Creation World Online
82話
「私とシオリはこのゲームが始まってすぐに知り合いました。何度も冒険を重ねていくうちに仲間もでき、順調に強くなって行ったのです」
シモンは懐かしそうに目を細めて「そう言えばあの頃はシュウさんが最強と謳われていた時代ですね」と言う。
恥ずかしいのでやめていただきたい。
「まあ、その頃のシオリはそれはもう明るくて、皆に優しい聖女のような存在でした。しかし私達のパーティーは自分達の力を過信していたのです」
そう言ってシモンは自分達の過去を語り出した。
☆
「ねえ!ダンジョンに行かない?」
そう言ってシオリは満面の笑みを浮かべる。
「いや、唐突すぎるだろ」
ナイフの手入れをしていた盗賊の少年がそう言って胡乱な目を向ける。
そんな少年の肩をポンと優しげな顔の戦士、シモンが叩く。
「まあまあ、コウイチ落ち着きなさい」
「だけどさー、シオリの思いつきのせいで前回酷い目に遭ったの忘れたの?」
コウイチの言葉にその場にいた2人は先日のダンジョンでシオリの勘に任せて進んだ結果、大量の虫モブに集られたことを思い出して鳥肌を立たせる。
「そ、それは悪かったと思ってるわよ!でも今回は大丈夫よ!」
「ホントにぃ〜?」
コウイチが疑うような眼差しを向けると、シオリはドヤ顔で1枚の画像データを表示する。
「このダンジョンは攻略済みダンジョンよ!」
「えー、攻略済みとか意味ないんじゃ…」
「ふっふっふ、そう言うと思ったわ!このダンジョン、最近新しいルートが発見されたのよ。その先にボス部屋も確認されているわ」
「裏ボスってやつ?でもさー、それは僕らだけで決めちゃまずいでしょ。アキラさんとノイントが帰ってくるまで待とうよ」
コウイチが今この場に居ないメンバーの名前を挙げると、カランカランとベルが鳴って2人の男女が室内に入ってくる。
「あれ〜?みんな何してるの?」
「あ、ノイントとアキラさん!丁度良かった。聞いてよ!シオリが_」
ワイワイと騒ぐ仲間達を見てシモンはクスリと笑う。
「シモンなんで笑ってるのかしら?」
「いや、なんとなく…私は君達と出会えて良かったと心の底から思うよ」
シオリの問い掛けにシモンはニコッと笑ってそう返す。
☆
「右からくるぞ!」
「了解ッ!」
シモンが構えた盾に敵モブ、リザードマンの剣が叩きつけられる。
ギリっと歯を食いしばったシモンが盾でリザードマンを押し返すと、リザードマンの態勢が大きく崩れる。
「態勢が崩れたぞ!」
「おっけ!せやぁああ!」
盾で弾いたシモンと入れ替わるように、コウイチがリザードマンの懐に入り込むと、上に飛び上がりながら斬りつける。
「チッ!浅い!」
『キシャアアア!』
リザードマンの斬撃がコウイチを切り裂こうとする。
ナイフでギリギリガードしたコウイチだったが、勢いを完全に殺すことが出来ず、腕の肉を肘辺りまで削がれてしまう。
「下がってろ。【インパクト】」
コウイチの前に黒コートを靡(なび)かせながらアキラが飛び出し、素手スキルを放ち、リザードマンを吹き飛ばす。
その間にコウイチの横にシオリがやってくると、【ヒール】と【再生】を唱えて体力と欠損部位を回復させる。
「よっしゃ〜!アキラ!退いて!」
リザードマンとの攻防を繰り返していたアキラはノイントの呼び声にその場を飛び退く、その直後その場に巨大な稲妻が降り注ぎリザードマンのライフを全損させる。
「ナイス魔法」
「へっへっへ、そっちこそナイス特攻!」
コツンと軽く拳をぶつけ合うアキラとノイント。
そんなアキラにガバッとコウイチが抱き着く。
「アキラさん!ありがとうございます!」
「…暑い」
アキラがそう言いながらコウイチを引き剥がそうとし、それを見てノイントが笑う。
「さ、次がボス戦ですよ。一旦ここで休憩しましょう」
「賛成!私、お弁当作ってきたんだ〜」
ノイントはアイテムボックスからいくつかの木の籠を取り出す。
シモン達は各々思い思いの場所に腰掛けて少し遅めの昼食を取り始めるのであった。
☆
「気を引き締めていきますよ」
食事を終えたシモン達はボス部屋の扉を開く。
その向こうには暗闇が広がっていた。
「何も…いませんね」
「いや、油断は禁物_ッ!上!」
コウイチがそう言うと同時に上から巨大な何かが降ってくる。
土煙が晴れ、そこにいたのはギチギチと音を鳴らす巨大なムカデだった。
「ヘヘッ!行くぞ!」
「コウイチ!」
シモンの言葉を無視してコウイチがムカデに斬りかかる。
しかし、そのぶ厚い背板によって弾かれる。
「うわっ!?」
「コウイチ!」
離脱しようとしたコウイチはムカデの足に絡め取られ宙吊りにされる。
ゆっくりと口の位置まで運ばれたコウイチは、そのまま頭から噛みつかれる。
グチャグチャ、ゴリゴリと咀嚼音が響き渡る。
「コウイチィ!」
我に返ったシモンがムカデに斬撃スキルを放つが、全て弾かれる。
ぺっと吐き出されたモノがシオリの前に転がる。
それはコウイチの生首だった。
「ヒッ!」
「シオリ!回復をお願いします!」
シモンがそう言うが、シオリは怯えて動くことができない。
このままではマズイと考えたシモンの横にアキラが躍り出ると、素手スキル【インパクト】を放つ。
「チッ…仰け反らせただけか…おい!シモン回復してこい」
「助かります」
ムカデと対峙するアキラ。
ムカデのヘイトは完全にアキラに向いたらしく、自身を仰け反らせた自身の足程のサイズのモノを見下ろす。
「来いよ虫ケラ。どっちが上か教えてやる」
アキラの挑発が通じたのか、ムカデはアキラを喰らおうと大きく口を開けて飛びかかる。
アキラはそれをステップで避けると、丁度やってきた目を素手スキル【一貫】で貫く。
ドパンという湿ったモノが破裂する音がしてムカデの目が弾ける。
『ギュイイイイ!?』
「ふん、緩い」
更に追撃を掛けようとしたその時、ムカデが自身の口から血液をアキラに向けて吹き付けた。
一時的に視界を塞がれたアキラ目掛けてムカデが飛びかかる。
突然のことにアキラが反応出来ずにいると、その身体を突き飛ばされる。
突き飛ばされたアキラが見たもの、それは_
「アキラ」
こちらを見ながら微笑むノイントが、ムカデに喰いつかれる姿だった。
「ノイントォオオオオ!」
殴りかかろうとするアキラの拳をシモンが抑える。
「離せッ!離せシモン!」
「ダメです!我々では勝てません!逃げるのです!」
「ふざけんな!あいつは殺す!俺が殺してやる!」
「いい加減にしなさい!」
シモンはアキラの鳩尾に剣の柄をぶつけ、気絶させる。
ガクリと崩れながらムカデを睨むアキラ。
「シオリ!逃げますよ!」
「あ、あぅ…」
舌打ちをしながら怯えたシオリをシモンを担ぎ上げると、シモンは脱出アイテムを使用するのであった。
シモンは懐かしそうに目を細めて「そう言えばあの頃はシュウさんが最強と謳われていた時代ですね」と言う。
恥ずかしいのでやめていただきたい。
「まあ、その頃のシオリはそれはもう明るくて、皆に優しい聖女のような存在でした。しかし私達のパーティーは自分達の力を過信していたのです」
そう言ってシモンは自分達の過去を語り出した。
☆
「ねえ!ダンジョンに行かない?」
そう言ってシオリは満面の笑みを浮かべる。
「いや、唐突すぎるだろ」
ナイフの手入れをしていた盗賊の少年がそう言って胡乱な目を向ける。
そんな少年の肩をポンと優しげな顔の戦士、シモンが叩く。
「まあまあ、コウイチ落ち着きなさい」
「だけどさー、シオリの思いつきのせいで前回酷い目に遭ったの忘れたの?」
コウイチの言葉にその場にいた2人は先日のダンジョンでシオリの勘に任せて進んだ結果、大量の虫モブに集られたことを思い出して鳥肌を立たせる。
「そ、それは悪かったと思ってるわよ!でも今回は大丈夫よ!」
「ホントにぃ〜?」
コウイチが疑うような眼差しを向けると、シオリはドヤ顔で1枚の画像データを表示する。
「このダンジョンは攻略済みダンジョンよ!」
「えー、攻略済みとか意味ないんじゃ…」
「ふっふっふ、そう言うと思ったわ!このダンジョン、最近新しいルートが発見されたのよ。その先にボス部屋も確認されているわ」
「裏ボスってやつ?でもさー、それは僕らだけで決めちゃまずいでしょ。アキラさんとノイントが帰ってくるまで待とうよ」
コウイチが今この場に居ないメンバーの名前を挙げると、カランカランとベルが鳴って2人の男女が室内に入ってくる。
「あれ〜?みんな何してるの?」
「あ、ノイントとアキラさん!丁度良かった。聞いてよ!シオリが_」
ワイワイと騒ぐ仲間達を見てシモンはクスリと笑う。
「シモンなんで笑ってるのかしら?」
「いや、なんとなく…私は君達と出会えて良かったと心の底から思うよ」
シオリの問い掛けにシモンはニコッと笑ってそう返す。
☆
「右からくるぞ!」
「了解ッ!」
シモンが構えた盾に敵モブ、リザードマンの剣が叩きつけられる。
ギリっと歯を食いしばったシモンが盾でリザードマンを押し返すと、リザードマンの態勢が大きく崩れる。
「態勢が崩れたぞ!」
「おっけ!せやぁああ!」
盾で弾いたシモンと入れ替わるように、コウイチがリザードマンの懐に入り込むと、上に飛び上がりながら斬りつける。
「チッ!浅い!」
『キシャアアア!』
リザードマンの斬撃がコウイチを切り裂こうとする。
ナイフでギリギリガードしたコウイチだったが、勢いを完全に殺すことが出来ず、腕の肉を肘辺りまで削がれてしまう。
「下がってろ。【インパクト】」
コウイチの前に黒コートを靡(なび)かせながらアキラが飛び出し、素手スキルを放ち、リザードマンを吹き飛ばす。
その間にコウイチの横にシオリがやってくると、【ヒール】と【再生】を唱えて体力と欠損部位を回復させる。
「よっしゃ〜!アキラ!退いて!」
リザードマンとの攻防を繰り返していたアキラはノイントの呼び声にその場を飛び退く、その直後その場に巨大な稲妻が降り注ぎリザードマンのライフを全損させる。
「ナイス魔法」
「へっへっへ、そっちこそナイス特攻!」
コツンと軽く拳をぶつけ合うアキラとノイント。
そんなアキラにガバッとコウイチが抱き着く。
「アキラさん!ありがとうございます!」
「…暑い」
アキラがそう言いながらコウイチを引き剥がそうとし、それを見てノイントが笑う。
「さ、次がボス戦ですよ。一旦ここで休憩しましょう」
「賛成!私、お弁当作ってきたんだ〜」
ノイントはアイテムボックスからいくつかの木の籠を取り出す。
シモン達は各々思い思いの場所に腰掛けて少し遅めの昼食を取り始めるのであった。
☆
「気を引き締めていきますよ」
食事を終えたシモン達はボス部屋の扉を開く。
その向こうには暗闇が広がっていた。
「何も…いませんね」
「いや、油断は禁物_ッ!上!」
コウイチがそう言うと同時に上から巨大な何かが降ってくる。
土煙が晴れ、そこにいたのはギチギチと音を鳴らす巨大なムカデだった。
「ヘヘッ!行くぞ!」
「コウイチ!」
シモンの言葉を無視してコウイチがムカデに斬りかかる。
しかし、そのぶ厚い背板によって弾かれる。
「うわっ!?」
「コウイチ!」
離脱しようとしたコウイチはムカデの足に絡め取られ宙吊りにされる。
ゆっくりと口の位置まで運ばれたコウイチは、そのまま頭から噛みつかれる。
グチャグチャ、ゴリゴリと咀嚼音が響き渡る。
「コウイチィ!」
我に返ったシモンがムカデに斬撃スキルを放つが、全て弾かれる。
ぺっと吐き出されたモノがシオリの前に転がる。
それはコウイチの生首だった。
「ヒッ!」
「シオリ!回復をお願いします!」
シモンがそう言うが、シオリは怯えて動くことができない。
このままではマズイと考えたシモンの横にアキラが躍り出ると、素手スキル【インパクト】を放つ。
「チッ…仰け反らせただけか…おい!シモン回復してこい」
「助かります」
ムカデと対峙するアキラ。
ムカデのヘイトは完全にアキラに向いたらしく、自身を仰け反らせた自身の足程のサイズのモノを見下ろす。
「来いよ虫ケラ。どっちが上か教えてやる」
アキラの挑発が通じたのか、ムカデはアキラを喰らおうと大きく口を開けて飛びかかる。
アキラはそれをステップで避けると、丁度やってきた目を素手スキル【一貫】で貫く。
ドパンという湿ったモノが破裂する音がしてムカデの目が弾ける。
『ギュイイイイ!?』
「ふん、緩い」
更に追撃を掛けようとしたその時、ムカデが自身の口から血液をアキラに向けて吹き付けた。
一時的に視界を塞がれたアキラ目掛けてムカデが飛びかかる。
突然のことにアキラが反応出来ずにいると、その身体を突き飛ばされる。
突き飛ばされたアキラが見たもの、それは_
「アキラ」
こちらを見ながら微笑むノイントが、ムカデに喰いつかれる姿だった。
「ノイントォオオオオ!」
殴りかかろうとするアキラの拳をシモンが抑える。
「離せッ!離せシモン!」
「ダメです!我々では勝てません!逃げるのです!」
「ふざけんな!あいつは殺す!俺が殺してやる!」
「いい加減にしなさい!」
シモンはアキラの鳩尾に剣の柄をぶつけ、気絶させる。
ガクリと崩れながらムカデを睨むアキラ。
「シオリ!逃げますよ!」
「あ、あぅ…」
舌打ちをしながら怯えたシオリをシモンを担ぎ上げると、シモンは脱出アイテムを使用するのであった。
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