絶対守護者の学園生活記
閑話 ……お姉ちゃんは、私
今日は特に用事もなく屋敷でのんびりしていた。しかし皆は用事があるからと出かけており、現在屋敷にいるのは俺とリリィだけだ。
村にいた頃を思い出すなぁ……
「落ち着くなぁ……」
「……どうしたの、レオ兄?」
「なんでもないぞー」
俺の膝の上に座って本を読んでいるリリィの頭を優しく撫でる。村にいたときも大体こんな感じだったな。
そんな心休まる時間を過ごしていると、来客を知らせるチャイムが鳴った。俺が対応に出ると、学園からの届け物だと配達員の人に荷物を渡された。
見た感じはただの小さな箱だ。中には何が入っているのだろうか?
リビングに戻るとテーブルの上に荷物を置く。リリィも中身が何か気になるようで近くに寄って来た。
学園からというわけではあるが、一応警戒して箱を開けた。
「なんだこれ」
「……薬?」
中に入っていたのは緑の液体が詰まった小さな瓶だった。リリィの言うとおり薬に見えなくもないが……これは飲みたくないな。
すると箱の底からリリィが紙を取り出した。
「……これはワシがお主の為に作った秘薬じゃ。もちろん体に悪いものは入っておらんから心配しなくてよいぞ。効果としては疲労回復、美肌効果、健康増進、安全祈願、交通安全、合格祈願、縁結び……………らしい」
「薬っていうより温泉かお守りじゃねぇか」
なんだその効果……それにリリィの最後のらしいまでの間の長さはなんだったんだ。
どうやら差出人は学園長みたいだ。
「……レオ兄飲んで。早く」
「なぜそんな食い気味に……まあリリィにこんな怪しげなの飲ませるわけにもいかないか」
俺は覚悟を決めて中身を一気に飲み干した。
……思ったよりも全然まずくないぞ。むしろ美味い。
「本当にただの薬だったのか……!?」
急に目まいが起きた。頭が揺さぶられているかのように感じて、気持ち悪い。
このままじゃやばい……そう思って必死に意識を保とうとするが、耐えきることはなく俺は暗闇へと落ちていった。
あの学園長なんてもん作ってんだ……
※※※
目が覚めると頭に柔らかい感触を感じた。
「……レオ兄、大丈夫?」
目の前には心配そうに見つめてくるリリィ。どうやら膝枕をされていたようだ。
大丈夫だという意味を込めてリリィの頭を撫でようと手を伸ばすが、そこで異変に気付いた。
え、なにこの小さい手。
急いで立ち上がり、近くにあった鏡の前に立つ。
そこに写っているのは、クーと同じ年ぐらいの少年の姿だった。
俺、小さくなってるうううう!?
おいおいおい、絶対薬のせいだろこれ。
……ん?
「なありりい、がくえんちょうからのかみにはこのことはかいてなかったのか?」
うわ、舌が上手く回らない。
「……書いてあったけど言わなかった。数時間で元に戻る」
「なんでいわなかったんだ?」
俺が質問するとソファに座っているリリィが隣をポンポンと叩いている。隣に座れってことだろうから従った。リリィの方が肩が上にあるってなんだか不思議な気持ちになるなぁ。
「……お姉ちゃんって呼んで」
「へ?」
「……今は私の方が年上。だからお姉ちゃん」
年上って……見た目年齢ってことか。
「さすがにそれは……」
「呼んで」
「いやでも……」
「……………」
「……おねえちゃん、なんでいわなかったの?」
うおおお恥ずかしい!心なしかリリィの目がキラキラしているように見える。
「……レオ、ンに甘えてほしかったから」
不覚にもレオンと呼ばれてドキッとしてしまった。
それよりも甘えてほしかった?俺に?
「……レオンは一人で抱え込みすぎちゃうから。私に何か出来ることはなにかないかって」
「だからあまえろと」
「……迷惑?」
……どんだけ俺は周りに心配かけてんだろうな。妹にまでこんなこと言われるなんて。
「めいわくじゃない。すごくうれしいよ」
「……よかった」
ちゃんと喋れないのが凄くもどかしい。それでもリリィはほっとした表情を見せてくれた。
「……それじゃ、きて」
「お、おう」
リリィが今度は自身の膝をポンポンと叩いている。多分膝枕をまたしたいのだろう。
頭をゆっくりと預ける。
「……いいこいいこ」
そう言いながら頭をゆっくりと撫でられる。
俺は子供かよ。……子供だったわ。
しかし撫でられるのってなんかこう……安心するな。少し眠くなってきた。
「……眠いなら、寝てもいい」
「すまん、すこしだけ……」
うとうとしている俺を優しい目で見つめてくるリリィ。
俺は段々と意識が遠くなっていく。
「……ありがとう、レオンお兄ちゃん」
「なに、がだ……?」
突然礼を言われたが、うまく返事が出来ない。頭が回らなくなってきた。
「……私を助けてくれた。私を守ってくれた。本当の家族じゃないのに、私を大事にしてくれた」
あたりまえだ、ろ……。リリィはおれ、にとって……
「……だから、ありがとう」
だめだ、もう意識が……
「……おやすみ、お兄ちゃん」
ふふっと、リリィが笑った気がした。
「……これが多分、恋。私は、レオ兄のことが……」
そこで俺は眠りに落ちた。最後の言葉ははっきりとは聞こえなかったが、心が温かくなったのを俺は感じた。
村にいた頃を思い出すなぁ……
「落ち着くなぁ……」
「……どうしたの、レオ兄?」
「なんでもないぞー」
俺の膝の上に座って本を読んでいるリリィの頭を優しく撫でる。村にいたときも大体こんな感じだったな。
そんな心休まる時間を過ごしていると、来客を知らせるチャイムが鳴った。俺が対応に出ると、学園からの届け物だと配達員の人に荷物を渡された。
見た感じはただの小さな箱だ。中には何が入っているのだろうか?
リビングに戻るとテーブルの上に荷物を置く。リリィも中身が何か気になるようで近くに寄って来た。
学園からというわけではあるが、一応警戒して箱を開けた。
「なんだこれ」
「……薬?」
中に入っていたのは緑の液体が詰まった小さな瓶だった。リリィの言うとおり薬に見えなくもないが……これは飲みたくないな。
すると箱の底からリリィが紙を取り出した。
「……これはワシがお主の為に作った秘薬じゃ。もちろん体に悪いものは入っておらんから心配しなくてよいぞ。効果としては疲労回復、美肌効果、健康増進、安全祈願、交通安全、合格祈願、縁結び……………らしい」
「薬っていうより温泉かお守りじゃねぇか」
なんだその効果……それにリリィの最後のらしいまでの間の長さはなんだったんだ。
どうやら差出人は学園長みたいだ。
「……レオ兄飲んで。早く」
「なぜそんな食い気味に……まあリリィにこんな怪しげなの飲ませるわけにもいかないか」
俺は覚悟を決めて中身を一気に飲み干した。
……思ったよりも全然まずくないぞ。むしろ美味い。
「本当にただの薬だったのか……!?」
急に目まいが起きた。頭が揺さぶられているかのように感じて、気持ち悪い。
このままじゃやばい……そう思って必死に意識を保とうとするが、耐えきることはなく俺は暗闇へと落ちていった。
あの学園長なんてもん作ってんだ……
※※※
目が覚めると頭に柔らかい感触を感じた。
「……レオ兄、大丈夫?」
目の前には心配そうに見つめてくるリリィ。どうやら膝枕をされていたようだ。
大丈夫だという意味を込めてリリィの頭を撫でようと手を伸ばすが、そこで異変に気付いた。
え、なにこの小さい手。
急いで立ち上がり、近くにあった鏡の前に立つ。
そこに写っているのは、クーと同じ年ぐらいの少年の姿だった。
俺、小さくなってるうううう!?
おいおいおい、絶対薬のせいだろこれ。
……ん?
「なありりい、がくえんちょうからのかみにはこのことはかいてなかったのか?」
うわ、舌が上手く回らない。
「……書いてあったけど言わなかった。数時間で元に戻る」
「なんでいわなかったんだ?」
俺が質問するとソファに座っているリリィが隣をポンポンと叩いている。隣に座れってことだろうから従った。リリィの方が肩が上にあるってなんだか不思議な気持ちになるなぁ。
「……お姉ちゃんって呼んで」
「へ?」
「……今は私の方が年上。だからお姉ちゃん」
年上って……見た目年齢ってことか。
「さすがにそれは……」
「呼んで」
「いやでも……」
「……………」
「……おねえちゃん、なんでいわなかったの?」
うおおお恥ずかしい!心なしかリリィの目がキラキラしているように見える。
「……レオ、ンに甘えてほしかったから」
不覚にもレオンと呼ばれてドキッとしてしまった。
それよりも甘えてほしかった?俺に?
「……レオンは一人で抱え込みすぎちゃうから。私に何か出来ることはなにかないかって」
「だからあまえろと」
「……迷惑?」
……どんだけ俺は周りに心配かけてんだろうな。妹にまでこんなこと言われるなんて。
「めいわくじゃない。すごくうれしいよ」
「……よかった」
ちゃんと喋れないのが凄くもどかしい。それでもリリィはほっとした表情を見せてくれた。
「……それじゃ、きて」
「お、おう」
リリィが今度は自身の膝をポンポンと叩いている。多分膝枕をまたしたいのだろう。
頭をゆっくりと預ける。
「……いいこいいこ」
そう言いながら頭をゆっくりと撫でられる。
俺は子供かよ。……子供だったわ。
しかし撫でられるのってなんかこう……安心するな。少し眠くなってきた。
「……眠いなら、寝てもいい」
「すまん、すこしだけ……」
うとうとしている俺を優しい目で見つめてくるリリィ。
俺は段々と意識が遠くなっていく。
「……ありがとう、レオンお兄ちゃん」
「なに、がだ……?」
突然礼を言われたが、うまく返事が出来ない。頭が回らなくなってきた。
「……私を助けてくれた。私を守ってくれた。本当の家族じゃないのに、私を大事にしてくれた」
あたりまえだ、ろ……。リリィはおれ、にとって……
「……だから、ありがとう」
だめだ、もう意識が……
「……おやすみ、お兄ちゃん」
ふふっと、リリィが笑った気がした。
「……これが多分、恋。私は、レオ兄のことが……」
そこで俺は眠りに落ちた。最後の言葉ははっきりとは聞こえなかったが、心が温かくなったのを俺は感じた。
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