絶対守護者の学園生活記
婚約発表
あ、危なかった……。
一撃を貰ったうえに魔力はほぼ枯渇している影響か身体が重い。これ以上戦いが続いていたら確実に負けていた。
親父と戦うのは何度目かは分からないが勝てた回数はほぼ0と言ってもいい。純粋な技量比べなどなら勝てるかもしれないが、親父はああ見えて頭がよく回る。
魔法を使うのを不得手とし、肉体戦を好む親父はパワーで押すのが基本戦略となっているがそこに時より小細工や駆け引きを織り交ぜてくる。
今回でいえば床を粉砕したのがそうだろう。
ただ迎え撃つのではなく、先のことを見据えて行動する。俺に襲いかかってきた床の残骸などは、最悪ダメージ覚悟でスルーし親父に強襲するという選択肢もあった。
だが俺はそれをしなかった。なぜなら手負いではその後が不利になるのが目に見えていたからだ。
だがそれすらも親父は読んでいた。ダメージを嫌い、襲い来る床の残骸に対処した一瞬の隙を突いて攻撃をしかけてきた。しかも自身ではなく、先に剣を飛ばして。まさか獲物を手放すとは思ってなかった俺は隙に隙を重ねられ、一瞬で詰め寄られ一撃を受けた。
俺は近距離戦は不利と感じた。だがそれと同時に一つの案を思い付いた。俺はそれを実行に移した。それは最後の一撃に全てをかけるための戦い方。
そしてそれは成功し、俺は親父に勝てた。 
勝った。俺は親父に勝てたんだよな?
嬉しさが段々とこみ上げてきて、思わずガッツポーズを取るが身体に激痛が走り、すぐさま後悔した。
どうやらさっきまでアドレナリンによって痛みが緩和されていたようだ。やばい、超痛い。
俺が痛みに悶えていると、近くで待機していた治癒魔法師が俺に治療を施してくれた。
俺が痛みが引いた身体の調子を確かめていると、王様の声が響いた。
「ガルーダ王国王のダフィズ=フィル=ガルーダだ」
……あぁ、決闘が終わったらアリスとの婚約発表するんだったっけか。観客席上段にある個室の一つに王様がいるのを捉える。
「先程の戦いは素晴らしいものであったな。皆もそう思うであろう? かの英雄ダルク=ガーディアとその息子レオン=ガーディアが表舞台へと姿を見せてくれた。それはこの国にとって素晴らしいことだ。しかも、その力を国を守る為に振るってくれるらしい。そうだよな? レオンよ」
王様が俺に目配せをしてくる。そんな話は事前にはしてなかったが、どうやら俺に都合のいいように話を振ってくれたようだ。
「あぁ、俺は平穏を望んでいる。この国と俺の周りの平穏を守れるならいくらでもこの力を振るおう。もう一度言わせてもらうが、俺は平穏を望んでいる。その為なら降りかかるどんな火の粉でも全て払う所存だ」
あくまでも遠回りに、何かちょっかいを掛けてきたら力尽くで対処すると意を示す。俺の、ではなく俺の周りと言うことで近しい人に手を出しても適応されることも忘れず伝える。
俺の言葉に王様は頷いている。どうやら俺の対応は合っていたようだ。
「そうだな。平穏のためにも是非ともその力を振るってくれ」
そして王様も俺の言葉に賛同する。これも暗に王族も物理的にOHANASHIすることを認めたということになる。「平穏」の前に「国の」と付けていないのがポイントだ。
さらに今の会話で王様に対して敬語を使わなかった俺と、それに対してさも当たり前のように返事をした王様。そこから、俺が王様と繋がりがあることをアピールをする。
今の俺はまさに出る杭だ。英雄の息子。しかも王様と、もしかしたらその他の王族にも繋がりを持っているかもしれない。どんなことも力でねじ伏せられるだけの実力を持っている。王族との繋がりを持とうと躍起になっている貴族共から見たら突如現れた俺はかなりの厄介者だろう。
「まぁぶっちゃけ今回の決闘はレオンが英雄の息子であることを実力で証明してもらうことが目的だったんだがな? 後は貴族共への牽制。レオンとレオンの近しい人に手を出したら潰されるぞってな」
おおぉぉい!? さっきのやり取りはなんだったんだ! これでも俺なりに頑張って上手い言葉遣い探したりしたんだぞ!?
「そして英雄の息子だと改めて分かったところで本題に入らせてもらう。アリス」
王様に呼ばれたアリスが舞台へと姿を現す。
アリスは白のドレスを着ていた。肌の露出は控えめだが、アリスの燃えるような赤髪が映えていて美しいと感じた。軽くメイクもしているようで、上品な雰囲気を醸し出している。
……これ、ウェディングドレスじゃないよな? まだ結婚できる年じゃないし違うよな?
そんなことを思ってる間に、アリスは俺の隣に並んでいた。
「綺麗だ、アリス」
「あ、ありがとう……」
男として何か言わなければと思い、素直な気持ちを述べる。アリスは頬を赤く染めていた。
「とまぁ、見てわかる通り熱々なお二人だ。この度アリスとレオンが婚約することになった」
王様の言葉に、盛り上がる民衆と不満気な表情をする貴族共。見てわかる通りって、俺はただアリスを褒めただけだぞ?
「英雄の息子だ。血筋としては充分なものだろう? 文句があるなら言いに来い。レオンが相手をしてやる」
「俺かよ!」
俺と王様のやり取りを聞いて笑う民衆。一方、貴族共は苦虫を噛み潰したかのような表情だ。
婚約は王様が決めたことであり、例え文句は言えども婚約解消させることは不可能だ。なら婚約相手である俺を不慮の事故にでも見せかけて消そうと考える輩も出るだろうが、それは通用しないと先程の戦いで理解している。
「というわけで近々婚約パーティを開く。時期は……学園で行われる学内最強決定戦の後だな」
そんなのあったな……。最近色々ありすぎて忘れてた。
「というわけで話は以上。解散とする!」
凄く軽いノリで解散宣言をした王様。
どうやら婚約に関しては皆に受け入れてもらえたようだな。よかったよかった。
俺も取り敢えず控え室に戻ろう。
そういえばカレンが俺に話があるんだっけか?
……生きて帰れるよな、俺。
一撃を貰ったうえに魔力はほぼ枯渇している影響か身体が重い。これ以上戦いが続いていたら確実に負けていた。
親父と戦うのは何度目かは分からないが勝てた回数はほぼ0と言ってもいい。純粋な技量比べなどなら勝てるかもしれないが、親父はああ見えて頭がよく回る。
魔法を使うのを不得手とし、肉体戦を好む親父はパワーで押すのが基本戦略となっているがそこに時より小細工や駆け引きを織り交ぜてくる。
今回でいえば床を粉砕したのがそうだろう。
ただ迎え撃つのではなく、先のことを見据えて行動する。俺に襲いかかってきた床の残骸などは、最悪ダメージ覚悟でスルーし親父に強襲するという選択肢もあった。
だが俺はそれをしなかった。なぜなら手負いではその後が不利になるのが目に見えていたからだ。
だがそれすらも親父は読んでいた。ダメージを嫌い、襲い来る床の残骸に対処した一瞬の隙を突いて攻撃をしかけてきた。しかも自身ではなく、先に剣を飛ばして。まさか獲物を手放すとは思ってなかった俺は隙に隙を重ねられ、一瞬で詰め寄られ一撃を受けた。
俺は近距離戦は不利と感じた。だがそれと同時に一つの案を思い付いた。俺はそれを実行に移した。それは最後の一撃に全てをかけるための戦い方。
そしてそれは成功し、俺は親父に勝てた。 
勝った。俺は親父に勝てたんだよな?
嬉しさが段々とこみ上げてきて、思わずガッツポーズを取るが身体に激痛が走り、すぐさま後悔した。
どうやらさっきまでアドレナリンによって痛みが緩和されていたようだ。やばい、超痛い。
俺が痛みに悶えていると、近くで待機していた治癒魔法師が俺に治療を施してくれた。
俺が痛みが引いた身体の調子を確かめていると、王様の声が響いた。
「ガルーダ王国王のダフィズ=フィル=ガルーダだ」
……あぁ、決闘が終わったらアリスとの婚約発表するんだったっけか。観客席上段にある個室の一つに王様がいるのを捉える。
「先程の戦いは素晴らしいものであったな。皆もそう思うであろう? かの英雄ダルク=ガーディアとその息子レオン=ガーディアが表舞台へと姿を見せてくれた。それはこの国にとって素晴らしいことだ。しかも、その力を国を守る為に振るってくれるらしい。そうだよな? レオンよ」
王様が俺に目配せをしてくる。そんな話は事前にはしてなかったが、どうやら俺に都合のいいように話を振ってくれたようだ。
「あぁ、俺は平穏を望んでいる。この国と俺の周りの平穏を守れるならいくらでもこの力を振るおう。もう一度言わせてもらうが、俺は平穏を望んでいる。その為なら降りかかるどんな火の粉でも全て払う所存だ」
あくまでも遠回りに、何かちょっかいを掛けてきたら力尽くで対処すると意を示す。俺の、ではなく俺の周りと言うことで近しい人に手を出しても適応されることも忘れず伝える。
俺の言葉に王様は頷いている。どうやら俺の対応は合っていたようだ。
「そうだな。平穏のためにも是非ともその力を振るってくれ」
そして王様も俺の言葉に賛同する。これも暗に王族も物理的にOHANASHIすることを認めたということになる。「平穏」の前に「国の」と付けていないのがポイントだ。
さらに今の会話で王様に対して敬語を使わなかった俺と、それに対してさも当たり前のように返事をした王様。そこから、俺が王様と繋がりがあることをアピールをする。
今の俺はまさに出る杭だ。英雄の息子。しかも王様と、もしかしたらその他の王族にも繋がりを持っているかもしれない。どんなことも力でねじ伏せられるだけの実力を持っている。王族との繋がりを持とうと躍起になっている貴族共から見たら突如現れた俺はかなりの厄介者だろう。
「まぁぶっちゃけ今回の決闘はレオンが英雄の息子であることを実力で証明してもらうことが目的だったんだがな? 後は貴族共への牽制。レオンとレオンの近しい人に手を出したら潰されるぞってな」
おおぉぉい!? さっきのやり取りはなんだったんだ! これでも俺なりに頑張って上手い言葉遣い探したりしたんだぞ!?
「そして英雄の息子だと改めて分かったところで本題に入らせてもらう。アリス」
王様に呼ばれたアリスが舞台へと姿を現す。
アリスは白のドレスを着ていた。肌の露出は控えめだが、アリスの燃えるような赤髪が映えていて美しいと感じた。軽くメイクもしているようで、上品な雰囲気を醸し出している。
……これ、ウェディングドレスじゃないよな? まだ結婚できる年じゃないし違うよな?
そんなことを思ってる間に、アリスは俺の隣に並んでいた。
「綺麗だ、アリス」
「あ、ありがとう……」
男として何か言わなければと思い、素直な気持ちを述べる。アリスは頬を赤く染めていた。
「とまぁ、見てわかる通り熱々なお二人だ。この度アリスとレオンが婚約することになった」
王様の言葉に、盛り上がる民衆と不満気な表情をする貴族共。見てわかる通りって、俺はただアリスを褒めただけだぞ?
「英雄の息子だ。血筋としては充分なものだろう? 文句があるなら言いに来い。レオンが相手をしてやる」
「俺かよ!」
俺と王様のやり取りを聞いて笑う民衆。一方、貴族共は苦虫を噛み潰したかのような表情だ。
婚約は王様が決めたことであり、例え文句は言えども婚約解消させることは不可能だ。なら婚約相手である俺を不慮の事故にでも見せかけて消そうと考える輩も出るだろうが、それは通用しないと先程の戦いで理解している。
「というわけで近々婚約パーティを開く。時期は……学園で行われる学内最強決定戦の後だな」
そんなのあったな……。最近色々ありすぎて忘れてた。
「というわけで話は以上。解散とする!」
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どうやら婚約に関しては皆に受け入れてもらえたようだな。よかったよかった。
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