絶対守護者の学園生活記
その涙は
扉を開けたの黄髪ショートヘアーが特徴のいかにも活発そうな女の子だった。しかし、俺より背が高い。180くらいはあるんじゃないか?
「どっちがレオンだ!?」
女の子はそう言って俺とシャルを交互に見やる。いや、性別で分かるだろ……
「こらハンナ。しっかり挨拶をしなさい」
「おっといけねぇ! 俺はハンナってんだ! よろしくな!」
    ニカッと笑うハンナ。少し声がでかいが親しみやすそうな子だな。てやんでい!とか言いそう。
「それでレオンはどっちだ!?」
「俺だが」 
「おお! お前だったか! 俺と勝負しろ!」
「……はい」
俺が元々獣人国に来た理由はハンナと戦うためだもんなぁ。断るという選択肢など無い。
「ん? そっちの女は誰だ?」
ハンナ大丈夫?阿呆な子臭がプンプンするんだが。
「ハンナ、そのお方はガルーダ王国の第一王女であるシャルロット様ですよ」
「第一王女! 俺と同じだな! お前も強いのか?」
「えっと……」
「まぁ戦ってみれば分かるか! 俺と戦ってくれ!」
こうして俺と何故か巻き込まれたシャルもハンナと戦うことになるのだった。
今まで会った中で一番の脳筋だわ、ハンナ。
※※※
「まずはウォーミングアップからだ! シャルロットからかかってこい!」
王城にある訓練場に連れてこられた俺達は、やる気満々のハンナが高らかに宣言する。
そういえばシャルの実力は知らないな。三学年二大美少女だったはずだし学園ではトップクラスのはずだ。
しかしハンナも王の血を継ぐ者。一筋縄ではいかないだろう。
あまりシャルは戦うことに乗り気ではなさそうだ。
「シャル、大丈夫か?」
「はい……とりあえず、出来るだけ頑張ってみます。それでお願いなのですが、武器を貸してもらえないでしょうか?」
「予定に無かったから持ってきてなくて当然か。ご希望は?」
「か……いえ、剣を」
一瞬何か別のものを言おうとしたみたいだったが、取り敢えず俺愛用の剣を渡す。
か……カレン?確かに凸凹が小さいし振り回しやすそっ!?これはカレンの殺気!?
ついに国をまたいで反応したのか。カレンはニュータ〇プかなにかか?
俺が怯えている間に、シャルとハンナは戦う準備をしていたらしく、一定の距離をとって向かい合っていた。
ハンナは手甲か。バリバリの近接格闘タイプかな?
「レオン、開始の宣言を頼む!」
「はいはい。んじゃ……始め!」
この場には俺とシャル、ハンナしかいないので審判をすることになってしまった。
開始と共に動き出したのは意外にもシャルだった。まずはそのまま正面からハンナへと迫った。どうやらハンナは受け止めるつもりのようだ。
シャルはまるで舞うようにして剣を振るう。それをハンナは腕を振って弾くことでいなしている。
………?なんだこの違和感。
「弱い弱い弱い! それが本気か!」
そう、ハンナが言う通り本気を出しているように見えない。それに剣の扱いにもあまり慣れていないように見える。シャルには悪いが勝てる見込みが全くと言っていいほど無い。
力も技術も速さも、全てが劣っている。
そして何故か魔法を使わない。なんでだ?
「もういい、終わりだ」
ハンナはいかにも不機嫌そうにしながらそう告げる。振り下ろされた剣を掴み、シャルの横腹に蹴りを叩き込む。
受けたシャルはそのまま吹き飛び、壁に叩きつけられ、倒れ込む。
「シャル!」
俺はシャルの元へすぐさま向かい、抱き起こす。
意識もあるし身体に異常は見られないがここで戦いは終わりであろう。
「おいおい、いくらなんでも弱すぎだろ。才能に縋って努力を怠ってきた証拠だな」
ハンナがシャルを見下す。そこまで言うことはないんじゃないか?
しかしハンナは止まることは無かった。
「なぜその才能を生かさない? きっとその容姿でチヤホヤされてきたんだろ?男に媚びてきたんだろ?」
「違う!」
ハンナの問い質すような言葉に、シャルは叫ぶように異議を唱える。だがそれでも終わることは無い。
「そういえばガルーダ王国の第二王女の話はよく耳に入ってくるな。なんでもかなりの武人だとか。貴様はきっと妹に守られてきたのだろうな、情けない」
「っ! ……違う……私は。私は……」
シャルの瞳から涙が溢れ出す。唇を噛み締め、もはや殆ど聞こえないほどの声で、ハンナの言葉を否定しながら。
……俺にはシャルが嘘をついているようには見えない。俺が不甲斐ないせいだが、女の子の涙をよく見てきたから分かる。
その涙は、嘘ではなく本気の涙だ。
そして、女の子を泣かせるのを許せるほど俺は冷めてない。
俺、久しぶりに……キレちまったよ……
「さてレオン、そんな奴は放っておいてさっさとやろうぜ! 最強を決める戦いを!」
ハンナは興奮した様子でそんなことを言ってくる。
最強……最強ねぇ……
「そんな肩書きはどうでもいいんだよ。俺が今求めてるのはたった一つ。お前がシャルに言ったこと全て撤回し謝罪することだ」
「ふん! なんだっていい、さっさと始めようぜ!」
「分からず屋の王女様に、格の違いってのを教えてやるよ」
「どっちがレオンだ!?」
女の子はそう言って俺とシャルを交互に見やる。いや、性別で分かるだろ……
「こらハンナ。しっかり挨拶をしなさい」
「おっといけねぇ! 俺はハンナってんだ! よろしくな!」
    ニカッと笑うハンナ。少し声がでかいが親しみやすそうな子だな。てやんでい!とか言いそう。
「それでレオンはどっちだ!?」
「俺だが」 
「おお! お前だったか! 俺と勝負しろ!」
「……はい」
俺が元々獣人国に来た理由はハンナと戦うためだもんなぁ。断るという選択肢など無い。
「ん? そっちの女は誰だ?」
ハンナ大丈夫?阿呆な子臭がプンプンするんだが。
「ハンナ、そのお方はガルーダ王国の第一王女であるシャルロット様ですよ」
「第一王女! 俺と同じだな! お前も強いのか?」
「えっと……」
「まぁ戦ってみれば分かるか! 俺と戦ってくれ!」
こうして俺と何故か巻き込まれたシャルもハンナと戦うことになるのだった。
今まで会った中で一番の脳筋だわ、ハンナ。
※※※
「まずはウォーミングアップからだ! シャルロットからかかってこい!」
王城にある訓練場に連れてこられた俺達は、やる気満々のハンナが高らかに宣言する。
そういえばシャルの実力は知らないな。三学年二大美少女だったはずだし学園ではトップクラスのはずだ。
しかしハンナも王の血を継ぐ者。一筋縄ではいかないだろう。
あまりシャルは戦うことに乗り気ではなさそうだ。
「シャル、大丈夫か?」
「はい……とりあえず、出来るだけ頑張ってみます。それでお願いなのですが、武器を貸してもらえないでしょうか?」
「予定に無かったから持ってきてなくて当然か。ご希望は?」
「か……いえ、剣を」
一瞬何か別のものを言おうとしたみたいだったが、取り敢えず俺愛用の剣を渡す。
か……カレン?確かに凸凹が小さいし振り回しやすそっ!?これはカレンの殺気!?
ついに国をまたいで反応したのか。カレンはニュータ〇プかなにかか?
俺が怯えている間に、シャルとハンナは戦う準備をしていたらしく、一定の距離をとって向かい合っていた。
ハンナは手甲か。バリバリの近接格闘タイプかな?
「レオン、開始の宣言を頼む!」
「はいはい。んじゃ……始め!」
この場には俺とシャル、ハンナしかいないので審判をすることになってしまった。
開始と共に動き出したのは意外にもシャルだった。まずはそのまま正面からハンナへと迫った。どうやらハンナは受け止めるつもりのようだ。
シャルはまるで舞うようにして剣を振るう。それをハンナは腕を振って弾くことでいなしている。
………?なんだこの違和感。
「弱い弱い弱い! それが本気か!」
そう、ハンナが言う通り本気を出しているように見えない。それに剣の扱いにもあまり慣れていないように見える。シャルには悪いが勝てる見込みが全くと言っていいほど無い。
力も技術も速さも、全てが劣っている。
そして何故か魔法を使わない。なんでだ?
「もういい、終わりだ」
ハンナはいかにも不機嫌そうにしながらそう告げる。振り下ろされた剣を掴み、シャルの横腹に蹴りを叩き込む。
受けたシャルはそのまま吹き飛び、壁に叩きつけられ、倒れ込む。
「シャル!」
俺はシャルの元へすぐさま向かい、抱き起こす。
意識もあるし身体に異常は見られないがここで戦いは終わりであろう。
「おいおい、いくらなんでも弱すぎだろ。才能に縋って努力を怠ってきた証拠だな」
ハンナがシャルを見下す。そこまで言うことはないんじゃないか?
しかしハンナは止まることは無かった。
「なぜその才能を生かさない? きっとその容姿でチヤホヤされてきたんだろ?男に媚びてきたんだろ?」
「違う!」
ハンナの問い質すような言葉に、シャルは叫ぶように異議を唱える。だがそれでも終わることは無い。
「そういえばガルーダ王国の第二王女の話はよく耳に入ってくるな。なんでもかなりの武人だとか。貴様はきっと妹に守られてきたのだろうな、情けない」
「っ! ……違う……私は。私は……」
シャルの瞳から涙が溢れ出す。唇を噛み締め、もはや殆ど聞こえないほどの声で、ハンナの言葉を否定しながら。
……俺にはシャルが嘘をついているようには見えない。俺が不甲斐ないせいだが、女の子の涙をよく見てきたから分かる。
その涙は、嘘ではなく本気の涙だ。
そして、女の子を泣かせるのを許せるほど俺は冷めてない。
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