絶対守護者の学園生活記
狂気の者
あの裂け目はこの前の魔族が使ってたやつか!?
なぜこんな所にあるんだよ!
後ろにある裂け目には気付かずに、シャルはこちらへと向かってくる。
瞬間、裂け目の中から何か細いものがシャルへと伸びてくるのを捉えた。
アレはまずい、そう頭の中で警鐘が鳴り響く。
間に合えよ……!
俺は今の残りの力を使って地を強く踏み、前へとダッシュしシャルを抱き締める。そしてそのままクルッと回って位置を入れ替える。
「ぐっ……!」
その細い何かに右肩から左下に向かって斜めに背中を斬りつけられる。
背中に広がる激痛に思わず唸るように声を上げてしまい、さらには大量に出血してしまっているのであろう、意識まで薄れてきた。
立つ力も無くなり、その場にうつ伏せに倒れてしまう。
「レオン君! しっかりして! ねぇ……レオン君……」
俺の身体を揺すりながら、後半は涙声で呼びかけてくるシャル。
ハンナとの戦いの影響もあり、これ以上耐えることは出来そうにない。
ごめんな、シャル……
※※※
レオンが謎の攻撃を受けて意識を失ってから、すぐのこと。
宙に浮かぶ裂け目から全身を黒いローブで覆った何者かが現れた。
「ありゃりゃ? 狙った奴と違う奴が死んだっぽい感じ? まじウケる!」
その何者かは、倒れているレオンを見てケラケラケラと笑いながらそう言った。女かと思われる甲高い声で。
「んんん? よく見たらこの黒髪ってアイツが言ってた奴じゃん! アタシお手柄? でもでもまだまだ息がある感じ? トドメを刺しとこっか」
女はレオンに近付いていくが、そこにシャルが立ち塞がる。
「やらせない……!」
「なるなる~! 愛する人に手は出させないってかな? うんうん、良いよね愛情って。……反吐が出すぎて、潰したくなっちゃう」
明るい声から一転、感情を感じさせない声となった女は殺気を溢れ出させて、いつの間にか手にした鞭をシャルへと振るう。
しかしその鞭はシャルに届くことは無かった。
「流石に見過ごすことは出来ませんよ?」
女とシャルの間に入り込んできたアーマルが鞭を掴んでいたからだ。
アーマルは女が侵入してきてから、しばらくの間は様子見をしていた。
レオンを攻撃したのが誰かは判明していなかったうえ、女はペラペラと勝手に喋り始めたので情報収集に集中していた。
そして分かったことはあの女がレオンをやったことと、アイツという存在。そして最初に狙っていたのは恐らくシャルであろうということ。
そこで女がシャルに攻撃しようとした事で情報収集を中断、間に割って入った。
「おおお!! あんた強そうじゃん! アタシと殺りあわない?」
「生憎、そのような事をしてる暇は無さそうなのでね」
そう言ってアーマルはチラッとレオンを見る。まだ息はあるが早く治療しないと不味いことになる。
そう思ったアーマルはいち早くこの状況を終わらせなければいけないと思い、考える。
(どうやら相手はかなり戦闘を好むみたいですね。それなら……)
「私もかなりの実力があると自負しています。しかし、そこに倒れている黒髪の少年は私よりも強いですよ?」
「マジ!? たしかにアイツも勝てないみたいなこと言ってたしな……」
「その少年は私の娘との戦いによって疲弊していました。そこで貴方の不意打ちで倒れてしまい、早く治療をしないと死んでしまうでしょう。貴方はこの少年と全力で戦ってみたくありませんか?」
「戦ってみたい! 殺りあいたい! 分かった! 今日はもう帰るわ!」
「えぇ、彼にもしっかりと伝えておきますので」
単純で良かった、アーマルはそう思った。
そして女はそのまま帰るかと思いきや、レオンの背中に手をかざし
「このまま帰るのもなんだからね!! こいつに呪いを掛けさせてもらうよん!」
女の手が黒く光り、そのままレオンの傷口に触れる。
「これで完了! そんじゃ、バイビ~」
そんな軽い別れの言葉を残し、裂け目へと入ろうとする女に、シャルが声をかけた。
「待ってください! 呪いってのは一体?」
「んんん? 愛する人を想う愛情に免じて答えてあげようじゃないか! 呪いって言っても大したことは無いよ! 傷跡が残るだけだから! アタシが死なない限りは解かれないけどね!」
「そ、そんな……」
シャルの声は震えていた。傷跡が残るだけなら普段の生活には支障は出ないであろう。しかしこれはシャルを庇ったことによって出来た傷。だからこそシャルにはこの傷が消えないというのは心苦しいものがあったのだ。
「ん? んんん? 君、なんか見覚えがあるかも? ……あぁそうそう! 前にアタシが呪いを掛けてあげたやつだ!」
「っ!」
女の不意の一言に息を呑むシャル。自身呪いをかけたのはこの女だということが発覚したのだ。
そして、それを解くにはこの女を倒さなければいけないことも。
「もう聞くことは無い感じかな?それじゃ、アタシは今度こそ帰るね!」
女は裂け目へと入り、いなくなる。
女が去ったあとには、絶望に打ちひしがれるシャルの姿があった。
なぜこんな所にあるんだよ!
後ろにある裂け目には気付かずに、シャルはこちらへと向かってくる。
瞬間、裂け目の中から何か細いものがシャルへと伸びてくるのを捉えた。
アレはまずい、そう頭の中で警鐘が鳴り響く。
間に合えよ……!
俺は今の残りの力を使って地を強く踏み、前へとダッシュしシャルを抱き締める。そしてそのままクルッと回って位置を入れ替える。
「ぐっ……!」
その細い何かに右肩から左下に向かって斜めに背中を斬りつけられる。
背中に広がる激痛に思わず唸るように声を上げてしまい、さらには大量に出血してしまっているのであろう、意識まで薄れてきた。
立つ力も無くなり、その場にうつ伏せに倒れてしまう。
「レオン君! しっかりして! ねぇ……レオン君……」
俺の身体を揺すりながら、後半は涙声で呼びかけてくるシャル。
ハンナとの戦いの影響もあり、これ以上耐えることは出来そうにない。
ごめんな、シャル……
※※※
レオンが謎の攻撃を受けて意識を失ってから、すぐのこと。
宙に浮かぶ裂け目から全身を黒いローブで覆った何者かが現れた。
「ありゃりゃ? 狙った奴と違う奴が死んだっぽい感じ? まじウケる!」
その何者かは、倒れているレオンを見てケラケラケラと笑いながらそう言った。女かと思われる甲高い声で。
「んんん? よく見たらこの黒髪ってアイツが言ってた奴じゃん! アタシお手柄? でもでもまだまだ息がある感じ? トドメを刺しとこっか」
女はレオンに近付いていくが、そこにシャルが立ち塞がる。
「やらせない……!」
「なるなる~! 愛する人に手は出させないってかな? うんうん、良いよね愛情って。……反吐が出すぎて、潰したくなっちゃう」
明るい声から一転、感情を感じさせない声となった女は殺気を溢れ出させて、いつの間にか手にした鞭をシャルへと振るう。
しかしその鞭はシャルに届くことは無かった。
「流石に見過ごすことは出来ませんよ?」
女とシャルの間に入り込んできたアーマルが鞭を掴んでいたからだ。
アーマルは女が侵入してきてから、しばらくの間は様子見をしていた。
レオンを攻撃したのが誰かは判明していなかったうえ、女はペラペラと勝手に喋り始めたので情報収集に集中していた。
そして分かったことはあの女がレオンをやったことと、アイツという存在。そして最初に狙っていたのは恐らくシャルであろうということ。
そこで女がシャルに攻撃しようとした事で情報収集を中断、間に割って入った。
「おおお!! あんた強そうじゃん! アタシと殺りあわない?」
「生憎、そのような事をしてる暇は無さそうなのでね」
そう言ってアーマルはチラッとレオンを見る。まだ息はあるが早く治療しないと不味いことになる。
そう思ったアーマルはいち早くこの状況を終わらせなければいけないと思い、考える。
(どうやら相手はかなり戦闘を好むみたいですね。それなら……)
「私もかなりの実力があると自負しています。しかし、そこに倒れている黒髪の少年は私よりも強いですよ?」
「マジ!? たしかにアイツも勝てないみたいなこと言ってたしな……」
「その少年は私の娘との戦いによって疲弊していました。そこで貴方の不意打ちで倒れてしまい、早く治療をしないと死んでしまうでしょう。貴方はこの少年と全力で戦ってみたくありませんか?」
「戦ってみたい! 殺りあいたい! 分かった! 今日はもう帰るわ!」
「えぇ、彼にもしっかりと伝えておきますので」
単純で良かった、アーマルはそう思った。
そして女はそのまま帰るかと思いきや、レオンの背中に手をかざし
「このまま帰るのもなんだからね!! こいつに呪いを掛けさせてもらうよん!」
女の手が黒く光り、そのままレオンの傷口に触れる。
「これで完了! そんじゃ、バイビ~」
そんな軽い別れの言葉を残し、裂け目へと入ろうとする女に、シャルが声をかけた。
「待ってください! 呪いってのは一体?」
「んんん? 愛する人を想う愛情に免じて答えてあげようじゃないか! 呪いって言っても大したことは無いよ! 傷跡が残るだけだから! アタシが死なない限りは解かれないけどね!」
「そ、そんな……」
シャルの声は震えていた。傷跡が残るだけなら普段の生活には支障は出ないであろう。しかしこれはシャルを庇ったことによって出来た傷。だからこそシャルにはこの傷が消えないというのは心苦しいものがあったのだ。
「ん? んんん? 君、なんか見覚えがあるかも? ……あぁそうそう! 前にアタシが呪いを掛けてあげたやつだ!」
「っ!」
女の不意の一言に息を呑むシャル。自身呪いをかけたのはこの女だということが発覚したのだ。
そして、それを解くにはこの女を倒さなければいけないことも。
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