Creation World Online

かずみ

第21話

「くぅ〜!これじゃ見えないじゃない!」


 私は空の上から白い煙を見てそう叫んだ。
 私の名前はシラクモ本名は白雲はくうん華蓮かれん
 私は面倒くさがる幼馴染であるサイカ…財賀さいかゆうと無理やり一緒に新作ゲームである【Creation World Online】通称CWOをプレイしていると突然デスゲームとかいうわけのわからないものに巻き込まれてしまった。
 初めは泣いてばかりいたけど柳が私のことを励ましてくれたおかげでなんとか立ち直ることができた。
 幸いなことに柳も私も強い固有スキルを持っていたためなんとかここまで勝ち上がって来れたのだが…
 私が回想をしていると煙の中からシュウの武器が私目掛けて飛んできたので私はそれを横に飛んで回避する。
 跳んで、ではなく飛んで、である。なぜなら今の私は人間の姿ではないからである。
 固有技能【龍皇化】簡単に言えば龍という伝説の生き物になることができるスキルである。
 しかしもちろんデメリットもある。
 時間制限がある上にその時間制限を過ぎると直ぐに人間の状態に戻りそのまま3分間は動けなくなってしまう。さらに再使用可能リキャストまでの時間も長い。
 ちなみにこの時間も熱線などを吐けばその分削られる。威力を上げるとさらに削られるため短期決戦を強いられるのだ。
 でもそんなデメリットを感じさせないほどにこのスキルは有能なのよね。
 全ステータスが爆発的に上昇する上に飛行することも可能なのだから勝てないことの方が珍しい。


「ああもう!さっきから鬱陶しいわね!」


 私は飛んでくる剣を避けるが正直残り時間が心許ない。早く勝負を決めなければ負けてしまう!
 次に来た剣に向けて熱線を渾身の力で放ってそのままシュウを倒そうと考えた私はいつでも放てるように待機する。
 その瞬間煙を切り裂いて紫色の剣が私目掛けて飛んでくる。
 今だ!
 私は渾身の力を込めた熱線を放つ。
 数秒後私はこれ以上は危険だと判断し熱線を解除すると、なんと驚いたことに紫色の剣はまだ私の方に向かっていた。
 慌てて私は避けようとするが剣に当たってしまいダメージを受けてしまう。
 慌てすぎた所為かバランスを崩すとステージの上に落下する。
 途端の硬直。


「な!なんなの!?」
「はははは!引っかかったなシラクモ!」
「シ、シュウ!?どこよ!姿を見せなさい!」


 私がそう叫ぶと煙の中からシュウが右手に剣、左手にナイフを持ってやってきた。
 シュウは風魔法で煙を散らすと私に向かってニヤリと笑いかけた。


「さて、それじゃあ始めるか」
「なにを始めるつもり?言っとくけどそんな剣じゃ私に少ししかダメージは与えられないわよ」


 そう私は残り時間が少ないとはいえ龍皇化しているのだ。並みのプレイヤーならダメージなんて与えられないはず。
 私がそう言うとシュウは無言でナイフを私の腹部に刺した。


「あぎゃ!な、に、こりぇ…!」
「よく効くだろ?【麻痺8】だってよ。ほんといい武器手に入れたよ」


 麻痺8、私は聞いたこともないような数に不安を覚えた。
 第1界、つまりこの界層で手に入る状態異常デバフは精々2か3といったところだったはず。8なんてもう10界層上がっても見つからないだろう。
 この男はなんでそんなものを持っているのだろうか。
 私は麻痺の効果で停止しそうになる思考を止めるまいと頑張って脳を動かしていると突如頭に衝撃が走る。
 何事かと思って見てみるとシュウが右手に持っていた剣が砕け散って光の粒子になっていた。


「ふむ、やっぱ鉄の剣じゃ強度が足りないか。しゃーない、あれ出すか」


 シュウが独り言をつぶやくと右と左に紫色の剣が出現する。
 シュウが右手の剣を振るうと先程よりは衝撃が少なかった。
 しかしHPを確認してみると鉄の剣で殴られた時よりHPが削られていた。


「おっ、これいいな。これでやるか」


 シュウはそう言うと左手の剣も叩きつける。
 砕け散る剣、減るHP、シュウが次の剣を用意した時私の身体が普段の姿に戻ってしまった。
 シュウは一瞬驚いたような顔をしたが右手に出現させた剣で私を斬ると減ったHPと砕けずに手元に残っている剣を見ると満足そうに頷き私を斬り始める。
 麻痺のせいでなんの抵抗もできないまま私は負けるのかと思っていたその時私の麻痺の効果と技後硬直が切れる。
 私は未だに少し残る麻痺を我慢しながらその場から離脱する。
 HPは残り2割を切っていた。危なかった、あのままだと私は確実に負けていた。
 私はもう龍皇化している暇はないと思いアイテムボックスから武器である鋼鉄製の戦鎚を取り出した。
 さあ!どこからでもかかってこい!
 そうシュウに言おうとしてシュウの方を見ると姿が見えなかった。


「遅いんだよな」
「あぎぃ!な、なんでしょんなに、もってる、の、よ…!」


 いつの間にか私の背後に立っていたシュウは私にナイフを突き立てるとそのまま右手に持っていた剣で私の首筋を切り裂く。
 その瞬間私のライフは規定値まで下がり敗北を表す【Loose】の文字が現れた。


  ☆


「そこまで!優勝はシュウ選手です!」
「イェーイ勝ったぜー」
「「「ふざけんな!!」」」


 俺が勝利宣言をすると会場にいたプレイヤーが立ち上がってそう叫んだ。


「いやー、それにしてもすごい戦いでしたね。どうでしたか?先生、キョウラクさん」
「うむ、クズだな」
「そうですね、クズですね」
「はい、お二人とも同じ回答ですね。それでは表彰式を始めたいと思います!」


 クリミアがそう宣言すると俺の後ろの門が開いてそこから大きな金色の肉塊を持ったNPCたちがやってくる。
 おお!あれがゴールドポーク!
 俺が金色に輝く肉に釘付けになっているとNPCの1人が「おめでとうございます」と言うとゴールドポークが俺のアイテムボックスに譲渡される。
 するとディスプレイの画面が全て司会者席を映すとクリミアが叫ぶ。


「さあ!ここに全プレイヤー1クズな最強が誕生しました!みなさん!惜しみない拍手と呪詛じゅそを!」
「おい!司会者煽んな!まて!コラ!ゴミ投げんな…って!誰だ今ナイフ投げたやつ!お前か!そこの盗賊シーフ忘れんなよ!後で殴るからな!」


 そんな風に騒がしく大会は終了したのであった。
 もちろんナイフを投げやがった盗賊は試合後に捕まえて殴ったのは言うまでもないだろう。          

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