Creation World Online

かずみ

84話

 ゲートの先、いつも通り真っ暗な道をまっすぐ進んで行くと平原に辿り着く。

「あれ?なんか前と違ってませんか?」

 アンリの言葉通り、その様子は前と変わっていた。
 畑があり、川が流れ、家が建ち、洗濯物が干してある…なんというか生活感が出てきてるな。
 その時、家の扉が開きユウタが顔を出した。

「あ、シュウ兄さん久しぶりー」
「久しぶりだな。おっさん居るか?」
「うん!ちょっと待っててー」

 そう言ってユウタが家の中に消えると、今度はおっさんが扉を開いて出てくる。

「やあシュウ君。そろそろ来る頃だと思っていたよ」
「てことは…解析終わったのか?」
「まあ、その話は中で話そう。…色々と大変な事になっているようだからね」

 そう言っておっさんは俺達を家の中に招き入れるのであった。

  ☆

 家の一室、応接間で俺達は緑茶を飲んでいた。

「美味いなこれ」
「最近畑で採れたものだよ」
「へー、ほかに何が採れるんだ?」
「そうだね。麦、米、白菜、うどん、人参、じゃがいも…」

 おい待て、なんか妙なもん混じってんぞ。

「なあ、おっさん。うどんって畑で採れるのか?」
「ちょっとした遊び心というやつだよ。なんなら後で見せてあげよう」

 そう言ってウインクをするおっさん。
 後で見せてもらったところまるで柳の葉のようにうどんが生っていた。
 うどんからいい香りの出汁が滴り落ちているのが印象的だったな。ファンタジー系のグルメ漫画かよ。

  ☆

「それで、首輪の解析は終わったのか?」
「ああ、一応終わったよ。コレを受け取ってくれ」

 おっさんは懐から1枚の紙を取り出し、俺の前に置く。
 俺がそれを手に取ると、勝手にエアディスプレイが展開され無数の文字列が流れる。

「…なるほどな」

 俺は渡されたデータを眺めてそう呟く。
 そこに書いてあったのは、首輪の効果や材質などだった。
 しかし肝心な事が書いてないな。

「おっさん、製作者が誰かはわからないのか?」
「ああ、全くわからなかった。正確には調べようとした瞬間に破壊されたんだよ」

 何かが弾けるジェスチャーをしながらおっさんはそう言う。

「痕跡を辿ってもサッパリだった。橘のやつが犯人かとも思ったんだが…こんな事をする意味がない事に気がついてね。結局分からずじまいだよ」
「なるほどな…ま、効果がわかっただけでも充分だろ。それにしても…エグいな」

 首輪の効果、それは装着した相手の意識を朦朧もうろうとさせ、そこにこの首輪に仕込まれている攻撃性を高める暗示コードを埋め込む事によって攻撃性の高いバーサーカーを生み出すというものだった。
 他にも脳の観察を行った形跡などもある為、ただのプレイヤーメイドの作品ではないらしい。

「となると…運営の誰かか」
「ああ、そうなるね。ただ誰なのかがわからない」

 おっさんによると現在、CWOにログインしている運営の人間は全部で6人その内このような事が出来るのはSGMサブゲームマスターの2人だけだという。
 1人はおっさん、もう1人は橘な。
 その他の運営もおっさん側らしく、外のメンバーと連絡を取ったり、橘を探すべく各地を飛び回っているという。
 そんな訳で橘が1番怪しいのだが、決め手に欠けるってところだな。

「それで、シュウ君は聞きたいことがあるんじゃないかね?」
「ああ、そうそう。なあおっさん【Di】の事を誰かに話したり外に持ち出したりしたか?」

 俺がそう言うとおっさんの顔色が変わる。

「すまない、シュウ君。詳しく話してくれないだろうか」

 真面目な表情のおっさんに俺が全てを話すと、おっさんは「うむ…」と考え込んでいた。

「悪いがそこに関しては何もわからない。そして、もし【Di】を見つけた場合、その時は連絡を入れてくれ」
「わかった。それじゃ、俺は帰る。アンリ、ナク帰るぞ」

 畑を見ていたアンリとナクを呼ぶとこちらに駆け寄ってくる。

「シュウ君!凄いですよ!うどんのコシがヤバイです!」
「ん、畑も凄かった」

 キラキラとした目でそう言うアンリとナク。
 嬉しいのはわかったから手を洗ってこい、泥と出汁で凄い事になってるぞ。

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