絶対守護者の学園生活記
突破口を探せ
学内最強決定戦まで残り一週間となった。
俺は早朝の鍛錬の時間に、アリスとソフィ先輩の模擬戦を眺めながら考え事をしていた。
冒険者ギルドでの件でミーナの意思を確認した俺は、あの狼野郎の情報を集め始めた。
二学年のナンバースリー。つまりアリスとソフィ先輩の次に強いとされている男。名前はロウガというらしい。実力は折り紙つきだ。
あの時ミーナには充分伸びしろがあると言ったが、流石に一週間では難しいものがある。
「種族の違い、かぁ」
前世で考えても同じ結果になるだろうが、この世界でも基本的に犬と狼では身体能力に差がある。しかも性別による差もあるだろう。
それを一週間で埋めなければいけない。厳しいどころの話ではない。
「一番勝てる可能性があるとすれば、頭脳戦だよなぁ」
狼野郎の戦闘スタイルは、基本的には力押しらしい。それだけなら対策のしようがあるが、やはりそこは狼。かなりの俊敏性を誇っている。
速さで翻弄しつつ、隙を見て重い一撃を叩き込む。シンプルが故に強い。
しかし頭はそこまで回らないようである。
だからこそ、力勝負ではなく頭脳戦に持ち込めば幾分か勝機は見えるであろう。罠を張るとかな。
しかし
「そんなので勝っても、根本的には何も解決してないよなぁ」
ミーナは獣人同士の種族差別によって家族が被害にあい、自分の無力さを嘆いてこの学園へと来た。
この戦いでミーナの心の壁を取り除かなくてはいけない。例え犬の獣人であったって、戦う力は持っている。
それを証明するためには相手に実力を示さなければならない。もちろん、勝利という形で。
……こんだけ色々考えてはいるが、あいつの悔しがる顔を見ないと気が済まないという俺のワガママもあったりする。あの野郎、ミーナを貶しやがって……。
だが
「……駄目だ、何も思いつかん」
パワーは今更追いつけない。スピードも言わずもがな。技量や経験も相手の方が上だろう。
そもそも相手はバルディッシュを扱い、こっちはダガーナイフだ。
武器を変えるか? しかし一週間で扱えるようになるだろうか?
悩みは尽きない。
相手よりも強くするには……ってよく考えればすぐそこで二学年のナンバーワンとナンバーツーが戦ってるじゃないか。
何か参考になるところはないだろうか。
俺はアリスとソフィ先輩の模擬戦をしばらく眺める。
二人はかなりのハイレベルな戦いを繰り広げている。
……ん?
「これだああああああ!!」
見つけた! 突破口!
※※※
その日の放課後、俺とミーナは訓練場にいた。
「情報を集めてたみたいだけど、何か分かったの?」
「あぁ、大体な」
俺は集めた情報をミーナに伝える。
「……厳しいね」
「たしかに、勝つのは相当厳しいだろうな」
「……やっぱり僕には無理なのかな?」
かなり落ち込んだ様子のミーナ。
「身体能力では勝ち目はないだろう。でも」
「……でも?」
ここは異世界。剣と魔法の世界だ。
剣、今の状況に例えれば身体能力である。そして残った片方。
「魔法だ」
「魔法?」
種族差による身体能力を気にするあまり、魔法の存在に気付けていなかった。
獣人族は弱肉強食、強い奴こそ正義だ。そしてそれを示すために自身の肉体のみで戦う者が殆どらしい。
邪道とまではいかないが、魔法の力に頼るのは好まないそうだ。
だが魔法だって実力の一つだ。使わない手はないだろう。別に屁理屈じゃないからな?
「あいつは魔法は苦手らしい。だったらそこを攻めればいい」
「でも当てられるかな?」
「普通の風属性の攻撃なら無理だろうな。避けられる。でもそれは使い方次第でどうとでもなる」
ミーナは魔法の行使は得意な方だ。むしろかなり優秀である。なら出来るであろう。
「実はその手のスペシャリストを呼んである」
「スペシャリスト?」
「ああ、これで絶対に勝てる」
ふっふっふ。待ってろよ、狼野郎。
俺は早朝の鍛錬の時間に、アリスとソフィ先輩の模擬戦を眺めながら考え事をしていた。
冒険者ギルドでの件でミーナの意思を確認した俺は、あの狼野郎の情報を集め始めた。
二学年のナンバースリー。つまりアリスとソフィ先輩の次に強いとされている男。名前はロウガというらしい。実力は折り紙つきだ。
あの時ミーナには充分伸びしろがあると言ったが、流石に一週間では難しいものがある。
「種族の違い、かぁ」
前世で考えても同じ結果になるだろうが、この世界でも基本的に犬と狼では身体能力に差がある。しかも性別による差もあるだろう。
それを一週間で埋めなければいけない。厳しいどころの話ではない。
「一番勝てる可能性があるとすれば、頭脳戦だよなぁ」
狼野郎の戦闘スタイルは、基本的には力押しらしい。それだけなら対策のしようがあるが、やはりそこは狼。かなりの俊敏性を誇っている。
速さで翻弄しつつ、隙を見て重い一撃を叩き込む。シンプルが故に強い。
しかし頭はそこまで回らないようである。
だからこそ、力勝負ではなく頭脳戦に持ち込めば幾分か勝機は見えるであろう。罠を張るとかな。
しかし
「そんなので勝っても、根本的には何も解決してないよなぁ」
ミーナは獣人同士の種族差別によって家族が被害にあい、自分の無力さを嘆いてこの学園へと来た。
この戦いでミーナの心の壁を取り除かなくてはいけない。例え犬の獣人であったって、戦う力は持っている。
それを証明するためには相手に実力を示さなければならない。もちろん、勝利という形で。
……こんだけ色々考えてはいるが、あいつの悔しがる顔を見ないと気が済まないという俺のワガママもあったりする。あの野郎、ミーナを貶しやがって……。
だが
「……駄目だ、何も思いつかん」
パワーは今更追いつけない。スピードも言わずもがな。技量や経験も相手の方が上だろう。
そもそも相手はバルディッシュを扱い、こっちはダガーナイフだ。
武器を変えるか? しかし一週間で扱えるようになるだろうか?
悩みは尽きない。
相手よりも強くするには……ってよく考えればすぐそこで二学年のナンバーワンとナンバーツーが戦ってるじゃないか。
何か参考になるところはないだろうか。
俺はアリスとソフィ先輩の模擬戦をしばらく眺める。
二人はかなりのハイレベルな戦いを繰り広げている。
……ん?
「これだああああああ!!」
見つけた! 突破口!
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その日の放課後、俺とミーナは訓練場にいた。
「情報を集めてたみたいだけど、何か分かったの?」
「あぁ、大体な」
俺は集めた情報をミーナに伝える。
「……厳しいね」
「たしかに、勝つのは相当厳しいだろうな」
「……やっぱり僕には無理なのかな?」
かなり落ち込んだ様子のミーナ。
「身体能力では勝ち目はないだろう。でも」
「……でも?」
ここは異世界。剣と魔法の世界だ。
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「魔法だ」
「魔法?」
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獣人族は弱肉強食、強い奴こそ正義だ。そしてそれを示すために自身の肉体のみで戦う者が殆どらしい。
邪道とまではいかないが、魔法の力に頼るのは好まないそうだ。
だが魔法だって実力の一つだ。使わない手はないだろう。別に屁理屈じゃないからな?
「あいつは魔法は苦手らしい。だったらそこを攻めればいい」
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「普通の風属性の攻撃なら無理だろうな。避けられる。でもそれは使い方次第でどうとでもなる」
ミーナは魔法の行使は得意な方だ。むしろかなり優秀である。なら出来るであろう。
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ふっふっふ。待ってろよ、狼野郎。
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