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かずみ

第32話

 1人の青年が青を基調とした部屋の中で椅子に腰掛けて本を読んでいた。
 歳は20歳くらいだろうか。2界層は真夏のような暑さだというのに、銀色のコートを着ていた。
 しかし、青年はまったく暑そうな様子は見せない。
 すると、不意にその部屋の扉をノックするものがいた。


「入れ」


 青年がそう発すると、明らかに青年よりも年上であろう戦士の姿をした男が3人。何かに怯えながら入室してくる。
 青年は本を閉じると椅子から立ち上がり男たちの前に歩を進める。
 青年と男たちが向かい合うと、男たちは自分たちよりも頭一つ分低い背丈の青年の前でおもむろにひざまづいた。


「で、あいつは?見当たらないみたいだけど?」
「は、はい。見つけることには見つけたのですが…」


 先頭のリーダーらしき男が言葉を探すように、そう言うと青年は「なるほどなるほど」と笑顔で頷く。
 青年は身をかがめ、男に顔を上げるように促す。
 男が恐る恐る顔を上げると、青年は男の耳を引っ張る。


「ねえ、僕はさ。あいつを連れてこいって命じたよね?なんで果たせないわけ?聞こえなかった?」
「いえっ…!そういうわけでは…!」
「聞こえないんだったらこんな耳要らないよね?」


 青年はそう言うと懐から取り出した半透明のナイフで男の左耳を切り取った。
 男のくぐもった呻き声が漏れ、青のカーペットを男の鮮血で汚す。
 青年はニコニコと笑いながら切り取った耳をくわえる。


「次失敗したら君たちの顔が平らになると思ってね」


 青年はそう言うと、咥えていた耳を噛み潰す。
 すると耳は完全に光の粒子に変わってしまう。
 男たちは怯えたように部屋から飛び出していく。
 青年は遠ざかっていく足音を聴きながら椅子に腰掛けると本を手に取り1人呟く。


「僕から逃げようなんて考えるなよ、ナク」          

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