絶対守護者の学園生活記
ありがとう
意識がぼんやりとしている。
確か俺は魔王と戦っていたはず。少しでも気を抜けばあの世行きの、緊張感マックスの状況で、こんなにぼんやりとしてたら駄目なはず……
「あれ?」
どうして俺は横になっているのだろう。とりあえず体を起こしてみる。
「まさか夢だった……? いやでも……」
そうだ!俺は胸に風穴開けられて……って開いてない。ぺたぺた触って確かめたが、ちゃんと筋肉の感触が返ってくる。
てことはここは死後の世界?それによくみたらここは……
「辺り一面白い部屋……神様と会った場所か」
(………うん)
既に慣れた、頭に声が響くこの感じ。どうやら俺はまた神様に呼ばれたようだ。
「なぁ、俺はあの後どうなったんだ?」
既に俺は死んでいるのかもしれないというのに、不思議と心は落ち着いている。いや、なぜかは分かっている。
(……魔王に敗れた)
「そうか……それで? 神様の策とやらを聞かせてくれないか?」
俺の言葉を受け、クスッと小さな笑い声が聞こえた。
魔王に負けた。実際に戦ったから嫌でも分かる。アレは俺でなければ抑えられない。加護によって上限がほぼなく強くなれる俺でなければ駄目だ。他の人達はあくまで人間の限界の範囲内での強さだ。
そして俺はここに呼び出された。死んだはずなら、俺にはもう何も出来ないにも関わらずだ。それに神様は敗れたと言っただけで死んだとは一言も言ってない。
そう考えれば分かるってもんだ。神様にはまだ、策が残っていると。
こんな状況で男のプライドなんて関係ない。どんな方法を使ってでも勝ってやる。例えそれが神様の力だとしても。
(……私は前に言ったはず。力を溜めておくと)
「言ってたな。何をしてくれるんだ?」
(………声を届ける)
「はい?」
声を届けるって……そのまんまの意味でいいのか?
(……貴方にとって、大事な人達の声)
「なるほど、そりゃ最高のプレゼントだ」
しょぼいだとか、それだけかよとか、そんなことは思わない。
俺には抜群の効き目だろう。
戻ったらやることは単純だ。
リーフェさんを取り戻し、世界を救う。
「ありがとな、神様」
(どういたしまして)
礼を述べたところで、ふと疑問に思う。なぜ今更と思わなくもないが、次にいつ会えるかは分からないし聞いておくのもいいか。
「神様、なんで転生者に俺が選ばれたんだ?」
人柄や能力。もしかしてランダムだったのかもしれない。そもそも俺が選ばれた理由が思い浮かばない。
(……教えない)
「えぇ……」
(……でもヒントならあげる)
どこか悪戯っぽさを感じさせる声が響く。すると俺の体が少しずつ消え始めていく。また気になる言葉を残していくパターンか。次の言葉を大人しく待つことにする。
そんなことを考えていると、目の前に小さな女の子が二人現れて
「「私を助けてくれてありがとう! お兄ちゃん!」」
満面の笑みを見せてくれた。
優ちゃんとユウちゃん――俺が前世で助けた女の子と、こちらの世界で助けた女の子。
きっと神様はこの女の子達を通して俺の事を見ていたのだろう。それで俺を問題なしと判断して選んだのだろうか。別に文句を言いたい訳では無い。
子供好きとしては、子供の笑顔を守れた。それだけで充分だ。
そしてその笑顔を無くさないようにするのが、俺の使命だ。
さぁ、行こうか。
確か俺は魔王と戦っていたはず。少しでも気を抜けばあの世行きの、緊張感マックスの状況で、こんなにぼんやりとしてたら駄目なはず……
「あれ?」
どうして俺は横になっているのだろう。とりあえず体を起こしてみる。
「まさか夢だった……? いやでも……」
そうだ!俺は胸に風穴開けられて……って開いてない。ぺたぺた触って確かめたが、ちゃんと筋肉の感触が返ってくる。
てことはここは死後の世界?それによくみたらここは……
「辺り一面白い部屋……神様と会った場所か」
(………うん)
既に慣れた、頭に声が響くこの感じ。どうやら俺はまた神様に呼ばれたようだ。
「なぁ、俺はあの後どうなったんだ?」
既に俺は死んでいるのかもしれないというのに、不思議と心は落ち着いている。いや、なぜかは分かっている。
(……魔王に敗れた)
「そうか……それで? 神様の策とやらを聞かせてくれないか?」
俺の言葉を受け、クスッと小さな笑い声が聞こえた。
魔王に負けた。実際に戦ったから嫌でも分かる。アレは俺でなければ抑えられない。加護によって上限がほぼなく強くなれる俺でなければ駄目だ。他の人達はあくまで人間の限界の範囲内での強さだ。
そして俺はここに呼び出された。死んだはずなら、俺にはもう何も出来ないにも関わらずだ。それに神様は敗れたと言っただけで死んだとは一言も言ってない。
そう考えれば分かるってもんだ。神様にはまだ、策が残っていると。
こんな状況で男のプライドなんて関係ない。どんな方法を使ってでも勝ってやる。例えそれが神様の力だとしても。
(……私は前に言ったはず。力を溜めておくと)
「言ってたな。何をしてくれるんだ?」
(………声を届ける)
「はい?」
声を届けるって……そのまんまの意味でいいのか?
(……貴方にとって、大事な人達の声)
「なるほど、そりゃ最高のプレゼントだ」
しょぼいだとか、それだけかよとか、そんなことは思わない。
俺には抜群の効き目だろう。
戻ったらやることは単純だ。
リーフェさんを取り戻し、世界を救う。
「ありがとな、神様」
(どういたしまして)
礼を述べたところで、ふと疑問に思う。なぜ今更と思わなくもないが、次にいつ会えるかは分からないし聞いておくのもいいか。
「神様、なんで転生者に俺が選ばれたんだ?」
人柄や能力。もしかしてランダムだったのかもしれない。そもそも俺が選ばれた理由が思い浮かばない。
(……教えない)
「えぇ……」
(……でもヒントならあげる)
どこか悪戯っぽさを感じさせる声が響く。すると俺の体が少しずつ消え始めていく。また気になる言葉を残していくパターンか。次の言葉を大人しく待つことにする。
そんなことを考えていると、目の前に小さな女の子が二人現れて
「「私を助けてくれてありがとう! お兄ちゃん!」」
満面の笑みを見せてくれた。
優ちゃんとユウちゃん――俺が前世で助けた女の子と、こちらの世界で助けた女の子。
きっと神様はこの女の子達を通して俺の事を見ていたのだろう。それで俺を問題なしと判断して選んだのだろうか。別に文句を言いたい訳では無い。
子供好きとしては、子供の笑顔を守れた。それだけで充分だ。
そしてその笑顔を無くさないようにするのが、俺の使命だ。
さぁ、行こうか。
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