女神の加護を持つ死神
資源集め 後編
あれから一週間が経った。
魔物と武器も何も無い状態でエルは戦い、どんどん動きは無駄が無くなっていった。
その動きは、エルは気付いてないだろうが俺の戦い方に似ていて、相手の死角を突いて戦うというものだった。
自然と出来たのだろうが、あれはとても難しい戦い方だ。
俺の場合は最高速度でも、えげつない脳の処理速度で判断が出来るので、瞬時に相手の死角をつくという戦い方が出来るのだが、エルはそんな事は出来ない。
エルは、処理速度をとても早くして死角をつくのではなく、勘だけでやっていたのだ。
実際の戦いでは勘だけで戦うなど駄目なのだが、時には理性では無く本能で戦うことも大切なので、俺は特に注意はしていない。
注意をしていないと、いつの間にかそれだけを鍛えていたが……まあ大丈夫だろう。
そんなこんなで、今は十九階層。
この迷宮は二十階層までなので、次の階層が最後だ。
因みに二十階層は俺は手出しをしない。
エルが修行の成果を見て欲しいからと言って、手出しをしないでと言ったからである。
まあ、本当にヤバイと感じたら手を出すがな。
なのでエルと階段を下りて、ボス部屋に入る前の扉の前で止まった。
エルはそこから部屋に入って行ったが、俺は待っていた。
中に入ると、俺も入った事になるのでそうしない為にもだ。
入った事になると、俺まで狙われるからな。
そうしたらこれの意味がなくなるし。
「ギー〜イッッッ!」
変な雄叫びをあげる奴が出てきた。
真っ黒で背中にえげつないほど手がある奴だ。
それと超デカイ。
十メートルは余裕である。
名前は無限覇羅。
難しい漢字の名前で、物凄く強そう。
実際に強いし。
だってこのステータス。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【名前】無限覇羅
【種族】ー
【レベル】ー
【HP】ー
【魔力】ー
【攻撃力】ー
【防御力】ー
【俊敏力】ー
【器用】ー
【運】ー
【スキル】 スキル・魔法無効化。武器攻撃無効化。無限の手。超回復。
武器攻撃上昇(超)。
【魔法】 表示なし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
分かるだろう。
殆ど何も表示されてないんだよ。
それに、今はエルに何も持たせて無いし、魔法も使えないから戦えるけど、これ普通のエルだったら確実に無理。
魔法使えない状態とヤバいし。
それよりもこのスキルのレパートリー良いよな。
全部欲しいよ。
都合よく覚えないかな。
『エクストラスキル【スキル・魔法無効化】【武器攻撃無効化】【超回復】【武器攻撃上昇(超)】を取得しました』
『固有スキル【無限の手】を取得しました』
あっ、してくれるのね。
まじで有難いわ〜〜。
「感情に入り浸ってないでエルを見ててくださ〜いなのです!」
「ああ、すまん」
《無限の手》を使い無数の手で殴りまくられているのに、それを全て避けながらエルはそう泣き声で俺に向かって叫んだ。
喋れる余裕があるなら大丈夫だろう、と言いたいところだが今はそんな事が言えない。
明らかにレベル差があるのだから。
この世界では経験差があろうがレベルが強い奴が勝つように出来ている。
だってレベル1でHPが10の奴がレベル100でHP1000に勝てる訳無いのだから。
これと一緒で、今はエルがこれまでの経験でこうを避けているが、直ぐに立場は逆転するだろう。
次第にエルの速度が落ちていき魔物の攻撃が当たっていって、エルはどんどん負けに近づいて行くだろう。
それから、どうやって勝つのかでエルは変わるだろう。
そんな俺の考えが当たり、エルの速度はさっきよりも落ちてきた。
それに気付いた魔物が、腕を増やし攻撃を仕掛けた。
すると、魔物の攻撃がエルの服にかすった。
ーーだが、それは一回限りではなかった。
何回も何回も。
腕が当たり吹き飛ばされるエル。
色々な場所が骨折しもう立つことも間々なっていない。
だが、そんな事を相手は関係無しという様にエルを殴り、殴り、殴り続ける。
もうエルは服が破け、色々と見えそうになっていた。
目を逸らしたいが、その瞬間に攻撃されたら怖いのでやらない。
最低でも死ぬ程の一撃が出されたら、直ぐに止めるつもりだ。
「ギィギィギィー〜ッッッ!」
又もや変な雄叫びをあげた。
だが、それでも手は一つも止まっていなかった。
殴る意外の攻撃を知らないのかよ!
そう突っ込んでやりたい。
「……うぅっ……あがぁはっ!」
遂にエルは女の子があげてはいない声をあげた。
流石にあそこまでの傷を負っては戦えないだろう。
内臓か……それとも付近の臓器が潰れたかは分からないが、エルは立とうとした瞬間に口から大量の血を吐き出した。
ーーあれは限界だな。
流石にもう手を出そうか。
エルは良くやったし。
ここまで来てあんな相手に怯まず立ち向かったんだ、それだけでも成長をちゃんとしているという事だろう。
これなら、俺達に付いてこれるぐらいは出来るだろう。
俺は、あいつをぶっ倒す為に、腰のレッグホルスターから、愛銃を取り出した。
そしてあの魔物目掛け俺は銃を構えた。
「て、手出しを……しないで……な、のです。エルが、倒すの、です。だから、お兄ちゃんは手を出さないでなのです!」
エルがボロボロになった身体で、立ち上がりそう言った。
だが、左足は折れ立つのもままならない状態で、右手は赤く染まった手首付近から少し白いものが剥き出しとなり見えている。
それでもやるといっているのだ。
勝算はあるのだろうか。
いや、そんな事は関係なく、あんな状態で戦えば、あいつの一撃をくらっただけで死ぬ。
ーーここは兄弟として止めるべきなんだろう。
ーーここは仲間として止めるべきなんだろう。
……だが!
「俺はお前を信じているぞ! 絶対に勝て!」
俺は勇気を持って戦おうとしている奴を止めない。
最後まで見届ける。
「ありがとうなのです! この一撃でお前を倒すの!」
エルは纏っていた覇気を消した。
そして、ふぅ〜と息を吐き出すと、自然と同化した。
いや、自然と同化しかけた。
まだ、完全には同化していないがそれでも爆発的な力を纏い、エルは足が折れているのにまるで折れていないかの様に歩き近付いていった。
それも無駄な動きなどは無く、自然な動きでだ。
魔物はそんなのを見逃すはずは無く、先程よりも更に速度が上がった攻撃を連続で何回も何回もしてきた。
だが、それはエルに擦りもしていない。
ジリジリという音が聞こえるがあれはエルが高速で動いていて、服が焼けているからしている。
それ程までに早い動きで避けているのだ。
そして魔物の目の前までくると、エルは止まった。
それと同時に魔物の腕は消えた。
いや、エルが避けている間に一本ずつ消し去って行っていき、止まった時には腕は全て無くなっていたのだ。
見ていて、興奮した。
あれと戦ってみたいと。
「勝負です。エルはお前を一撃で仕留める! 全力で止めやがれなのです!」
エルは、そう魔物に向け指を指し宣言した。
それが伝わったのか。
魔物は大きく叫ぶんだ。
そしてニョキニョキと腕の切れ口から腕が生えてくると、構えた。
ーーそこには何も持っていず、格闘術で戦おうとしているエルが。
ーーそこには何も持っていず、殴るという動作で戦おうとしている魔物が。
そしてエルが走り、魔物が走り。
両者の腕が両者の身体に触れた。
そして、砂埃が混じった凄い夥しい暴風が起きた。
これは流石に俺にでも見えない。
だから、エルの勝利を信じて待つしかない。
暴風と化した砂埃混じりの風が止んだ。
そこには一人の少女の物陰が。
「エルの……勝ち……です。お兄ちゃん、やった、よ」
魔物は大きかった為か少しまだ形は残っているが、殆どが結晶と化して空へと昇っていった。
最後の力を振り絞ったエルはそこでそう言って、倒れた。
まあ、それを俺は支えたので、現実的には倒れたとは言わないか。
「強化合宿の最終試練、合格。よって終了だよ、エル。よく頑張ったね」
俺は気を失って、それが聞こえていないとしてでも、言いたかったので言った。
それは決して聞こえない。
それでも、それを聞いた後、エルが笑顔になったのは喜ばしい。
後でご褒美の何かをあげないとな。
俺はそれを考えながら、エルを抱っこしてみんなの元へと戻っていった。
魔物と武器も何も無い状態でエルは戦い、どんどん動きは無駄が無くなっていった。
その動きは、エルは気付いてないだろうが俺の戦い方に似ていて、相手の死角を突いて戦うというものだった。
自然と出来たのだろうが、あれはとても難しい戦い方だ。
俺の場合は最高速度でも、えげつない脳の処理速度で判断が出来るので、瞬時に相手の死角をつくという戦い方が出来るのだが、エルはそんな事は出来ない。
エルは、処理速度をとても早くして死角をつくのではなく、勘だけでやっていたのだ。
実際の戦いでは勘だけで戦うなど駄目なのだが、時には理性では無く本能で戦うことも大切なので、俺は特に注意はしていない。
注意をしていないと、いつの間にかそれだけを鍛えていたが……まあ大丈夫だろう。
そんなこんなで、今は十九階層。
この迷宮は二十階層までなので、次の階層が最後だ。
因みに二十階層は俺は手出しをしない。
エルが修行の成果を見て欲しいからと言って、手出しをしないでと言ったからである。
まあ、本当にヤバイと感じたら手を出すがな。
なのでエルと階段を下りて、ボス部屋に入る前の扉の前で止まった。
エルはそこから部屋に入って行ったが、俺は待っていた。
中に入ると、俺も入った事になるのでそうしない為にもだ。
入った事になると、俺まで狙われるからな。
そうしたらこれの意味がなくなるし。
「ギー〜イッッッ!」
変な雄叫びをあげる奴が出てきた。
真っ黒で背中にえげつないほど手がある奴だ。
それと超デカイ。
十メートルは余裕である。
名前は無限覇羅。
難しい漢字の名前で、物凄く強そう。
実際に強いし。
だってこのステータス。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【名前】無限覇羅
【種族】ー
【レベル】ー
【HP】ー
【魔力】ー
【攻撃力】ー
【防御力】ー
【俊敏力】ー
【器用】ー
【運】ー
【スキル】 スキル・魔法無効化。武器攻撃無効化。無限の手。超回復。
武器攻撃上昇(超)。
【魔法】 表示なし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
分かるだろう。
殆ど何も表示されてないんだよ。
それに、今はエルに何も持たせて無いし、魔法も使えないから戦えるけど、これ普通のエルだったら確実に無理。
魔法使えない状態とヤバいし。
それよりもこのスキルのレパートリー良いよな。
全部欲しいよ。
都合よく覚えないかな。
『エクストラスキル【スキル・魔法無効化】【武器攻撃無効化】【超回復】【武器攻撃上昇(超)】を取得しました』
『固有スキル【無限の手】を取得しました』
あっ、してくれるのね。
まじで有難いわ〜〜。
「感情に入り浸ってないでエルを見ててくださ〜いなのです!」
「ああ、すまん」
《無限の手》を使い無数の手で殴りまくられているのに、それを全て避けながらエルはそう泣き声で俺に向かって叫んだ。
喋れる余裕があるなら大丈夫だろう、と言いたいところだが今はそんな事が言えない。
明らかにレベル差があるのだから。
この世界では経験差があろうがレベルが強い奴が勝つように出来ている。
だってレベル1でHPが10の奴がレベル100でHP1000に勝てる訳無いのだから。
これと一緒で、今はエルがこれまでの経験でこうを避けているが、直ぐに立場は逆転するだろう。
次第にエルの速度が落ちていき魔物の攻撃が当たっていって、エルはどんどん負けに近づいて行くだろう。
それから、どうやって勝つのかでエルは変わるだろう。
そんな俺の考えが当たり、エルの速度はさっきよりも落ちてきた。
それに気付いた魔物が、腕を増やし攻撃を仕掛けた。
すると、魔物の攻撃がエルの服にかすった。
ーーだが、それは一回限りではなかった。
何回も何回も。
腕が当たり吹き飛ばされるエル。
色々な場所が骨折しもう立つことも間々なっていない。
だが、そんな事を相手は関係無しという様にエルを殴り、殴り、殴り続ける。
もうエルは服が破け、色々と見えそうになっていた。
目を逸らしたいが、その瞬間に攻撃されたら怖いのでやらない。
最低でも死ぬ程の一撃が出されたら、直ぐに止めるつもりだ。
「ギィギィギィー〜ッッッ!」
又もや変な雄叫びをあげた。
だが、それでも手は一つも止まっていなかった。
殴る意外の攻撃を知らないのかよ!
そう突っ込んでやりたい。
「……うぅっ……あがぁはっ!」
遂にエルは女の子があげてはいない声をあげた。
流石にあそこまでの傷を負っては戦えないだろう。
内臓か……それとも付近の臓器が潰れたかは分からないが、エルは立とうとした瞬間に口から大量の血を吐き出した。
ーーあれは限界だな。
流石にもう手を出そうか。
エルは良くやったし。
ここまで来てあんな相手に怯まず立ち向かったんだ、それだけでも成長をちゃんとしているという事だろう。
これなら、俺達に付いてこれるぐらいは出来るだろう。
俺は、あいつをぶっ倒す為に、腰のレッグホルスターから、愛銃を取り出した。
そしてあの魔物目掛け俺は銃を構えた。
「て、手出しを……しないで……な、のです。エルが、倒すの、です。だから、お兄ちゃんは手を出さないでなのです!」
エルがボロボロになった身体で、立ち上がりそう言った。
だが、左足は折れ立つのもままならない状態で、右手は赤く染まった手首付近から少し白いものが剥き出しとなり見えている。
それでもやるといっているのだ。
勝算はあるのだろうか。
いや、そんな事は関係なく、あんな状態で戦えば、あいつの一撃をくらっただけで死ぬ。
ーーここは兄弟として止めるべきなんだろう。
ーーここは仲間として止めるべきなんだろう。
……だが!
「俺はお前を信じているぞ! 絶対に勝て!」
俺は勇気を持って戦おうとしている奴を止めない。
最後まで見届ける。
「ありがとうなのです! この一撃でお前を倒すの!」
エルは纏っていた覇気を消した。
そして、ふぅ〜と息を吐き出すと、自然と同化した。
いや、自然と同化しかけた。
まだ、完全には同化していないがそれでも爆発的な力を纏い、エルは足が折れているのにまるで折れていないかの様に歩き近付いていった。
それも無駄な動きなどは無く、自然な動きでだ。
魔物はそんなのを見逃すはずは無く、先程よりも更に速度が上がった攻撃を連続で何回も何回もしてきた。
だが、それはエルに擦りもしていない。
ジリジリという音が聞こえるがあれはエルが高速で動いていて、服が焼けているからしている。
それ程までに早い動きで避けているのだ。
そして魔物の目の前までくると、エルは止まった。
それと同時に魔物の腕は消えた。
いや、エルが避けている間に一本ずつ消し去って行っていき、止まった時には腕は全て無くなっていたのだ。
見ていて、興奮した。
あれと戦ってみたいと。
「勝負です。エルはお前を一撃で仕留める! 全力で止めやがれなのです!」
エルは、そう魔物に向け指を指し宣言した。
それが伝わったのか。
魔物は大きく叫ぶんだ。
そしてニョキニョキと腕の切れ口から腕が生えてくると、構えた。
ーーそこには何も持っていず、格闘術で戦おうとしているエルが。
ーーそこには何も持っていず、殴るという動作で戦おうとしている魔物が。
そしてエルが走り、魔物が走り。
両者の腕が両者の身体に触れた。
そして、砂埃が混じった凄い夥しい暴風が起きた。
これは流石に俺にでも見えない。
だから、エルの勝利を信じて待つしかない。
暴風と化した砂埃混じりの風が止んだ。
そこには一人の少女の物陰が。
「エルの……勝ち……です。お兄ちゃん、やった、よ」
魔物は大きかった為か少しまだ形は残っているが、殆どが結晶と化して空へと昇っていった。
最後の力を振り絞ったエルはそこでそう言って、倒れた。
まあ、それを俺は支えたので、現実的には倒れたとは言わないか。
「強化合宿の最終試練、合格。よって終了だよ、エル。よく頑張ったね」
俺は気を失って、それが聞こえていないとしてでも、言いたかったので言った。
それは決して聞こえない。
それでも、それを聞いた後、エルが笑顔になったのは喜ばしい。
後でご褒美の何かをあげないとな。
俺はそれを考えながら、エルを抱っこしてみんなの元へと戻っていった。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
147
-
-
267
-
-
24251
-
-
34
-
-
2265
-
-
6
-
-
1168
-
-
11128
-
-
0
コメント