東方戦士の冒険譚-顕現するは敏捷神-
別の冒険譚
「まさか、本当にあるとはな…」
人間種の銀級冒険者、サポールは目の前に立つ威容を前に呟いた。
革鎧に長剣を背負い、背に柄が見え隠れしていた。赤い巻き毛が彼の先祖の神を伝えてくるかのような男だった。
古代統一王朝の遺跡、地上に出ているのはその入口のみだが、蔦が扉にくまなく蔓延っており未盗掘の可能性が高いことを知らせてくれる。
「毎度思うのだが、古代王朝はどの種族が作ったんじゃろうな?これほど見事な石細工…まさかに人間種ではあるまい。やはり儂らドワーフ種の手によるものではないか?」
ドワーフ種の鉄級冒険者のダラダインが持論を展開した。
立派な髭と小柄でがっしりとした肉体は人間種が思い浮かべるドワーフ種そのままだ。
自己の種族に対して色眼鏡がかかっている論に仲間達も苦笑はするが、否定は出来ない。なにせ、何故か古代王朝の人々の遺骸は見つかってはいない。まるである日、突然消えたというように。
「紋様とかは私達、エルフのそれに近い気もするけれど…それにしては妙な場所に立っているし、地下に住んでいたのも良く分からない。悔しいけどダラダインが正解かもしれないわね」
エルフ種の銀級冒険者…クラソリエルが不承不承認める。
緑がかった金の髪に、人間種から見れば平均だが細身の種族としては豊満な肢体。それを布鎧で包み、腰に佩いているのは幾つもの変わった形の短剣だ。
故郷の森から出てきたことからも分かるように彼女は気高いエルフ種としては変わり種といえる。他種族にも理解を示せる広い心も種族として括れば異端となってしまう。
最も名高い3種族で構成された一団であることこそが彼らの売りだった。種族の垣根を超えて紡がれた絆は自分達が英雄譚の一員となったかのように誇らしい。
だからこそ今までの“冒険”が不満だった。冒険者など傭兵の一種に過ぎないというような世間の依頼の数々。戦い、戦い、また戦い――それで得た物も確かにあったが、子供の日に夢見たような冒険には程遠かった。子供の日に夢見た外の世界の景色とは信じたくなかった。子供の日に夢見た金銀財宝など夢のまた夢だった。
そして今ようやくチャンスが目の前に転がってきた。いや、自分達で掴んだ。
ろくに組合の加護など受けれない辺境域にまで赴いてようやく捕らえた機会。
わくわくする。わくわくする。
この遺跡でようやく本当の冒険が始まるのだ。
//
物音は立てないように…身軽なエルフであるクラソリエルが2人の数歩先を行く。枯れ枝を折らずに踏めるとさえ言われるエルフ種の身軽さは隠密に最適だった。
圧力板に仕掛けられた罠があろうとも起動させずに済む。仮に起動しても逃げることはできる。仲間に助けを求めれば…手先が器用なドワーフ種によって解除は容易だ。
くすんだ白の石材で作られた廊下を渡り、階段を降りる。
「…すげぇ」
音を立てないのも鉄則なのだが、それでもサポールの口からは感嘆の声が漏れた。
踊り場には古代の技術で作られた魔術灯が健在だった。これだけでもそれなりの価値が付く。
鉄製の部分は現代と同じ作りだが発光源が異なる。現代では精製不可能な魔力を帯びたクリスタルが輝いて灯りとなっているのだ。
興奮が警戒心を塗りつぶそうとする。強いて心を抑えながらサポール達三人は更に深くへと進んだ。
「しっ!」
呼気なのか、指示なのか分からぬ声をクラソリエルが上げる!その長耳はピンと跳ねており、何かを聞いた証だ。
クラソリエルの感覚に絶対の信頼を置く仲間2人はそれを受けて武器を抜き放った。
暗がりに目を凝らす。…暗がり?
この遺跡はまだ生きているのに暗がり?
この先には魔術灯が無い…ということは考え難い。いや、たまたま先の踊り場の灯りが健在だっただけなのか?…考えても答えは出ない。探索というものは明確な答えなど出ないものなのだ。
一行は目の前に「何かいるかもしれない」というあやふやな事柄に意識を集中することにした。
ここで引き返すなどとんでもないことだ。先の魔術灯が持ち去られていないのを見ればここが手付かずの遺跡であることにもう疑いはない。
先にいるのは何だ?
サポールは恐怖と興奮が綯い交ぜになった胸中を噛み締めていた。
///
暗がりを行く。周囲の灯りはクラソリエルの〈灯火〉の魔術と、ダラダインが頭に嵌めた頭部用のカンテラのみだ。灯りを点けることは良い的になりかねないとも思われたが、この先に潜む何かが闇を見通せる可能性が高い。それを考慮してのことだった。
「こういう時、石造りの遺跡は良いわね。足を取られない」
クラソリエルの小さな声にニヤッとダラダインが笑みを見せる。エルフが石造りを褒めたこと…ではなく、かつてクラソリエルが鉄火場で転んでしまった無様をからかっているのだ。
サポールはそれを見て苦笑しながら壁に手を当てようとして…その感触がないことを訝しんだ。
「おい、これ…」
灯りを向けると石壁に穴が開いており…破片が遺跡側に飛び散っていた。
つまり…何者かが入ってきている。扉からではなく、地下から。それならば地上の扉に蔦が張っていながら、中に何者かがいるという理由も説明が着く。
何かを引きずるような音が聞こえる。今度はエルフの耳だけでなく人間の耳にも聞こえた。
近い。
「近づいてくるわね…」
クラソリエルは投剣を構える。エルフが得手とする弓矢ではなく投擲武器。なるほど、彼女は変わり者だった。しかし侮ることは誰にも出来まい。彼女もまた銀級なのだから。
「冒険に苦難は付き物ってわけだ」
「だの。儂の鉄棍で微塵に砕いてしまえば良い」
先を照らせば分かれ道。直角に左右に分かれた道に右側から巨体が現れる。
「モールマンか…!にしてもデカイな」
光に弱いその獣は向けられた灯りに驚き、そのまま左側に抜けていった。
犬のような長鼻の顔に胴体と同じ程の大きさの手を持つ種族。人にも似たシルエットから獣人と称されることもある獣だった。
引きずるような音は尾っぽというわけだ。
縄張り意識が強く、光を嫌う。今は逃げていても、不快な存在を排除すべく、しばらくすれば襲ってくるはずだった。
ならば…
「先手…必勝!」
指示を出すとともにサポールが駆け出す。その背中に向けてクラソリエルの投剣が放たれる。
クラソリエルの投剣は自在に方向を変えられる。弧を描いた軌跡は曲がり角の先に向かい…
「グァウ!」
様子を窺おうとしていたモールマンの鼻っ面に命中した。
それだけでは倒れないが、重傷であることに違いない。突如として走った激痛と食い込んだ異物に大型の獣が四苦八苦している。
そして銀級であるサポールがそれを見逃すはずはない。
切れ味の良い長剣を脳天に叩き込まれると、眼窩から目を飛び出させてモールマンは倒れ伏した。
未だに痙攣をして生命活動を止めないモールマンの生命力は強靭だった。
油断せずにトドメを刺すサポール。
後背ではダラダインが反対側の通路を警戒しているはずだ。あの狷介なドワーフは意外にも地味な動きで一行を支援する。時折、感情を止められないが故にやらかしてくれるので未だに鉄級だが…頼りになる仲間だった。
「まだ来やがったぞ!」
その活躍が早速示された。今しがた動かなくなったモールマンの後続がやってきたのだ。
鉄棒を前に突き出し威嚇するダラダインを威嚇し返す異形の獣。数は目視できるだけでも5体。
だが――
「行ける!一体ずつ仕留めていくぞ!敵は連携を考えていない!仲間こそが俺達の強みだ!」
狭い通路に巨体は不向きだ。通路の広さから考えれば人間種程度の体格なら2人か3人は並んで動けるが、モールマンはそうはいかない。折角の数もこれでは宝の持ち腐れ。そしてサポール達には絆がある。
サポールとクラソリエルは銀級冒険者だ。
金級や噂にだけ聞くその更に上の階級の冒険者達は一騎当千ともされる。ならばそれに次ぐ我々は一騎当百…とは行かないまでも十は行けるはずだ。
そう考えるサポール達の自負は経験に裏打ちされている。この辺境域のモールマンはやや大型らしいが、同種の敵は今までに幾度も仕留めて来ている。油断さえしなければ負けることはない。
クラソリエルの投剣が繰り出される。サポールの長剣が閃く。ダラダインが前を支える。
世界中を回って幾多の苦難をこの三人で乗り越えてきたのだ。そして…結果はサポール達が考えていた通りになった。
影に隠れていた者も含めて6体のモールマンが血溜まりに伏した。
////
「全く、大したことはなかったの。多少デカかろうとも所詮はモールマンか」
腹を揺すって笑うダラダイン。その剛毅さに苦笑しつつもサポールは窘める。
「油断は禁物だ。お宝が目の前にあるのにこんなところでおっ死んじまったら笑い話にしかならない。…モールマンは財宝を食ったりしないのが救いだな」
「貴方も随分と油断しているわよサポール。ここは何が起こるか分からない辺境域のさらに未発見の遺跡…警戒し過ぎて損ってことはないんだから」
姿勢を低くして、足音を最小限に抑える布靴でクラソリエルが先を行く。流れる艶やかな金緑の髪を2人の仲間が少し離れて追う。
…先を見据える彼らの後ろで今通ってきた分かれ道の前、穴が開いていた場所で影が蠢いた。これは油断だろうか?
サポール達はモールマンが巣食っているものとばかり思っていたのだ。モールマン達もつい先日、ここを訪れたばかりで本当の意味での後続がいるとは誰も考えていなかった。
人間種の銀級冒険者、サポールは目の前に立つ威容を前に呟いた。
革鎧に長剣を背負い、背に柄が見え隠れしていた。赤い巻き毛が彼の先祖の神を伝えてくるかのような男だった。
古代統一王朝の遺跡、地上に出ているのはその入口のみだが、蔦が扉にくまなく蔓延っており未盗掘の可能性が高いことを知らせてくれる。
「毎度思うのだが、古代王朝はどの種族が作ったんじゃろうな?これほど見事な石細工…まさかに人間種ではあるまい。やはり儂らドワーフ種の手によるものではないか?」
ドワーフ種の鉄級冒険者のダラダインが持論を展開した。
立派な髭と小柄でがっしりとした肉体は人間種が思い浮かべるドワーフ種そのままだ。
自己の種族に対して色眼鏡がかかっている論に仲間達も苦笑はするが、否定は出来ない。なにせ、何故か古代王朝の人々の遺骸は見つかってはいない。まるである日、突然消えたというように。
「紋様とかは私達、エルフのそれに近い気もするけれど…それにしては妙な場所に立っているし、地下に住んでいたのも良く分からない。悔しいけどダラダインが正解かもしれないわね」
エルフ種の銀級冒険者…クラソリエルが不承不承認める。
緑がかった金の髪に、人間種から見れば平均だが細身の種族としては豊満な肢体。それを布鎧で包み、腰に佩いているのは幾つもの変わった形の短剣だ。
故郷の森から出てきたことからも分かるように彼女は気高いエルフ種としては変わり種といえる。他種族にも理解を示せる広い心も種族として括れば異端となってしまう。
最も名高い3種族で構成された一団であることこそが彼らの売りだった。種族の垣根を超えて紡がれた絆は自分達が英雄譚の一員となったかのように誇らしい。
だからこそ今までの“冒険”が不満だった。冒険者など傭兵の一種に過ぎないというような世間の依頼の数々。戦い、戦い、また戦い――それで得た物も確かにあったが、子供の日に夢見たような冒険には程遠かった。子供の日に夢見た外の世界の景色とは信じたくなかった。子供の日に夢見た金銀財宝など夢のまた夢だった。
そして今ようやくチャンスが目の前に転がってきた。いや、自分達で掴んだ。
ろくに組合の加護など受けれない辺境域にまで赴いてようやく捕らえた機会。
わくわくする。わくわくする。
この遺跡でようやく本当の冒険が始まるのだ。
//
物音は立てないように…身軽なエルフであるクラソリエルが2人の数歩先を行く。枯れ枝を折らずに踏めるとさえ言われるエルフ種の身軽さは隠密に最適だった。
圧力板に仕掛けられた罠があろうとも起動させずに済む。仮に起動しても逃げることはできる。仲間に助けを求めれば…手先が器用なドワーフ種によって解除は容易だ。
くすんだ白の石材で作られた廊下を渡り、階段を降りる。
「…すげぇ」
音を立てないのも鉄則なのだが、それでもサポールの口からは感嘆の声が漏れた。
踊り場には古代の技術で作られた魔術灯が健在だった。これだけでもそれなりの価値が付く。
鉄製の部分は現代と同じ作りだが発光源が異なる。現代では精製不可能な魔力を帯びたクリスタルが輝いて灯りとなっているのだ。
興奮が警戒心を塗りつぶそうとする。強いて心を抑えながらサポール達三人は更に深くへと進んだ。
「しっ!」
呼気なのか、指示なのか分からぬ声をクラソリエルが上げる!その長耳はピンと跳ねており、何かを聞いた証だ。
クラソリエルの感覚に絶対の信頼を置く仲間2人はそれを受けて武器を抜き放った。
暗がりに目を凝らす。…暗がり?
この遺跡はまだ生きているのに暗がり?
この先には魔術灯が無い…ということは考え難い。いや、たまたま先の踊り場の灯りが健在だっただけなのか?…考えても答えは出ない。探索というものは明確な答えなど出ないものなのだ。
一行は目の前に「何かいるかもしれない」というあやふやな事柄に意識を集中することにした。
ここで引き返すなどとんでもないことだ。先の魔術灯が持ち去られていないのを見ればここが手付かずの遺跡であることにもう疑いはない。
先にいるのは何だ?
サポールは恐怖と興奮が綯い交ぜになった胸中を噛み締めていた。
///
暗がりを行く。周囲の灯りはクラソリエルの〈灯火〉の魔術と、ダラダインが頭に嵌めた頭部用のカンテラのみだ。灯りを点けることは良い的になりかねないとも思われたが、この先に潜む何かが闇を見通せる可能性が高い。それを考慮してのことだった。
「こういう時、石造りの遺跡は良いわね。足を取られない」
クラソリエルの小さな声にニヤッとダラダインが笑みを見せる。エルフが石造りを褒めたこと…ではなく、かつてクラソリエルが鉄火場で転んでしまった無様をからかっているのだ。
サポールはそれを見て苦笑しながら壁に手を当てようとして…その感触がないことを訝しんだ。
「おい、これ…」
灯りを向けると石壁に穴が開いており…破片が遺跡側に飛び散っていた。
つまり…何者かが入ってきている。扉からではなく、地下から。それならば地上の扉に蔦が張っていながら、中に何者かがいるという理由も説明が着く。
何かを引きずるような音が聞こえる。今度はエルフの耳だけでなく人間の耳にも聞こえた。
近い。
「近づいてくるわね…」
クラソリエルは投剣を構える。エルフが得手とする弓矢ではなく投擲武器。なるほど、彼女は変わり者だった。しかし侮ることは誰にも出来まい。彼女もまた銀級なのだから。
「冒険に苦難は付き物ってわけだ」
「だの。儂の鉄棍で微塵に砕いてしまえば良い」
先を照らせば分かれ道。直角に左右に分かれた道に右側から巨体が現れる。
「モールマンか…!にしてもデカイな」
光に弱いその獣は向けられた灯りに驚き、そのまま左側に抜けていった。
犬のような長鼻の顔に胴体と同じ程の大きさの手を持つ種族。人にも似たシルエットから獣人と称されることもある獣だった。
引きずるような音は尾っぽというわけだ。
縄張り意識が強く、光を嫌う。今は逃げていても、不快な存在を排除すべく、しばらくすれば襲ってくるはずだった。
ならば…
「先手…必勝!」
指示を出すとともにサポールが駆け出す。その背中に向けてクラソリエルの投剣が放たれる。
クラソリエルの投剣は自在に方向を変えられる。弧を描いた軌跡は曲がり角の先に向かい…
「グァウ!」
様子を窺おうとしていたモールマンの鼻っ面に命中した。
それだけでは倒れないが、重傷であることに違いない。突如として走った激痛と食い込んだ異物に大型の獣が四苦八苦している。
そして銀級であるサポールがそれを見逃すはずはない。
切れ味の良い長剣を脳天に叩き込まれると、眼窩から目を飛び出させてモールマンは倒れ伏した。
未だに痙攣をして生命活動を止めないモールマンの生命力は強靭だった。
油断せずにトドメを刺すサポール。
後背ではダラダインが反対側の通路を警戒しているはずだ。あの狷介なドワーフは意外にも地味な動きで一行を支援する。時折、感情を止められないが故にやらかしてくれるので未だに鉄級だが…頼りになる仲間だった。
「まだ来やがったぞ!」
その活躍が早速示された。今しがた動かなくなったモールマンの後続がやってきたのだ。
鉄棒を前に突き出し威嚇するダラダインを威嚇し返す異形の獣。数は目視できるだけでも5体。
だが――
「行ける!一体ずつ仕留めていくぞ!敵は連携を考えていない!仲間こそが俺達の強みだ!」
狭い通路に巨体は不向きだ。通路の広さから考えれば人間種程度の体格なら2人か3人は並んで動けるが、モールマンはそうはいかない。折角の数もこれでは宝の持ち腐れ。そしてサポール達には絆がある。
サポールとクラソリエルは銀級冒険者だ。
金級や噂にだけ聞くその更に上の階級の冒険者達は一騎当千ともされる。ならばそれに次ぐ我々は一騎当百…とは行かないまでも十は行けるはずだ。
そう考えるサポール達の自負は経験に裏打ちされている。この辺境域のモールマンはやや大型らしいが、同種の敵は今までに幾度も仕留めて来ている。油断さえしなければ負けることはない。
クラソリエルの投剣が繰り出される。サポールの長剣が閃く。ダラダインが前を支える。
世界中を回って幾多の苦難をこの三人で乗り越えてきたのだ。そして…結果はサポール達が考えていた通りになった。
影に隠れていた者も含めて6体のモールマンが血溜まりに伏した。
////
「全く、大したことはなかったの。多少デカかろうとも所詮はモールマンか」
腹を揺すって笑うダラダイン。その剛毅さに苦笑しつつもサポールは窘める。
「油断は禁物だ。お宝が目の前にあるのにこんなところでおっ死んじまったら笑い話にしかならない。…モールマンは財宝を食ったりしないのが救いだな」
「貴方も随分と油断しているわよサポール。ここは何が起こるか分からない辺境域のさらに未発見の遺跡…警戒し過ぎて損ってことはないんだから」
姿勢を低くして、足音を最小限に抑える布靴でクラソリエルが先を行く。流れる艶やかな金緑の髪を2人の仲間が少し離れて追う。
…先を見据える彼らの後ろで今通ってきた分かれ道の前、穴が開いていた場所で影が蠢いた。これは油断だろうか?
サポール達はモールマンが巣食っているものとばかり思っていたのだ。モールマン達もつい先日、ここを訪れたばかりで本当の意味での後続がいるとは誰も考えていなかった。
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