Creation World Online

かずみ

78話

 誤解は解けないまま、俺はアンリやナクと共にステージを眺めていると、この場に似つかわしくない鎧に身を包んだ集団がやってきた。
 なんなんだあの集団。犯罪者でもいるのか?
 そうこうしているうちに鎧の集団は群衆を掻き分けてこちらに向かって来る。
 いや、まさか…な?

「失礼、私は天和之國第3軍団・団長シモンです。アンリさんですね?あなたに大量殺人の疑惑がかかっています。一緒に来ていただきます」

 そう名乗ったシモンが合図をするとその配下がアンリの腕を掴む。

「おい!何してんだよ!」
「シュウ様、落ち着いてください。もしもここで我々に逆らうと言うことは天和之國、ひいては4大国家全てを敵に回すということですよ」

 そう言ってシモンはアンリに近づくと何かを耳打ちする。
 スッとシモンが離れた時アンリの顔は恐怖に染まっていた。
 そして、

「シュウ君」

 アンリはニコッと笑ってこう言った。

「私は大丈夫です。少し行ってきます!」
「おい、アンリ待てって。アンリ!」

 兵士達に連れられてアンリは去って行く。
 シモンは俺に一礼するとそのまま去っていく。
 俺はその背中を見ているしかなかったのだった。

  ☆

 コツコツと薄暗い通路を進んでいく。
 薄暗い通路にユラユラと2つの影が映る。

「それではこちらにお入りください」
「…本当にここにいるんですか?」
「入ってみればわかりますよ」

 そう言って優しげな顔の男、シモンは扉を開ける。
 恐る恐るアンリが中に入ると、部屋の奥、椅子に座る女性を見て固まる。
 椅子に座った女性はアンリを見ると、作業を止めて立ち上がり、近づく。

「久しぶりね、アンリ」
「…はい。お久しぶりです…姉さん」

 アンリの目の前、長い髪にアンリよりも少しキツめの目をした美少女。
 4大国家の1つ、信仰から生まれた国『聖リジェアッタ皇国』の4人の枢機卿の内の一人、癒しの聖女【神癒の枢機卿】シオリが立っていた。

  ☆

「だから教えろって!」
「無理です!いくらあなたの頼みでもそればかりは不可能ですよ!」

 俺は今第38界層の天和之國・法務部に来ていた。
 そこで俺はハーになにがあったのかを聞いていたのだが、一般人には詳しいことは教えられないとのことだった。

「そこをなんとか頼むって」
「ダメです。関係者でもないのに…」

 ハーがそう言った時、ガチャリと音を立てて扉が開かれる。
 そちらに目を向けるとそこには天和之國【皇帝】レノンが立っていた。

「おや、レノン。どうしたんですか?」
「事件が起きたと聞いてね、話を聞こうと思っただけだ」

 レノンは俺達を不思議そうな顔で見つめる。

「シュウ、なにをしているんだ?」
「ああ、この腐れメガネが事件に関することを一切教えてくれなくてな。取り敢えずぶん殴って情報奪おうとしてたところだ」
「貴様!」

 怒りを露わにするハーを見てレノンはクスクスと笑う。

「ハー、見せてあげるといい」
「なっ!レノン、関係者にしかこれは見せては…」
「だが、彼等は関係者だろう?我々の友人であり、何よりアンリ君の家族のようなものだろう?」
「それは…」

 レノンに言いくるめられたハーは、頭をガシガシと掻くとエアディスプレイを操作する。
 すると俺のエアディスプレイに幾つかの資料が映し出される。

「これが最近起こっている爆発事件の現場。そして解析班の解析の結果、使われたスキルは爆発系魔術だということがわかりました。これはアンリさんの固有技能のはずでしょう」
「ああ、確かにその通りだ…だが、目撃者はいないのか?」
「目撃者はいます。何より証拠画像もあるので」

 そう言って、ハーは動画ファイルを再生する。
 そこには他ギルドのギルドハウスに向けて爆発系魔術を放つアンリの姿が映っていた。
 そこで俺は違和感を覚える。

「なあ、これが撮られたのって…いつだ?」
「確か、事件が起き始めて…3日程。だから昨日ですね」

 それを聞いた瞬間俺は走り出した。
 やっぱりアンリは無罪だった。

「シュウさん、どうしたんですか!?」
「ハー!やっぱりアイツはやってねえよ!」
「はあ!?」

 俺はそれだけ言い残すと、自身に多重にバフをかけてある場所を目指した。
 罪人を幽閉する、難攻不落の刑務所『アルカトラ』。
 そこを目指して俺は駆け出すのであった。

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