…
この羽月のように、目いっぱいに自分に甘えてきてくれる存在が可愛くて可愛くて…
結果、その母性本能には抗えず、目いっぱい優しく接して、思う存分甘えさせてしまう涼羽。
だからこそ、香奈や香澄のような幼い子供が、すぐに懐いてしまうのだろう。
特に、非常に人見知りで、家族以外の人間には近づくことすらしないはずの香奈が、涼羽にはこれでもかというくらいに懐いているのだから…
怒る時には怒るのだが、それもめったなことではせず…
いつも、その優しい笑顔でその包み込むべき対象を包み込んでいるのだから…
いかに涼羽が他人に対する厳しさに無縁なのか…
それが、よく分かってしまう。
反面、自分が甘やかされるのは苦手で…
愛されることも苦手。
そんな風に扱われてしまうと、恥ずかしがってツンツンした反応になってしまう。
それがあまりにも可愛らしくて、周囲がそれを見てもっと愛してあげたくなってしまうことに…
肝心の涼羽本人は全く自覚はないのだが。
「ふふ…よく寝てる…」
涼羽の手が、自然とそばで寝ている羽月の頭に伸び…
そのまま、壊れ物を扱うかのように優しく撫で始めてしまう。
すると、寝ていてもそれが分かるのか…
羽月の寝顔に、一層の笑顔が浮かんでくる。
「…えへへ…お兄ちゃん…」
ものすごく嬉しそうな羽月の寝顔を見て、ほっこりとした気持ちになっている涼羽。
そんな涼羽を引き寄せるかのように、いきなり抱きついてくる羽月。
そして、その胸に顔を埋め、子犬がじゃれついてくるかのように、顔をこすり付けてくる。
「!!は、羽月?」
そんな妹の行動に、驚いて声をあげてしまう涼羽。
もしかして、羽月は起きているのか。
そう思いながら。
「…すう…すう…」
しかし、羽月の口からは、静かで規則正しい寝息が聞こえるばかり。
なのに、まるで起きているかのように涼羽に抱きついてきている羽月。
「…ふふ…」
そんな妹、羽月が可愛らしく見えてしまう涼羽。
寝ていても、兄である自分を求めて、こんな風に抱きついてくるなんて。
そんな可愛い妹に、より一層の優しさと慈愛を込めて…
もっと優しくその頭を撫でてしまう。
結局のところ、自分のそんな行為が、妹の筋金入りのブラコンをより悪化させていってしまっているのだが…
肝心の涼羽本人にその自覚があるわけもなく…
それを注意する立場にある父、翔羽も、この二人の仲睦まじい関係を心底歓迎してしまっている。
ゆえに、妹のお兄ちゃんラブな心は、もっともっと増してしまっている。
まるで、生まれたての赤ん坊を慈しむかのように妹を包み込んでいる涼羽。
どんなに兄離れだなんだと考えてはいても…
結局のところ、目いっぱい自分に甘えてくれる妹が可愛くて…
結果的に余計に離れられなくしてしまっていることに、涼羽自身が気づくことはないのかも知れない。
「ん~…」
食事も入浴も終え、就寝時間に入った高宮家。
時間帯はまだ二十二時前と、休日の就寝時間としてはかなり早い方だが。
翔羽は、普段やり慣れない洗濯や掃除、そして共同の炊事などに一日を費やし…
さらには前日の仕事が忙しく、無自覚ながらかなりの疲労が残っていたこともあって、思っていたよりも早く睡魔が襲ってきていたのだ。
見た目は二十台後半~三十台と非常に若いが、やはり実年齢は四十三歳。
そんなに無茶が利くほど、肉体そのものは若くはなかった、というのもあったのだろう。
というわけで、三人いる高宮家の住人の中で最も早く就寝についたのは、翔羽だった。
今では、最愛の息子である涼羽の隣の部屋である、自室の布団で…
まるで、死んだように静かに眠っている。
まあ、それまでに思う存分に涼羽や羽月にべったりとすることができたので…
それをそのまま夢の中まで見ているのか、非常に安らかで嬉しそうな寝顔になっている。
父、翔羽がそんな状態な中、涼羽と羽月の兄妹はというと…
もはやせっかくある自室に戻ろうともせず、そこに入るのが当然と言わんばかりに兄、涼羽の部屋に入ってきた妹、羽月。
涼羽自身も、この日いろいろなことがあったため、妙に疲れていたので…
早々に意識を手放して、眠ろうと思い…
いつもの定位置となっている、部屋の中心に敷かれている布団に身を預け…
そのまま静かに眠ろうとしたところに、妹である羽月が乱入。
そして、涼羽の布団の中に、そうするのが当然と言わんばかりに入り込むと…
涼羽の寝巻きであるジャージの前を開き、中に着ているインナーのタンクトップをめくりあげ…
羽月としては、もはやいつもの日課という認識にまでなっているその行為…
要は、兄である涼羽の胸に、吸い付いてきたのだ。
明らかに男であると分かる、まっ平らでぺったんこながら、すべすべで、それでいて柔らかで母性に満ち溢れた兄のその胸に顔を埋め…
この行為を要求される前までと比べると、明らかに分かるほどに大きくなっているそれを口に含むと…
もうまさに、母の母乳を欲しがる赤ん坊のように、一心不乱に、ちゅうちゅうと吸い付いてきたのだ。
それを初めて要求されたあの日から、一日たりとも欠かさずに続けられているこの行為。
それにより、感覚まで非常に鋭敏になってしまっている、涼羽のそれ。
妹である羽月にちゅうちゅうと吸われる度に、その華奢な身体がびくんびくんと、激しく震えてしまう。
首筋から背筋にかけて、そっとなぞられるかのようなその感覚に…
まるでいやいやをするように、その身を捩じらせ、反応してしまう涼羽。
そして、そんな自分を実の妹に見られてしまっている。
そう思うだけで、涼羽の心が激しすぎるほどの羞恥に襲われ…
その顔――――羽月が大好きな、幼げで可愛らしい顔――――を真っ赤に染めて、ふいと羽月から逸らしてしまう。
しかし、それでも、こうして妹が自分にべったりと甘えてきてくれるのが本心では嬉しいのか…
いやいやをするように激しく反応してしまう身体とは…
その恥ずかしさで燃えるように真っ赤にしてしまっている顔をは裏腹に…
小柄である自分よりもさらに小柄な妹の身体を優しく抱きしめ…
その頭を、よしよしと撫でている。
「(お兄ちゃん…お兄ちゃん…)」
恥ずかしがってその顔を逸らしてしまう兄の仕草が…
自分にそれをちゅうちゅうと吸われる度に、その身体をびくんと震わせてしまう兄の反応が…
しかし、それでいて自分をしっかりと抱きしめ、頭を撫でてくれる兄の優しさが…
全てがたまらなく、大好きで大好きでしょうがない。
この行為をしている時が、一番兄の母性を感じることができる。
だから、羽月にとってこの行為はもはやなくてはならない行為となってしまっているのだ。
こんなにも可愛くて優しい兄を見せられて、ついついその吸い付く力が強くなってしまう。
「ひゃ…あっ!…は…はづき…」
「ん…なあに?」
「…も…もっと…やさしく…して…」
少し力を強められただけで、さらに敏感に反応してしまう涼羽の身体。
その台詞を言うこと自体に激しい羞恥を感じてしまうも、言わずにはいられない。
まるで、懇願するように妹に、優しくして欲しい、と。
その恥ずかしさに、もはや耳までをも真っ赤にしている状態の涼羽の顔。
本来なら、こんな風に自分の肌を見られているだけでも恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないのだ。
なのに、男である自分が、こんな風に胸を肌蹴されられて…
その上、まるで女の子みたいに胸にちゅうちゅうと吸い付かれて…
さらには、まるで懇願するようにこんな台詞を言わされて…
もう何度も何度も繰り返されている行為であるにも関わらず…
涼羽本人はまるで慣れる気配がなく…
それどころか、もっともっと恥ずかしさを感じてしまうようになってしまっている。
しかしそれでも、こんな風に自分に甘えてきてくれる妹を無下にできるはずもなく…
自分の胸を肌蹴られた時点で、もう抵抗らしい抵抗もできず…
こうして、なすがままに妹の求める行為を受け入れてしまっているのだ。
「えへへ…お兄ちゃん、可愛い…」
「!!……し、しらない……」
そんな兄の姿、そして仕草の一つ一つが、もうたまらなく愛おしい。
もうたまらなく可愛らしい。
大好きで大好きで、この世で一番愛しているといっても過言ではない、実の兄、涼羽。
そんな愛する兄に、こうして母親の代わりとして、こんなことまでしてもらえているのだから…
羽月が、兄離れをすることなど、できるはずもないのだ。
むしろ、もっともっとそばにいたい。
もっともっとこうしてべったりと甘えたい。
ずっとずっと、一緒にいて欲しい。
兄の胸の中にいるだけで、本当に幸せな気持ちになってくる。
こうして、兄の胸に吸い付いているだけで、まるで赤ん坊の頃にできなかったことを、全部してもらえているような感じになってくる。
本当に、ずるい。
ずるすぎる。
こんなにも可愛くて。
こんなにも愛おしくて。
「お兄ちゃん、愛してる」
「!!わ、分かったから…」
「お兄ちゃんは、ぜ~ったい誰にもあげないんだから」
「!!そ、それは…」
「だから、今日みたいに変な男の人とか、その辺の女の子なんかに、ホイホイついてっちゃ、だめだからね?」
だから、この日、兄が初対面の男の人に言い寄られたなどと聞いて…
本当に危なっかしいと思った。
こんなにも可愛くて、愛らしい容姿、そして性格。
しかも、それがどんどん表に出てきている状態。
だから、本当に危なっかしくて仕方ない、と、思ってしまうのだ。
兄の学校でも、美鈴を始め、今では多くの人間が、この兄に首っ丈になっていっているらしいし…
自分の学校でも、親友である柚宇と柚依の姉妹、そして、いつの間にかできていた兄のファンクラブの女の子達…
気がつけば、あんなにも孤立していた兄が、どんどん周囲の人間を引き寄せていっている。
妹の自分としては、こんなにも大好きな兄が、いつ誰かに奪られてしまってもおかしくない状況なんて…
怖くて怖くて仕方ないのだ。
だから、少しでも一緒にいられる時間を多くしたい。
だから、少しでも兄を自分だけのものとして、縛り付けたい。
日に日に、そんな想いが、膨れ上がっていってしまう。
日に日に、兄を想うこの気持ちが、膨れ上がっていってしまう。
「お兄ちゃんは、わたしだけのお兄ちゃんなんだから…ね?」
その、どうすることもできないほどに膨れ上がっている独占欲が、より兄の胸にキツく吸い付かせてしまう。
そうすることで、兄の身を捩るほどの反応が、もっともっと大きくなってしまう。
「ん!やあ…」
そんな兄が、可愛くて可愛くてたまらない。
こんな、迫られて押し倒されている女の子みたいに、甘く可愛らしい声。
それが耳に入るだけで、もっともっとこんな風にしたくなってしまう。
「お兄ちゃん…お兄ちゃん…」
「も…もう…やめて…」
「や~。もっとい~っぱいお兄ちゃんのおっぱい、ほしいの~」
もうやめてほしいという、兄の儚い懇願も一刀両断。
もっともっと、兄の胸をちゅうちゅうしたくてたまらない、という。
あったかくて、柔らかくて…
まるでお日様に照らされているような心地よさで…
ずっと、こうしていたい。
ずっと、こうしてほしい。
こうして、羽月が心地よいまどろみに意識を奪われるまで…
涼羽は、ひたすら妹にその胸を吸われるという行為に、耐え続けなければならなかった。
――――
「…ん…」
鳥の囀りが耳に入ってくる。
その囀りが、涼羽の意識を覚醒に導いていく。
休日となる日曜の、午前五時。
まだ薄暗い、早朝の時間帯。
涼羽にとっては、普段からの起床時刻となっているこの時刻。
すでに身体が覚えているのもあり、目覚ましもなく、すんなりと目が覚めてしまう。
「…ん~…!!」
まだ覚醒しきっていない、寝ぼけ眼を擦り…
その上半身を起こして身体を伸ばそうとし…
自分の上半身が、露になっているのを見て、一瞬で意識が覚醒してしまう。
「…こ、このまま寝ちゃってたんだ…」
慌ててタンクトップをおろして裾をジャージのズボンの中に入れ…
ジャージの上のジッパーを上げて、開いていたそれを閉じてしまう。
こんな風に肌を晒すことに非常に抵抗を覚える今の涼羽にとって…
こんな格好で寝てしまっていたこと自体が、非常に恥ずかしいことになってしまう。
ゆえに、起床直後なのに、その顔を真っ赤にして、恥らってしまう。
そうして、一旦落ち着くと、視界に、涼羽の胸を肌蹴させた張本人の姿が入ってくる。
「…えへへ…お兄ちゃん…」
嬉しそうな可愛らしい寝顔を惜しげもなく晒し…
兄の胸元で静かに眠り続ける妹、羽月。
大好きで大好きでたまらない兄、涼羽のそばで眠れていることが幸せなのか…
その顔から、その無邪気な笑顔が絶えることはない。
涼羽も、羽月がこんな風に自分と一緒に寝たがることに問題意識を持ってはいるのだが…
いくら言っても羽月が一向にそれを受け入れようとせず…
それどころか、最近は当たり前な顔をして、兄の布団の中にもぐりこんでくるのだから…
もはや、どうしていいのか分からない状態である。
「…ったく、羽月ったら…」
そんな困ったような口調で、目の前ですやすやと眠る妹に吐き捨てるように言葉を紡いでしまうものの…
涼羽の顔には、慈愛の女神のような、母性と慈愛に満ちた、優しい笑顔が浮かんでしまっている。
こんなだから、自分は妹に甘すぎる、という自覚はあるのだが…
どうしても、こんな風に自分を求めてくる妹を邪険にすることなどできず…
なし崩しに、妹を甘やかしてしまうこととなっているのだ。
こんな風に、その母性本能をくすぐらされる存在には非常に弱く…
この羽月のように、目いっぱいに自分に甘えてきてくれる存在が可愛くて可愛くて…
結果、その母性本能には抗えず、目いっぱい優しく接して、思う存分甘えさせてしまう涼羽。
だからこそ、香奈や香澄のような幼い子供が、すぐに懐いてしまうのだろう。
特に、非常に人見知りで、家族以外の人間には近づくことすらしないはずの香奈が、涼羽にはこれでもかというくらいに懐いているのだから…
怒る時には怒るのだが、それもめったなことではせず…
いつも、その優しい笑顔でその包み込むべき対象を包み込んでいるのだから…
いかに涼羽が他人に対する厳しさに無縁なのか…
それが、よく分かってしまう。
反面、自分が甘やかされるのは苦手で…
愛されることも苦手。
そんな風に扱われてしまうと、恥ずかしがってツンツンした反応になってしまう。
それがあまりにも可愛らしくて、周囲がそれを見てもっと愛してあげたくなってしまうことに…
肝心の涼羽本人は全く自覚はないのだが。
「ふふ…よく寝てる…」
涼羽の手が、自然とそばで寝ている羽月の頭に伸び…
そのまま、壊れ物を扱うかのように優しく撫で始めてしまう。
すると、寝ていてもそれが分かるのか…
羽月の寝顔に、一層の笑顔が浮かんでくる。
「…えへへ…お兄ちゃん…」
ものすごく嬉しそうな羽月の寝顔を見て、ほっこりとした気持ちになっている涼羽。
そんな涼羽を引き寄せるかのように、いきなり抱きついてくる羽月。
そして、その胸に顔を埋め、子犬がじゃれついてくるかのように、顔をこすり付けてくる。
「!!は、羽月?」
そんな妹の行動に、驚いて声をあげてしまう涼羽。
もしかして、羽月は起きているのか。
そう思いながら。
「…すう…すう…」
しかし、羽月の口からは、静かで規則正しい寝息が聞こえるばかり。
なのに、まるで起きているかのように涼羽に抱きついてきている羽月。
「…ふふ…」
そんな妹、羽月が可愛らしく見えてしまう涼羽。
寝ていても、兄である自分を求めて、こんな風に抱きついてくるなんて。
そんな可愛い妹に、より一層の優しさと慈愛を込めて…
もっと優しくその頭を撫でてしまう。
結局のところ、自分のそんな行為が、妹の筋金入りのブラコンをより悪化させていってしまっているのだが…
肝心の涼羽本人にその自覚があるわけもなく…
それを注意する立場にある父、翔羽も、この二人の仲睦まじい関係を心底歓迎してしまっている。
ゆえに、妹のお兄ちゃんラブな心は、もっともっと増してしまっている。
まるで、生まれたての赤ん坊を慈しむかのように妹を包み込んでいる涼羽。
どんなに兄離れだなんだと考えてはいても…
結局のところ、目いっぱい自分に甘えてくれる妹が可愛くて…
結果的に余計に離れられなくしてしまっていることに、涼羽自身が気づくことはないのかも知れない。
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