とある英雄達の最終兵器
第72話 強くなるのに必要なもの?恋ですっ
「…………その、それは、そういうことなのか……?」
コクリ
頬を紅潮させ目を伏せがちに泳がし頷くセシリア。指で忙しくなく手遊びをしている。
そんなセシリアを眺めながらテュールは真っ白になった頭で考えようとする。
(告白……だよな? これ……。マジか……。夢じゃないのよな……)
しかしテュールは心の中でまで口調がおかしくなるほどに衝撃を受けていた。
「……テュールさん、ご迷惑でしたか?」
何も言わず、表情が張り付いたように動かなくなったテュールをみて心配そうにセシリアが尋ねる。
「い、いや! それだけは絶対にない! 迷惑なんかじゃ絶対ない! ……言ってくれて、その、こんな俺に、ありがとう。すごく嬉しい……。ただ、正直な話……こういうこと言われたことが今までなかったから、その、戸惑っているんだ」
慌ててテュールはその問いを否定する。そして、こんな時どんなことを言えばいいか分からないテュールは正直に今の気持ちを伝える。
「あ、ありがとうございます。フフ、私も言わないままだろうなって思っていたのに、急に伝えちゃいましたから今になってドキドキしています」
セシリアは胸の真ん中に手を乗せ、困ったような笑顔で、そう言う。
(ぬぁっ、何もかもが可愛く見える。これがラブマジックなのか? いやセシリアは前から優しかったし、可愛かったし、奥ゆかしさもあったり、たまに見せるドジなとこも可愛かったり、あれ? 可愛い二回言った? あぁー、とにかくそんなんだったのに、告白されてからどうだ? 100倍くらい可愛いじゃないか……。あれ? 俺チョロインじゃん。好きって言われたら好きになっちゃうチョロインじゃん………………)
一旦テュールは思考の海に沈みながら悶える。一人で唸りながら百面相に表情を変えるテュールを見て、セシリアは驚いたように大丈夫ですか? と尋ねてくる。俺? 俺はこう返したよ? 大丈夫じゃない、って。その間にもテュールは一人考え込む。
(あれか? 告白ってことは恋人になるかどうかってことか? 付き合って下さい的なニュアンスが含まれているのか? 俺に恋人……? セシリアが恋人……? ……あのおっぱいが俺の――。いやいや、そこじゃないだろ! 俺はセシリアが好きか? うん、全会一致で好きだよな。それは恋か……? いや、少なくとも今日まで恋愛感情は抱いていなかったな……。どうすればいいんだ? こんな状態で付き合うって失礼じゃないか? う~ん……わからん……)
そして、一人で思考していても埒が明かないと考えたテュールは、あろうことか告白してきた相手に相談を始めてしまう――
「な、なぁセシリア、ちょっと相談に乗ってくれ。仮に、仮にだぞ? 俺のことを好きって言ってくれる女性が現れました……。その女性は俺が前から可愛くて、優しくて、可愛いと思っていた人だ。当然、その人に対する感情を言葉にすれば好きという言葉になる。だが……恋をしていたかと聞かれれば分からないんだ。その、こんな状態で安易に俺も好きだったというのは失礼なんじゃないかって思い始めちゃって……、どう思う?」
テュールはまとまりのない言葉で、無茶な相談を告白相手に迫る。セシリアはう~んと可愛いらしく唸りながらしばしの間考えてくれている……。
「その……、私も恋愛経験というものが現在進行系のものが一つだけで、分からないことばかりなのですが……、自分なりの考えを伝えますね? ……私は相手に好きって言ったらそこからまたスタートだと思うんです。テュールさんがどうしていいか分からないのなら……、待ってくれ、そう言えばいいと思います」
それを聞いて、少し驚いた表情になるテュール。慌てて聞き返す。
「いや、それはそれでどうなんだ? 相手からしたらその……、煮え切らないままツラくないのか? それに……」
言っている最中で不安そうになるテュール。セシリアはそんなテュールに言葉を続ける――
「フフ、大丈夫ですよ。それにきっとその相手は待ってくれと言われたくらいで好きって気持ちは冷めませんから。それどころか、きっとこう言うと思いますよ――」
そう言ってセシリアはベッドから立ち上がり、椅子に座っているテュールに近付くと、ふわりと微笑み――
「私に恋させちゃいますから、覚悟してて下さいねって」
その言葉と一緒にスッと顔を寄せ――
「――――っ!」
………………。
「フフ、もう始まってますからね? さ、テュールさん下に行きましょう。皆さんにさっき逃げちゃったこと謝らないと……。あとは……♪」
スッキリした表情で、るんるんとどこかから音が聞こえてきそうな様子のセシリアは階下へと歩いていく――。
しばし、椅子の上で呆然となっていたテュールは、次第にニヤニヤし始め、そして両手で頬をパチンと勢いよく挟み、正気に戻り、表情を引き締め……、ようやく歩き始める……。
――――――
そして、1階へと下りると、リビングにみんな残っており、セシリアの明るい表情にホッとしているようだ。そして下りてきたテュールを見て――
「「「「「………………」」」」」
全員が沈黙する。そして、テップがそっと近寄ってきて――
「テュール、お前の犠牲によって一つの家庭に平和が訪れた。ありがとう。……その、……痛かったか?」
(痛かった……?)
何を言っているのか分からずキョトンとするテュールに、ほれココ、ココと頬を指差すテップ。
「あぁ、これは、その……セシリアからじゃない。自分でやった。なんつーか、気を確かに持つために……」
「……え? それは、まぁなんというか変わった趣味だな……? まぁとにかくセシリアが自分の言いたいことを言ってくれて、俺達も言いたいこと言えて、なんていうか今までより一層、団結! って感じだな、ハハハハ」
柄にもないことを言ったからであろうテップが頬をかきながらそう言い、笑って恥ずかしがっている自分を誤魔化す。
(どうやら俺が呆然と椅子で過ごした間にセシリアは上手いことやってくれたみたいだな、うんうん良かった)
そう思い、視線をセシリアに向けると、視線に気付いたのかセシリアもこちらを向く。そして見つめ合うと、ふわりとセシリアが微笑み、なんだか気恥ずかしくなったテュールは視線を逸してしまう。そんな二人を見た周りは――
「おや?」「ニヤ……」「フフ」「うむ」「おやおや」「ん? ん???」「ニヤニヤ」「なっ……」「……」「……え」「ホホ」「ふむ……」「んー?」「「「アウッ!」」」
と、みんなどこか思うところがあったみたいだ。中でもテップはすぐに詰め寄ってきた。
「おい、テュール前言撤回だ。どういうことだ。なんだ? あの密室で何があった。おい、セシリアの顔を見てみろ。なんだあれは? ラブハンターである俺でなきゃ見逃しちゃうねなんてレベルじゃねぇ。誰がどう見ても明らかだろうが、おい。で、なんだ? その後のお前の恋する乙女のような反応は? あん? はたくぞ? 答え次第でははたくぞ? オラ」
すごい勢いでつっかかってくるテップ――。テュールは慌てて弁解する。
「ちょ、バカ、なんでもないって。別に何もねぇよ! いや、ただホラお互い理解し合って、これからも仲間として一緒に頑張っていこう! っていうそれだけだよ。なぁセシリア?」
眼前15cm程に近寄ってきたテップからスウェーバックで仰け反りながらテュールはそう言い、そして今回もセシリアに助けを求める。が――
「えぇ、そうですね。けどそれだけじゃないですよ? 私がテュールさんに告白したという大事なことが抜けています。というわけで皆さん私今日からテュールさんを振り向かすために頑張りますので、よろしくお願いしますねっ」
セシリアは笑顔で爆弾を投下した。被爆地にいた皆は、一瞬固まった後――
――――――――――!!!!
大騒ぎになるのであった。
コクリ
頬を紅潮させ目を伏せがちに泳がし頷くセシリア。指で忙しくなく手遊びをしている。
そんなセシリアを眺めながらテュールは真っ白になった頭で考えようとする。
(告白……だよな? これ……。マジか……。夢じゃないのよな……)
しかしテュールは心の中でまで口調がおかしくなるほどに衝撃を受けていた。
「……テュールさん、ご迷惑でしたか?」
何も言わず、表情が張り付いたように動かなくなったテュールをみて心配そうにセシリアが尋ねる。
「い、いや! それだけは絶対にない! 迷惑なんかじゃ絶対ない! ……言ってくれて、その、こんな俺に、ありがとう。すごく嬉しい……。ただ、正直な話……こういうこと言われたことが今までなかったから、その、戸惑っているんだ」
慌ててテュールはその問いを否定する。そして、こんな時どんなことを言えばいいか分からないテュールは正直に今の気持ちを伝える。
「あ、ありがとうございます。フフ、私も言わないままだろうなって思っていたのに、急に伝えちゃいましたから今になってドキドキしています」
セシリアは胸の真ん中に手を乗せ、困ったような笑顔で、そう言う。
(ぬぁっ、何もかもが可愛く見える。これがラブマジックなのか? いやセシリアは前から優しかったし、可愛かったし、奥ゆかしさもあったり、たまに見せるドジなとこも可愛かったり、あれ? 可愛い二回言った? あぁー、とにかくそんなんだったのに、告白されてからどうだ? 100倍くらい可愛いじゃないか……。あれ? 俺チョロインじゃん。好きって言われたら好きになっちゃうチョロインじゃん………………)
一旦テュールは思考の海に沈みながら悶える。一人で唸りながら百面相に表情を変えるテュールを見て、セシリアは驚いたように大丈夫ですか? と尋ねてくる。俺? 俺はこう返したよ? 大丈夫じゃない、って。その間にもテュールは一人考え込む。
(あれか? 告白ってことは恋人になるかどうかってことか? 付き合って下さい的なニュアンスが含まれているのか? 俺に恋人……? セシリアが恋人……? ……あのおっぱいが俺の――。いやいや、そこじゃないだろ! 俺はセシリアが好きか? うん、全会一致で好きだよな。それは恋か……? いや、少なくとも今日まで恋愛感情は抱いていなかったな……。どうすればいいんだ? こんな状態で付き合うって失礼じゃないか? う~ん……わからん……)
そして、一人で思考していても埒が明かないと考えたテュールは、あろうことか告白してきた相手に相談を始めてしまう――
「な、なぁセシリア、ちょっと相談に乗ってくれ。仮に、仮にだぞ? 俺のことを好きって言ってくれる女性が現れました……。その女性は俺が前から可愛くて、優しくて、可愛いと思っていた人だ。当然、その人に対する感情を言葉にすれば好きという言葉になる。だが……恋をしていたかと聞かれれば分からないんだ。その、こんな状態で安易に俺も好きだったというのは失礼なんじゃないかって思い始めちゃって……、どう思う?」
テュールはまとまりのない言葉で、無茶な相談を告白相手に迫る。セシリアはう~んと可愛いらしく唸りながらしばしの間考えてくれている……。
「その……、私も恋愛経験というものが現在進行系のものが一つだけで、分からないことばかりなのですが……、自分なりの考えを伝えますね? ……私は相手に好きって言ったらそこからまたスタートだと思うんです。テュールさんがどうしていいか分からないのなら……、待ってくれ、そう言えばいいと思います」
それを聞いて、少し驚いた表情になるテュール。慌てて聞き返す。
「いや、それはそれでどうなんだ? 相手からしたらその……、煮え切らないままツラくないのか? それに……」
言っている最中で不安そうになるテュール。セシリアはそんなテュールに言葉を続ける――
「フフ、大丈夫ですよ。それにきっとその相手は待ってくれと言われたくらいで好きって気持ちは冷めませんから。それどころか、きっとこう言うと思いますよ――」
そう言ってセシリアはベッドから立ち上がり、椅子に座っているテュールに近付くと、ふわりと微笑み――
「私に恋させちゃいますから、覚悟してて下さいねって」
その言葉と一緒にスッと顔を寄せ――
「――――っ!」
………………。
「フフ、もう始まってますからね? さ、テュールさん下に行きましょう。皆さんにさっき逃げちゃったこと謝らないと……。あとは……♪」
スッキリした表情で、るんるんとどこかから音が聞こえてきそうな様子のセシリアは階下へと歩いていく――。
しばし、椅子の上で呆然となっていたテュールは、次第にニヤニヤし始め、そして両手で頬をパチンと勢いよく挟み、正気に戻り、表情を引き締め……、ようやく歩き始める……。
――――――
そして、1階へと下りると、リビングにみんな残っており、セシリアの明るい表情にホッとしているようだ。そして下りてきたテュールを見て――
「「「「「………………」」」」」
全員が沈黙する。そして、テップがそっと近寄ってきて――
「テュール、お前の犠牲によって一つの家庭に平和が訪れた。ありがとう。……その、……痛かったか?」
(痛かった……?)
何を言っているのか分からずキョトンとするテュールに、ほれココ、ココと頬を指差すテップ。
「あぁ、これは、その……セシリアからじゃない。自分でやった。なんつーか、気を確かに持つために……」
「……え? それは、まぁなんというか変わった趣味だな……? まぁとにかくセシリアが自分の言いたいことを言ってくれて、俺達も言いたいこと言えて、なんていうか今までより一層、団結! って感じだな、ハハハハ」
柄にもないことを言ったからであろうテップが頬をかきながらそう言い、笑って恥ずかしがっている自分を誤魔化す。
(どうやら俺が呆然と椅子で過ごした間にセシリアは上手いことやってくれたみたいだな、うんうん良かった)
そう思い、視線をセシリアに向けると、視線に気付いたのかセシリアもこちらを向く。そして見つめ合うと、ふわりとセシリアが微笑み、なんだか気恥ずかしくなったテュールは視線を逸してしまう。そんな二人を見た周りは――
「おや?」「ニヤ……」「フフ」「うむ」「おやおや」「ん? ん???」「ニヤニヤ」「なっ……」「……」「……え」「ホホ」「ふむ……」「んー?」「「「アウッ!」」」
と、みんなどこか思うところがあったみたいだ。中でもテップはすぐに詰め寄ってきた。
「おい、テュール前言撤回だ。どういうことだ。なんだ? あの密室で何があった。おい、セシリアの顔を見てみろ。なんだあれは? ラブハンターである俺でなきゃ見逃しちゃうねなんてレベルじゃねぇ。誰がどう見ても明らかだろうが、おい。で、なんだ? その後のお前の恋する乙女のような反応は? あん? はたくぞ? 答え次第でははたくぞ? オラ」
すごい勢いでつっかかってくるテップ――。テュールは慌てて弁解する。
「ちょ、バカ、なんでもないって。別に何もねぇよ! いや、ただホラお互い理解し合って、これからも仲間として一緒に頑張っていこう! っていうそれだけだよ。なぁセシリア?」
眼前15cm程に近寄ってきたテップからスウェーバックで仰け反りながらテュールはそう言い、そして今回もセシリアに助けを求める。が――
「えぇ、そうですね。けどそれだけじゃないですよ? 私がテュールさんに告白したという大事なことが抜けています。というわけで皆さん私今日からテュールさんを振り向かすために頑張りますので、よろしくお願いしますねっ」
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コメント
HARO
おー
凛として葱
あかん、大好物の展開だコレw
TADAI
レフィー推しだったのにときめいてしまった!
ノベルバユーザー276779
ニヤニヤしちゃうんだよなぁ