イケメン被りの青春オタク野郎と絶対利益主義お嬢様
4
「ん? どうだった?」
ユカが唾を飲み込んで俺の意見を待っている。少しからかってみるのも良いかもしれないが、やめておこう。
「普通に美味いよ。いつも通り」
「ふ、普通に美味いって何よ。もう……」
ユカは顔を膨らませたが嬉しそうだった。
「咲ちゃんどうだった? 焼きそば?」
咲にも同じ質問をするのか。
まぁ、どうでもいいけど。
「ユカさん、美味しかったです!」
咲の目はユカをキラキラと何か輝いている物を見るみたいな目になっている。
「それは良かった……」
ユカは安堵した様で焼きそばを啜る。
「ユカさん!」
咲が大きな声でユカを呼んだ。
ユカはいきなり大きな声を出され、喉に焼きそばをつまらせたようだ。
俺は急いでお茶をコップに注ぎ、ユカに飲ませた。
「はぁー苦しかった。ありがと、ソラ。
それで何? 咲ちゃん」
「あの……ユカさん、私に料理を教えて下さい」
咲がユカに頭を下げる。
その姿が食卓を囲むテーブル内で見るととてもシュールだった。
「勿論、いいよ」
チラッと俺の方をユカが見てきたけど、どういう意味だろう。
「やったぁーー! これでお兄ちゃんの胃袋は私のモノだね!」
「まぁ、そうなればいいな。咲」
俺が咲の頭を撫でてあげると咲は顔を赤らめていた。ユカはそんな俺達を見て、ニコッとしていたが何か悲しい顔をしていた。
「あ、そうだ。ユカ、話があるんだ」
「何?」
「あのさ、俺のラノベが盗まれた。おまけに俺がオタクってことがバレたみたいだ……」
「だから言ったじゃない。あんなものを学校に持って行ってたらバレるって! 今回ばかりは私は力を貸してあげないわよ。自業自得だし……」
「そこの所を何とか……」
「お兄ちゃん、もうオタクってことを隠さずに生きていけばいいじゃん? 最近の」
「世の中そんな甘っちょろくねぇーんだよ。俺が中学生だった頃……」
一気に怒りと虚しさが胸をぐるぐると駆け巡った。おまけにズサズサと胸を痛みつけ、締め付ける。
「ソラ、しっかりしなさいよ! もう、しょうが無いんだから! 私も手伝ってあげるわよ」
「おぉー、ありがとう。ユカ、ありがとう!」
ユカの手を握り締め、ブンブンと無意識に振ってしまう。よし、これでどうにかなりそうだ。
「お兄ちゃんー、私も手伝うぅー!」
咲もユカに便乗してか俺に救いの手を差し伸べてきた。あんまり役に立つとは思えないけど。
「ありがとうな、咲」
咲は何も言わず、親指を立てた。
「それでどうすればいいでしょうか? ユカさん、ユカ様、ユカ姫、いや、師匠!」
「普通にユカでいいわよ。まぁ、とりあえずやらなければならない事は犯人探しと言いたい所だけど」
「犯人なら大丈夫だ。これを見てくれ」
俺はポケットから『果たし状』を取り出し、ユカに見せる。
「所々、丸っこいわね。女子ってことかしら? もしくは女子っぽい筆跡にしている男子の可能性も有り。もしそれなら知的犯に違い無いわ」
「だけどそんな知的犯なら普通に筆跡は残さないだろ。パソコンとかで打ち込んで印刷とかするけどね」
「まぁ、確かにそうかもしれないけど……敢えてってこともあるわ」
「でもそんな事を言ってたら、話が進まないだろ」
「そうね。では、話を変えましょうと言いたいけど大丈夫そうよ」
「どうして?」
「2体1だからよ。それも学校内では成績トップのイケメン君と真面目で努力家で社交性においては最強レベルの私の組み合わせ。負ける訳が無いわ」
自分で最強と言うのは少しあれだけど、ユカが言っている事はほぼ正しい。
敢えて言わせてもらうならば、『カメラアイ能力で学年トップを取り続けているイケメン被りのオタクと誰からも好かれたいと思うビッチ』の組み合わせだな。
「何か、今変な事考えてたでしょ?」
ピキピキと何か聞こえるけど幻聴だよね?
「考えてないです。でもさっき言った事は確かに一理あるな」
「そうでしょ? それにしても今回のテスト死んじゃった。もう、最悪。ソラみたいにカメラアイ能力があればな……」
「カメラアイ能力があっても良くないぜ。一度覚えた事は忘れられないし」
「えぇ〜、それでもいいじゃん!」
「そう思うだろ? だけど心霊写真とかを見たら忘れられないから夜思い出したら怖すぎて眠れないんだぞ!」
「あぁ……ご察し。それは怖いね」
「確かにそうだよな。昔、俺の家にユカが遊びに来た時、テレビで心霊特集やってて……」
「も、もう! そのことは言わないでって言ってるじゃん!」
ユカが顔を真っ赤にして俺の口を塞いでくる。
「お二人さん、今日も熱いねぇ〜」
咲が熱いお茶を啜りながら言った。
✣✣✣
「本当にいいのか? 送らなくておばさんも心配するだろ?」
「良いのよ。だって歩いて10分もかからないし。じゃあね、咲ちゃん、ソラ。それと風華ちゃんにもよろしくって伝えといてね」
「ああ、分かった。じゃあな、ユカ。明日はよろしくな」
「うん! ちゃんと起きときなさいよ」
捨て台詞の様にユカはそれだけ言って、帰っていった。
明日は決戦の日になりそうだ。
まぁ、2体1なら余裕で勝てると思うけど。
俺って意外と打算的?
ユカが唾を飲み込んで俺の意見を待っている。少しからかってみるのも良いかもしれないが、やめておこう。
「普通に美味いよ。いつも通り」
「ふ、普通に美味いって何よ。もう……」
ユカは顔を膨らませたが嬉しそうだった。
「咲ちゃんどうだった? 焼きそば?」
咲にも同じ質問をするのか。
まぁ、どうでもいいけど。
「ユカさん、美味しかったです!」
咲の目はユカをキラキラと何か輝いている物を見るみたいな目になっている。
「それは良かった……」
ユカは安堵した様で焼きそばを啜る。
「ユカさん!」
咲が大きな声でユカを呼んだ。
ユカはいきなり大きな声を出され、喉に焼きそばをつまらせたようだ。
俺は急いでお茶をコップに注ぎ、ユカに飲ませた。
「はぁー苦しかった。ありがと、ソラ。
それで何? 咲ちゃん」
「あの……ユカさん、私に料理を教えて下さい」
咲がユカに頭を下げる。
その姿が食卓を囲むテーブル内で見るととてもシュールだった。
「勿論、いいよ」
チラッと俺の方をユカが見てきたけど、どういう意味だろう。
「やったぁーー! これでお兄ちゃんの胃袋は私のモノだね!」
「まぁ、そうなればいいな。咲」
俺が咲の頭を撫でてあげると咲は顔を赤らめていた。ユカはそんな俺達を見て、ニコッとしていたが何か悲しい顔をしていた。
「あ、そうだ。ユカ、話があるんだ」
「何?」
「あのさ、俺のラノベが盗まれた。おまけに俺がオタクってことがバレたみたいだ……」
「だから言ったじゃない。あんなものを学校に持って行ってたらバレるって! 今回ばかりは私は力を貸してあげないわよ。自業自得だし……」
「そこの所を何とか……」
「お兄ちゃん、もうオタクってことを隠さずに生きていけばいいじゃん? 最近の」
「世の中そんな甘っちょろくねぇーんだよ。俺が中学生だった頃……」
一気に怒りと虚しさが胸をぐるぐると駆け巡った。おまけにズサズサと胸を痛みつけ、締め付ける。
「ソラ、しっかりしなさいよ! もう、しょうが無いんだから! 私も手伝ってあげるわよ」
「おぉー、ありがとう。ユカ、ありがとう!」
ユカの手を握り締め、ブンブンと無意識に振ってしまう。よし、これでどうにかなりそうだ。
「お兄ちゃんー、私も手伝うぅー!」
咲もユカに便乗してか俺に救いの手を差し伸べてきた。あんまり役に立つとは思えないけど。
「ありがとうな、咲」
咲は何も言わず、親指を立てた。
「それでどうすればいいでしょうか? ユカさん、ユカ様、ユカ姫、いや、師匠!」
「普通にユカでいいわよ。まぁ、とりあえずやらなければならない事は犯人探しと言いたい所だけど」
「犯人なら大丈夫だ。これを見てくれ」
俺はポケットから『果たし状』を取り出し、ユカに見せる。
「所々、丸っこいわね。女子ってことかしら? もしくは女子っぽい筆跡にしている男子の可能性も有り。もしそれなら知的犯に違い無いわ」
「だけどそんな知的犯なら普通に筆跡は残さないだろ。パソコンとかで打ち込んで印刷とかするけどね」
「まぁ、確かにそうかもしれないけど……敢えてってこともあるわ」
「でもそんな事を言ってたら、話が進まないだろ」
「そうね。では、話を変えましょうと言いたいけど大丈夫そうよ」
「どうして?」
「2体1だからよ。それも学校内では成績トップのイケメン君と真面目で努力家で社交性においては最強レベルの私の組み合わせ。負ける訳が無いわ」
自分で最強と言うのは少しあれだけど、ユカが言っている事はほぼ正しい。
敢えて言わせてもらうならば、『カメラアイ能力で学年トップを取り続けているイケメン被りのオタクと誰からも好かれたいと思うビッチ』の組み合わせだな。
「何か、今変な事考えてたでしょ?」
ピキピキと何か聞こえるけど幻聴だよね?
「考えてないです。でもさっき言った事は確かに一理あるな」
「そうでしょ? それにしても今回のテスト死んじゃった。もう、最悪。ソラみたいにカメラアイ能力があればな……」
「カメラアイ能力があっても良くないぜ。一度覚えた事は忘れられないし」
「えぇ〜、それでもいいじゃん!」
「そう思うだろ? だけど心霊写真とかを見たら忘れられないから夜思い出したら怖すぎて眠れないんだぞ!」
「あぁ……ご察し。それは怖いね」
「確かにそうだよな。昔、俺の家にユカが遊びに来た時、テレビで心霊特集やってて……」
「も、もう! そのことは言わないでって言ってるじゃん!」
ユカが顔を真っ赤にして俺の口を塞いでくる。
「お二人さん、今日も熱いねぇ〜」
咲が熱いお茶を啜りながら言った。
✣✣✣
「本当にいいのか? 送らなくておばさんも心配するだろ?」
「良いのよ。だって歩いて10分もかからないし。じゃあね、咲ちゃん、ソラ。それと風華ちゃんにもよろしくって伝えといてね」
「ああ、分かった。じゃあな、ユカ。明日はよろしくな」
「うん! ちゃんと起きときなさいよ」
捨て台詞の様にユカはそれだけ言って、帰っていった。
明日は決戦の日になりそうだ。
まぁ、2体1なら余裕で勝てると思うけど。
俺って意外と打算的?
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