絶対守護者の学園生活記
世界の命運
黒龍の死体が黒い炎によって燃え上がり、その跡に現れた黒い球体。
不快になるというか、嫌な気分になるというか、アレからは禍々しい何かを感じる。
「……とりあえずどうしましょうか?」
「ルゥ達で調べる」
「ま、そうよね」
意思確認のつもりだったけど、聞く必要はなかったようね。
何が起こるか分からないから、私とルゥだけでとりあえずは調べようと黒球に近づこうとした。
その時。
「なによ、これ……」
どこからともなく、黒球が二つ飛んできて私達が元々調べようとしていたものと合わさり一つになった。
嫌な感じがさらに増えた。
なにこれ、気持ち悪すぎて吐きそう……
「カレン!!」
「アリス! ミーナ! ソフィ!」
なぜか第三、第四訓練場にいたメンバーが全員集まってきた。
どうやら他の訓練場でも黒球が現れ、飛んでいってしまい、それを追ったところ第二訓練場に辿り着いたみたい。
皆がいると心強いわね。
さて、今度こそちゃんと調べよう。
そう思った時のことだった。
『ふむ、手筈通りにいったようだな』
突如として頭に響き渡る声。
皆も私と同じ事が起きたようで、頭に手を当てて驚愕の表情を浮かべている。
一体これは……?
「お前は誰だ!」
アリスが大声でそう問いかける。
『我は魔王アストヴィルム』
「魔王だと……?」
魔王アストヴィルム。
それは過去に起きた全大陸を巻き込んだ大戦において、四種族と敵対した魔族国の王。
その実力は計り知れないものだったという記述が残されていたけど、英雄と呼ばれているダルクさんが討伐したはず。それによって大戦が終結したからだ。
なのにこの声の主は自身が魔王だと言う。到底信じられるものではないけど、本当かどうかを議論している場合ではない。
いずれにせよ、まずは情報を引き出すところからね。
「それで? 魔王さんは何の用なわけ? 私達は暇じゃないんだけど」
『我の目的はただ一つ、この世界を滅ぼすことだ。その為に貴様らには消えてもらう』
世界を滅ぼす?消えてもらう?
これを本気で言ってるようであればかなり痛い奴ね。
でもなぜなの?嘘をついてるようには思えなかった。頭に響く声には、姿は見えていないはずなのに風格を感じた。
まるで本当に魔王かのような、そんな威圧感を感じさせるもの。
「世界を滅ぼすって? 何のために?」
『有象無象が苦しむ様は愉快であるから。それだけだ』
「愉快って……あんたの欲を満たす為だけに私達を滅ぼそうってわけ? 冗談じゃないわ!」
そんなくだらない理由で、この世界は渡さない。
『何を戯言を。実にくだらん。己が欲望の為に他を排斥し、あるいは凌辱する。その様な数多くの悪と呼ばれる行い。それは元より貴様らも行ってきたものであろう?』
「だからって、世界を滅ぼすなんて許されるわけない!」
たしかに私は知っている。
ユウちゃんが貴族の欲を満たす対象となり、幼い身体に多くの傷を残されたことを。ミーナが生まれた獣人国では生まれの差によって虐待が起き、ミーナの父親が殺されたことも。
いくら善政を敷こうとも、それらを全て完全に無くすことは不可能。
これはこの世界に生きる全ての者の罪なのかもしれない。
それでも、私達にこの世界を見捨てることなんて出来ない。
……村でずっと過ごしてたら、あるいはレオンに会ってなかったらこんなこと考えすらしなかっただろうし、戦いに巻き込まれることもなかったと思う。
でも、私は過去を振り返ることは無い。
あいつと、そして皆とこの先を生きていくって決めたから。
「だから、ここで話は終わりよ」
私は細剣を構える。皆も武器を構えて、戦闘準備に入る。
声が聞こえだしたのはこの黒球が出来てから。つまりはこれをどうにかすればいい。
やることは一つ、これを全力をもって破壊する。
『ならば一つだけ伝えておこう。世界を救うには我を打ち倒す他にない。我が蘇り、使いを出すまでに対抗する者を一人選んでおくが良い。その者によって、この世界の命運は決まる』
対抗する者……魔王が蘇った時に魔王と戦えるのは一人で、その勝敗によって世界が守られるか滅びるかが決まるということよね?
もし仮にそれが本当だったら、選ばれるのなんてどう考えてもあいつしかいないじゃない。
そんなことは、絶対にさせない。
近接戦を得意とする者が一斉に黒球へと迫る。後ろでは魔法を得意とするものが魔力を集中させて全力の一撃を放つ準備をしている。
『さらばだ』
それぞれの武器を黒球に振り下ろすその瞬間、死を感じさせるような冷たい声が頭に響いた。
その直後、辺りは白い光に包まれて――
不快になるというか、嫌な気分になるというか、アレからは禍々しい何かを感じる。
「……とりあえずどうしましょうか?」
「ルゥ達で調べる」
「ま、そうよね」
意思確認のつもりだったけど、聞く必要はなかったようね。
何が起こるか分からないから、私とルゥだけでとりあえずは調べようと黒球に近づこうとした。
その時。
「なによ、これ……」
どこからともなく、黒球が二つ飛んできて私達が元々調べようとしていたものと合わさり一つになった。
嫌な感じがさらに増えた。
なにこれ、気持ち悪すぎて吐きそう……
「カレン!!」
「アリス! ミーナ! ソフィ!」
なぜか第三、第四訓練場にいたメンバーが全員集まってきた。
どうやら他の訓練場でも黒球が現れ、飛んでいってしまい、それを追ったところ第二訓練場に辿り着いたみたい。
皆がいると心強いわね。
さて、今度こそちゃんと調べよう。
そう思った時のことだった。
『ふむ、手筈通りにいったようだな』
突如として頭に響き渡る声。
皆も私と同じ事が起きたようで、頭に手を当てて驚愕の表情を浮かべている。
一体これは……?
「お前は誰だ!」
アリスが大声でそう問いかける。
『我は魔王アストヴィルム』
「魔王だと……?」
魔王アストヴィルム。
それは過去に起きた全大陸を巻き込んだ大戦において、四種族と敵対した魔族国の王。
その実力は計り知れないものだったという記述が残されていたけど、英雄と呼ばれているダルクさんが討伐したはず。それによって大戦が終結したからだ。
なのにこの声の主は自身が魔王だと言う。到底信じられるものではないけど、本当かどうかを議論している場合ではない。
いずれにせよ、まずは情報を引き出すところからね。
「それで? 魔王さんは何の用なわけ? 私達は暇じゃないんだけど」
『我の目的はただ一つ、この世界を滅ぼすことだ。その為に貴様らには消えてもらう』
世界を滅ぼす?消えてもらう?
これを本気で言ってるようであればかなり痛い奴ね。
でもなぜなの?嘘をついてるようには思えなかった。頭に響く声には、姿は見えていないはずなのに風格を感じた。
まるで本当に魔王かのような、そんな威圧感を感じさせるもの。
「世界を滅ぼすって? 何のために?」
『有象無象が苦しむ様は愉快であるから。それだけだ』
「愉快って……あんたの欲を満たす為だけに私達を滅ぼそうってわけ? 冗談じゃないわ!」
そんなくだらない理由で、この世界は渡さない。
『何を戯言を。実にくだらん。己が欲望の為に他を排斥し、あるいは凌辱する。その様な数多くの悪と呼ばれる行い。それは元より貴様らも行ってきたものであろう?』
「だからって、世界を滅ぼすなんて許されるわけない!」
たしかに私は知っている。
ユウちゃんが貴族の欲を満たす対象となり、幼い身体に多くの傷を残されたことを。ミーナが生まれた獣人国では生まれの差によって虐待が起き、ミーナの父親が殺されたことも。
いくら善政を敷こうとも、それらを全て完全に無くすことは不可能。
これはこの世界に生きる全ての者の罪なのかもしれない。
それでも、私達にこの世界を見捨てることなんて出来ない。
……村でずっと過ごしてたら、あるいはレオンに会ってなかったらこんなこと考えすらしなかっただろうし、戦いに巻き込まれることもなかったと思う。
でも、私は過去を振り返ることは無い。
あいつと、そして皆とこの先を生きていくって決めたから。
「だから、ここで話は終わりよ」
私は細剣を構える。皆も武器を構えて、戦闘準備に入る。
声が聞こえだしたのはこの黒球が出来てから。つまりはこれをどうにかすればいい。
やることは一つ、これを全力をもって破壊する。
『ならば一つだけ伝えておこう。世界を救うには我を打ち倒す他にない。我が蘇り、使いを出すまでに対抗する者を一人選んでおくが良い。その者によって、この世界の命運は決まる』
対抗する者……魔王が蘇った時に魔王と戦えるのは一人で、その勝敗によって世界が守られるか滅びるかが決まるということよね?
もし仮にそれが本当だったら、選ばれるのなんてどう考えてもあいつしかいないじゃない。
そんなことは、絶対にさせない。
近接戦を得意とする者が一斉に黒球へと迫る。後ろでは魔法を得意とするものが魔力を集中させて全力の一撃を放つ準備をしている。
『さらばだ』
それぞれの武器を黒球に振り下ろすその瞬間、死を感じさせるような冷たい声が頭に響いた。
その直後、辺りは白い光に包まれて――
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