イケメン被りの青春オタク野郎と絶対利益主義お嬢様

片山樹

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 中学1年生の春、俺は一目惚れをした。
一目惚れというと外見だけで判断している様に見えるけど、最初はそうだった。
最初は可愛いなと言う気持ちで彼女を見ていた。それは最早、健気なヒロインが主人公をクラスの端で眺めるみたいなそんな風に純情だったのだ。次第に時間が流れるに連れ、俺と彼女は同じクラスだったので会話などをすることもあった。そして会話してみると彼女は内面でも良い人だった。だから俺は彼女に何度も何度も惚れていた。喋りかけられるとドキドキしていた。
男の癖に乙女心だった。かなり純情で健気だった。そんな風な気持ちになるのは初めてだったから、かなり時間がかかった。
俺は彼女の事が好きになっていた。
だけどそんな気持ちに気づかなければ良かったと俺は常々思う。
だって……そうしていれば彼女は傷付くことが無かったかもしれないから。
そして俺がこんなにも負い目を感じる事は無かったかもしれないから。

✢✢✢
 ちっ、また嫌な事を思い出していた。
それよりも今のこの状況をどうにかしないとな。
秋里実里。別に彼女に同情しているわけじゃない。だけど許せない。周りの奴等が。
この世界が。好きなモノを好きと言ってはいけない世界が。だから俺を言おう。
この間違った常識をぶち壊す為に。
少しでも秋里実里がーーオタクという生き物が生きやすい社会にする為に。
俺は椅子から立ち上がり、秋里実里に向かって言った。

「俺、その部活に入るよ。秋里さん」
 その瞬間、クラスがどよめいた。
それもそのはずだ。
学年トップでスポーツ万能でおまけに性格も良いそんな奴がアニ研に入るなんてさ。

「あ、ありがとうございます!」
 秋里実里は頭を下げた。

「秋月君が入るのなら私も入ろうかしら……?」
 夏影も立ち上がる。

「えっ!? 夏影さんも入ってくれるの!?」

「勿論よ。貴方と秋月君をそんな部活動で二人っきりにさせるのは尺に触るから」

「そ、そう。それは良かったよ。助かったよ。本当にありがとうね。夏影さん」

「ふふっ、どういたしまして」
 その言葉を吐く夏影の姿は一段と嬉しそうだった。

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