絶対守護者の学園生活記
早朝の出会い、そして二度目の土下座
「……やっぱり、この時間に目が覚めるんだな」
俺は男子寮の自室で目を覚ました。
学園の広大な敷地にものを言わせた大きな学生寮のため、全員1人部屋である。
廊下土下座事件(俺命名)が終わり、カレンとリリィにあるものを渡した後、精神的に疲労していた俺はすぐに寮へと向かった。そして寝る準備を済ませ、すぐにベッドへと潜り込んだ。
だが、特訓時の起床時間と同じ四時に目が覚めてしまった。
寮にある食堂に入れるようになるのは七時から、登校時間は八時半なので、時間にかなり余裕がある。かといって、もう眠くもない。
「基本は大事だしな。これからも早く目覚めるだろうし、鍛錬でもするか」
俺は動きやすい格好に着替え、剣を持ち、外へと向かった。
*****************************************
「訓練場はいつでも開いてるんだっけか」
鍛錬場を探していた俺は第一訓練場へと向かった。
「ん? 誰かいる……?」
時間は早朝。相当な努力家でもないとこの時間に訓練場にはいないだろう。
だが、そこには一人の女の子がいた。
両手には剣を持ち、仮想の敵と戦っているのだろうか? かなりの速さで動き回っている。
しばらくその人の動きを眺めていたが、こちらの存在に気付いたのか、動きを止めこちらへと近寄ってくる。
その人は見たことのあるような容姿をしていた。
エルフ特有の長い耳と短めに切り揃えられたクリーム色の髪を除けば、ユフィさんとほぼ同じ顔立ちをした美少女。
「貴様、もしかしてレオン=ガーディアか?」
「そうですけど……」
なんで知ってるんだろうか。てか話し方がアリスみたいだ。アリスと気が合いそうな人だな。
「この前の学園長との模擬戦で貴様は有名になったからな。学園では知らない奴はいないだろう」
「忘れてた……」
あの時の戦いは全生徒に見られてたんだよなぁ。初っ端から目立ちすぎだ。
「それに、アリスとも知り合いだそうだな」
「アリスから聞いたのか?」
「あぁ、アリスとは良き友でありライバルだからな。私の名はソフィ=クリエインだ。ソフィでいい」
既に気が合ってましたか……。
「私はいつもこの時間にここで訓練をしているんだ。あいつに勝てるように」
すごい人だと思った。強さに対する執念すら感じるほどの気迫だった。
「そこで頼みがあるんだ。たまにでいいんだが私と戦ってはくれないか? そうすればより高みへと行ける気がするんだ」
「もちろん、いいですよ」
「本当か!?」
「ええ」
俺は承諾した。素直に協力してあげたいと思ったからだ。
「恩に着る! 早速だが、これからでもいいか? あと私にもアリスと同じような話し方でいいぞ」
「分かった。それじゃやろうか、ソフィ先輩」
そして、これから毎朝はソフィ先輩と鍛錬をすることになった。
※※※
ソフィ先輩と別れ、シャワーで汗を流し、寮の食堂へと向かう。
食事を受け取り、空いてる席を探す。
「レオーン! こっちこっち!」
呼ばれた方を向くと、手招きをしているカレンを発見した。隣にはリリィもいる。
二人は五人用のテーブルに座っており、空きがあった。
「二人ともおはよう」
「おはよ!」
「……おはよう」
同じテーブルに着き、挨拶を交わす。
「ところでアレ、着けてるか?」
「着けてるわよ、ほら」
「……ん」
二人が右手首を見せてくる。そこにはダイヤのような銀色の宝石が付いたブレスレットを付けていた。
これは俺があげた物で、所持者が危険な状況に陥ると、俺に知らせてくれる魔道具だ。旅立つ前にダルクさんが俺に渡してきた物で、ダルクさんの加護の力が込められている。そんな便利なことが出来るのかと驚いたが、加護の力に耐えられる物がこの世にはほとんどなく、簡単に出来るものではないらしい。なので全部で十何個かだが貰った。
ただ、俺が二人に渡す時に「俺が二人の危機の時に助けられるようにさ(キリッ」と伝えるのは恥ずかしかったので、魔道具だとは教えずに、ただのアクセサリーとしてプレゼントした。
渡したときに二人とも嬉しそうにしていたので、俺も嬉しくなった。
その後も二人と他愛もない話を続けていた。
「お、レオンじゃねぇか。空いてるんだったら座ってもいいか?」
「僕もいいかな?」
マルクとミーナがやってきた。
「いいか? カレン、リリィ」
「私はいいわよ」
「……私も」
「だってよ」
「んじゃ、遠慮なく」
「失礼するね」
二人の許可を得て、マルクとミーナが席に着く。
「いやー、偶然ミーナと会ったのはいいが空いてる席が見当たらなくてよ。お前がいて良かったわ」
「急にごめんね、レオン君」
「別にいいって。それよりミーナ。また触ってもいいか?」
ミーナには悪いが、俺のモフリスト魂が反応しているんだ。
「……うん、いいよ?」
「ひゃっほう!」
俺はミーナの耳をさわさわしながら、頭を撫でる。いつもの触り方だ。
縮こまるミーナ超可愛い。
癒されるなぁ……。
「お前、相当それ好きなんだな」
「あぁ、大好きだ!」
ミーナを撫でながら答える俺。マルクは若干呆れ気味だ。
「別にそれはいいんだが。それよりもそこでお前を睨んでる美少女二人を紹介してほしいんだが」
「……なんで俺は睨まれてんだ?」
「俺に聞くな」
なぜか俺を睨んでくるカレンとリリィ。二人もモフりたかったのだろうか。
俺は癒しの時間を終了させ、お互いの自己紹介を済まさせる。
「レオンの幼馴染に義理の妹だと……? しかも美少女……レオン、一回死んでみるか」
「なんでだよ」
「うるせぇ! いっぺん死ね!」
俺に飛び掛かってくるマルク。俺はマルクの腕を片手で掴み、もう片方の手を胸の部分に置くことで、飛び掛かってきた勢いを利用して一本背負いのようなものを決める。
「ぐえっ」
変な声を出し、マルクは気絶してしまった。
悪は滅びた……。
「……別に何も言わないけど、それよりもミーナの頭を撫でてた件について、教えてもらってもいい?」
「……私も」
俺が一仕事終えたところで、カレンとリリィが問いかけてくる。
「いや、ああしてると癒されるんだよなぁ」
「相手が嫌がってても?」
「え?」
嫌がってる? マジ?
俺はミーナの方を向く。
するとミーナは困ったように言う。
「べ、別に嫌ってわけじゃないけど、周りの人にも見られてるし恥ずかしいなぁって……」
「なん……だと……」
ま、まさかそんな思いをさせていたとは……
「というわけでレオン、土下座しなさい!」
「すいませんでしたああああぁぁぁぁぁああぁ!!!!」
そうして俺は、二日連続で土下座をしたのだった。
俺は男子寮の自室で目を覚ました。
学園の広大な敷地にものを言わせた大きな学生寮のため、全員1人部屋である。
廊下土下座事件(俺命名)が終わり、カレンとリリィにあるものを渡した後、精神的に疲労していた俺はすぐに寮へと向かった。そして寝る準備を済ませ、すぐにベッドへと潜り込んだ。
だが、特訓時の起床時間と同じ四時に目が覚めてしまった。
寮にある食堂に入れるようになるのは七時から、登校時間は八時半なので、時間にかなり余裕がある。かといって、もう眠くもない。
「基本は大事だしな。これからも早く目覚めるだろうし、鍛錬でもするか」
俺は動きやすい格好に着替え、剣を持ち、外へと向かった。
*****************************************
「訓練場はいつでも開いてるんだっけか」
鍛錬場を探していた俺は第一訓練場へと向かった。
「ん? 誰かいる……?」
時間は早朝。相当な努力家でもないとこの時間に訓練場にはいないだろう。
だが、そこには一人の女の子がいた。
両手には剣を持ち、仮想の敵と戦っているのだろうか? かなりの速さで動き回っている。
しばらくその人の動きを眺めていたが、こちらの存在に気付いたのか、動きを止めこちらへと近寄ってくる。
その人は見たことのあるような容姿をしていた。
エルフ特有の長い耳と短めに切り揃えられたクリーム色の髪を除けば、ユフィさんとほぼ同じ顔立ちをした美少女。
「貴様、もしかしてレオン=ガーディアか?」
「そうですけど……」
なんで知ってるんだろうか。てか話し方がアリスみたいだ。アリスと気が合いそうな人だな。
「この前の学園長との模擬戦で貴様は有名になったからな。学園では知らない奴はいないだろう」
「忘れてた……」
あの時の戦いは全生徒に見られてたんだよなぁ。初っ端から目立ちすぎだ。
「それに、アリスとも知り合いだそうだな」
「アリスから聞いたのか?」
「あぁ、アリスとは良き友でありライバルだからな。私の名はソフィ=クリエインだ。ソフィでいい」
既に気が合ってましたか……。
「私はいつもこの時間にここで訓練をしているんだ。あいつに勝てるように」
すごい人だと思った。強さに対する執念すら感じるほどの気迫だった。
「そこで頼みがあるんだ。たまにでいいんだが私と戦ってはくれないか? そうすればより高みへと行ける気がするんだ」
「もちろん、いいですよ」
「本当か!?」
「ええ」
俺は承諾した。素直に協力してあげたいと思ったからだ。
「恩に着る! 早速だが、これからでもいいか? あと私にもアリスと同じような話し方でいいぞ」
「分かった。それじゃやろうか、ソフィ先輩」
そして、これから毎朝はソフィ先輩と鍛錬をすることになった。
※※※
ソフィ先輩と別れ、シャワーで汗を流し、寮の食堂へと向かう。
食事を受け取り、空いてる席を探す。
「レオーン! こっちこっち!」
呼ばれた方を向くと、手招きをしているカレンを発見した。隣にはリリィもいる。
二人は五人用のテーブルに座っており、空きがあった。
「二人ともおはよう」
「おはよ!」
「……おはよう」
同じテーブルに着き、挨拶を交わす。
「ところでアレ、着けてるか?」
「着けてるわよ、ほら」
「……ん」
二人が右手首を見せてくる。そこにはダイヤのような銀色の宝石が付いたブレスレットを付けていた。
これは俺があげた物で、所持者が危険な状況に陥ると、俺に知らせてくれる魔道具だ。旅立つ前にダルクさんが俺に渡してきた物で、ダルクさんの加護の力が込められている。そんな便利なことが出来るのかと驚いたが、加護の力に耐えられる物がこの世にはほとんどなく、簡単に出来るものではないらしい。なので全部で十何個かだが貰った。
ただ、俺が二人に渡す時に「俺が二人の危機の時に助けられるようにさ(キリッ」と伝えるのは恥ずかしかったので、魔道具だとは教えずに、ただのアクセサリーとしてプレゼントした。
渡したときに二人とも嬉しそうにしていたので、俺も嬉しくなった。
その後も二人と他愛もない話を続けていた。
「お、レオンじゃねぇか。空いてるんだったら座ってもいいか?」
「僕もいいかな?」
マルクとミーナがやってきた。
「いいか? カレン、リリィ」
「私はいいわよ」
「……私も」
「だってよ」
「んじゃ、遠慮なく」
「失礼するね」
二人の許可を得て、マルクとミーナが席に着く。
「いやー、偶然ミーナと会ったのはいいが空いてる席が見当たらなくてよ。お前がいて良かったわ」
「急にごめんね、レオン君」
「別にいいって。それよりミーナ。また触ってもいいか?」
ミーナには悪いが、俺のモフリスト魂が反応しているんだ。
「……うん、いいよ?」
「ひゃっほう!」
俺はミーナの耳をさわさわしながら、頭を撫でる。いつもの触り方だ。
縮こまるミーナ超可愛い。
癒されるなぁ……。
「お前、相当それ好きなんだな」
「あぁ、大好きだ!」
ミーナを撫でながら答える俺。マルクは若干呆れ気味だ。
「別にそれはいいんだが。それよりもそこでお前を睨んでる美少女二人を紹介してほしいんだが」
「……なんで俺は睨まれてんだ?」
「俺に聞くな」
なぜか俺を睨んでくるカレンとリリィ。二人もモフりたかったのだろうか。
俺は癒しの時間を終了させ、お互いの自己紹介を済まさせる。
「レオンの幼馴染に義理の妹だと……? しかも美少女……レオン、一回死んでみるか」
「なんでだよ」
「うるせぇ! いっぺん死ね!」
俺に飛び掛かってくるマルク。俺はマルクの腕を片手で掴み、もう片方の手を胸の部分に置くことで、飛び掛かってきた勢いを利用して一本背負いのようなものを決める。
「ぐえっ」
変な声を出し、マルクは気絶してしまった。
悪は滅びた……。
「……別に何も言わないけど、それよりもミーナの頭を撫でてた件について、教えてもらってもいい?」
「……私も」
俺が一仕事終えたところで、カレンとリリィが問いかけてくる。
「いや、ああしてると癒されるんだよなぁ」
「相手が嫌がってても?」
「え?」
嫌がってる? マジ?
俺はミーナの方を向く。
するとミーナは困ったように言う。
「べ、別に嫌ってわけじゃないけど、周りの人にも見られてるし恥ずかしいなぁって……」
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