7's War(セブンズ ウォー) 7つの物語

ノベルバユーザー177222

第1幕(3)「奇襲の狩人」

 イザークは急いで指令室の方へと向かっていった。

 兵士から聞いた話だとイザークが国外に調査に行った後、一軒の宿屋が爆発した所から始まった。後に分かった事だが、爆破を引き起こした犯人が野獣の国・ライオットの精鋭集団、ハンターによるものらしい。

 ハンターは潜伏を得意としていて常に4~5人で動いて連携をとりながら任務を遂行する、まさしく狩人ハンターだ。

 宿屋を爆破をした後、ハンター達は次々と建物を破壊しブレイズ兵を倒していった。ブレイズ兵も対抗しようとしたが民が大パニックを起こし逃げ惑う民達の中をハンター達は綺麗にかいくぐり混雑で身動きがとれないブレイズ兵を1人ずつ倒していく。

 じわじわと戦力が削られていくブレイズ兵団。その事態にグザン団長は指令室で頭を抱えていた。

 「私とした事が…」

 ため息をつくと冷静に状況を把握していた。

 「あれは偵察では無く、イザークを誘いだす為の罠だったという事か!まさか、イザークを国外に出す事まで想定していたというのか!少数の兵だけを出すという可能性もあったはずなのに。この作戦は賭けだったのか?それとも野生の勘か?」

 グザン団長はブツブツと言っていると一緒にいた兵士が指示を仰ごうとした。

 「グザン団長!ご指示を!」

 そう言うと我に帰ったかの様に顔を兵士の方に顔を向ける。

 「ああ、すまない。動けるものは全員本部に集めろ!一箇所に集中して奴らを迎え撃つ!!」

 団長の指示に兵士は疑問を投げかける。

 「しかし、民の避難が完了しておりません!」

 「構わん!!奴らの狙いは我々ブレイズ兵団だ!!民を避難させるより我々を一箇所に集めた方が被害は少なくすむはずだ。」

 「…了解しました!失礼します!!」

 少し納得がいかなかった様だが、指示に従い指令室を出た。それはそうだ。本来なら民の避難を最優先にすべきだが、ハンター達の目標は兵団の無力化、殲滅なのだろう。民に紛れながら兵士を狙っているのがなによりの証拠だ。

 そして、兵団本部に集結した兵士でハンター達を迎え撃った。兵士の中には、イザーク程ではないが腕のたつ師団長数人がいた為何とか撃退する事ができた。

 しかし、まだこの戦いは終わりではなかった。瀕死のハンターの1人が赤の信号弾をあげたのだ!!この世界で赤の信号弾は一般的に『突撃』の合図だった。これには兵士達は愕然とした。すると、グザン団長が口を開いた。

 「またもやられたか!!まさか、ハンターを捨て駒に使うとは!!!」

 ---信号弾が放たれて、イザークがブレイズに戻ってくる少し前の話だった。

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