外道魔術師転生から始まる異世界動物のお医者さん
閑話その1 ラーニャとアラセス
「はぁ……死にたい……あんなミスをしてしまうなんて……」
私はトボトボと長く続く廊下を歩いている。
私の名前はラーニャ、一応女神と言う者、で、でもまだ全然見習いみたいなもので……
「だからってあんなミスはないわ……
今考えれば世界が違うのに元の体に引き寄せられるはずもないのに……
まじうける、はははは……」
乾いた笑いが誰もいない廊下に響く。
そりゃそうよね、転移すればいいのにわざわざ馬鹿みたいに長い廊下を使って移動する神なんているわけないっつーの……
「あーもー!! 馬鹿!! あたしの馬鹿!!」
私のミスでとんでもない業を与えてしまった大鳥 大五郎という人間。
彼を送り出して、彼がいた世界の主神様にそりゃーもう怒られて、最期には可哀想なものを見るような目で送り出された帰り道。
パッと転移で帰る気も起きずに廊下を歩いて帰っている。
「おお、ここにおったのか! 探したぞ」
目の前が明るくなり人影が現れる。
人と言っても普通の人間の姿ではない。
そのお顔はにゃんこ。可愛らしくも凛々しいにゃんこのお姿。
女神の中でも人気上位の獣人様アラセス様だ。
今日も軽くモヒカンのようになっているたてがみっぽい毛並みが素敵です!
「こ、これはアラセス様! 私を探していたのですか?」
「そうだ、部屋にもいないしあいつのとこ行ったらもう帰ったって言うし。
こってり絞られたらしいな、俺も悪かったとフォローはしておいた。
あいつも少し怒りすぎたと反省していたから、次からは怖がらなくてもいいぞ」
そう! アラセス様の人気の理由がこれ!
一つの世界の主神様を『あいつ』なんて呼べるくらい格の高い古い神でありながらも、誰に対しても気さくで気を回してくれて優しい!
何人もの新人神や女神がアラセス様に助けられたことか……
「それでな、相談があるんだ。ダイゴローの事なんだが……」
「本当にすみませんでした!!」
思わずその場にジャンピング土下座をかましてしまう。
「おいおい、立ちなさい。別に怒るわけじゃない、俺も共犯みたいなものだ。
そんなことより、ダイゴローはあのまま目覚めても困るだけだろ、何か手を貸してやりたいのだがいい案はないか?」
「確かに……そうですね。体は強大な魔術師でも中身は魔法なんてない世界の普通の人間ですもんね……」
「そうなんだ、魔法も素人がいきなり巨大な力を与えられても暴走させるだけだろう。
それに獣人をあの世界で救うと言っても縁もゆかりもない世界だ。それが心配でな……」
ああ、やっぱりアラセス様はお優しい、たとえ人の子一人でも自分が関わったら見捨てたりなさらない。
「それでしたら、あの世界で大五郎さんの魔力を調整したり、ガイドをする使い魔をおつけになるとかはいかがですか?」
「ほう……そうだな。あやつの魂には触れているから……
ラーニャ少し時間はあるか? 人の神の力も借りたい、作業場に付き合ってくれないか?
付き合ってくれたらヘスティアの店で飯をおごってやるぞ」
「まじっすか!!! 全力で手伝います!!」
女神ヘスティアの食堂!!
神界でも屈指のお店! 一見さんお断り! 予約は3万年待ちとも言われるあの名店!!
「よし、早速飛ぶぞ」
「はいー!」
私の頭の中はもうお花畑になって、正常な思考ができなくなっていました。
それがさらなる悲劇(?)を生んだのです……
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「さてと、使い魔を作るのも久しぶりだな。
まずはコアを決めるか。あの世界は古き世界でなかなかに強者も多いから……」
アラセス様が作業台に取り出した宝石は真っ赤で美しく光り輝いている。
「アラセス様……それってもしかして……」
「ああ、カーバンクルだ。ずっと持っていたのだが俺に宝石を持っていてもな、なんと言ったか……
そうそう猫に小判だからな」
カーバンクル、珠玉の霊石、手に入れた物に富と名声をもたらすという伝説の宝石。
しかもアラセス様ほどの神格を持つ方が『ずっと』持っていた……
それの意味することは……
「よし、素体は出来たな。おお、良い光を放つじゃないか気に入った。
ラーニャ、我が眷属の姿の他にダイゴローの助けになるように人形をイメージしてくれるか?」
「あっはい!」
あまりの伝説上の宝石を目の前に頭の回転が全く追いついていないで、どんどん作業が進んでいってしまった。
途中からまぁいっか、この後はヘスティア様の~♪
と浮かれていたからと言うのは否定できない……
「血脈は……お、古龍の血があったな。ちょうどいい我が倉庫のホコリを被って使わなかったものが使えてちょうどいい、四神と麒麟のやつからもらったものも使うか、お、なかなか強くなってきたな。
このままだと魔力的にあれか……」
その時のアラセス様の恐ろしい事を言っていることも耳を右から左へ筒抜けていました。
アラセス様はそりゃーもうまるで子供のように楽しそうに画面にでるステータスを見ながらあれを入れようこれを入れようと、神界でも一級、いや特級の品を次から次へとポイポイと……
しかもどの素材も『アラセス様が長年所持していた』物だ。
神格の高い神が自分の管理する倉庫にしまわれている。
ただの鉄の剣でも数年すれば聖剣へと変わるだろう。
それを古代の神が長い間と表現するほど神気に浸かっていた代物、考えるだけで恐ろしい。
「よし! これなら誰にも負けんだろ!
魔法のコントロールもこれだけ回路があればよほどのことがなければ大丈夫。
……強そうだなこいつ。ガチで戦ってみたいな……」
ボソリと呟いたアラセス様のお言葉でお花畑に行っていた私の脳みそが一気に現実に引き戻される。
「……へ……? あの……アラセス様……? このステータスって……この子の?」
「ああ! 俺の自信作だ! 名前はユキミ!
こいつにダイゴローの補助をさせよう!」
満面の笑みで試験管の中で眠る真っ白い美しい猫を見つめているアラセス様。
人化した時のモデリングは確かに私が作った。
けど……けど……
「まさかこんな対神兵器みたいな物を作るなんて思わないじゃないですかー!!」
そのあと能天気なアラセス様を一生懸命説得して、使用する能力を権限という形で縛ることで納得してもらうのにそれはもう必死に説明することになった。
せっかく連れて行ってもらったヘスティア様のお店の味もよくわからなくなるほどの大事件。
そんなこんなで誕生したユキミ、そのスペックを大五郎はまだ知る由もなかった……
私はトボトボと長く続く廊下を歩いている。
私の名前はラーニャ、一応女神と言う者、で、でもまだ全然見習いみたいなもので……
「だからってあんなミスはないわ……
今考えれば世界が違うのに元の体に引き寄せられるはずもないのに……
まじうける、はははは……」
乾いた笑いが誰もいない廊下に響く。
そりゃそうよね、転移すればいいのにわざわざ馬鹿みたいに長い廊下を使って移動する神なんているわけないっつーの……
「あーもー!! 馬鹿!! あたしの馬鹿!!」
私のミスでとんでもない業を与えてしまった大鳥 大五郎という人間。
彼を送り出して、彼がいた世界の主神様にそりゃーもう怒られて、最期には可哀想なものを見るような目で送り出された帰り道。
パッと転移で帰る気も起きずに廊下を歩いて帰っている。
「おお、ここにおったのか! 探したぞ」
目の前が明るくなり人影が現れる。
人と言っても普通の人間の姿ではない。
そのお顔はにゃんこ。可愛らしくも凛々しいにゃんこのお姿。
女神の中でも人気上位の獣人様アラセス様だ。
今日も軽くモヒカンのようになっているたてがみっぽい毛並みが素敵です!
「こ、これはアラセス様! 私を探していたのですか?」
「そうだ、部屋にもいないしあいつのとこ行ったらもう帰ったって言うし。
こってり絞られたらしいな、俺も悪かったとフォローはしておいた。
あいつも少し怒りすぎたと反省していたから、次からは怖がらなくてもいいぞ」
そう! アラセス様の人気の理由がこれ!
一つの世界の主神様を『あいつ』なんて呼べるくらい格の高い古い神でありながらも、誰に対しても気さくで気を回してくれて優しい!
何人もの新人神や女神がアラセス様に助けられたことか……
「それでな、相談があるんだ。ダイゴローの事なんだが……」
「本当にすみませんでした!!」
思わずその場にジャンピング土下座をかましてしまう。
「おいおい、立ちなさい。別に怒るわけじゃない、俺も共犯みたいなものだ。
そんなことより、ダイゴローはあのまま目覚めても困るだけだろ、何か手を貸してやりたいのだがいい案はないか?」
「確かに……そうですね。体は強大な魔術師でも中身は魔法なんてない世界の普通の人間ですもんね……」
「そうなんだ、魔法も素人がいきなり巨大な力を与えられても暴走させるだけだろう。
それに獣人をあの世界で救うと言っても縁もゆかりもない世界だ。それが心配でな……」
ああ、やっぱりアラセス様はお優しい、たとえ人の子一人でも自分が関わったら見捨てたりなさらない。
「それでしたら、あの世界で大五郎さんの魔力を調整したり、ガイドをする使い魔をおつけになるとかはいかがですか?」
「ほう……そうだな。あやつの魂には触れているから……
ラーニャ少し時間はあるか? 人の神の力も借りたい、作業場に付き合ってくれないか?
付き合ってくれたらヘスティアの店で飯をおごってやるぞ」
「まじっすか!!! 全力で手伝います!!」
女神ヘスティアの食堂!!
神界でも屈指のお店! 一見さんお断り! 予約は3万年待ちとも言われるあの名店!!
「よし、早速飛ぶぞ」
「はいー!」
私の頭の中はもうお花畑になって、正常な思考ができなくなっていました。
それがさらなる悲劇(?)を生んだのです……
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「さてと、使い魔を作るのも久しぶりだな。
まずはコアを決めるか。あの世界は古き世界でなかなかに強者も多いから……」
アラセス様が作業台に取り出した宝石は真っ赤で美しく光り輝いている。
「アラセス様……それってもしかして……」
「ああ、カーバンクルだ。ずっと持っていたのだが俺に宝石を持っていてもな、なんと言ったか……
そうそう猫に小判だからな」
カーバンクル、珠玉の霊石、手に入れた物に富と名声をもたらすという伝説の宝石。
しかもアラセス様ほどの神格を持つ方が『ずっと』持っていた……
それの意味することは……
「よし、素体は出来たな。おお、良い光を放つじゃないか気に入った。
ラーニャ、我が眷属の姿の他にダイゴローの助けになるように人形をイメージしてくれるか?」
「あっはい!」
あまりの伝説上の宝石を目の前に頭の回転が全く追いついていないで、どんどん作業が進んでいってしまった。
途中からまぁいっか、この後はヘスティア様の~♪
と浮かれていたからと言うのは否定できない……
「血脈は……お、古龍の血があったな。ちょうどいい我が倉庫のホコリを被って使わなかったものが使えてちょうどいい、四神と麒麟のやつからもらったものも使うか、お、なかなか強くなってきたな。
このままだと魔力的にあれか……」
その時のアラセス様の恐ろしい事を言っていることも耳を右から左へ筒抜けていました。
アラセス様はそりゃーもうまるで子供のように楽しそうに画面にでるステータスを見ながらあれを入れようこれを入れようと、神界でも一級、いや特級の品を次から次へとポイポイと……
しかもどの素材も『アラセス様が長年所持していた』物だ。
神格の高い神が自分の管理する倉庫にしまわれている。
ただの鉄の剣でも数年すれば聖剣へと変わるだろう。
それを古代の神が長い間と表現するほど神気に浸かっていた代物、考えるだけで恐ろしい。
「よし! これなら誰にも負けんだろ!
魔法のコントロールもこれだけ回路があればよほどのことがなければ大丈夫。
……強そうだなこいつ。ガチで戦ってみたいな……」
ボソリと呟いたアラセス様のお言葉でお花畑に行っていた私の脳みそが一気に現実に引き戻される。
「……へ……? あの……アラセス様……? このステータスって……この子の?」
「ああ! 俺の自信作だ! 名前はユキミ!
こいつにダイゴローの補助をさせよう!」
満面の笑みで試験管の中で眠る真っ白い美しい猫を見つめているアラセス様。
人化した時のモデリングは確かに私が作った。
けど……けど……
「まさかこんな対神兵器みたいな物を作るなんて思わないじゃないですかー!!」
そのあと能天気なアラセス様を一生懸命説得して、使用する能力を権限という形で縛ることで納得してもらうのにそれはもう必死に説明することになった。
せっかく連れて行ってもらったヘスティア様のお店の味もよくわからなくなるほどの大事件。
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