Creation World Online

かずみ

第59話

「それじゃ、エンリベル。説明を頼めるか?」
『お任せください。主様』


 場所は変わって、今俺達は屋敷のリビングのソファに腰掛けてエンリベルの説明を聞いていた。
 ちなみにメンバーは、俺、アンリ、ナク、キョウジ、ユノだ。


『アンッ!』
「ああ、そういやお前もいたっけ。悪い悪い、小さくてわかんなかったわ」


 足元を見ればクソオオカ…ふぇーが『俺も居んだけど?』とでも言いたげな様子で吠えていた。


『それでは、先ずこのゲームの目的から説明いたします。単刀直入に言いますと、これはゲームではなく脳の解析です』
「でも、それだと普通に調べさせて欲しいと頼めばいいんじゃないか?」


 頭を切り割って脳を取り出して見るわけでもないんだから、金さえ払えば実験させてくれる奴なんてごまんといるんじゃないのか?
 そんな俺の言葉にエンリベルは、首を横に振った。


『確かにそうすれば調べさせてくれる人間はいるでしょう。しかし、それでは意味がないのです。人間の感情、これを調べているのです』
「調べてどうするんだ?」
『簡単な話です。AI_No.1【Ri】…我々がマザーと呼ぶ、この世界の完成。そして、人間の脳の進化。これが彼等の会社であるリフコネクトの企画【Mothers_Revolution】です』


 なんか、難しいな。よくわからん。
 アンリを見て見れば既に考えることを辞めていたようで、床に転がるふぇーの無防備な腹を撫で回していた。
 …あいつに後でわかりやすく説明するためにもしっかり聞いとかないとな。


「ん?でも、なんでだ?」


 すると、ずっと黙っていたキョウジが口を開いた。


『どうかされましたかな?』
「いや、人間の進化をさせようとしてるのに、なんでデスゲームなんて意味のない事を盛り込んだのかなーって思ってよ」


 確かにそうだ、何かデータを取るのにデスゲームにするのは非効率だし、非生産的だろう。
 データが取りたいだけなら、普通にゲームとして売り出して裏で調べれば良いのだ。


『はい。その通りです。運営も元々はそのつもりでした。…デスゲームに変えたのは橘伊月いつき、皆様がウザメガネ、と認識している人間です。ちなみに、このウザメガネと言うのは最近盛り上がっている掲示板の【いつか泣かせるコイツのアダ名を決めてくれ】からの引用です』


 なんだその楽しそうな掲示板は、後で確認しないとな。


「なんで、ウザメガネはデスゲームにしたんですか?」


 すると、ふぇーと戯れていたアンリがいつの間にか隣にやって来てそう言った。
 確かに、それは気になるな。


『ふむ…少々お待ちください。…むっ、申し訳ございません。残念ながら上位のプロテクトが掛かっており我では閲覧することが出来ませぬ』
「ああ、そうか。それなら仕方ないな、気にするな」


 十中八九あのメガネだろう。そのプロテクトの先にあいつの弱みがありそうだが、閲覧できないなら仕方がない。諦めよう、俺は頭の切り替えが早いんだ。
 茶菓子が無くなっていたので、追加でアイテムボックスから出そうとしていると、来客を知らせるブザーが鳴った。
 誰だ?
 疑問に思いながら、玄関に向かうと扉を開くとそこには_


「…誰?」


 見知らぬ少女が立っていた。
 年齢は13〜4といったところだろうか、未だに幼さが残った顔立ちである。
 すると、少女はいきなりふらりと倒れて来る。
 慌てて支えようとするが、謝って押し倒したような格好になってしまう。
 こういう時って、だいたい誰かが来るんだよな。


「シュウ君?今の音はなんです…か…?」


 ほらな。だが、焦るな。焦ったら負けだ。
 ほら、落ち着け。俺は大丈夫_


「ま、待て!俺は何もしていない!」


 じゃなかったよ!馬鹿野郎!
 くそっ!どもったせいで犯罪臭が出てきたじゃねえか!
 アンリの様子を見ると俯いてプルプル震えていた。
 これはどう足掻いても無駄だろう。


「シュウ君の…シュウ君の…ペド野郎!」


 アンリのそんな俺に対する、不名誉すぎる呼び名が屋敷中に響き渡った。
 その叫び声が近隣の森に響いたせいで、その日森で狩りをしていたプレイヤー達によって1ヶ月間俺のあだ名が「ペド野郎」になったんだが、それは別の話だ。          

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