女神の加護を持つ死神
旅の支度 1
現在、アルとヘーニルは食料集めのため、村の食料品売り場があるという場所に来ていた。
キラリの話だと、念のため一ヶ月分の食料がいる。
馬車は、キラリとソラに任しておけば問題は全くない。
食料品が売ってある店が多いエリアに行くとそこは、まさに戦場だった。
店の店主が大きな声で呼び込みをし、そこを主婦が激しく商品を取り合っていた。
中にはその騒動に巻き込まれた人達が、地面に倒れていたりもしていた。
((ここ普通じゃない!!))
アルとヘーニルはこの光景を見てそう感じた。
しかし、それだけで諦める訳にはいかない。
どうにかしようと、辺りを探し始めた。
すると、混雑していない、食料品が売ってある店を見つけた。
中にはあまりにも人がいない、その事で不安になり、中へ入ろうとする足を止めた。
「行きましょう。アル」
「じゃが、何故こんなにも人がいない。それにヘーニル、お主足が震えているのじゃ」
「そいうアルこそ」
「だってじゃな……」
((何あの生物!?))
足を止めた極め付けの理由は、変な生物? が中にいたからだ。
身長は二メートルをゆうに超え、全身フルアーマー。
流石にそこまでは良いとして、頭の部分が可笑しい。
胴体とあった鎧、その上に兜、そして最後の一つにちょこんとのった帽子。
まさに変人、全く関わりたく無い。
その思いしか今の二人には無かった。
「ようこソ、いらっしゃいましタ。今日は何ヲ、お探しニ」
「いえ……私達で探すのじゃ……その」
「当店でハ、お探しノ、食品をつくル、店ですのデ、そいう訳にハ」
「そうなのか……ではお願い……するのじゃ」
この化け物の意外なる声に驚き、アルはいつもとは比べものにならない程の小さい声で、話した。
しかし、これはまだマシだろう。
ヘーニルはもう驚きのあまり全身氷の様に固まっている。
「あらラ、どうしたのダ。可愛イ、顔ガ、台無シ、だゾ。ほラ、私ノ、顔ヲ、見テ、見ロ」
ヘーニルは固まった、身体を何とか動かし、化け物の顔へと目を向けた。
その顔はーー
「……に、人間では無い!? う、う」
アルが言ってはいけないと我慢していたのだが、ヘーニルがあの顔を見てそう呟いてしまった。
その瞬間、化け物が吠えた。
ーーっと、思ったが、そうはならなかった。
「勿論、人間ダ。可笑しナ、子だナ。それよりモ、さっさト、中ニ、入レ」
「……っえ!? あ、あ、はい」
アルは語尾の「のじゃ」も忘れ思わず言葉を返していた。
というかあれが人間とか信じられないという考えしか今のアルにはなかったのだ。
そしてアルは店主の後ろに付いて行ったが、ヘーニルは動かなかった。
いや、ヘーニルは腰が抜け、動けなかった。
それに気付いた店主は「世話なのかかル、子だナ」と言い、お姫様だっこをして中へと連れて行った。
ヘーニルはもう戦力外なので、代わりにアルが話を進めた。
結果的には、高級食材が山の様に積まれる事となった。
それも三ヶ月分の食材が。
訳は、初めは一ヶ月分だけだった。
しかし、店主が「まだまダ、いけるだロ」と言い、あれやこれやと勧められそれも高級食材ばかり、それが終わった時にはこれだけの量になった。
お金は沢山あるので予定よりも少し多いだけですみ、店主に別れを告げ、この店を後にした。
「頼まれたのは食材だけじゃが、結構時間が余ってしまったし、何かするかの?」
「なら、今日は一ヶ月に一度開かれるというお祭りに参加してみるか」
「おお、面白そうじゃな」
アルとヘーニルは馬車を買いに行った二人を待つ間に、お祭りに参加することにした。
しかし、その前に一つ片付ける事がある。
先程から付けられてる十五人程の人をどうするかだ。
店に入る少し前ぐらいから付けてきており、初めはほっとけばどこかに行くだろう。
そいう思いがあり、アルとヘーニルは無視をしていた。
しかし、全く離れる気は無さそうで、まだ付いてきている。
『どうするのじゃ』
『あそこの裏路地にでも入って、相手をするのがベストだろう』
『そうじゃな』
付いてきている人達に聞かれない様にと、《念話》に似たスキルを使い、話した。
裏路地の手前まで着くと、早足で中へと入っていった。
付いてきていた男達は、撒かれると思ったのか、慌てて、裏路地に入っていった。
しかし、そこには、仁王立ちでそれも笑顔で待っていたアルとヘーニルがいた。
これに驚いたのか、先頭をきっていた男は地面に鈍い音を醸しながら倒れた。
だが、そんな事は無かったかの様に、男は起き上がり、一歩後ろへ下がった。
「何故、私達を付けていたのじゃ。お前達は」
「直ぐ懲りて逃げれば良かったものの、お前達はそうしなかった。なら、我達に何をされても文句は言わせないぞ」
アルは全くどうしてかが分かってはいないだろう。
しかし、現状が分かっているヘーニルは、魔女の様な笑みを顔に浮かべて言葉を放った。
だが、こんな事では懲りてはいないのだろう、全く逃げる様子も見せずに、そして近付いた。
それも、魔物を倒すかの様に、覇気を放って。
「今からお前達を俺達のものにしてやる。反抗しようとは思うなよ。今俺の覇気を感じていると思うが、それからでもわかるだろ。俺は強い。それに金もある。俺のものになるなら、それを全てじゆーーボギャァッ!」
そう言いながら、アルの手を掴んだ瞬間、男は吹っ飛んだ。
現状が理解出来ていない、周囲の男達は、何が起きたのかサッパリ分かっていない様で目を大きくして固まっている。
しかし、それぐらいでは全く怯まない。
「お前達、あの女は魔法も使える様だ。いい女過ぎるだろ。絶対捕まえるぞ!」そう副リーダーらしき人が叫ぶと、「「「「「おおぉぉーー!!」」」」」と周りの男連中が叫び、アルとヘーニルに飛び掛った。
何をしてもこいつらは怯まないだろう。
なので、アルとヘーニルは見せしめをすることにした。
飛び掛って来た連中に対して、今度はスキルを使わずに相手をする。
それも格の違いを見せるために。
アルは、七人飛び掛って来た内の一人を前足を前に出し、躓いた時に前に出た首を横方向に伸ばした手で締め、肩から床へと付けるように倒し、そして、後ろから襲ってきた奴に腰をひねり、その反動で蹴り、その勢いで壁を蹴り上へと上がり、もう一人の後ろの奴の頭を蹴って、着地した。
残りの四人の内、二人は背後に回り込み、うなじに手刀を入れ、気絶させた。
もう二人は怖気ついたのか、気絶してしまった。
ヘーニルの方に行った七人は、倒されるのは一瞬だった。
アルとは違い、全員、雷属性の上級魔法≪神威≫で倒した。
これは普通は自分自身に纏う魔法だが、それをこの連中に纏わせた。
ヘーニルレベルまで行くと、それぐらいのことは出来る。
全員、雷が当たった事でのショックで気絶した。
手を合わせ、イエーイと喜んでいたのだが、アルとヘーニルはあることに気付き、喜びが消えた。
それは、アルとヘーニルは見せしめといいながらも、全員倒してしまい、誰も見ていないことに気づいたのだ。
そして、やってしまったという様に後悔をした。
だが、それも数秒だけ。
直ぐ様、元の調子に戻った。
「これは無かった事にしようなのじゃ」
「だな。こんなのを思い出すと恥ずかしくて死にそうだ。何が見せしめだ、結局誰も見てないじゃん」
「そうなんじゃよな。それよりも戻るかの?」
「だな。まだ時間には早いが、ソラがずっと二人きりというのは気に食わん。我達も一緒にいたいのに……だから、戻るならさっさと行こう」
「分かったのじゃ」
キラリに早く会いたいその一心で風属性魔法を使い、地面を蹴った。
その速さは、まさに風。
少し先のこと。ある噂が村では立っていた。
この村の商店街では、二人の少女が嵐が起こしたと。
その原因が、ある少年に早く会いたいが一心に起きたことなど、だれも知らない……。
キラリの話だと、念のため一ヶ月分の食料がいる。
馬車は、キラリとソラに任しておけば問題は全くない。
食料品が売ってある店が多いエリアに行くとそこは、まさに戦場だった。
店の店主が大きな声で呼び込みをし、そこを主婦が激しく商品を取り合っていた。
中にはその騒動に巻き込まれた人達が、地面に倒れていたりもしていた。
((ここ普通じゃない!!))
アルとヘーニルはこの光景を見てそう感じた。
しかし、それだけで諦める訳にはいかない。
どうにかしようと、辺りを探し始めた。
すると、混雑していない、食料品が売ってある店を見つけた。
中にはあまりにも人がいない、その事で不安になり、中へ入ろうとする足を止めた。
「行きましょう。アル」
「じゃが、何故こんなにも人がいない。それにヘーニル、お主足が震えているのじゃ」
「そいうアルこそ」
「だってじゃな……」
((何あの生物!?))
足を止めた極め付けの理由は、変な生物? が中にいたからだ。
身長は二メートルをゆうに超え、全身フルアーマー。
流石にそこまでは良いとして、頭の部分が可笑しい。
胴体とあった鎧、その上に兜、そして最後の一つにちょこんとのった帽子。
まさに変人、全く関わりたく無い。
その思いしか今の二人には無かった。
「ようこソ、いらっしゃいましタ。今日は何ヲ、お探しニ」
「いえ……私達で探すのじゃ……その」
「当店でハ、お探しノ、食品をつくル、店ですのデ、そいう訳にハ」
「そうなのか……ではお願い……するのじゃ」
この化け物の意外なる声に驚き、アルはいつもとは比べものにならない程の小さい声で、話した。
しかし、これはまだマシだろう。
ヘーニルはもう驚きのあまり全身氷の様に固まっている。
「あらラ、どうしたのダ。可愛イ、顔ガ、台無シ、だゾ。ほラ、私ノ、顔ヲ、見テ、見ロ」
ヘーニルは固まった、身体を何とか動かし、化け物の顔へと目を向けた。
その顔はーー
「……に、人間では無い!? う、う」
アルが言ってはいけないと我慢していたのだが、ヘーニルがあの顔を見てそう呟いてしまった。
その瞬間、化け物が吠えた。
ーーっと、思ったが、そうはならなかった。
「勿論、人間ダ。可笑しナ、子だナ。それよりモ、さっさト、中ニ、入レ」
「……っえ!? あ、あ、はい」
アルは語尾の「のじゃ」も忘れ思わず言葉を返していた。
というかあれが人間とか信じられないという考えしか今のアルにはなかったのだ。
そしてアルは店主の後ろに付いて行ったが、ヘーニルは動かなかった。
いや、ヘーニルは腰が抜け、動けなかった。
それに気付いた店主は「世話なのかかル、子だナ」と言い、お姫様だっこをして中へと連れて行った。
ヘーニルはもう戦力外なので、代わりにアルが話を進めた。
結果的には、高級食材が山の様に積まれる事となった。
それも三ヶ月分の食材が。
訳は、初めは一ヶ月分だけだった。
しかし、店主が「まだまダ、いけるだロ」と言い、あれやこれやと勧められそれも高級食材ばかり、それが終わった時にはこれだけの量になった。
お金は沢山あるので予定よりも少し多いだけですみ、店主に別れを告げ、この店を後にした。
「頼まれたのは食材だけじゃが、結構時間が余ってしまったし、何かするかの?」
「なら、今日は一ヶ月に一度開かれるというお祭りに参加してみるか」
「おお、面白そうじゃな」
アルとヘーニルは馬車を買いに行った二人を待つ間に、お祭りに参加することにした。
しかし、その前に一つ片付ける事がある。
先程から付けられてる十五人程の人をどうするかだ。
店に入る少し前ぐらいから付けてきており、初めはほっとけばどこかに行くだろう。
そいう思いがあり、アルとヘーニルは無視をしていた。
しかし、全く離れる気は無さそうで、まだ付いてきている。
『どうするのじゃ』
『あそこの裏路地にでも入って、相手をするのがベストだろう』
『そうじゃな』
付いてきている人達に聞かれない様にと、《念話》に似たスキルを使い、話した。
裏路地の手前まで着くと、早足で中へと入っていった。
付いてきていた男達は、撒かれると思ったのか、慌てて、裏路地に入っていった。
しかし、そこには、仁王立ちでそれも笑顔で待っていたアルとヘーニルがいた。
これに驚いたのか、先頭をきっていた男は地面に鈍い音を醸しながら倒れた。
だが、そんな事は無かったかの様に、男は起き上がり、一歩後ろへ下がった。
「何故、私達を付けていたのじゃ。お前達は」
「直ぐ懲りて逃げれば良かったものの、お前達はそうしなかった。なら、我達に何をされても文句は言わせないぞ」
アルは全くどうしてかが分かってはいないだろう。
しかし、現状が分かっているヘーニルは、魔女の様な笑みを顔に浮かべて言葉を放った。
だが、こんな事では懲りてはいないのだろう、全く逃げる様子も見せずに、そして近付いた。
それも、魔物を倒すかの様に、覇気を放って。
「今からお前達を俺達のものにしてやる。反抗しようとは思うなよ。今俺の覇気を感じていると思うが、それからでもわかるだろ。俺は強い。それに金もある。俺のものになるなら、それを全てじゆーーボギャァッ!」
そう言いながら、アルの手を掴んだ瞬間、男は吹っ飛んだ。
現状が理解出来ていない、周囲の男達は、何が起きたのかサッパリ分かっていない様で目を大きくして固まっている。
しかし、それぐらいでは全く怯まない。
「お前達、あの女は魔法も使える様だ。いい女過ぎるだろ。絶対捕まえるぞ!」そう副リーダーらしき人が叫ぶと、「「「「「おおぉぉーー!!」」」」」と周りの男連中が叫び、アルとヘーニルに飛び掛った。
何をしてもこいつらは怯まないだろう。
なので、アルとヘーニルは見せしめをすることにした。
飛び掛って来た連中に対して、今度はスキルを使わずに相手をする。
それも格の違いを見せるために。
アルは、七人飛び掛って来た内の一人を前足を前に出し、躓いた時に前に出た首を横方向に伸ばした手で締め、肩から床へと付けるように倒し、そして、後ろから襲ってきた奴に腰をひねり、その反動で蹴り、その勢いで壁を蹴り上へと上がり、もう一人の後ろの奴の頭を蹴って、着地した。
残りの四人の内、二人は背後に回り込み、うなじに手刀を入れ、気絶させた。
もう二人は怖気ついたのか、気絶してしまった。
ヘーニルの方に行った七人は、倒されるのは一瞬だった。
アルとは違い、全員、雷属性の上級魔法≪神威≫で倒した。
これは普通は自分自身に纏う魔法だが、それをこの連中に纏わせた。
ヘーニルレベルまで行くと、それぐらいのことは出来る。
全員、雷が当たった事でのショックで気絶した。
手を合わせ、イエーイと喜んでいたのだが、アルとヘーニルはあることに気付き、喜びが消えた。
それは、アルとヘーニルは見せしめといいながらも、全員倒してしまい、誰も見ていないことに気づいたのだ。
そして、やってしまったという様に後悔をした。
だが、それも数秒だけ。
直ぐ様、元の調子に戻った。
「これは無かった事にしようなのじゃ」
「だな。こんなのを思い出すと恥ずかしくて死にそうだ。何が見せしめだ、結局誰も見てないじゃん」
「そうなんじゃよな。それよりも戻るかの?」
「だな。まだ時間には早いが、ソラがずっと二人きりというのは気に食わん。我達も一緒にいたいのに……だから、戻るならさっさと行こう」
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