Creation World Online

かずみ

第54話

「で、ギルド名どうするよ?」


 屋敷に戻り、ふぇーと戯れているキョウジ、ユノ、ナクにそう言うと全員で俺を凝視してくる。
 おい、見つめるのやめろ。そしてふぇー、何ゴミでも見るような目で見てんだ。


「なんでもいいんじゃねえの?昔やってたゲームでも適当につけてたしなー。あ、それでいっか」
「…ちなみにその時の名前は?」
「馬刺連盟」
「却下だ!」


 なんだその特殊すぎるギルドは!


「馬刺…馬刺食べたい」


 すると、ナクが目をキラキラと輝かせてそう言う。
 いや、ナク多分馬刺連盟って言っても馬刺の実食はやってないんじゃないか?


「馬刺かー、何回かメンバーで熊本まで行って食べて来たなー」
「やってんのかよ!」


 まさかのアクティブさだった。
 ナクもヨダレを垂らしてキョウジの馬刺談を聴いていた。
 すると、俺の袖を引っ張る者が1人。
 そちらを見ればユノが控えめに袖を引っ張っていた。


「どうした?」
「えっと、私が昔運営してたギルドの名前とかどうですか…?」


 ユノが運営していたギルドの名前か…悪い予感しかしないんだが…


「ちなみにどんな名前なんだ…?」
「【蒼緑そうりょくの槍】って言うんですけど…」


 ふむ…若干痛々しいけどキョウジに比べたら悪くないんじゃないか?


「蒼緑の槍…?まさか…」


 おっ、ナクが食いついた。なんかあったのか?


「ナクどうかしたのか?」
「ん、昔私がやってたゲームにそんな名前のギルドがあった。蒼緑の槍はそのゲーム内で1番のPKギルドだった。特にギルマスの女性プレイヤーはキルした後に的確にプレイヤーの精神まで削るという鬼畜だった」


 それが、ユノ?いやいや、まさか、そんな優等生って見た目のユノがまさかな。
 チラッとユノを見ると俯いて肩を震わせていた。


「ユ、ユノ?まさか、な?」
「…よ」


 声が小さすぎてよく聞き取れない。なんて言ってるんだ?


「…せーよ」
「なんて言ってるん_」
「うるせーよ!」


 俺の言葉はユノのそんな叫びで掻き消された。
 うおっ、怖え。目つきもめちゃくちゃ鋭くなってやがる!
 ユノは溜息を吐いてソファに荒々しく腰掛けると、足を組む。


「ああ、まったく。そうだよ、私が【蒼緑の槍】のギルマスだよ。文句あっかよ」
「文句はないけど、キャラの変わり方に驚きを隠せない」
「チッ、せっかく大人しいキャラでイケると思ったのによぉ!そこのババアのせいでパーじゃねえか!」


 俺がそう言うとユノは、俺を睨む。
 だから俺を睨むなよ、怖えよ。
 すると、無表情のナクがユノの横に座る。
 ユノはそんなナクの行動に首を傾げる。


「なんだよ?」
「闇に眠れ」


 ナクがそう言うとユノは目を見開く。
 さらにナクは続ける。


「闇の前には等しく無力」
「ま、待ってください!」
「ちなみにユーザー名は『†闇姫ユ_」
「お願いだから黙ってください!」


 荒く息を吐きながらナクの口を封じるユノ。
 唐突な黒歴史の暴露を聞いたキョウジが理解できていないような表情を浮かべていた。
 その後、ちょくちょくユノはナクにからかわれて若干涙目になっていたりした。          

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