Creation World Online
79話
アルカトラの前に立つ。
そこには門番の巨人族NPCが2人立っており、ネズミ1匹通さないような守備だった。
そんな門の前に俺は隠れることもなく堂々と歩いて行く。
当然警戒した門番はこちらに巨大な槍の穂先を向ける。
『止まれ。何者だ』
「悪いが通してもらうぞ」
そう言って俺は風魔法『エンシェント・ストーム』を発動。
吹き荒れる暴風が一点に集中し、3つの小さなビー玉サイズの球体に変化する。
そして、ドゴン!という音と共に閉じ込められた嵐が吹き荒れ、NPCと門を破壊する。
その途端ジリリリリ、と警報が鳴り響き中でアルカトラ内部が騒がしくなり、【感知】のスキルにいくつもの敵対反応が映る。
マップで確認してもいいんだが、マップにはモブ以外は表示されないんだよな。
崩壊した門から中に入ると、建物の中から1ゾロゾロと10人程の武装したNPCとプレイヤーが現れる。
先頭に立つ指揮官らしきプレイヤーが剣の切っ先をこちらに向けて叫ぶ。
「貴様!何者だ!」
「答える義理はないな。そして、ここの責任者のとこまで案内してもらうぞ」
「くっ…!者共、捕らえろ!」
指揮官らしきプレイヤーがそう叫ぶと、NPCとプレイヤー達がこちらに駆けてくる。
魔法で纏めて倒そうとするナクを手で制して、俺はゆったりと歩き出す。
「でやあああああ!」
裂帛の気合いと共に振り下ろされた剣を掌で受け止める。
受け止めた剣は俺の掌を切り裂く…ことはなく、硬質な音を立てて弾かれる。
「なっ!」
「ははは!甘い!甘いぞ!」
驚愕の表情を浮かべるプレイヤーの腹部にゼロ距離で『アースインパクト』を放つ。
防御もできずにそのまま直撃を受けたプレイヤーは、ズゴン!とおおよそ人間から出るようなものではない音を立てて吹き飛ぶと、後続のNPCとプレイヤー達にぶつかり巻き込んで倒れる。
やっべ、死んで…ないな、よし!
念の為に殺傷能力が低いノックバックに重点を置いたスキル、さらに後ろのやつらがクッションになったおかげで死にはしなかったようだ。
まあ、瀕死みたいだけど。
「あちゃー…やっぱ破れてんな…」
そう言って掌を見てみれば、はめていた手袋が切り裂かれ、中に仕込んでいた金属繊維が見えていた。
金属はミスリルで、防御にも攻撃にも使える優れものの手袋だったのだが…
「表面の素材を変えてみるか…」
「か、囲めッ!」
指揮官プレイヤーの指示の元、プレイヤーとNPCの混成軍が俺を囲むようにジリジリと動く。
「ナク」
「ん、『アイシクルワールド』」
ナクがそう唱えると、杖の先に水色の魔力が集まる。
そして次の瞬間、その魔力が解き放たれると、プレイヤーとNPCの足が凍りつく。
「く、クソ!」
「ははは、安心しろよ。命を取るつもりはないからな」
俺はそう言って、悔しそうにこちらを眺めるプレイヤー達を見ながら高笑いをすると、巨大なアルカトラ内部へと進んで行くのであった。
☆
コツコツと薄暗い通路を進んで行く。
散発的にNPCやプレイヤーの襲撃があったが、適当にあしらい無力化しながら先に進んで行く。
しばらく進んで行くと、目の前に巨大な扉が現れる。
当然のように破壊すると、そこにはだだっ広い空間が広がっていた。
その中心には2人の男性プレイヤーが立っていた。
1人はギラギラとした目付きの男、クリフェル。
もう1人は優しげな顔付きの男、シモン。
「アンリはどこだ?」
「申し訳ありませんが、それにはお答えできません」
シモンは顔色を変える事なくそう言うと、スラリと真っ黒な剣を抜く。
クリフェルも白銀の剣を引き抜くと、油断なく構える。
対する俺も投げナイフと鋼鉄製の片手剣を【世界介入】で生成する。
「行きます、よッ!」
そう言ってシモンがこちらに駆けてくる。
流石上位プレイヤーというだけはあって、その速度はかなりのものだった。
迫ってくるシモンにナイフを投擲するがどれも見事に躱される。
眼前まで迫ったシモンが剣を真っ直ぐに突き出してくる。
「ガハッ…!」
ガードしようと片手剣を構えたにも関わらず、シモンの黒剣は俺の片手剣をすり抜けて胸に深々と刺さっていた。
俺は咄嗟に風魔法を発動し、距離を取る。
見てみれば、ライフが4割程削られていた。ステータスが馬鹿みたいに上がったこの俺のライフがだ。
このステータスと装備なら例え旧攻略者パーティーのメンバー達が相手でも勝てなくともそれなりの戦いが出来るだろう。
そんな俺のライフをたったの一撃で4割削った事と、先程剣をすり抜けた事からシモンの武器の特性は…
「防御無視か…また厄介だな…」
「余所見は良くないですねぇッ!」
そうクリフェルの声が聞こえたかと思うと、俺の真下から敵対反応を感知する。
すると、俺の影からクリフェルが飛び出し、剣による突きを繰り出してくる。
上半身を反らし、不格好ながらもなんとか避ける。
剣が通り過ぎ俺の前髪が数本パラパラと落ちる。
こいつらほんっと厄介だな!
「さあ!そろそろ終わりにしましょう!」
「こ、んの!クソが!」
そう叫ぶと世界が歪む。
まるでバグったように、建物の壁がドット化し、灰色に染まったりする。
しかし、次の瞬間それが収まると轟音と共に風景が変化し、俺はガクッと下に向かって落ちていく。
俺だけでなく困惑するシモンとクリフェル、それと捲れそうになるスカートを抑えるナクも皆落下していた。
ランダムに地形、というかマップを改造して超巨大な穴を作ったのだ。
シモンとクリフェルを見てみれば、離れ離れにならないようにお互いに手を握っているようだった。
それなりの年齢の男のイチャつく場面はあまり見たくなかったな。
「………!……ウ!」
ん?なんだ?
後ろを振り返ると、近くにやって来ていたナクが必死に何かを叫んでいた。
風の音がうるさくて聞こえないんだよな…そろそろアレやるか。
そう考えた俺は風魔法『エアバースト』を前方に放つ。
その反動で減速した俺は風魔法の派生スキルである【風操作】を発動して、ナクを抱き寄せナクと俺を支えられる程度の風を起こし空中で静止する。
落下していくあいつらの顔は実に愉快だな!
とはいえ、流石に殺すのはマズイので落下先の地面20cm上とその頭上150mくらいの位置の空間を繋ぐ。
すると、シモン達は地面にぶつかる直前に消え、また落下していく。
俺は爆笑しながら地面に降り立つと暫くその様子を眺めていた。
「ひぎゃあああああ!」
「うわああああああ!」
「はっはっは、まだ始まったばかりだぞー」
俺がそう言うとシモン達の顔は恐怖に歪み、それを見て俺はまた笑うのだった。
「くふっ、ぶふっ…」
ナクが笑わないように必死に我慢している。
我慢しなくても良いんだけどな。
そこには門番の巨人族NPCが2人立っており、ネズミ1匹通さないような守備だった。
そんな門の前に俺は隠れることもなく堂々と歩いて行く。
当然警戒した門番はこちらに巨大な槍の穂先を向ける。
『止まれ。何者だ』
「悪いが通してもらうぞ」
そう言って俺は風魔法『エンシェント・ストーム』を発動。
吹き荒れる暴風が一点に集中し、3つの小さなビー玉サイズの球体に変化する。
そして、ドゴン!という音と共に閉じ込められた嵐が吹き荒れ、NPCと門を破壊する。
その途端ジリリリリ、と警報が鳴り響き中でアルカトラ内部が騒がしくなり、【感知】のスキルにいくつもの敵対反応が映る。
マップで確認してもいいんだが、マップにはモブ以外は表示されないんだよな。
崩壊した門から中に入ると、建物の中から1ゾロゾロと10人程の武装したNPCとプレイヤーが現れる。
先頭に立つ指揮官らしきプレイヤーが剣の切っ先をこちらに向けて叫ぶ。
「貴様!何者だ!」
「答える義理はないな。そして、ここの責任者のとこまで案内してもらうぞ」
「くっ…!者共、捕らえろ!」
指揮官らしきプレイヤーがそう叫ぶと、NPCとプレイヤー達がこちらに駆けてくる。
魔法で纏めて倒そうとするナクを手で制して、俺はゆったりと歩き出す。
「でやあああああ!」
裂帛の気合いと共に振り下ろされた剣を掌で受け止める。
受け止めた剣は俺の掌を切り裂く…ことはなく、硬質な音を立てて弾かれる。
「なっ!」
「ははは!甘い!甘いぞ!」
驚愕の表情を浮かべるプレイヤーの腹部にゼロ距離で『アースインパクト』を放つ。
防御もできずにそのまま直撃を受けたプレイヤーは、ズゴン!とおおよそ人間から出るようなものではない音を立てて吹き飛ぶと、後続のNPCとプレイヤー達にぶつかり巻き込んで倒れる。
やっべ、死んで…ないな、よし!
念の為に殺傷能力が低いノックバックに重点を置いたスキル、さらに後ろのやつらがクッションになったおかげで死にはしなかったようだ。
まあ、瀕死みたいだけど。
「あちゃー…やっぱ破れてんな…」
そう言って掌を見てみれば、はめていた手袋が切り裂かれ、中に仕込んでいた金属繊維が見えていた。
金属はミスリルで、防御にも攻撃にも使える優れものの手袋だったのだが…
「表面の素材を変えてみるか…」
「か、囲めッ!」
指揮官プレイヤーの指示の元、プレイヤーとNPCの混成軍が俺を囲むようにジリジリと動く。
「ナク」
「ん、『アイシクルワールド』」
ナクがそう唱えると、杖の先に水色の魔力が集まる。
そして次の瞬間、その魔力が解き放たれると、プレイヤーとNPCの足が凍りつく。
「く、クソ!」
「ははは、安心しろよ。命を取るつもりはないからな」
俺はそう言って、悔しそうにこちらを眺めるプレイヤー達を見ながら高笑いをすると、巨大なアルカトラ内部へと進んで行くのであった。
☆
コツコツと薄暗い通路を進んで行く。
散発的にNPCやプレイヤーの襲撃があったが、適当にあしらい無力化しながら先に進んで行く。
しばらく進んで行くと、目の前に巨大な扉が現れる。
当然のように破壊すると、そこにはだだっ広い空間が広がっていた。
その中心には2人の男性プレイヤーが立っていた。
1人はギラギラとした目付きの男、クリフェル。
もう1人は優しげな顔付きの男、シモン。
「アンリはどこだ?」
「申し訳ありませんが、それにはお答えできません」
シモンは顔色を変える事なくそう言うと、スラリと真っ黒な剣を抜く。
クリフェルも白銀の剣を引き抜くと、油断なく構える。
対する俺も投げナイフと鋼鉄製の片手剣を【世界介入】で生成する。
「行きます、よッ!」
そう言ってシモンがこちらに駆けてくる。
流石上位プレイヤーというだけはあって、その速度はかなりのものだった。
迫ってくるシモンにナイフを投擲するがどれも見事に躱される。
眼前まで迫ったシモンが剣を真っ直ぐに突き出してくる。
「ガハッ…!」
ガードしようと片手剣を構えたにも関わらず、シモンの黒剣は俺の片手剣をすり抜けて胸に深々と刺さっていた。
俺は咄嗟に風魔法を発動し、距離を取る。
見てみれば、ライフが4割程削られていた。ステータスが馬鹿みたいに上がったこの俺のライフがだ。
このステータスと装備なら例え旧攻略者パーティーのメンバー達が相手でも勝てなくともそれなりの戦いが出来るだろう。
そんな俺のライフをたったの一撃で4割削った事と、先程剣をすり抜けた事からシモンの武器の特性は…
「防御無視か…また厄介だな…」
「余所見は良くないですねぇッ!」
そうクリフェルの声が聞こえたかと思うと、俺の真下から敵対反応を感知する。
すると、俺の影からクリフェルが飛び出し、剣による突きを繰り出してくる。
上半身を反らし、不格好ながらもなんとか避ける。
剣が通り過ぎ俺の前髪が数本パラパラと落ちる。
こいつらほんっと厄介だな!
「さあ!そろそろ終わりにしましょう!」
「こ、んの!クソが!」
そう叫ぶと世界が歪む。
まるでバグったように、建物の壁がドット化し、灰色に染まったりする。
しかし、次の瞬間それが収まると轟音と共に風景が変化し、俺はガクッと下に向かって落ちていく。
俺だけでなく困惑するシモンとクリフェル、それと捲れそうになるスカートを抑えるナクも皆落下していた。
ランダムに地形、というかマップを改造して超巨大な穴を作ったのだ。
シモンとクリフェルを見てみれば、離れ離れにならないようにお互いに手を握っているようだった。
それなりの年齢の男のイチャつく場面はあまり見たくなかったな。
「………!……ウ!」
ん?なんだ?
後ろを振り返ると、近くにやって来ていたナクが必死に何かを叫んでいた。
風の音がうるさくて聞こえないんだよな…そろそろアレやるか。
そう考えた俺は風魔法『エアバースト』を前方に放つ。
その反動で減速した俺は風魔法の派生スキルである【風操作】を発動して、ナクを抱き寄せナクと俺を支えられる程度の風を起こし空中で静止する。
落下していくあいつらの顔は実に愉快だな!
とはいえ、流石に殺すのはマズイので落下先の地面20cm上とその頭上150mくらいの位置の空間を繋ぐ。
すると、シモン達は地面にぶつかる直前に消え、また落下していく。
俺は爆笑しながら地面に降り立つと暫くその様子を眺めていた。
「ひぎゃあああああ!」
「うわああああああ!」
「はっはっは、まだ始まったばかりだぞー」
俺がそう言うとシモン達の顔は恐怖に歪み、それを見て俺はまた笑うのだった。
「くふっ、ぶふっ…」
ナクが笑わないように必死に我慢している。
我慢しなくても良いんだけどな。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
2
-
-
361
-
-
15254
-
-
149
-
-
2
-
-
3
-
-
267
-
-
20
-
-
147
コメント