イケメン被りの青春オタク野郎と絶対利益主義お嬢様

片山樹

16

 秋里美里。
それが彼女の名前らしい。
俺と同じく『秋』という言葉が入っていることに少しだけ親密感が湧いたけど彼女の言動などを総合的に判断してDランクと言った感じだ。
顔は童顔だし、眉が隠れる程度の前髪が特徴的。ショートで金髪。学校指定パーカーは着用せず、私流のフード付きパーカーを着用。スカートは他の生徒よりも短い。
何だろう、この娘は。
もしかしてヤンキーに憧れたのかな?
って感じの雰囲気を漂わせる。
だけどさこんなにも目立つ女の子なら一度は見たことがあるはずだと思うんだけど、俺は見たことが無いわけが無いよな。
最悪でも。

「君は俺と一緒の学年だよね?」

「ふ、不愉快です。俺と一緒の学年じゃなくて、2年生だよね? で、じゃ駄目ですか?」

色々とめんどくさい奴だ。
仕方無い。言い方を変えてやろう。

「君は2年生だよね?」

「まぁ、合格点でしょう。でも君じゃなくて、私の名前である秋里さんはとか言っておけばポイントが高かったですよ。私的に」

 お前からポイントを稼いでも良いことは何も無い。寧ろマイナスになりそうだ。

「それで何組なんだよ?」

「結構です。答えたくありません」

「なんでだよ? どうせ、バレルんだぜ。なら今の内に言っておけよ。そっちのほうが気分が楽になるぜ」

「私は別に罪などを犯してありません! 勘違いしないで下さい。も、もしもバレルとしても今は嫌なんです!」

「嫌か……そうか。分かったよ」
 まぁ、仕方ないさ。
人それぞれ悩みを抱えて生きている。
勿論、俺も例外では無い。
俺にも悩みは存在する。
そしてその悩みと戦う方法を見つけている。
まだ俺もそれは見つかってないけど。

「あのですね。秋月君ってわ、わたしのこと……」

 秋里さんが身体をもじもじとさせる。

「どうしたの?」

「あぁ〜そのぉ〜」
 彼女の声が次第に小さくなっていく。

その時だった。

『ピーンポーンパーンポーン』とチャイムがなり始めた。

「あ、もう急がないとHRが始まっちゃう! じゃあね、秋月君!」
そう言って、秋里実里は屋上を後にした。

俺とユカも顔をお互いに見合わせ、急いで教室へと戻る。

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