聞こえない僕と見えない君の空想物語
7話 恵は購買のパン、風澄は手作りのお弁当
「恵くーん、聞きたいんだけどさー」
授業中、前の席に座る春汰からLINEがきた。
こいつは、馬鹿なのか。いや、馬鹿なのは知っている。
授業中にLINEをするな。
と、思いつつLINEを返す僕も僕だが。
「なに?」
「彼女できたでしょ」
「何言ってんの?出来てないけど」
「うっそー!!」
今の春汰の状況を説明すると、LINEに打つつもりの言葉を自分の声に出して叫んだ。
それに加え、勢いよく立ち上がったため盛大に椅子を倒した。たぶん、クラスの人達より僕が1番驚いた。
「何してんだ佐山。俺の授業に不審な点でもあんのか?」
授業を中断された数学教師はキレる寸前だ。
どんまい、春汰。
携帯を使っていた事はかろうじてバレずに、少しの説教でその場を収めた。
そして、再び先生が黒板に向かった瞬間
「怒られちゃった!テヘッ」
怖いもの知らずのただのアホだ。
まぁ、その後は流石に中断して真面目に授業をうけた。
昼休み、僕らはいつもの誰もいない中庭で昼食をとる。静かな方が聞こえると僕が言ったからだ。
と言っても、春汰と話す時はほとんどがLINEだ。
一方的に春汰が話す場合は、僕が集中して聞けば聞き取れる。だが、今回は春汰から僕への質問形式なので授業中と同じようにLINEで話すことにした。
「彼女じゃないなら、この前の女子は誰よ」
「別に、ただの」
"友達"その単語は彼女に使っていいことなのだろうか。ましてや、春汰にも使っていいのか分からない。
返信に少し時間がかかってしまう。
「知り合いだよ」
「今、変な間があった。ってか、知り合いってなんだよ」
鋭すぎるツッコミに、返す言葉は出ない。
「じゃあ、今日俺も込みで寄り道しながら帰ろう!」
「やだ」
「何でだよ!いいだろ」
否定の言葉は、考えるより早く手が動いていた。
自分でも、若干驚いている。
「聞くだけ聞いてみてよ、頼む」
「聞くだけなら」
そう、返信すると春汰が横で授業中と同じくらいの素早さで立ち上がった。
制服のポケットを規則正しい通知音が流れ、LINEが来たことを教えてくる。
「今日、もう1人追加で一緒に帰ってもいいかな?」
学校にいる間、篠原くんからめったに連絡はない。
だから、少し舞い上がってしまう。
でも、文面を見るなり少し不安な気分になった。
「風澄、どうしたの?」
一緒に昼食を取っていた親友の槙田絢香は心配そうな目でこちらを見た。
「篠原くんから、連絡貰ったんだけど」
「よかったじゃん!というか、珍しいね」
絢香には、篠原くんとの事を全て話した。
だから、今回のことも包み隠さず全て話す。
「これ、どう思う?女の人かな?」
「えー、普通に友達じゃないかな」
絢香は分かってないのだ。篠原くんの魅力に。
私が知らないだけで、篠原くんの事を好きな女の子はたくさんいると思ってる。いや、いる!!
「じゃあ、私も風澄と一緒に行ってあげようか?」
こういう時の絢香は本当に頼りになる。
「本当に!ありがとう絢香。返信しないと」
え、でもなんて打てばいいのだろう。
文を打ち込んでは消し、打ち込んでは消しという作業を10分続けた結果、絢香に助けを求めて極めて簡潔な文面を送信した。
昼食も食べ終わり、春汰と駄弁っていると携帯がなった。と言っても聞こえないので、春汰に教えてもらったのだが。
宮村さんからの返信だった。
「分かりました!私も友人を1人連れていきます。私が教室まで迎えに行くので待っていてください!」
春汰に内容を見せると、飛び跳ねながら喜んだ。
どこかの、非公式マスコットのようだ。
僕は「了解です」と、だけ打ちポケットにしまう。
また、宮村さんと帰れる嬉しさとともに少し、スッキリしない感じがした。
授業中、前の席に座る春汰からLINEがきた。
こいつは、馬鹿なのか。いや、馬鹿なのは知っている。
授業中にLINEをするな。
と、思いつつLINEを返す僕も僕だが。
「なに?」
「彼女できたでしょ」
「何言ってんの?出来てないけど」
「うっそー!!」
今の春汰の状況を説明すると、LINEに打つつもりの言葉を自分の声に出して叫んだ。
それに加え、勢いよく立ち上がったため盛大に椅子を倒した。たぶん、クラスの人達より僕が1番驚いた。
「何してんだ佐山。俺の授業に不審な点でもあんのか?」
授業を中断された数学教師はキレる寸前だ。
どんまい、春汰。
携帯を使っていた事はかろうじてバレずに、少しの説教でその場を収めた。
そして、再び先生が黒板に向かった瞬間
「怒られちゃった!テヘッ」
怖いもの知らずのただのアホだ。
まぁ、その後は流石に中断して真面目に授業をうけた。
昼休み、僕らはいつもの誰もいない中庭で昼食をとる。静かな方が聞こえると僕が言ったからだ。
と言っても、春汰と話す時はほとんどがLINEだ。
一方的に春汰が話す場合は、僕が集中して聞けば聞き取れる。だが、今回は春汰から僕への質問形式なので授業中と同じようにLINEで話すことにした。
「彼女じゃないなら、この前の女子は誰よ」
「別に、ただの」
"友達"その単語は彼女に使っていいことなのだろうか。ましてや、春汰にも使っていいのか分からない。
返信に少し時間がかかってしまう。
「知り合いだよ」
「今、変な間があった。ってか、知り合いってなんだよ」
鋭すぎるツッコミに、返す言葉は出ない。
「じゃあ、今日俺も込みで寄り道しながら帰ろう!」
「やだ」
「何でだよ!いいだろ」
否定の言葉は、考えるより早く手が動いていた。
自分でも、若干驚いている。
「聞くだけ聞いてみてよ、頼む」
「聞くだけなら」
そう、返信すると春汰が横で授業中と同じくらいの素早さで立ち上がった。
制服のポケットを規則正しい通知音が流れ、LINEが来たことを教えてくる。
「今日、もう1人追加で一緒に帰ってもいいかな?」
学校にいる間、篠原くんからめったに連絡はない。
だから、少し舞い上がってしまう。
でも、文面を見るなり少し不安な気分になった。
「風澄、どうしたの?」
一緒に昼食を取っていた親友の槙田絢香は心配そうな目でこちらを見た。
「篠原くんから、連絡貰ったんだけど」
「よかったじゃん!というか、珍しいね」
絢香には、篠原くんとの事を全て話した。
だから、今回のことも包み隠さず全て話す。
「これ、どう思う?女の人かな?」
「えー、普通に友達じゃないかな」
絢香は分かってないのだ。篠原くんの魅力に。
私が知らないだけで、篠原くんの事を好きな女の子はたくさんいると思ってる。いや、いる!!
「じゃあ、私も風澄と一緒に行ってあげようか?」
こういう時の絢香は本当に頼りになる。
「本当に!ありがとう絢香。返信しないと」
え、でもなんて打てばいいのだろう。
文を打ち込んでは消し、打ち込んでは消しという作業を10分続けた結果、絢香に助けを求めて極めて簡潔な文面を送信した。
昼食も食べ終わり、春汰と駄弁っていると携帯がなった。と言っても聞こえないので、春汰に教えてもらったのだが。
宮村さんからの返信だった。
「分かりました!私も友人を1人連れていきます。私が教室まで迎えに行くので待っていてください!」
春汰に内容を見せると、飛び跳ねながら喜んだ。
どこかの、非公式マスコットのようだ。
僕は「了解です」と、だけ打ちポケットにしまう。
また、宮村さんと帰れる嬉しさとともに少し、スッキリしない感じがした。
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