絶対守護者の学園生活記
意味と笑顔
僕達はレオン君の協力の為に第四訓練場に来た。
メンバーは僕とソフィ先輩、それにソフィ先輩をなぜか崇拝しているエルフのカミルさんと、僕とパーティの時に言い争いになっていた獣人のガロウくん。それにクーちゃんもついてきている。
なんの巡りあわせか、ガロウくんはロウガ先輩の弟らしい。
「あれが噂の黒龍か。やる気は充分のようだ」
ソフィ先輩の言うとおり、結界の中に閉じ込められている黒龍はこちらを見据えて、今にでもブレスを吐きそう程だった。
「あ、あれと戦うというのか……?」
「キツそうだな……」
カミルさんとガロウくんはドラゴンを前にして少し怖気づいてしまっているようだった。
「ふむ……本気でやればいけそうだな。クーは危ないから後ろから援護するんだぞ?」
「えー、クーもきりきざみたーい!」
「クーちゃん、今回は我慢してね。そしたら後でパパにいっぱい褒めてもらえるよ?」
「そーなの!? クー後ろでばんばんやるー!」
「いい子だ」
ソフィ先輩が微笑みながらクーちゃんの頭を優しく撫でる。喜びで頬が緩んでいるクーちゃんは可愛らしい。
「……お前らは不安じゃないのか?」
そんな場にそぐわない光景を見ていたガロウくんが問いかけてくる。
……なんだろうなぁ。前の僕なら今すぐにでも逃げ出したんだろうけど、今はただ出来るって気しかしない。これってやっぱり
「ある人の影響、かなぁ」
「私もだな。私の生きる意味となってくれた、最高の男が待っているからな」
「パパに褒めてもらうの!」
だから僕は
「僕の勝利を信じてくれている人の為に、僕は僕自身を信じているから!」
父を亡くしてから、僕は笑うことが苦手になった。自暴自棄になっていた。
そんな僕に手を差し伸べてくれた人。その人のおかげで僕はまた素直に笑えるようになった。
いつの間にか彼を中心に出来上がった温かな場所で、心の底から楽しいと思える生活を笑いながら送れる。
確信する。今の僕はきっと最高の笑顔を浮かべられている。
……?ガロウくんがなぜか呆けちゃってる。どうしたんだろう?
「よし、行くぞ!」
僕達は結界の中へ入る。
そして瞬時に左右に分かれて黒龍のブレスを避ける。
僕達が立てた作戦は僕とソフィ先輩が攪乱して、パワーのあるガロウくんに大きな一撃を叩き込んでもらうといったもの。カミルさんはクーちゃんを守る。クーちゃんは後ろからの援護なんだけど動き回る僕達に当たらないようにするのは難しいからタイミングはきっちり合わせないと。
「ミーナ!」
ソフィ先輩の合図の掛け声と同時に風魔法による加速で黒龍へと同時に迫る。
黒龍はブレスをソフィ先輩を追いかけるようにして吐き続けるが、速さでソフィ先輩に勝てるわけがなかった。
僕の方には長い尻尾が鞭のように迫りくるがこっちも余裕で躱していく。
案外大したことない魔物みたい……大したことない?
僕はたまに冒険者ギルドに足を運ぶからよく知っている。黒龍がこんなあっさりと戦えるような魔物ではないと。
でも今はそれが好都合だし、考えるのは倒してからにしよう。
その後も攻撃を続けようと思ったが、黒龍は翼をはためかせ飛ぼうとする。恐らく空中にいればこちらの攻撃が届かないとでも思ったのかも。
ま、それも想定内なんだけどね。
「クー!」
「はいなの!」
クーちゃんが元気よく返事をすると魔法を発動する。
すると黒龍は飛ぶどころか地面に這いつくばってしまう。
クーちゃんが発動した重力魔法によって上から重力をかけただけなんだけど……強力すぎるよね。最初からこうしとけばよかったんじゃ?と思わずにはいられない。
とにかく
「今だ! 畳みかけろ!」
「分かったぜ! うおおおおおお!」
この一撃に賭けるために、全魔力を使って身体強化と武器の強化をしていたガロウくんが大きく飛び上がり、お兄さんと同じバルディッシュを上段から叩きつけるようにして振り抜く。
それが黒龍の頭に当たると最後の足搔きとばかりに首を振り回しながらブレスをしてくるがそれもカミルさんとクーちゃんが協力して作った土壁で防ぐ。
そして黒龍は息絶えた。
なんだろう、いまいち達成感がない。
「もう終わってしまったのか」
「クーつまらなかったー」
親子揃って同じようなことを言っている。微笑ましい光景のように思えて内容は物騒なんだよね。
他の二人はほっとした様子だった。
皆は気付いてないようだし、とりあえずは僕が黒龍を調べよう。
そう思って歩き出そうとしたら、ガロウくんに呼び止められた。
「どうしたの?」
「いや、その、えーっと……」
「?」
「ええい! 単刀直入に聞くぞ! 俺と一緒に獣人国に――」
ガロウくんは僕に何かを伝えようとしていたみたいだけど、その言葉が最後まで紡がれることはなかった。
なぜなら、黒龍の死体が突如として燃え上がったから。しかも黒い炎によって。
突然のことによって皆が固まってしまっていると、そこには黒い球状の何かが浮かんでいた。
それはかなり禍々しさを感じさせていたが、すぐにどこかへと飛んで行ってしまった。
あっちにあるのって……第二訓練場?
メンバーは僕とソフィ先輩、それにソフィ先輩をなぜか崇拝しているエルフのカミルさんと、僕とパーティの時に言い争いになっていた獣人のガロウくん。それにクーちゃんもついてきている。
なんの巡りあわせか、ガロウくんはロウガ先輩の弟らしい。
「あれが噂の黒龍か。やる気は充分のようだ」
ソフィ先輩の言うとおり、結界の中に閉じ込められている黒龍はこちらを見据えて、今にでもブレスを吐きそう程だった。
「あ、あれと戦うというのか……?」
「キツそうだな……」
カミルさんとガロウくんはドラゴンを前にして少し怖気づいてしまっているようだった。
「ふむ……本気でやればいけそうだな。クーは危ないから後ろから援護するんだぞ?」
「えー、クーもきりきざみたーい!」
「クーちゃん、今回は我慢してね。そしたら後でパパにいっぱい褒めてもらえるよ?」
「そーなの!? クー後ろでばんばんやるー!」
「いい子だ」
ソフィ先輩が微笑みながらクーちゃんの頭を優しく撫でる。喜びで頬が緩んでいるクーちゃんは可愛らしい。
「……お前らは不安じゃないのか?」
そんな場にそぐわない光景を見ていたガロウくんが問いかけてくる。
……なんだろうなぁ。前の僕なら今すぐにでも逃げ出したんだろうけど、今はただ出来るって気しかしない。これってやっぱり
「ある人の影響、かなぁ」
「私もだな。私の生きる意味となってくれた、最高の男が待っているからな」
「パパに褒めてもらうの!」
だから僕は
「僕の勝利を信じてくれている人の為に、僕は僕自身を信じているから!」
父を亡くしてから、僕は笑うことが苦手になった。自暴自棄になっていた。
そんな僕に手を差し伸べてくれた人。その人のおかげで僕はまた素直に笑えるようになった。
いつの間にか彼を中心に出来上がった温かな場所で、心の底から楽しいと思える生活を笑いながら送れる。
確信する。今の僕はきっと最高の笑顔を浮かべられている。
……?ガロウくんがなぜか呆けちゃってる。どうしたんだろう?
「よし、行くぞ!」
僕達は結界の中へ入る。
そして瞬時に左右に分かれて黒龍のブレスを避ける。
僕達が立てた作戦は僕とソフィ先輩が攪乱して、パワーのあるガロウくんに大きな一撃を叩き込んでもらうといったもの。カミルさんはクーちゃんを守る。クーちゃんは後ろからの援護なんだけど動き回る僕達に当たらないようにするのは難しいからタイミングはきっちり合わせないと。
「ミーナ!」
ソフィ先輩の合図の掛け声と同時に風魔法による加速で黒龍へと同時に迫る。
黒龍はブレスをソフィ先輩を追いかけるようにして吐き続けるが、速さでソフィ先輩に勝てるわけがなかった。
僕の方には長い尻尾が鞭のように迫りくるがこっちも余裕で躱していく。
案外大したことない魔物みたい……大したことない?
僕はたまに冒険者ギルドに足を運ぶからよく知っている。黒龍がこんなあっさりと戦えるような魔物ではないと。
でも今はそれが好都合だし、考えるのは倒してからにしよう。
その後も攻撃を続けようと思ったが、黒龍は翼をはためかせ飛ぼうとする。恐らく空中にいればこちらの攻撃が届かないとでも思ったのかも。
ま、それも想定内なんだけどね。
「クー!」
「はいなの!」
クーちゃんが元気よく返事をすると魔法を発動する。
すると黒龍は飛ぶどころか地面に這いつくばってしまう。
クーちゃんが発動した重力魔法によって上から重力をかけただけなんだけど……強力すぎるよね。最初からこうしとけばよかったんじゃ?と思わずにはいられない。
とにかく
「今だ! 畳みかけろ!」
「分かったぜ! うおおおおおお!」
この一撃に賭けるために、全魔力を使って身体強化と武器の強化をしていたガロウくんが大きく飛び上がり、お兄さんと同じバルディッシュを上段から叩きつけるようにして振り抜く。
それが黒龍の頭に当たると最後の足搔きとばかりに首を振り回しながらブレスをしてくるがそれもカミルさんとクーちゃんが協力して作った土壁で防ぐ。
そして黒龍は息絶えた。
なんだろう、いまいち達成感がない。
「もう終わってしまったのか」
「クーつまらなかったー」
親子揃って同じようなことを言っている。微笑ましい光景のように思えて内容は物騒なんだよね。
他の二人はほっとした様子だった。
皆は気付いてないようだし、とりあえずは僕が黒龍を調べよう。
そう思って歩き出そうとしたら、ガロウくんに呼び止められた。
「どうしたの?」
「いや、その、えーっと……」
「?」
「ええい! 単刀直入に聞くぞ! 俺と一緒に獣人国に――」
ガロウくんは僕に何かを伝えようとしていたみたいだけど、その言葉が最後まで紡がれることはなかった。
なぜなら、黒龍の死体が突如として燃え上がったから。しかも黒い炎によって。
突然のことによって皆が固まってしまっていると、そこには黒い球状の何かが浮かんでいた。
それはかなり禍々しさを感じさせていたが、すぐにどこかへと飛んで行ってしまった。
あっちにあるのって……第二訓練場?
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